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【マッチレビュー】21/22EPL アーセナル vs ノリッチ(11/Sep/2021)安堵のシーズン初勝利とトミヤスの大満足デビュー

試合の論点

アーセナル vs ノリッチのトーキングポインツ。

シーズン4試合めにして初勝利に安堵。だがハイプレスには課題

もし万が一、この試合で悪い結果だったらと思うと、最少得点だったとはいえ、この試合に勝てたことはほんとうによかった。アルテタも首の皮が一枚つながったというところか。試合後に涙ぐんでいたんじゃないかとプレスにツッコまれていたアルテタだが、彼の置かれていた状況を思えば、ほんとうにそういうこともあったかもしれない。

彼はこの試合への準備について「ベストな10-15日間だった」と独特な表現で心境を表していたが、そのような極端な気持ちになってしまうほど追い込まれていたともいえる。

これでアルテタも肩の荷がひとつ下りただろうし、チームにとってもまたそう。新しいメンバーが加わってチームとして自信を深めていける。オバメヤンもキャプテンとして責任を果たすことができた。この1勝は、それくらいは大きな意味があった。

ただし、当然のことながらこれは継続していく必要がある。今回のようにノリッチ相手に「辛勝」と云われるような試合をしていては、つぎもまたビッグテストになりそうだ。

ノリッチは、やはりここまでの3試合の相手と比べると、アーセナルにとっては比較的与し易い相手だったろう。相性がよかった。

彼らはこれまでと同様に基本的にボールを大事に着実に前に進めてこようとする相手で、ブレントフォードのような、ダイレクトにロングボール&セカンドボールと、こちらの弱点を徹底して突いてくるようなイヤな戦いかたはしなかった。

また彼らにバックからプレイしようという意図がしっかりあったことも、ハイプレッシングを用意していたアーセナルには好都合だった。試合の序盤にアーセナルにエナジーがみなぎっていた時間帯に、彼らを圧倒できたのは、そこがバッチリはまったからでもあったろう。

ただ、問題はアーセナルが試合スタートからのハイインテンシティ・ハイテンポ・ハイエナジーを維持できなくなったときに、形勢がすっかり逆転してしまったということ。30分もたなかった。

この試合のアタッキングモメンタムからも、前半のうしろ半分くらいは、かなり相手が勢いづいていることがわかる。いかにも何かが起こりそうな危険な時間帯だった。

ハイプレスに関しては、TVで観ていてもオーデガード個人への依存度が突出して高くて(彼だけがインテンスなハイプレスをやっていて、彼がかわされたときにつぎのプレスが遅れる)、彼が走れなくなるとそのままずるずると全体が下がっていかざるを得なくなるという傾向があったように見えた。

試合スタート序盤のハイプレッシングでは、そうとうに人数をかけていて相手が苦し紛れのロングボールを出したところでそれを奪うという、ハイプレス戦術の基本ができていた(トミヤスのヘッダーがめっさ効いていましたな)。

基本的に、90分をフルパワーで走れる人間はいないので、チーム全体でプレッシングの動きを管理して最適化していく必要があるのだろうが、アーセナルはそれがまだあまりできていないように思える。

今シーズンのここまでの試合を観るに、昨シーズンまでの反省からか、アルテタはプレスを改善しようとしているようで、自ら積極的にプレスをしかけていくオーデガードの加入は願ってもないものだったはず。だから、彼のプレスと周囲の選手たちのそれを連動させて、よりプレッシング戦術を洗練させることが、このチームがコンスタントに結果を出すようになれるまで、ひきつづきの課題だろう。

この試合の始まりのインテンスなハイプレスはとても印象的だったため、よけいにそう思う。

トミヤスがPLデビュー。ヘッダーで圧倒し、前評判に違わぬパフォーマンス

トミヤスが早くもアーセナルでPLでデビューした。若くして、もう世界最高の舞台にたどり着いた。

アルテタいわく1日半のトレイニングだけで、いきなりデビュー。試合前には、彼はシャイボーイみたいだなんていうことを云うひともなかにはいたようだが、ピッチ上ではまったくそんなことはなかった。むしろ試合後には、彼の身体のサイズや強さをして、新しいリーグへの適応が必要どころか「PL向き」という意見すらあった。

よく走り、よく守るだけじゃなく、攻撃にあそこまで積極性を見せたのも正直いって意外だった。ぼくはてっきり彼はRCBあるいはInverted CMFBとして、ミドフィールドで全体のバランスを取る役だと思っていたので。開始5分でいきなりゴール前にいてシュートしたのだから、もうびっくり。もし44分の、あのジャンプ&ヴォリーが決まっていたら、デビューにしてとんでもない騒ぎになっていただろうに。。

でもそれがなくても、この試合で初めて彼のプレイを観たであろう大半のアーセナルファンも彼のハイスタンダードなプレイにこころを掴まれたんじゃないか。それだけ印象的だった。

ぼくの観測範囲でも、実際の試合後のメディアやファンの意見などでネガティヴな反応はほぼ一切見なかった。イナモト・ミヤイチ・アサノしか知らなかった非日本人のファンにとっても、彼のパフォーマンスはうれしい驚きのようなものだったんじゃないかと思う。試合中は、スタンドのファンも彼のプレイのひとつひとつに大きく反応していて、ポジティヴエナジーの高まりをとても感じたよね。

彼がアーセナルに来ることになってから、かなりたくさんの彼の特長や戦術などについての記事がインターネットにアップされていて(ぼくはほかの選手に比べても彼のものはかなり多いと思う)、彼に対するファンの興味や期待というのは否応なく高まっていたと思うのだが、なかでも空中戦に強いというは、もっとも期待される彼の特長のひとつだった。

そしてそれをまったくもって発揮したのがこの試合だったのだから、痛快このうえなし。

試合を観ていても、「お、勝った」「また勝った」「また勝ったー」みたいにみんななっていたと思うが、彼のこの試合のエアリアルジュエルズはなんと7/8。勝率87.5%なり。バケモンか。まあノリッチが相手だったということもあるかもしれないので、正当な評価はもっと屈強なFWがいる試合まで待つ必要はあるかもしれないが、それにしてもほとんどの空中勝負に勝つというのはさすがに珍しいのではないか。

ビルドアップやセットピースを改善したいアーセナルにとって、それこそバカリ・サニャのようなヘッダーの強いFBが待たれていたのは疑いがないと思うが、ぼくは移籍ウィンドウの最後の最後で彼に行くことに決めたは、やはりブレントフォード戦のホワイトの一件もそれなりに影響したのではないかと思っている。そして、この試合ではちゃんとホワイトの近くで彼がヘッダーで勝っていたときもあった。おそらくは狙い通りにちゃんと彼のカヴァができていた。

まさしく期待通りのパフォーマンスで、これ以上を望んだらバチが当たりそうなくらい、彼にとってもすばらしいデビューになった。ファンも大満足。

これでアーセナルには、トミヤスとガブリエルというふたりのヘッダー強者がいて、今後はコーナーキックなどのセットプレイでも脅威になれるだろうし、またバックからのプレイにおいても、トミヤスが右サイドでGKからのミドルレンジのパスを頭でつぎにつなげることができれば大きな助けになる。

愛するクラブでレギュラーでプレイする日本人が現れるとは、まことに感慨深いものだ。

ラムズデイルがファーストGKに?

ラムズデイルがここでアーセナルのシャツを着てPLデビュー。安定したプレイを見せた。

アルテタにとっては、エミマル以降で待望のセカンドGKというよりは、彼にかけた移籍金からしても将来のファーストGKなのは間違いなく。しかし、このPLの本番でいきなりレノと交代させるとは思わなかった。今シーズンはレノがリーグ、ラムズデイルはカップというぼくの予想は外れた。それはいつもどおりか。

今後レノとラムズデイルで、GKをロテイションをするという可能性がないわけでもないだろうが、ふつうはやらないだろう。

だとすると、ラムズデイルがリーグで、レノがカップと立場がここで逆転したという。まじで?

ただ、この試合のラムズデイルのパフォーマンスを観ると、やはりレノに感じる物足りなさを補う部分は彼は持っているというふうには感じた。

その最たるものは、やはりボールを持ったときの落ち着きか。

彼は全般的に落ち着いているように見えるが。ボールを持ったときにはとくにそう感じる。この試合でも、プッキがボールに殺到するところをゴール前でひらりとフェイントでかわすシーンがあった。またパスの精度も高いように見えるのは、彼がボールを持ったときによく周囲が見えているからだろう。※パスアキュラシィは20/25で80%。ロングボールは4/9。

近年のスタッツから判断したときは、レノとあまり大差ないアウトプッツしかしていないGKという印象だったが、カラバオカップのWBAとこの試合と2試合の彼のプレイを観たかぎりでは、もっともっと期待をしてよさそうに思えてきた。

この新生チームには、新しいGKがよりふさわしいのかもしれない。

なお、彼がアーセナルに来るときには「平凡だ」とか「アーセナルにふさわしくない」とか、一部のファンにはいい印象を持たれなかったわけだが、この試合の「どの写真を新しいカヴァーイメージにすべき?」というAFCの投票で、なんとラムズデイルの写真がトップで選ばれた。

ちゃんとファンに愛され始めていて、おじさんはちょっと泣けてきた。

※コメントくださるかたにお願い
プレヴューエントリでは、試合の結果がわかるようなコメントはお控えください
お互いリスペクトしあって楽しく使いましょう

12 Comments on “【マッチレビュー】21/22EPL アーセナル vs ノリッチ(11/Sep/2021)安堵のシーズン初勝利とトミヤスの大満足デビュー

  1. ぺぺは中よりで起用するには、チャンさんが書いているようにボールタッチが不安定すぎると思います。そしてその役割をやらせるなら、そこにサカを置いた方が確実にいい。ぺぺは最終的には結果を残すけど、いない方が楽に勝てないか?と常々考えます。

    ナイルズ、ロンコンガは大分厳しいですね。諸々の判断が悪すぎる。ウーデゴールを一列下げるか、ホワイトを一列あげてパーティと組ませるか。

           レノ/ラムズデール

     冨安     ホワイト   ガブリエル

    セドリック ウーデゴー パーティ ティアニー

     サカ          スミス/オーバー
          ラカ/オーバ

    の343が見たいです。セドリックは、オーバーラップなどを見てやはりいい選手だなと思いました。

  2. だいぶハラハラしたw。最後まで最後尾に2人残してたのも分かる気がする。さすがにここで引き分けるわけには行かないし、そういう嫌な想像がチラつく状況だったと思う。
    しかしそれでも鉄面皮で戦いきったから、そこは評価したい。
    最初の一歩。マイナスがゼロになったくらい?

    AMNは後半DFラインからボールを受けて運んでたのは適役だったと思う。走力勝負なら負けないから広く動けるし、ターンが上手い。ちょっとコクランを思い出した。
    しかし走力があって有利なのにポジショニングが雑で活かしきれず、キックも下手ではないのにパスが雑。MFとしてのポテンシャルは感じるだけに、ちょっともどかしい。

  3. 勝ちましたね。素直にうれしいです。
    スタメン見たときはアルテタの覚悟を見た気がしました。
    始まる前から日本メディア特有の富安フィーバーなのりで解説実況が続くのかなと憂鬱になったものですが、それを差し引いてもビッグインパクトなデビューでしたね。正に即戦力として補強。全盛期の中田ヒデさんと同等の 移籍金なのはだてじゃなかった。
    パーティとスミスローの存在感やばいっすね。あの2人が入ってから明らかに流れがかわりましたね。アルテタが言い訳にするだけはありますな。
    この2人はケガがちなのがとても気になりますが、ケガなくフルで出れるようならかなり結果もかわるでしょうね。
    パレス戦見ましたが、いい選手たくさんいましたね。逆にトットはバラバラとゆいか、フンミンソンがいなければつながらないのがよくわかりました。
    チェルシーはもう次元が違ってますから、我々も次のバーンリーでしっかり弾みをつけてNLD にのぞみたいですね。COYG

  4. ぺぺの流れを止めてしまう感じが誰かを連想するんですが、思い出せない。
    左サイドのディアビかなとも思いましたが、何となくピンと来ないのと、正直もうあんまり覚えてない。

    ジェルビーニョではない。ウォルコットでもない。誰だったかな。

  5. ぺぺはRBも使えてたし、何度も1対2で仕掛けてコーナーまで持っていけてたので良かったと思います。苦しい時にぺぺか冨安のいる右サイドに放り込めば競り勝てるのも有り難い。
    セドリックも短い時間ながら3回くらい良いシーンありましたね。
    ナイルズはだいぶ厳しいなと感じました。パスが雑なのでRBとしても起用しにくいのでは

  6. ウーデゴールは正直トップ下に拘るより試合終盤の様に
    スミスロウと2インサイドハーフで下がり目ってのが一番良い気がする
    攻撃より守備のが目立ってたし、ファイナルサードより少し後ろ目で広い目でプレイする方が向いてる気がする
    ロコンガはアンカーの経験もあるようだし、パーティと二人で回していけば問題ないと思う

    1. 富安良かったですね!
      あんだけ上下運動やれる、ホワイトが足元それこそDルイス並み、
      ホワイト真ん中 富安 右サイド いいわー
      逆とかは選択肢ないな。よっぽどのことないと。
      ラムズデールはレノとのスタイルの違いを明白に出しましたね。あとはショットセイヴなどで大きな差がつかなければこのまま1st交代でしょうか?

      ウーデゴールはセスクを感じるんで、徐々にチーム事情とマッチして得点をあげてくれると思ってます。
      それよりもサカが左で窮屈そうだから、ESRの左サイドでのもっともっと爆発に期待ですかね。あれ決めて欲しかったーー

      ぺぺは少なくとも局面を動かす存在ではあったので、まあまあ。
      AMNはやっぱ真ん中だともう守備的なクローザーとしてぐらいしかこのチームだと可能性感じないよなあー

      若手コアメンバー+中盤の柱パーティ+オーバメヤン のベストメンバーが揃うであろう次節楽しみです!
      願わくば皆様がこのまま健康でいますように!

  7. バックラインはかなりよかったですねこの組み合わせがベストじゃないでしょうか。
    悩ましいのは二列目の人選で、サカが左でやりづらそうにしてたのが気になりましたね。ペペを使いたいってなると器用なサカを左にってのは分かりますけど、難しいとこですね。攻撃では左はハーフスペース、右では大外がサイドハーフの使うエリアで、役割が違うので、サカが若干割りを食ってるような気がします

  8. 試合の後半でパーティのワンアンカーの4-3-3的な感じになってたけど、いい感じでしたね。
    ただ90分てなるとパーティの負担がけっこう大きいようにも思います
    サカに関しては90分左に固定とかじゃなくて、試合の中でサイドを入れ替えながらやるのも良さそうですけどね
    ロコンガはフィジカルと運動量が気になりますね、まだまだこれからて感じがしました

  9. 結果だけ見れば最低限。
    でも、内容はまだまだ完成度は低いとはいえ、冨安の空中戦の強さやAMNの中央での縦への意識など今まで足りなかった部分に改善が見られて悪くないと思いました。
    AMNは正直プレーの選択が雑だったりしましたが、中央をキチンと使おうという意識が見れたのはポジティブでした。今日出てない選手もU字に頼らず中央を使うことを心がけて欲しいです。

  10. レギュラー組が復帰して来た分少しマシに見えただけの話で、意表を突く崩しもなく、火力の無さは相変わらず、緩い守備の改善も見られず。
    相手が上位チームだったら蜂の巣になっていたと思う。2週間あったのにたったこれだけ?と大いに失望。
    正直なところ、監督の技量不足はいよいよ覆うべくもなくなって来た感、です。

  11. ぺぺがピュアなウインガーじゃないというのは同意です。きっとジューラブシアンやサンレヒ案件でなければ、ウィリアンやぺぺではなくザハのようなウインガー然したウインガーがボスは欲しかったんじゃ?

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