雑感
まず非常におもしろいインタヴューだったという印象。
どのことばも明解で納得感がある(※何を云っているのかわかりにくかったらぼくのせいですんでオリジナル記事をご参照アレ)。
彼はアーセナルの現在地を冷静に分析していて、ここまで決してうまくいってはいない現実もちゃんと当然のこととして受け入れている。そして、今後このクラブがいるべき場所に戻るために何が必要かもわかっている。ファンとしてまったく心強いではないか。
彼がAFCにやって来てからまだ2ヶ月も経っていないので当たり前かもしれないが、このプロセスを進めるにあたり、彼の適性にほとんど疑問を持ったことがない(まあ1000%ないとは云わないが)。毎度同じことを書いてしまい恐縮ながら、トップレヴェルのマネージャーキャリア皆無でこれはほとんどありえないのではないか。自信満々なことばの数々は、まるでもう長らくこの仕事をやってきたみたいな貫禄である。
以下インタヴューコメンツでポイントになる部分をいくつか。
‘Non-negotiables’というキーワード
これは、彼がアーセナルに来て最初のインタヴューで云っていた、アルテタのコーチングフィロソフィを示すいわばキーポイントになるワードだろう。
交渉の余地なし(交渉不可)と訳したが、要するに彼のプランについて選手に「文句は云わせない」ということだ。非常に強いことばであるし、アルテタの決意のようなものが見える。
アルテタとエメリの対比では、マンマネジメントが引き合いに出されがちであるが(先日のエメリの選手に対する発言はこのトピックでも火に油を注いだ)、人心掌握術において最初にヘッドコーチと選手で上下関係をはっきりさせるのはもっとも基本的なやり方だろう。
このインタヴュー中でも「選手はわたしが期待するパッションやコミットメントを見せねばならない」と選手への要求を語っている。
選手を納得させる(be convinced)ということも何度かコメントのなかに出てくるが、そういった選手との信頼関係が築けているからこそ、こういった強いことばも受け入れられているのだろうと思う。
アルテタはまだ37才でPLで一番若いマネージャーということで、ときに強いことばをわざと使う必要もあるのかもしれない。ヴェンゲルさんやハリー・レドナップがほとんど孫みたいな選手たちにこんなふうに云うのは想像できないし。。
アイデンティティの再生
「まずアイデンティティありき」そして「アイデンティティはあらゆることの礎」。それがなければなにもできないじゃなないかと。名言キタ。
自分たちが何をやりたいのか。それをクリアにしない限りはどこにも向かえない。
だからおれたちはどこにも行けなかったんだね。選手たちがそれを理解できずピッチで右往左往していたのだから、悲惨な時代だった。
エジルとペペ
エジルについては、まあ思ったより少し厳しいことを云っているようにも聴こえるが、アルテタが彼にチームの重要なところを任せようとしていることには変わらない。あとは本人がアルテタの期待に応えるだけだ。彼は、数字はまったく出ていないものの、アルテタの時代になってからずっとハードワークするようになっている。そろそろご褒美がもらえてもいい頃だと思う。ニューカッスルはいいチャンスだ。
それとペペについて、PLで適応の遅れる選手がいることは珍しいことじゃないと擁護しているが、「シャイなボーイ」という発言は何かを示唆しているようにも思える。
シャイという評価は、つまり彼が十分なコミュニケイションが取れていないということではないか。
これはことばの問題も大きそうで、まだ公の場で彼が英語を話しているところはお目にかかっていない。
いまのスクワッドのなかでフレンチチームは居心地が良さそうなところが罠かもしれない。いつもラカ、オーバ、ゲンドゥーとだけつるんでいても英語は上達しなさそうだ。
彼にもまたブレイクスルーがほしいと思わずにいられない。
あとは若い選手たちとの取り組みの楽しさ、いまのコーチ業への情熱などについて語っている。充実感がとてもよくわかる。すばらしい。
今後がますます楽しみだ。
おわり
毎度有意義な記事ありがとうございます。
アルテタの言葉・分析は的確で潔く安心します。
長くやって欲しいと思わせます。
私はアーセナルが大好きですが、世界一のクラブはどこか?と言われたらやっぱ白い巨人レアルかなあ、と答えてしまいます。レアル嫌いですけど。
アーセナル所属の選手がレアルから興味を持たれたらレアル行きたいってなるかも知れませんが、その逆はどうか。(出番が無いからレアル出たいってのは別として。)
クラブの欧州での実績や格は残念ながら敵わない。
でも、十数年後、レアル相変わらず凄いけどアーセナルもかなり良いとこまで来たよ!と言いたい。
アルテタによってヨーロッパの頂点へ、ビッグクラブからメガクラブへ成長する事を夢見て期待しています。
ヴェンゲルが掌からこぼしたビッグイヤーを、ぜひアルテタが掲げてもらいたいです。