試合の論点
リヴァプール vs アーセナルのトーキングポインツ。
ハイライン・ハイプレッシングのなかのビルドアップの洗練
この試合を観ていて、なにが一番ぐっと来たかって、やっぱりビルドアップ。
レノからスタートするビルドアップのかたちがいかにも練習をたくさんしてきたとわかるパターンがあり、それがリヴァプールのインテンスなハイプレッシングをかいくぐっていくさまは観ていてほんとうに感心した。
とにかくスーパークール。レノがとくにそうだが、いまのやり方ではあきらかに相手が寄せてくるのを待っている。相手が来てからそこからショートパスをつなぐ。コースがなければ少し長いボールをフルバックへ。めちゃくちゃ落ち着いている。周囲が見えている。
前半のビルドアップはとくに左サイドがメインになっていたが、ガブリエル、コラシナツ、サカでトライアングルをつくり、それをジャカがフォロウ。多くの場合はそのまま左サイドでボールを進めていたが、今回気づいたのは、このビルドアップ時にコラシナツから何度も中央に下がってきたエンケティア/ウィロックに少し長いボールを入れていたこと。それが攻撃のトリガーになった。
それも含めて、この試合のなかでかなり似たパターンが何度か観られたのだから(ぼくのメモでは1分・14分・25分・34分のビルドアップがかたちになっていた)、アレは完全にパターン化していたのだろう。あ・またやった!って思いましたよね。
ビルドアップのなかで、ピッチのより中央の狭いコースにズバッと入れる。エメリの時代にはサイドで詰まって後ろに戻しての繰り返しで、あのように状況を打破するかたちはほとんど観られなかった。チームとしての視野がすごく狭かった。
ぼくはつねづね思っているが、自陣のゴール付近ではほとんどのケイスでは数的有利なのは自分たちである。だから自分たちが落ち着きさえすれば、自ずとボールは回る。これまでアーセナルがたびたびハイプレッシングの餌食になるシーンを観て、もっとうまくできないものだろうかと思ったものだった(いやもちろんそれでも多くの場合で効果的だからハイプレッシングは有効な戦術なんだけど)。
でもアルテタのチームを観ていると、彼らに必要だったのは明確なプランであり、自信であり、勇気だったのだととても感じる。そしてそれを植え付けているのがアルテタのインストラクションなのだ。エメリの時代から選手はほとんど変わっておらず、短期間に個人の技術が劇的に進歩したわけでもなかろう。
彼がトレイニングで行うことは試合のなかでも実際に起きるとは、これまで何人かの選手が指摘している。そうしてそのひとつのアクションに対し、つぎに起きることが予想できているから余裕ができる。余裕ができるから、厳しいプレスにさらされるなかでのボール回しにも決してあたふたしているところがない。このチームがオーガナイズされているとみんなが感じるのはそういったことの積み重ねなのだろうと思う。
選手たちも試合のなかでトレイニングした取り組みがたびたび成功するのだから、気持ちよくないはずがない。彼らのプレイがノッているように見えるのはきっとそのためだ。
ここまでアルテタのハイプレッシングチームに対抗するやり方は、かなりうまくいっているように見える。(今回の後半は相手に修正されたからか前半ほどにはうまくビルドアップできなかったが)
それと、ハイラインの相手についても。今回はリヴァプールの極端なハイラインの裏を狙う攻撃が効果的だった。
そうやって考えていくと、アーセナルの進歩のフェイズとして、守備とビルドアップのオーガナイズ、それとカウンターなど、攻撃に積極的な相手への対応はかなりうまくいっている。シティに勝ち、チェルシーに勝ち、リヴァプールに4戦3勝していることがその証明である。
これまでのプロセスは順調のように見える。ここからは、強者だけでなくどんな相手にも結果を出せるよう、新たなフェイズに進んでいきたい。
今回とくに書きたかったことはそれくらい。
その他試合について
気づいたことなど。
- ミルナーはハンボーだよね? また見逃しか
- ハイプレッシングはこちらのそれもなかなか効いていた。相手GKに何度もロングボールを失敗させた
- セバーヨスはひきつづきとてもよかった。彼のプレス耐性やパスなど個人クオリティはいまのアーセナルのMFにはとても貴重
- やはりアルテタはジャカの使い方にもすごく気をつけているんだろうか。彼は狭いスペイスでボールを受けて即ターンができないMFで(バーヨスやエルネニーはこれが得意。ていうかCMがやらなきゃいけない基礎スキルだろ)、ビルドアップでもレノからのボールをワンタッチでそのまま戻るシーンがかなり多かったが、あれは想定内のプレイなのか。アルテタが来てすぐ彼をLCBに配置したときも驚いたが、今回も彼のターンのできなさを観ながら、今後MFを整理していくなかでどうするのか気になった。アルテタはジャカが大好きだからどうにかするんだろうけども
- ジャカといえば、8分のパスにはしびれた。ああいうシーンがもう一度くらいあった気がするが、ジャカがボールを持ったら前を向く前にぺぺやエンケティアがハイラインの裏を狙って走り出すという決め事があったのかもしれない
- レノFC
- ぺぺなあ。£72M
- AMNは最高
この試合については以上。
カラバオカップのクウォーターファイナルはシティと
同じチームとばかり当たりすぎ問題。
Some tasty ties in the Quarter-Finals!#EFL | #CarabaoCup pic.twitter.com/MJ8ft9FbdI
— Carabao Cup (@Carabao_Cup) October 1, 2020
8チームいてよりによってここでシティに当たるとか。しかもリヴァプールに当たったあとに。
おかしいだろ。
UELグループステイジ組み合わせが決まる
先ほど決まった。
アーセナルはグループBのPod1だった。
RAPID WIEN(オーストリー)、MOLDE(ノルウェイ)、DUNDALK(アイルランド)と同組。どこもほぼ見覚えがないが、もしかしてアーセナルと対戦するのは初めてだろうか。MOLDEとかDUNDALKとか名前すら初めて聞いた。
とりあえず東欧とかロシアとかあっちのほうのクラブと当たらなくてよかった。
さてつぎはもう日曜のPLシェフU(H)。早い。
久しぶりのホームで、素晴らしい試合が観たいですね。
ではまたこのブログで。
COYG!
PS
移籍ウィンドウのことは明日かあさってにアップするシェフUのプレヴューのときに書こう。アワーは金曜が山場ということで日本時間の明日(土曜)朝には状況がわかっているはず。どきどき。
「Rockers」のアイザックはカッコ良かったなあ。僕も好きです。
試合は、リバプールが若手を混ぜたんで月曜よりもプレスがかなり弱いと思った。
割と時間とスペースがあるためにジャカがある程度機能してたし、昨シーズンあたりから使ってる右足のパスもなかなか良かったと思う。
しかしそれでも、やっぱり最後のところまでつなげるにはミスや精度不足が多すぎた。ジャカに限らずではあるけど。
キャプテンを任されたのは下向かずに頑張れって事だと思うし、こんなもんで満足してもらっては困る。
このチームはもっと先まで行くんだから!
この試合はンケチアが割と良かった印象。相手の強度もあるかもですけど。
少し改善の傾向というか意図が見れた、という程度なんですがちと嬉しかったです。最初のチャンスは何とかして欲しかったですが(笑)