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Spotifyの創業者Daniel Ekがアーセナルのオーナーシップに名乗り。アンリ・ベルカンプ・ヴィエラがこれを支援

オーナーシップ交代の実現可能性

さて、このオーナーシップの交代は現実に起こり得るのか。ちょっと考えてみたい。

オファーの適正金額?

デイヴィッド・オーンステインは、「天文学的な数字」のオファーでもないかぎりは、KSEは検討すらしないとコメント。彼らはファンからの批判には慣れっこだとも。

たしかに、どんな状況でもいまのオーナーに売る気がなければ成立しない話なのだし、ちょうどジョシュ・クロンキもアーセナルを売るつもりはないとファンに明言していた。それはおそらく本音だろう。

彼らを納得させられる金額について、先の記事においては「少なくとも£2bn、あるいはもっと」と指摘されている。

ちなみに£2bnというのは、先日のエントリでも触れた『Forbes』による現時点でのアーセナルFCの資産価値と同じ額である。

たしかに評価されている資産価値の金額をそっくりそのまま支払うというのは、フェアかもしれない。ただ、それは相手が売る意向を持っているときだろう。今回のケイスでいえば、KSEは売ることにはかなり消極的らしいので、「イヤでも受け入れざるをえない」くらいの過大なオファーが求められていると考えるべきだと思う。札束でひっぱたく的な。

<アーセナルは直近10年でどれほど成長したか>

KSEは当然ながら、PLとアーセナルFCの今後の成長も見込んでいるはずだ。ESLのようなものだってまたいつ出てくるかわからない。

彼らはもうそういったものには参加しないと云っているが、にわかには信じられない。だって、金銭的利益を得ることが彼らのようなビジネスマンの本懐なのだから。むしろそこにはなんの矛盾もない。彼らが「ファンのために」なんて考えるほうが不自然である。

Forbesの「Forbes’ list of the most valuable football clubs」(Wikipedia)によれば、KSEがアーセナルの実権を握った2011年のAFCの資産価値はおよそ£858M。それから現在はちょうど10年後になるが、それがおよそ£2,015M(約£2bnという数字はここから)に劇的に増えている。この間、KSEはクラブにオーナー投資をしたことは一度もない(※直近シーズンは決算で出てくるかもしれない)。

アーセナルはこの期間に、クラブ価値のランキングの順位もだいぶ落としているし(3位→8位)、もちろんスポーツ面でのランキングも落ちている(UEFA Cofficientの10年で6位→11位)。オーナーとしてはやや期待はずれだったかもしれない。だが、それは相対的なランキングに過ぎない。グローバル市場におけるヨーロピアンフットボールやプレミアリーグのこの10年の絶対的な成長がそれを大きく上回った。

アーセナルはこの10年、ほかのPLのライヴァルに比べて最高にうまくやったチームでは決してないが、それでも、これだけ(評価)資産価値が増えている。それだけうまいビジネスだったということだ。

もちろん、これからの10年はこれまでの10年と同じように成長するとはかぎらない。もっともっと不確定だろう。とくに今回のCovidパンデミックのようなことはまさに天災で、クラブは大きなダメッジを被っているし、これがおさまったあとにどういう世界になっているのか誰にもわからない。

しかしいずれにせよ、有名PLクラブのオーナーシップが手堅いビジネスであることはたしか。ましてや、みずから自律運営を標榜していたアーセナルFCのようなクラブならなおさら。将来の利益も見込んだ特大のオファーでなければ、KSEの首を縦に振らせることはかなり難しそうに思える。

ファンとの信頼関係。各種ボイコットは効く?

オーンステインは、KSEはUSでのスポーツクラブ運営のキャリアもあり、ファンからの批判には慣れているというが、それでもいまアーセナルのファンとの信頼関係が崩れてしまっているということは、オーナーシップ交代のカギになりえることだろうと思う。

ファンが拒否の反応を示せば、クラブはそれに応じざるを得なくなる。

クラブに影響力を及ぼすためにどこまでその規模を大きくできるかが重要な要素だが、今回のエミレーツ前のプロテストは大きな示威行動になったはず。3000人ほどが集まったというのだからたいしたものだ。エミレーツ前の動員人数は、FAカップのパレードとかと変わらなかったのでは。

ほんとうは中国やインドのような巨大新興市場からのプレッシャーがあったら、てきめんに効果がありそうだが、彼らがクラブのオーナーシップにまで関心を持っているかどうかはわからない。スタン・クロンキが<台湾熱烈支持>という噂を流せばもしかしたら……

試合前にステディアムの前で抗議活動をする以外にもファンにはできることがたくさんある。

スポンサーに対する不買運動なんかはかなり効き目はあるだろう。スポンサー企業が金を払わなければ、クラブはいまのような活動はできないのだし。彼らが嫌がることはクラブも嫌がる。

エミレーツの飛行機には絶対に乗りませんとか。アディダスは買いませんとか。SkyやBTも解約だ。

おれもKSEが退くまで、絶対にルワンダには行かないことに決めた。ルワンダになんの恨みもないし、できればジャングルでゴリさんにも会いたいけど。しょうがない。

インヴィンシブルズ?

これはどうだろう。

彼らを嫌いなアーセナルファンはいないので、ファンは団結するし、KroenkeOutに勢いはつく。KSEとの交渉も多少しやすくなるのか。

でも、こういった交渉のなかで、実際の効果がどれほどあるのかはよくわからない。象徴という意味では、これ以上の存在もないが。

ティエリ・アンリは今回のESLの件で、KSEを痛烈に批判していたので、新オーナー誕生に加担する伏線はあったといえばあった。

ベルカンプとヴィエラはどういうモチヴェイションなんだろう。愛するクラブの価値を守りたい的なやつだろうか。

この3人はいま求職中かな? 基本的に3人ともマネジャーをやりたい人たちだろうけど、アーセナルで現場以外の仕事があったらやってくれるのだろうか。彼らが毎日オフィスにいたら、アルテタとエドゥはめちゃくちゃやりにくくなりそうな(笑い)。

こうなれば、あとはここにぜひアーセン・ヴェンゲル氏を担いでほしい。

ヴェンゲルさんと云えば、昨日ジャーナリストのクリス・ウィートリーがr/GunnersでAMAをやっていて、ヴェンゲルさんに関する質問にも答えていた。

「いまのアーセンとアーセナルの関係ってどうなっているの?」という質問に対し、彼はこんなふうに答えていた

ウィートリー:わたしが知っているかぎりでは、ヴェンゲルはエミレーツに何度も招かれているよ。でも毎回彼に断られている。

想像するに、彼はまだ最後の年に起きたことについて受け入れるのが難しく思っているんじゃないか。アイヴァン・ガジーディスからの追い出されかたとか。

ヴェンゲルさんはいまだにアーセナルに傷心であると。

であれば、これを機会にアーセナルとの関係を修復して、いっそ重要な役職についてもらう。

みんなハッピー。すばらしい。

そんなこともプランに含まれたら、ダニエル・エクの支持は爆上がりするに違いない。

 

……とまあ、こんなことをいくら考えても、適正オファーなしで取り引きが成立するはずもないとは思う。

でも、ファンのプロテストが少しでもKSEの決断に影響を及ぼせるとしたら、そんな力がファンにもあるのだとしたら、それはファンとして悪くない。

 

どうなるか観てみよう。

おわり



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2 Comments on “Spotifyの創業者Daniel Ekがアーセナルのオーナーシップに名乗り。アンリ・ベルカンプ・ヴィエラがこれを支援

  1. ルワンダの件、面白い。。棒読み感に思わず笑っちゃいましたよ。笑
    いつもありがとうございます!

  2. おぉ、これまでは極力アーセナルに関する企業からものを買おうかと考えていたけどこう言うベクトルの応援もあるんですな。

    私もSpotifyに全面的に賛成!というわけではないのですが、一方でKSEよりも単純に強いアーセナルに戻してくれそうな期待感はあるので、否が応でもワクワクしちゃいます。

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