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Arsenal, Behind The Scene, Controversy

オバメヤンとの関係悪化。アーセナルの新しい頭痛のタネ

オバメヤンの態度はキャプテンにふさわしいものか

このオバメヤンがインスタで反応したポストを見たとき、思わず「そうだそうだ。誰と付き合おうがそんなの大きなお世話だ」と思ってしまいそうになったのだけど、ほんとにそうだろうか。

アーセナルのファンにAFTVのことはもう説明する必要もないかもしれない。かつてArsenal Fun TVという名だったアーセナルのファンのためのYouTubeチャンネルで、このたぐいのYTチャンネルでは先駆けであるということ。

主催者の「ドン・ロビー」ことロビー・ライルは、昔マッド・プロフェッサーのプロデュースでARIWAから作品をリリースしているミュージシャンでもあり、BBCではレディオプログラムでDJもしていたこともあるというのでBBCともコネクションがあるという人物。

問題はこのAFTVがファンのダイレクトな反応、それもおもに過激にネガティヴな反応を売りにして人気を博してきたということだ。試合後にファンがステディアムの外で怒鳴り散らしたり罵倒するさまをエンタメとして消費している。このブログでもたびたび話題にしている「悪意の増幅」をあおっているソーシャルメディアのひとつであるという評価がある。

AFTVをファンベイスの負の側面だと考えるひともいる一方で、そうじゃないという意見もあって(アーセナルが悪い試合をやったときにそうなるだけで、いい試合をやったときにはちゃんとポジティヴな反応があるなど)、まあたしかに必ずしも彼らが悪意だけに溺れているというわけではない。しかし、彼らが自分たちでこれはファンとしての正当性のある批判だと主張しようとも、結果的にそれがネガティヴ感情を煽ってしまっている状況は否定できない。悪意を意図的に拡散しようとしているというよりは、先鋭化した意見のほうが拡散しやすいソーシャルメディアそのものの性質のせいかもしれないが。でもたぶん彼らはそのことを理解してないわけじゃないのだよね。つまり彼らに問題が全然ないわけじゃない。

Troopzというのは彼らの主要キャストのうちのひとりで、独特の調子でアーセナルFCや選手を口汚く罵ることも少なくない。ジャカやその他の選手はもちろん、ベレリンが標的になったこともある。

チームの関係者や多くの選手たちが彼らのことを快く思っていないのは当然だろう。

そんな彼とチームの中心人物であるオバメヤンやラカゼットが親しくしている。(イアン・ライトはロビーと親しいようだがロビーはいつも聞き役で冷静)

これはなんというヘンな状況だろう。敵だと思っている人物が仲間と懇意にしている。

つい先日もラカゼットが、エメリとジャカを激しく否定したTroopzのインスタポストにLIKEをしていたが、それがチーム内でとくに問題になったとも伝えられていない。こういうのは見過ごせるものなんだろうか? たとえばラカゼットやオバメヤンはそういったネガティヴなポストにLIKEしたあと、ジャカやエメリとトレイニンググラウンドなどでどんな顔で接するのか。ちょっと想像できない。

この件が深刻なのは、オバメヤンがキャプテンになったばかりだということだ。彼はもうアーセナルFCの一選手ではなく、チームを代表する存在になっている。キャプテンにそういう訳ありな友人がいるだけでなく、クラブからの要請(それがほんとうにあったのなら)に反発しているという事態。

ジャカのときに何度も「キャプテンにふさわしいふるまい」については書いたが、今回オバメヤンのこの反応もキャプテンにふさわしいかと問われれば、首をひねらざるを得ないように思える。

アーセナルの「キャプテンの呪い」はまだつづいているようだ。

オーンステインはなぜこれを書いたのか

それと今回の件で疑問に思えるのは、なぜそもそもオーンステインはこのことをリポートしたのかということ。

裏側事情に明るいジャーナリストがこれを書いたってべつにおかしくないだろうと思うかもしれない。たしかにそうだ。

しかし、デイヴィッド・オーンステインというジャーナリストは、ファンのあいだではアーセナルFCとは特別なつながりがあると信じられており、彼のリポートにはときにクラブの意向を反映したなにかしらの意図があるとも考えられている。クラブの「マウスピース(代弁者)」として、基本的にアーセナルFCが望まないことは彼も書かないとも云われているくらい(情報をリークするかわりに都合の悪いことは書かない紳士協定があるとかないとか)。

もちろんクラブとオーンステインの関係性については憶測の域を出ないが、ときに間違った情報を流すことがあるとはいえ、アーセナル情報では圧倒的Tier 1という彼のリポートの正確さを考えれば、クラブから直接情報を得られる特別な立場にいると考えてもおかしくはない。

つまり、このリポートはクラブがわざと情報をリークして彼に書かせた可能性があるということ。

そこにはいったいどんな意図があったのか。

ひとつはオバメヤンにAFTVとの関係を止めさせたかった。こうしてその関係がおおっぴらになれば(ふつうに一緒に撮った写真なんかが出回っているのでみんな知ってるけど)本人もキャプテンとして大人の対応をするだろうと。AFTVはそれくらいみんなから嫌われているはずだと。そう期待した。しらんけど。

でもそれは失敗した。失敗しただけじゃなく、こうして不快感を全面的に示されるというかたちで裏目に出てしまった。オバメヤンは怒った。AFTVもまたこの件について正当性を主張するいくつもの動画をアップしている。

さらに悪いのは、オバメヤンはいま契約延長をずっとオファーされている状況で、このオーンステインのリポートでも指摘されているように、どうも彼はいまのところサインを拒否している。こんなことがあれば今後の交渉に悪い影響を与えるかもしれない。残り契約2年を切り、交渉においてはもともと弱くなっていたアーセナルの立場はさらに弱まる可能性がある。こんなことをきっかけにまたクラブはベストプレイヤーを失うなんてあってはならないことだ。

それと、ほんとうにそんなことがあるなら噴飯ものだが、昨今ますますプレッシャーが高まっているウナイ・エメリからファンの注目をそらすために、クラブがわざと別の話題を生み出そうとネタをリークしたという説がある。自民党?

バカバカしいことこのうえないが、クラブがエメリからファンの目を背けさせたいという動機があるのは理解できる。ぼくの考えでは、エメリをいますぐ解任しないのは後任がいないなどの消極的な理由だが、クラブがいまだにエメリを支持していることについてファンから大きな反発があることは十分に承知しているはずだ。クラブはファンのエメリに対する批判がヒートアップするのを避けたがっている。

しかし、ああいったことが公表されれば、オバメヤンがあのような反応を示すことも十分予想できたことで、そのリスクを考えなかったとしたらそれもまたおかしなことだ。結果として、アーセナルはこれでまたいらぬ頭痛のタネを増やしてしまった。今回のことで、アーセナルにとって利益になることはひとつもない。

なぜこういうことが起きてしまったのか。ほんとうのことはわからない。しかし、逆にオーンステインにこの記事を公表させないことくらいはクラブにできたのではないか。そう考えると、いずれにせよ失態となる。

いったいこのクラブは何をやっているのだろう。

スポーツとは関係ないところで、自らをどんどんメッシーな状況に追い込んでいる。

スポーツもクラブ運営もビッグクラブを標榜するには低レヴェルすぎないか。最高のチームをつくって、そこで初めて土俵に立てるのがトップレヴェルだとすると、いまのアーセナルはスタート地点に立つことすらできていない。

目標に近づくために前進するどころか、最近は後ろに徐々に下がっているように思えてならない。

トップスコアラーのオバメヤンが今年かぎりでいなくなれば、クラブの弱体化は免れない。

どうしてこうなるんだい?

 

おわり



PS

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3 Comments on “オバメヤンとの関係悪化。アーセナルの新しい頭痛のタネ

  1. ガナーズだけに、火種に事欠きませんね。

    …言うてる場合か。

  2. 自分がアーセナルファンだったのか、アーセンファンだったのか、ここ20年来のファンには未だ理解できてない。でも、あんな脳筋ロマンティストが二度と現れないことは、今更理解しつつある。arsenknows.

  3. 年齢的にオーバはいつかは売らなきゃならないにしても、ほんとこのクラブは選手のマネジメントが下手だなあと実感

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