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プロセスへの忍耐を求めるウナイ・エメリ。クラブは正しい判断をする必要がある

ニコラス・ぺぺの適応について

(ニコラス・ぺぺについて)

彼に必要なのは時間だ。そして彼自身が自分に厳しくあること。彼とは一緒に取り組んでいる。個人的にも彼にどこが改善できるかヴィデオを見せたりしている。イングランドでの試合や相手のインテンシティは、要求が大きい。彼はそれに適応しなければならないし、われわれも彼を助けなければならない。彼が前進できるように。

(彼をウォルヴズ戦にも起用しませんでした)

彼のチームへの適応プロセスはポジティヴだ。しかし、われわれの期待していたよりも少し遅れている。われわれは要求しつつ忍耐をしなければならないし、なにより彼が自分自身に責任を持つことも認識しなければならない。

彼は毎試合でプレイできるレヴェルにはまだない。彼はそのレヴェルに到達するためにプレイも必要だとも信じている。いつもそう信じている。しかし、当然ほかの選手がプレイするにふさわしい試合もある。わたしが選手を選ぶのは、いつでもチームをもっとも助けてくれる選手かどうかということ。

しかしわれわれはぺぺの初年が難しいものになることもわかって買った。適応の年になるとね。それができるだけ早いことを望んでいるが、忍耐強くいなければならないこともわかっている。

自身の将来

(自分自身の将来についてはどう見ていますか?)

クラブと話すとき、いつもわたしには落ち着くよう伝えてくれる。今シーズンは重要な目標があるとわかっている。わたしはそのことを選手やファンに伝えようとしている。

何度も説明しているように、わたしはプレッシャーは感じていない。プレッシャーというのはただそういうことを云われているだけだ。わたしは自分に厳しいし、責任も感じている。そういったことを念頭において試合を準備している。勝つか敗けるかに関わらず、わたしはそういうふうに準備するんだ。

(批判について)

誰でも意見というものはあって、それはロジカルだ。われわれはアーセナルというたくさんのファンにサポートされたクラブの特権的ポジションにいる。そしてまた彼らとコミュニケイションする方法もある。勝てば彼らはハッピーだし賞賛される。敗ければ抗議される。しかしこれはわたしがいままでいたチームでも同じように起きることだ。

去年われわれはいいシーズンを過ごした。ELのファイナルにたどり着けたし、最後の週までトップ4フィニッシュできるところまで行った。それが目的で、CLに出場することだ。今年はさらなるステップになる。われわれはELにいるが、PLでは望むところまであと数ポインツだ(※レスター戦の前なので6ポインツ)。

もちろんわれわれは進歩しなければならない。自身を再構築することはわれわれの仕事だ。勝ってファンをハッピーにする。みんなが望むアーセナルを見ること。わたしは、わたしがそれをやりとげられると自信を持っている。

以上。

ぺぺの適応が思ったより遅れているだとか、ウォルヴズ戦ではチームが自分の思い通りに動かなかっただとか、エメリにしては珍しくぶっちゃけている。彼がこうやって選手やチームのことをネガティヴに云うことはとても珍しい。

雑感

いまのアーセナルの結果やパフォーマンスについて、ウナイ・エメリが100%ギルティだとは思わない。彼の云うように困難な状況もたしかにある。

しかし、どんなコーチだってクラブから完全無欠のバックアップがあるわけじゃない。みんな多かれ少なかれ問題を抱えていて、そのなかでやりくりしてチームを進歩させている。問題解決は彼らのメインの仕事でもある。むしろエメリはほかのクラブの環境よりも恵まれているのでその分は負担が少ないとも云える。

ぺぺの適応が思ったより遅れていると云うのなら、エメリの仕事の進捗は期待されていたよりもっともっと遅れていると云われてしまうだろう。エメリがアーセナルに来てからそろそろ3年契約のうち半分を経過しようとしているが、現在の状況が当初の計画のように思い通りだとはとても思えない。

エメリはまだプロセスのなかにいて結果で判断してほしくないというのなら、少なくとも進歩のきざしは見せなければ。このチームがここから良くなっていきそうだというサインを。もしそれがあれば、チームの一挙手一投足を見守っているファンはどんな小さな予兆も見逃さないはずだ。いまそれを指摘するファンはおろか、メディアもジャーナリストもほとんどおらず、したがって現時点ではポジティヴな変化はないに等しいのだ。まさにモイーズのマンUを見ているよう。

それと、インタヴューのなかのアイデンティティのくだりについても、エメリは相手によってアプローチを変化させたいとあらためて主張しているわけだが、クラブはエメリの「チームをカメレオニックにプレイさせたい」という根本的な思想を疑う必要があるのではないか。チームを相手に合わせて変幻自在な戦術でプレイさせつつ競争力を得るなんて、そもそも実現可能なのかどうか。

相手次第でPSGのようにポゼッションし、セヴィーヤのようにカウンターアタックをする。それをひとつのチームでハイレヴェルにやろうとしていることへのツッコミはないのか。いまだにチームがエメリのコンセプトへの適応に苦しんでいるのは、そんなTVゲームみたいなことはかなり難しいあるいは不可能だからではないか。

勝つために相手に適応することは必要だとは思う。でもそれをやりすぎると自分たちがなんなのかわからなくなる。

現在のトップチームにはプランAしかないとギャリー・ネヴィルも云っていた。アーセナルFCとして、アーセン・ヴェンゲルが築いたフットボール哲学を受け継いでいくものとして、そういった考え方は受け入れるべきなのか。出発点から進むべき方向が間違えている可能性はないのか。

エメリのスタイルはすでに明快だ。彼がどうこうという以前に、彼で問題ないというクラブの姿勢を問いたい。

おとといのAFC社内MTGで200人のスタッフを前に、サンレヒ/ヴェンカテシャンはこのように述べたという。

わたしたちも皆さんと同じように失望している。シーズンのこのステイジでの結果とパフォーマンスに。

わたしたちはファン、ウーナイ、選手たち、それにすべてのスタッフともフラストレイションを共有している。わたしたちは現在、わたしたちが望んだ、あるいは予想したレヴェルにない。自分たちのシーズンの目標に向けて、ものごとをインプルーヴする必要がある。そしてわたしたちは、バックルームチームとともに、ウーナイがこの仕事に携わるに正しい人物だと固く信じている。

わたしたちは全員がこれを改善しようと舞台裏で熱心に取り組んでいるところで、わたしたちならそれができるという自信もある。

わたしたちは(ファンからの)ファンタスティックなサポートを受けられることが当たり前だとはまったく思わない。このチャレンジングな時期において、わたしたちはみんなで一致団結してチームを支えることを望んでいる。団結することでわたしたちはより強くなれる。

こんなふうに云いながら、その後にすぐに解任するなんてことはこの世界でも日常茶飯事なので、このことばがボードの本心かどうかは疑うことはできるが。

ぼくは大変にがっかりした。だっていますぐに彼を解任するつもりがないのはおそらく間違いないのだから。

ヴェンゲルさんのときのように重大な決断を先延ばしし、それでクラブがその分ダメイジを被るような事態にまたならないかと心配している。すでにアーセナルは今シーズンの1/3を消化しようとしているが、トップ4フィニッシュのためには、今後このバッドフォームの分も多くポインツを稼がねばならず、それはかなり難しいという指摘もある。

現時点においてすらウナイ・エメリは解任される理由をたくさん持っている。しかしアーセナルFCは決断ができないでいる。バイエルンにはそれができる。この違い。

エメリのプロセスを正しく評価すること。正しい決断と行動を正しいタイミングですること。それがクラブの利益になるし、いま一番必要なことだ。

エメリは「プロセス」をある種のいい訳として利用しているが、もし正しくそのプロセスが評価されたら落第してしまうというのは皮肉に思える。

 

おわり



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7 Comments on “プロセスへの忍耐を求めるウナイ・エメリ。クラブは正しい判断をする必要がある

  1. おっしゃる通り、微妙な結果が続いてたとしてもどうしたいのかが見えればファンもある程度は納得できるとは思うんですけどね。
    どんな相手だろうがシュートを数多く浴びせられてこちらの枠内シュートが1,2本というこの状況が、将来強いチームにするためにどうトライしてる結果なのかちゃんと聞いてみたいところです。現時点ではどこか一部を改善した途端チームが大幅に良化するようには思えない。
    他のチームに研究されないように全てを明らかにできないこともわかりますが、それを説明することも監督の責任だと思います。

  2. やはりオーナーから変わらないと再建は厳しいですかねぇ
    現場が良くないのは結果だけでもすぐ判断出来る状態なのですが

  3. 時間をただただ無駄にしてる感しかないですよね。
    「1年目に種を蒔き、2年目に水をやり、3年目に花を咲かせましょう」野球の野村監督の言葉ですがエメリは未だに種を蒔くとこまでいってない。仮に蒔いてたとしても色々な種類の種を蒔きすぎてカオス。花が咲いたとしても一貫性が無くてカオスな花畑。
    勘違いしてました。1年目は種を蒔く作業の割に良い結果出てるな、エメリやるじゃんと思ってたんで。実際はただのその場しのぎでしか無かった。
    1年目は残留争いしても良いから種を蒔くべきでしたね。人がいなくても失敗しまくってもひたすら後ろからのビルドアップをやり続ける。守備ではひたすらハイプレス。
    解任しないのは時間の無駄ですよね。もしこのタイミングで解任したとしてもプレミアで優勝争いするには最速でも4年は必要でしょう。その間もライバルは成長するんで現実ではもっとかかる。道は違うのはマンUと同じ目的地に向かってる気がしてならないです。
    後任候補も報道ではモウリーニョやエンリケで絶望。アッレグリ来てくれないですかねー。

  4. まあこのタイミングでサンレヒがスタッフを集めて「エメリを信頼しない」って発言したらそっちのほうがビックリするけども。w

    エメリの「プロセスの途中」は答えになってないと思う。
    エメリはわざわざ2年目の9月から、突然今までと違うタスクを選手に課し始めてる。
    選手の特性を無視した起用も多く、結果が悪い。それがエメリのせいでないなら、いったい誰のせいだ?

    エメリがここまで開き直るということは、考えられる可能性は、
    ①エメリが状況を理解できてない。
    ②エメリは状況を理解してるが、解任されない確信がある。のどっちかだと思う。
    個人的には②が一番怖い。もし9月の段階で来季の契約を確定してたら、、、あと1年はエメリだ。

  5. 結果も内容も伴ってないからエメリを解任するというのはわかるけど、そのあとのプランが不確かなのであれば、われわれが辿るのはレスターではなく、ユナイテッドだと思います。

    エメリを解任するにしても、その後のチームの明確なビジョンがないと、低迷期に突入するだけだと思う。今後のビジョン込みでエメリ解任と後任候補を論じてる記事を見たことがない。

  6. どうしてもあの無関心なスタンがオーナーのままだと、そりゃ組織としての意思決定のスピードは遅いですよね。
    その辺の意思決定の権限を、どこまでオーナーが握ってて、どこまでフロントが舵取りできるものなのか不明ですが。
    憶測ですが、今季いっぱいはいくらリーグがボロボロでも、ELの可能性が残る限りEL優勝狙いでEL Meisterであるエメリに任せ、来季新たに新体制で臨むことを目論んでる可能性もありそう。

  7. アーセナルが今PLで1位とってたとしても、エメリのやりたい433のダイレクトなサッカーが好きではないのでエメリに辞任して欲しくないというわけではないのですが
    そもそも昨シーズンは433のための選手が居なかったので、今シーズンが2年目とはいえ実質1年目のようなものではないでしょうか?
    今シーズン選手がそろったかというとそういうわけでもなく、ぺぺやサカ、セバージョスなど攻撃の要となるスタメンの選手がPL1年目適応が必要な選手たちばかりで、その選手たちが調子が悪くても代わりの選手も放出して居ないのでは監督としては厳しい。しかも戦術を変えたくても
    エジルを使うのにクラブから許可が下りなかったわけで
    今のとこ苦しんでるエメリには昨シーズンの面目躍如でなんとかELを勝ち取って欲しい。

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