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補強はふたつのローン。慎重な動きは過去に学んだ結果か。アーセナル2020冬の移籍市場まとめ

過去の失敗に学ぶアーセナル。ポスト・ガジディスの慎重な補強戦略

われらファンにとって、クラブが金に汚いスーパーエイジェントへ近づいていくことはうれしいことばかりではないが、一方で昨夏の補強、そして今回の冬の補強においてはクラブの慎重で手堅いやり方が目立つ。

昨夏はもちろん、伝えられていた予算を大幅に超えた£100M超えの驚きの補強が実現したのは、もっぱら移籍金の支払いを「分割払い」の契約にしたからという評判であったことは記憶に新しい。そんな裏技があったのか(笑い)と多くのファンには目からウロコだったはず。

そして今回、またアーセナルはローンでしか補強を考えていないとわかったときはファンをがっかりさせたものだが、伝えられていたようにローン終了後の「買取義務なし」という、よりロウリスクな条件で取り引きを成立させた。

とくにパブロ・マリの件では、フラメンゴはローンなら買取義務の条件をつけることを要望していたと云われており、AFCが譲歩した内容はともかく、きっちり最後は自分たちの要望どおりで交渉を着地させたかたちとなった。

このふたつのローン、半年でクラブがうまくいかないと判断すればそこで契約を終わらせることができるため、万が一のときに必要のない選手を抱えるという「不良債権化」を免れることができる。

この10年のアーセナル低迷の最大の原因のひとつは、選手リクルートや選手の契約マネジメントにあったというのはもはや定説である。アイヴァン・ガジディスに率いられたこの期間のアーセナルは、その後のクラブ運営に打撃となるような間違った判断をいくつもやった。必要な選手を売り、不必要な選手を抱えた。平凡な選手にも大盤振る舞いな契約を与えた。

なかでももっとも大きな影響があったのは、アレクシス・サンチェスとメスト・エジルというふたりのスター選手のハンドリングであったことは論をまたない。

ひとりは売りどきを逸し大金を得る機会を失い(さらに完全にモチヴェイションの落ちた選手を半年抱えた)、ひとりはクラブ運営の身の丈に合わない大きすぎる契約を与えた。

もちろん彼らがアーセナルに加入以来もたらした貢献はスポーツ面でもマーケティング面でも疑いのないものだ。しかし彼らとの契約交渉においては、契約切れが迫り足元を見られたクラブは致命的な判断ミスをやり、サンチェスの退団後・エジルの契約更新後のクラブ財政に大きな傷跡を残したことは否めない。エジルは在籍中なのだから、それはいまもつづいているということ。エメリ時代にエジルは半ば戦力外になり、週給350kパウンズで「Fortnite」をやらせているだけなんて揶揄されたものだ。

こういった教訓からアーセナルが学んだことは、とにかく正しい判断をすること、そしてリスキーな契約やリスキーな判断はしないということだろう。そこでは相手に譲歩しない。無慈悲になること。

オバメヤンでいきなり例外をつくっているが、選手契約は2年を切らせないというサンレヒ/ヴェンカテシャン体制になってからの新しいポリシーもそうだ。契約1年を切ったオバメヤンをクラブに残すなどということは、もうクラブは絶対にやらないに違いない。

今回のふたつのローンには、クラブの選手契約に対するこの慎重さがよく表れている。

一節にはマリの契約では当初伝えられていたよりもだいぶ多くのフィを相手に支払うようであるが、それも長期で見ればよりリスクのない方法であり、仮に短期で払う金額が増えても長期に渡りクラブ財政に影響を与えるリスクを避けたということ。いつも石橋を叩いて渡るということ。

ラウル・サンレヒのやり方については、いまも一部から疑問や異論のようなものがあるのはたしかで、ファンからとても人気が高いというわけでもないが、ガジディス時代を省みるに、そこにはクラブ運営の考え方における着実な進歩があるように思える。サンレヒへの批判については、また別エントリで書きたいと思う。

さてちょっと長くなってしまったがデパーチャーも。

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3 Comments on “補強はふたつのローン。慎重な動きは過去に学んだ結果か。アーセナル2020冬の移籍市場まとめ

  1. マリだけでなく、ソアレスも当初報じられていたよりローンにまつわる費用が多いような。。
    エージェント手数料諸々なのか。。

  2. デニススアレス、マリ、ソアレス
    何気に冬のローン代だけで結構な額になってますよね
    ソアレスは怪我だし、フロントの動きに疑問も出ますわな

  3. ダイジェストしか見てないけど、ソアレスは守備がまずまず+両足が使えるみたいだし、両SBの控えとして貴重だと思う。

    今のチームには本職のSBが1人もいない。SBができるCBもいない。なのでSBが1人でもケガするとベンチがいなくなり、先日のサカのような事態になると思う。

    またPLでは相手を消耗(ケガ)させるためのラフプレーがあまりカードの対象にならないので、SBは日常的に蹴られ続けてる。ウインガーから転向したサカあたりは蹴られる前提でプレーしてない(ウイングだったら蹴られてFK取った時点で仕事は終了)から、低い位置での消耗は相当激しいと思う。SBの人数をローンで増やしたのは正解じゃないだろうか。ソアレスのケガが治れば、だけど。

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