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【マッチレビュー】19/20 FAカップ ポーツマス vs アーセナル(2/Mar/2020)キッズが大人なアーセナル

試合の論点

ポーツマス vs アーセナルのトーキングポインツ。

スロウスタートふたたび

この試合、またしても序盤で苦しんだ感は否めない。

試合前にプレスからこのことについて質問をされていたくらいで、最近のアーセナルはしばらくそういう傾向がある。

今回は、ホームチームが最初から90分保つはずがないほどのエナジーとインテンシティでプレイしており、アーセナルはうまくそれをいなして、相手が走れなくなる後半勝負に持ち込んだという見方もできるが、それにしても序盤30分くらいまでは、バトルできる準備が整っているようには見えなかった。

逆にホームチームはあの時間帯でなんとかしなければ勝ち目はなかったかもしれない。後半はとくにインテンシティががっくり落ちて、前半とは打って変わってオープンになった。

90分を通して見れば、あれは成熟した大人のゲイムマネジメントなのか、あるいは序盤は単に相手の勢いにたじたじになってしまっただけなのか。どうも後者のように思えてならないが。

セットピース守備もここしばらくはチームの課題になっているが、序盤は何度もそれを与え、自らを危険に追い込んでいた。

試合が始まってからのプレイの遅さ、判断の遅さ、テンポのなさ、こういったものはどこから来るのだろう。

現在のチームの大きな課題のひとつに思える。

パブロ・マリの無難なデビュー

LCBでスタート。ファーストチームでは初のプレイだ。

守備での見せ場はそれほどなかったが、全般的になかなか安定したところを見せたのではないだろうか。試合を観ていても気づかなかったが、アルテタによればだいぶ声を出して指示も出していたということ。

今回のスタッツ。

  • Minutes played 90
  • Clearances 5
  • Ground duels won 1/1
  • Blocked shots 3
  • Aerial duels won 3/4
  • Touches 100
  • Successful passes 77 (89%)
  • Successful long balls 13/17

これは立派では。

とくに逆サイドにダイアゴナルに展開するロングボールの精度は高く、この試合のルイスが5/9だったことを考えれば、アルテタのチームでは武器になるかもしれない。もっともこの試合のルイスのロングボールはあまりよくなかったけど。

それと事前に伝えられていたように、「完全に」左足専だということがわかった。ぼくが気づいたなかでは右足でパスを出したのは一度きり。77回パスが成功しているというのだからこれは完全に単足(左足専)である。

ほぼ問題にはならなかったが、一度だけ単足ゆえのプレイもあった(終盤に右足が不安だったのか左足でおかしなクリアをしていた)、まあああいったプレイは単足ならやるだろう。※単足というワードを流行らそうとしているわけではありません。

それと今回注目すべきだったのは、むしろルイスのパフォーマンスだったかもしれない。彼はアーセナルに来てRCBでプレイしたのは初めてだとかで、右足の選手が自然なポジションでプレイする効果もチェックしたいところだった。

ただルイスは今回さほど特筆するようなパフォーマンスを見せたとは云えず。FAカップオフィシャル(ジャーメイン・ジェナスが選んでた)のMOTMに彼が選ばれたことには、納得できないファンも多かったようだ。2アシストのネルソンがいたからなあ。

ルイスのRCBの効果がわかるのは、今後になるだろう。

長身でパスも上手なマリが心配なのはスピードだが、そのテストはこの試合ではあまりできなかった。

彼が今度ルイスとムスタフィで定着しつつあるPLの試合でも起用されることがあるのか。注目である。

ひとまずはマリは無難なデビューとなったように思われる。

リース・ネルソンとニコラ・ペペとの比較

多くのひとがMOTMに推したいと考えているっぽいのが、右ウイングでスタートしたリース・ネルソン。

右サイドで存在感を発揮し、どちらも速いクロスで2アシストと活躍した。

ぼくは彼にはもうちょっとたくさんボールに触ってほしかったが、右ワイドに張るポジション的にビルドアップに関与するチャンスもあまりなく。この試合ではNo.10に入ったウィロックの動きがあまりよくなかったことも、そのあたりは影響しているかもしれない。エジル役をやるなら、彼はもっともっとボールに触れて左右のアタッカーを使ってほしかった。JWは試合ごとでパフォーマンスにちょっとムラがあるように思える。それも若さ。

さて、ネルソンについては、ぼくは彼のプレイスタイルをふだんファーストチームで右サイドの攻撃を担うニコラス・ペペとの対比で観ていたが、このふたりのウインガーの違いはなかなか興味深く思えた。

ペペがボールを持って、数的不利でも単独で挑んでいこうとするのに対し、ネルソンは1 v 1以上の不利な状況ならそれ以上無理はせず。すぐにボールを戻したりする。

それと決定的な違いがプレイエリアで、ペペは左足の単足なので右サイドから内側にカットインサイドして自分でシュートを打てるボックス際のポジションへ移動していく傾向があるが、一方のネルソンはワイドエリアで深く侵入し右足でクロスを上げるために、縦への突破を試みる。この試合でも前にDFがいる状態で、そのスピードで縦に何度か突破していた。彼はカットインサイドも好きなはずだが、この試合の縦へのドリブルはかなり効いていた。

アルテタのフロント5システムの話題のときに、この右サイドについては一度書いたことがあるが、やはりアルテタが求めるウインガー像はネルソンのほうが理想に近いような気がしないでもない。最近のワイドからシンプルなクロスを入れる件についてもそう。

こういうタイプの違うふたりのウインガーなので、もし同時に起用することがあるならば、やはりペペがインサイドFW、ネルソンがウイングのほうがしっくりきそうではある。

もしくは、ふたりのウインガーを同じサイドに置くことをあまり期待できないのなら、ネルソンはサカのように右サイドでWBのようにプレイできれば、共存もありえるかもしれない。左サイドのサカとオバメヤンのように。それに彼がWBをやることはフットボーラーとして幅が広がりそうでもある。

ネルソンはエメリが何度かWBをやらせていたはずだが(プリシーズン?)、アルテタの下で超攻撃的なFBというのは新境地かもしれない。まああまり人気のない意見かもしれぬが。

攻撃のことだけを考えると、ペペとネルソンのふたりの右サイドでの同時起用はロマンがあるなと。

CF(ラカゼットとエンケティア)をどうするか問題

この試合のゴールで、エンケティアは6試合で3ゴールとラカゼットが気の毒になるくらい決めている。

ローン先のリーズでも与えられた短い時間で結果を出しているし、いまアーセナルでもそう。カップ戦で着実にチャンスをものにしている。

ラカゼットの貢献は得点だけではないが、それを云ったらエンケティアもアルテタがびっくりするくらい、チームのために献身的なパフォーマンスを見せている。

いまのチームのセットアップのなかで、CF(フォルス9)がどうしてもラカゼットでなければいけない理由が、どんどん減ってきているような気がしてならない。

このままラカゼットが得点関与できず、エンケティアがカップ戦であっても結果を出し続けるならば、どこかで決断をすべきかもしれない。

さすがに週末のPLウェスト・ハムでアルテタがここを変えてくるとは思えないが、仮にサブでエンケティアが結果を出したりするとボスの心はだいぶ揺らぎそうだ。

※コメントくださるかたにお願い
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お互いリスペクトしあって楽しく使いましょう

11 Comments on “【マッチレビュー】19/20 FAカップ ポーツマス vs アーセナル(2/Mar/2020)キッズが大人なアーセナル

  1. いつも更新お疲れ様です。

    ぺぺも典型的な単足ですし、ジャカも単足色が強いあたり、レフティは希少で強みになるがゆえ左足にこだわりすぎる傾向あるんですかね?
    リヤド・マーレズやディ・マリアあたりも単足っぽいですよね。

    何が言いたいかというと、単足が気に入りました笑

  2. いつも更新お疲れ様です。

    ぺぺも典型的な単足ですし、ジャカも単足色が強いあたり、レフティは珍しくて強みになるがゆえ左足にこだわりすぎる傾向あるんですかね?
    リヤド・マーレズやディ・マリアあたりも単足っぽいですよね。

    何が言いたいかというと、単足が気に入りました笑

  3. 「彼らにはてこずらされた」っていうエンケティアのコメントから漂う大物感がいいですね。どんどん自身の得点パターンを増やしていって欲しい。今はそういう時期かなと。

    ネルソンもうまく扱わないと来シーズンいるか微妙ですね。サカやマルティネッリの活躍を喜びつつも、一番焦っているのも彼だと思うので。

  4. エンケティアは普通に1stチョイスでいいんじゃないだろうか。ラカの底力を甘く見る気はないけど、この3試合に限って言えば本調子のラカと比較しても遜色ないと思う。特にポストプレーでのプレーエリアが非常に広いので(その点ちょっとVペルシ似てる気が)、ウイングの攻撃力を生かす意味ではラカ以上のものがあると思う。

    一発で裏を狙うルイスと違って、マリの堅実なフィードは(去年ルイスと組んでた)リュディガーを彷彿とさせる。グラウンダーも抜群に上手いし、言うほど足も遅くないと思った。この選手がたったの800万ユーロとは!

    RCBルイスについてはサイドの狭いコースに通すグラウンダーを見たかったけど、RBがソクラテスでは。。。w

  5. ELショックをやや払しょくできて良かったです。ネルソン、は明らかにもっと出番あたえるべき!ラカオーバペペでスタートして、60分からネルソンをラカの交代でいれてオーバトップにすればもっと点がとれそう。ブカヨの疲労とトレイラのケガが心配です。週末は3P必須、COYG

  6. 更新お疲れさまです!

    前半はイライラしながら観てましたけど、選手達も上手くいかないフラストレーションからか、攻守ともにミスが多かったように思いました。

    思うにアルテタはかなり堅実なチーム作りを目指しているようで、奇を衒った戦術や選手起用は殆ど無いですよね。
    なぜRSBがパパ?とは思ってるけど、ナイルズはSBとして数えて無いか、余程序列が低いんでしょうね。
    LSBのサカを休ませるにも至らず。
    ネルソンとの交代をみるにRWGとしての序列も低そうなので、今後が心配ですがまだまだ若いんで奮起して欲しいです。
    パパの起用は謎ではあったものの、セットプレー対策であったとしたら結果オーライどころか目論見通りでしたね。
    スローインの場面では笑っちゃいましたけど。

    攻撃面でも、極端にポジションチェンジやパスアンドムーブが少ないので、同じ選手が同じ位置でボールに触るシーンが多く、意外性が無い(退屈)様にも感じるんですが、好意的に捉えるならベースとなる守備組織の構築を優先してるのかと。
    エメリ一年目の様に試合毎に替わる惑わしの采配が徐々に通用しなくなっていったのも観てるんで、アルテタはベースが破綻しない事を優先している印象があります。
    同時に安定して勝ちを積み上げていける様になるのにもある程度時間が掛かるだろうな、と。
    ともあれ、エンケティアは頼もしくなってきたし、ネルソンも途中までは目立たなかったけどしっかり数字を残してきた辺り、未来は明るい!(はず)
    COYG

    1. > 奇を衒った戦術や選手起用は殆ど無いですよね。

      これはぼくもまったく同感でして。選手がポジションを逸脱しないことは、守備でのメリットはあるが、攻撃でのデメリットになっているという。ボールを持ってもいつも相手DFの前でプレイしている感じはします。

      1. ラムジーとかチェンボがまだ居たらアルテタはどう使ったかなーとか、ちょっと思いますね。
        左右のWGを入れ替えたりとかベンゲルさんはよくやってたけど、そんなんも無いし。古いのかもだけど。
        左ぺぺとかもやったら面白いと思うんですけどね。

  7. いつも楽しく拝見しています。

    私もAMNには頑張ってほしいです。
    これまでも便利屋扱いされてきた傾向はありますが、ユーティリティ性は一方で彼の戦術理解度の高さを示しているとも思うんですよね。
    アルテタ初戦に偽FBやったときは完全にはまり役だと思いましたし。

    ふとwhoscored見ると、disciplineがvery weak、concentrationがweakと評されていてるという…。
    ぜひ巻き返してほしいです。

  8. ネルソン、個人的にはアシストのシーンよりもボールを受けるまで何もしてない印象の方が強いというか。
    あれだけソクラテスからのスローインがあったのにほとんど(むしろ1回もでは?)ボールを受けることがなかった。
    ハーフタイムに入るときソクラテスに注意されてたのはその件じゃないかな。
    個人的にはまだPLで使えるレベルにない。部分的に通用するものはあると思うしタイプ的なメリットの部分はなるほどなのですが全体的にはまだだと思ってます。
    見極める為にPLに使うのも状況的にリスクがありすぎるかと。この試合ネルソンが試合に出たことアシストしたことはもちろんポジティブなんですが変に評価を見誤らないといいなと。
    ルイスにアドバイス受けてたのはトレイラのケガ治療中にもありましたよね。
    ペペとの対比はなるほどなのですが、ここ何試合かのペペは数的不利でも単独で挑んでいこうというのは激減したかと。

    ンケティアは良かったと思います。インパクトは少ないかもしれないけど一番効果的だったと思います。

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