先週、ESLのプロジェクトが頓挫してアーセナルのオーナーシップが批判の渦に巻き込まれていたころ、SpotifyのCEOとかいうひとがこんなtweetをしたのが話題に。ぼくはこのときは冗談だと思っていた。
As a kid growing up, I’ve cheered for @Arsenal as long as I can remember. If KSE would like to sell Arsenal I’d be happy to throw my hat in the ring.
— Daniel Ek (@eldsjal) April 23, 2021
ダニエル・エク:子どもの頃から、思い出せるかぎりわたしはずっとアーセナルを応援している。もしKSEがアーセナルを売りたいのなら、わたしは喜んで競争に参加したい。
それが、昨日『The Telegraph』がブレイキングしたところによれば、ダニエル・エクはアーセナルの買収に大変に前向きであり、10日以内に実際にオファーをする見込みであると。しかも、この動きを「インヴィンシブルズ」の3人、ティエリ・アンリ、デニス・ベルカンプ、パトリック・ヴィエラが支援しているのだという。
Exclusive: Spotify founder to launch Arsenal takeover bid with three former ‘Invincibles’
※Paywallで本文読めない。
この件が、The Telegraphだけの報道だったらここまで大きな話題になっていなかったかもしれないが、このあと英国の主要メディアは軒並みこの報道に追随。Sky SportsやBBC Sportsも「Spotifyファウンダー+インヴィンシブルズがアーセナル買収へ動く」という同様の内容を報じている。
もしほんとうにここでオーナーシップの交代が起きるなら、アーセナルのファンにとっては歴史に残る大事件。
これはえらいことになった。。
「Spotifyのダニエル・エクがアーセナルのレジェンドたちと協力、クラブの買収に乗り出す」
以下『The Guardian』の記事を要約。
Spotifyのオーナーであるダニエル・エクが、アーセナルを買収する準備をしている。それをクラブの元選手であるティエリ・アンリ、デニス・ベルカンプ、そしてパトリック・ヴィエラが支援している。
エクは週末にはすでに買収の可能性について問い合わせをしており、来週には正式なアナウンスがされる見込み。
エクは、クラブレジェンズのアンリ、ベルカンプ、ヴィエラにクロンキファミリーの説得に協力するよう依頼。クロンキはいまESLの件でプレッシャーがかかっている。
エクは38才のスウェディッシュのビリオネア。twitterでアーセナル買収への興味を表明していた。まだごく初期の段階だが、プロセスは始まった。
エクはフットボールマーケットに参入したことは一度もない。だがかつてほかのPLクラブへの興味を示したことはあるようだ。その件は最初期の交渉の域を出なかったが、アーセナルに関しては、子ども時代にファンだったクラブを発展させられるチャンスだと捉えている。
スタン・クロンキは2011年4月以来彼が運営しているアーセナルの売却を検討するなら、少なくとも£2bnは要求すると見られている(※100%所有は2018年)。またもっと高く要求するという見方もある。
エクの個人資産はおよそ£3.4bn。彼に近い人物はクロンキに売却を迫るだけの資金を集めることは問題ないだろうと見ている。
しかし、ジョシュ・クロンキが先週のファンズフォーラムで述べた「クラブを売るつもりはない」という発言からも、その実現はかなり難しいかもしれない。
しかしこの3人の元選手の関与は、KSEにエクとの取り引きに応じるプレッシャーを強めることになりそう。およそ3000人のアーセナルサポーターズも、KSEのオーナーシップへのプロテスト行動を行っている。チームは現在10位でCLに出場は難しくなっている。
以上。
38才というとかなり若い。アルテタと同年代。
ほかのメディアの記事なども見るに、アンリとベルカンプとヴィエラの3人は、いわゆるコンソーシアム(consortium)に参画することになるのだとか。出資もするのかな?
実際に買収が実現したとして、彼らがそのあとクラブにどう関わっていくかは不明だが、いずれにせよそこでさようならとはならないだろう。もしかしたら、クラブ運営のなかで重要な役割を担うのかもしれない。アドヴァイサーとか? ダニエル・エク自身はフットボールクラブでは素人なわけだし。なかなか夢のある話だ。
ファンの反応
この件のアーセナルのファンの反応としては、好意的にとらえているひとが多い印象。
オーナーがまた別のビリオネアに代わっても……というのはあるが、今回立候補したのがテック業界でもかなり成功したひとりであろう有名起業家で、かつれっきとしたアーセナルファン(本人は1991年からのファンだと述べている)。さらに、アンリ、ベルカンプ、ヴィエラのような生きる伝説の後押しとあっては、ワクワクしないほうが難しいというもの。
アーセナルの熱心なファンには、KSEにもっとも欠けているものが「アーセナルFCのコアヴァリューへの理解」だと思われているのだから、ここでコアヴァリュの権化のようなインヴィンシブルズが歓迎されないはずがない。
エクは、ボードミーティングのような重要会議のときですら、ラップトップでこっそりアーセナルの試合を観てしまうほどのファンだそうだから、共感できるじゃないか。もちろんハイバリーやエミレーツにも何度も足を運んでいるという。
ただSpotifyは、再生回数あたりのアーティストの分配(ロイヤルティ)が非常に少ないということは有名で、よくミュージシャンから批判されている。インディーだとSpotifyでの配信をやめてBandcampだけにするみたいなのはけっこうある。今回の一件では「ダニエル・エクはアーセナルに金を出す前にアーティストに金を払え」と批判されているのはちょっと笑える。たしかにな。それはフェアな批判に思える。
Spotify gonna buy Arsenal?
Players won’t like it when they get paid £0.000006 per match.
— arseblog (@arseblog) April 23, 2021
ルワンダの件、面白い。。棒読み感に思わず笑っちゃいましたよ。笑
いつもありがとうございます!
おぉ、これまでは極力アーセナルに関する企業からものを買おうかと考えていたけどこう言うベクトルの応援もあるんですな。
私もSpotifyに全面的に賛成!というわけではないのですが、一方でKSEよりも単純に強いアーセナルに戻してくれそうな期待感はあるので、否が応でもワクワクしちゃいます。