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マテオ・ゲンドゥージのアティチュード問題と将来。アルテタのマンマネジメント

ゲンドゥージは貴重で重要な戦力。「傲慢さ」も武器

一部勢力(笑い)を除いて、彼の才能を認めないファンはいないだろう。

ポジショニングなど少なくない問題はあるにせよ、すでに持っているものだけでも十分トップレヴェルで通用している。そもそも20才の選手に完璧を求めるのは酷だ。むしろその年齢のフットボーラーとして驚くべき成熟度だとすら思う。いますでにそうなのだから、この先の将来性は云わずもがな。疑いようがない。そうじゃなければアーセナルのようなビッグクラブが契約延長を焦ったりはしないのだし。

問題は、今回の事案のようなところでネガティヴに発露してしまった彼のメンタリティかもしれないが、一方でぼくはそれ自体が一概に悪いものだとは云えないのではないかとも思っている。

ジャーナリストのジェイムズ・ベンジがこの件で、そもそもアーセナルが彼とサインした理由のひとつは彼が「いい意味で傲慢であること」と書いていて、ぼくには非常に納得感があった。

このブログでも何度か彼について「空気を読まない」ことがすばらしいと書いているが、それはベンジの主張と基本的に同じことだ。彼のような選手は逆境にこそ強い。なぜなら雰囲気に飲まれないから。彼がこのチームに来てから1年半のあいだに、ぼくらはそういうシーンを何度も何度も見てきた。

なんなら彼のアーセナルでのデビューとなったシティ戦でもそれを見せていた。19才にしてPLデビュー&即スタートも異例だろうが、彼のミスで失点してしまったにも関わらず、責任やプレッシャーをまったく感じていないかのようにそのあともまったく平然とプレイしていた。心臓に毛が生えているとはああいうことを云うのだと思った。

チームに加入してからラカゼットやオバメヤンといった中心選手たちとすぐに意気投合したことも考えてみればすごいことだった。同郷だとはいえ、この世界ではまごうことなきスター。彼らにも最初からまったく物怖じしている様子もなかった。まあファーストコンタクトでどうだったかまでは知らんけども。

そういった彼の周囲の空気を読まない「いい意味で傲慢」なメンタリティは、いまのスクワッドにとりとても貴重だと思うのだ。なぜなら、このチームはとかく悪い空気が伝染しやすいチームだからだ。ぼくはそれがアーセナルがアウェイで勝てない原因のひとつだと思っているくらい。ほかのクラブに比べてどうかはわからないが、そういう傾向が強いのではないか。こんなにアウェイで弱い「ビッグチーム」もないだろう。

近年のアーセナルのアウェイで勝てない病は深刻で、それなしにはPLで成功はできないと考えれば、さらにそういった選手の重要度は増すはず。したがって、ゲンドゥージはこのチームにいなければならない。とぼくは思う。

ゲンドゥージの去就

まさかこの件がこじれて、ほんとに夏にどうにかなるとは思えないが、夏に本格的な契約更新交渉をするのだとなると、場合によっては何かが起きる可能性を完全に否定はできない。残り契約は2022夏までで、この夏に残り2年なので、どの選手も契約を2年以下にしないクラブの方針どおりなら彼の去就は夏に決まる。そして、もし売るならそれなりの金額になるだろう(※TMでのMVは現在€50M)。

新契約の交渉においてはもちろん選手本人の意向も大きいが、アルテタが彼をどう評価しているかも大きなカギになる。

ゲンドゥージの将来に大いに期待しているファンのひとりとして少し心配なのは、アルテタがおそらくはエメリよりはゲンドゥージを高く評価していないということ。少なくとも現時点では。

CMのペッキングオーダーはジャカが圧倒的トップで、つぎにトレイラ、ゲンドゥージが3番手、そして今回セバーヨスが一念発起して序列を上げようとしている。とくにセバーヨスのNUFCでのパフォーマンスは、ゲンドゥージには追い風にはならないものだ。

アルテタがアーセナルに来てからPLの8試合でゲンドゥージをスタートさせたのは2回きりで、それまでフィットしていないとき以外はほぼスタートから使われていた(※PL初戦から14試合でスタート)と考えれば、これは彼にとり大きなステップバックだ。冷遇とまでは云いすぎだろうが、エメリの重用っぷりと比べ、アルテタの下で状況はかなり変わっていると云える。

残念なことに昨日、U23のロビー・バートンの移籍が発表されたが、20才にしてアーセナルでの将来が悲観的に思えるくらいには、現在ファーストチームのCMは競争がとても激しい。

ヤングプロスペクトとしてこの世界ですでに高い評価を得ている彼が、アーセナルでの将来を憂えて、他クラブからの魅力的なオファーに耳を傾けるといったことがないとは限らない。

アルテタが試合でのプレイ以前にトレイニングでのアティチュードを問題にしている状況は、試合でプレイしたいゲンドゥージにとってはフォーカスを大きくシフトさせる必要があるかもしれない。

去就について、ゲンドゥージもアーセナル愛が試されるし、またプロフットボーラーとしての矜持や職業意識も試されているだろう。だってきっとアルテタのインストラクションに非合理なことは何もないのだから。われわれが知るかぎりでは、どんなほかの選手もボスのやり方に異を唱えていないし、前述のようにセバーヨスのような選手に至ってはヘッドコーチのマイナスの見方を覆すような見事なリアクションを見せている。これこそがボスの要求に対する模範的なリアクションだ。

「プアなボディランゲージ」を見せるなんてことがほんとにあったのなら、どこへ行っても同じことが起きるだろう。プロならどんな現場でも許されることではない。甘えた考え方を変えない限り(※まあ甘えているのなら、だけど)、クラブを変えたところで根本的な解決にはならない。

個人的には、今後大きく飛躍する可能性がある彼をいま手放すのは愚の骨頂に思えるが、どうなることやら。

ひとまずはボスがどう考えているか。ELオリンピアコスのプリマッチ会見で聞けるだろうか。注目である。そこはこのブログでもお伝えしよう。ぼくのTwitterでは速報します(起きてる時間なら)。

 

おわり



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4 Comments on “マテオ・ゲンドゥージのアティチュード問題と将来。アルテタのマンマネジメント

  1. いい機会というか、ゲンドゥージの成長には必要なことのような気がします。
    主さんの言うようなところやセルフジャッジ癖とか色々見てて「おい」という場面はあるんで。
    いい傲慢さかなるほど。
    でもそれでいて優しすぎる部分もあるような気もします。

  2. 「プアなボディランゲージ」はよく使われる表現ですか?
    ゲンドゥージを気遣って直接的な表現を避けたのか、嫌味的な表現なのか気になりました。

    このタイミングで練習態度を改めるかどうかはゲンドゥージのキャリアにも関わってきそうなので継続的な対話をしてほしいです。

    1. どもども。

      “poor body language”はわりと使われる表現ではないかと。今回ももちろん。

      エジルがメディアなんかで批判されるときによく使われてたイメージが。彼は以前よく試合中に仲間のパスミスに手を広げて不満を表したりしてましたよね。ああいうやつのことでしょうな。

      そういえば、ゲンドゥージもたしかチェルシー戦でムスタフィの雑ディフェンスに手を上げて怒ってたのを思い出す。ああいうのもプアなボディランゲージに入るのかも。そんなリアクション取ってる暇あったら全力で戻れよっていう。

      1. ご返信ありがとうございます。
        Poorという単語のイメージからふてくされて自己主張をしない様子を想像してましたがそうではなかったんですね。
        パリピ感のある彼にしては不自然だとは思ってましたが合点がいきました。

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