バックアップ選手の信頼性
スクワッドデプスの問題というのは、つまりバックアップの問題だ。
チームに信頼できるクオリティ高いバックアップがいれば、レギュラー選手になにかあっても問題にはならない。
今回の危機に関しては、セドリック、サンビ・ロコンガ、タヴァーレスが焦点になっている。これからの残りシーズン、トップ4フィニッシュするために彼らにどれほど信頼をおけるか。それが問題。
セドリック
セドリックは、最近はトミヤスの不在でしばらくスタートからプレイしており、評価を高めていたところだった。ワールドカップのポルトガルスクワッドにもふたたび呼ばれたのは、その証明でもある。
アルテタも彼のアティチュードを高く評価していたし、本人もプレイ時間が長くなるにつれ、充実した時期を過ごし自信を深めているのは、パレス戦前のインタヴューでも感じられた。
IB期間中のr/Gunnersはセドリックに占拠された時期もあったり(※彼がどのゴールセレブレイション写真にも写り込んでいることが注目されて「どこにでもセドリックがいる」というミームが乱発された)、ちょっとした人気者になっていた。
だが、直近のパレスとの試合では、彼はザハのフィジカリティにかなり苦労して(フェアにいえば、彼はザハのような選手相手にそれなりに対処したとは思う)、ファンにはトミヤスとの違いをあらためて感じさせる試合でもあっただろう。
彼の不幸は、つねに比較されるのがトミヤスであること。トミヤスは対人にめっぽう強く、スピードもあり、両足のパスも秀逸で、ジュエルは陸上でも空中でも強い。セドリックにないものがある。もちろん、セドリックには積極的なオーヴァラップなど、トミヤスにないフルバックとしての良さがあるにせよ、総合的なクオリティでは(フィットした)トミヤスがセドリックを上回っているのは明白。
なので、トミヤス不在のライトバックの対処というのは、セドリックがいながらも100%満足できておらず、改善を探して、ひきつづきなにができるか検討する余地がある。
ヌーノ・タヴァーレス
いっぽうのレフトバック。
パレスではNTがまたしても前半のみで交代。あまりにひどいパフォーマンスで前半途中で下げられてしまった衝撃のFAカップ・ノッティンガム・フォレストが思い出された。が、あの試合の彼がそこまで悪かったかというと、そうでもないと思う。たしかに、バックパスを連発していた印象はあるが、あのパレスのオーガナイズされたブロックをパスで打開するのは、云うほど簡単ではない。彼のスタンダードからすれば、無難にプレイしていたように見えた。
と云いつつ、個人的に、彼の信頼度を考えるとき、問題はその彼のスタンダードにあると思う。時期や試合によるクオリティの振れ幅が大きすぎて、正直、彼のスタンダードがいまはもうよくわからなくなっている(笑い)。みんなそうじゃないかい?
今シーズンの一時は、チームでKTからポジションを奪いかねない勢いがあり、彼のフォームが高く安定していたときは、みんな彼のパフォーマンスに満足していただろうし、未来も明るく思えた。レギュラーのKTとバックアップのNTでLBはしばらく安泰、なんならRBもLBのようにレギュラーのトミヤスと、彼に挑戦できるバックアップがいれば健全みたいな言説もあった。
ところが、KTが復帰して彼のプレイタイムが減ってきてからが一気に怪しくなってしまう。
前半途中で下げられてしまったあの衝撃のノッティンガム・フォレスト以降、今回のパレスでスタートするまでの約3ヶ月間に彼がプレイした試合は、カラバオカップ・リヴァプール(9分)、PLウォルヴズ(1分)のたった2試合。10分のみ。そして、かなり久しぶりとなったPLでのスタートでのやや平凡なパフォーマンス。
どの時期が実際の彼のクオリティなのか、どこを彼のスタンダードとして考えるべきなのかで、全然信頼性が変わってくる。
パレスでのパフォーマンスに落胆する声について、彼を擁護する向きもある。
Personally think you have to stick with Tavares for Saturday at least. He showed earlier in the season he can do a decent job. If Partey is out, which is very likely, you can’t be moving Xhaka out of midfield as well to cover as a makeshift full-back.
— Charles Watts (@charles_watts) April 5, 2022
チャールズ・ワッツ:わたし個人としては、土曜に向けて少なくともタヴァーレスは支持しなければいけないと思う。彼はシーズンの始まりにはちゃんとした仕事ができることを示していた。もしパーティがアウトなら(それはかなりありえそう)、ジャカをFBのカヴァとしてMFから動かすことはできないのだから。
おそらく彼のいまの問題のひとつは、限定されたプレイタイムから来る、いわゆる試合勘。
彼は去年の12月以降、それまでのレギュラースターターだったときからかなり試合を減らしていたため、いきなりのスタートで多少錆びついたパフォーマンスであっても不思議はない。ふたたび試合に慣れるまで、しばらくは彼を見守るべきという意見には賛成だ。このあと、いやでもプレイをしていくことになるのだから、時間がたてばたつほどピッチ上での勘を取り戻して、よくなっていく可能性はある。
もうひとつは、やはり自信だろうと思う。セルフコンフィデンス。重要な試合で失敗してしまったことなどからくる心理的なもの。それを挽回するチャンスもなかった。そういう意味では、パレスのHTでの交代は彼にはショックだったかもしれない。コーチたちは「あくまで戦術的なもので、パフォーマンスのせいじゃない」と彼をよくケアしておく必要がある。
個人的には、彼は今シーズンのうれしいサプライズのひとつであり、ネタ的にも(失礼)たいへんに興味深い選手だと思っていることは、このブログに何度も書いているとおり。単純におもろい。
ぼくがパレスのヌーノを観て率直に感じたのは、元気ないなあということ。チャレンジよりボールを失わないことを選んだ無難なプレイだった。驚きのないNTなんて、まったくつまらない並の選手。彼はもっとやんちゃであるべきだと思った。彼にはいい意味でチーム内でのユニークな立場をつづけてほしいし、コーチングでそれを矯正していくようなことは、むしろ逆効果になるんじゃないかと思ったりもする。まあこのへんの感想は、半分冗談みたいなものだけれど、実際に無難なプレイしかできないNTならば、あのチームのなかで果たして存在価値があるだろうかとは思う。
攻撃的フルバックが、バランスのことを考え始めたとたんに良さがなくなってしまうというのは、わりとありそうな状況だ。もちろん無責任でいるべきではないが、ある種の無責任もないとあのポジション/その役割は成立しない。
彼がまた、ノッティンガム・フォレストのときのような極悪パフォーマンスをやるでもしないかぎりは、LBはひとまずは彼に任されるだろう。オプションもないのだから。
ジャカをLBで使えればよかったが、パーティがアウトのうちはほとんど無理だ。CMのバックアップも乏しい以上、ふたり同時にシニアCMを外すことなどできない。逆にパーティ次第では、ジャカがNTに変わってLBで起用される可能性はかなりあると思われる。
サンビ・ロコンガ
パレス戦、パーティとの交代で15分したサンビ・ロコンガはどうだったろう。彼もNTと似た状況で、12月をさかいにして、それまでのレギュラーのプレイタイムからすっかり出番がなくなってしまった。
Lokonga’s cameo vs Palace pic.twitter.com/nOMj61YwKr
— Zettergol (@ZTG_14) April 5, 2022
悪くないと思う。チャンスに直結するようなパスもあり、彼の良さが出ている。
もっとも、この時間帯のパレスはシットバックしていて、CMにはプレスもなかったので、つねに落ち着いて前向きにプレイできたというのはある。
アーセナルに加入以来、彼のもっとも目立つ悪いポイントはプレス耐性。タイトなエリアでタフなプレスであればあるほど、あせって判断を間違える。その結果、危険なエリアでボールを奪われたり、悪いパスを出したりする。そういうシーンは今シーズンも試合のなかで何度も観られた。要するに、PLのプレイスピードやインテンシティにまだ慣れていない。
そこはアーセナルのCMとしてプレイするなら致命的な短所で、かならず改善しなければならない。
ただ、彼がレギュラーでプレイしていた時期から、やはり3ヶ月程度経過している。彼にとってPLは初年度で、それだけに進歩する余地もかなりある。いまの彼がどうなっているかを確かめるには、パレスの最後の15分は適していなかった。
彼がパーティ不在をカヴァできるかどうかは、相手にも依るし、あるいは実際にプレイしてみないとわからないという気がしている。NTのような試合勘の欠如のようなものは、少なくともパレスではあまり感じなかった。
それと、彼がレギュラーでプレイしていたときのメインのシステムと違い、現在はCDMが単独アンカーの433/4141のフォーメイションになっている。彼がシングルピヴォットのパーティ役にハマるかどうかもポイントになる。以前そのようなフォーメイションでプレイしたときはあまりよくなかったが、それはパーティのときも同じだった。現在のチームのなかではどうなるか。
あるいは、彼のために、ジャカをCMに下げてダブルピヴォット(4231)に戻すか。ロコンガに万全の信頼を置けないのなら、そちらのほうが無難かもしれない。
NTは厳しいっすね。攻撃には文句ないですよ。KTにはないアクセントが彼にはある。ただ、左サイドはマルティネリもESRも右利きでインサイドにカットするプレイが多くなることを考えると、KTでバランスが取れていたとは思います。
そんなことより、やはり守備ですね。パレス戦も2失点に絡んでる。競れない。相手についていけない。守備の意識がまだPLレベルにない感じですね。他の試合でもアルテタに早く戻るよう指示されてたような。
代役の左SBは冨安でもいいかなとは思いましたね。健康ならね。
パーティはウーデゴールPK献上の直前にロングボールをトラップしようとして痛めてました。場所がハムっぽかったので心配ですが。彼らも勿論のこと最近ベンチに入ってるヘイルエンダーズの活躍もみたいですね。
いつも興味深く読ませてもらっています
ホールディングを使ってしまうと、試合中に何かあった時のCBの控えが居なくなるのでそのリスクは流石に背負わないと思うんすよね
NT使うために昨シーズンかなんかの終盤でやってた?サカがLBだった時の、ダブルボランチだけどジャカを左下に下げて守備カバーする4-2-1-3
この場合はNTじゃなくサカでも可能だし、もうやった事あるから、ホールディング入れる3バックとかよりまだ現実的かなと
希望としてはツートップで、ペペを使って欲しいっすね
って言ってもラカが下がって来るので実際は4-4-1-1になりそうだけど
それを承知の上でペペに自由を与えて、やりやすいように動いてその決定力を存分に奮ってほしい
ま、あんま攻撃的な冒険しないアルテタは先ずやらないとは思うんすけど、見てみたいなぁ
試合数が少ない弊害で、サブの選手に経験を積ませる事が出来なかったのがここにきて響くのかと思うと、早くCLに戻ってスカッドを大きくしたいですね
パレスが良かった、トーマスとガブリエルが不安定だった、いろんな要因がありそうですけどセドリックとNTだとビルドアップでかなり苦しい印象を強く持ちましたのでLSBサカを観たいですね。
あとはコンディションの良い人を選んで並べて4231かな(なげやり)
一気にひりひりしてきましたがリーグ終盤戦走り抜いてほしいです。
London is RED!
Tomi is live!
更新ありがとうございます
タヴァレスですが、なぜ左SBなのか疑問です
攻撃大好きボール持つの大好き右足も使える左利き、どう見ても右WGでしょう
今夏はペペ放出、タヴァレス右WGの控えにしてクオリティーの高い左SBを獲得してほしい
ロコンガはフィジカル鍛えればPLでも活躍できますたぶん
正直オプションが少なすぎますね
トーマスは無理させすぎ
お久しぶりです。
いつも楽しく読ませて貰っています。
兎にも角にもジャカのLSBだけは不安です。
大事な場面でやらかさないか…やらかすだろうなぁ…
それがNLDじゃ無いことを祈る。
COYG
3バックは無いんですかね?
ラムズデール
ガビ・ホールディング・ホワイト
マルティネッリ・ジャカ・オーデゴール・サカ
ESR・ラカ・ぺぺ
マルティネッリとサカには、死ぬほど走り回ってもらうことになりますが、
ひとりひとりの戦力値は稼げます。
システムとしては素人には分かりませんが・・・
でも、ここまで来たら、CLを勝ち取って欲しいです。