こんにちは。
先日、クラブからガブリエルの契約更新が藪から棒に発表されて、話題としてはちょっと前後してしまったのだが、あのニュースの前におなじみのThe Athletic(gunnerblog)に興味深い記事がアップされていて(※要課金)、それについて書こうと思っていたのだった。
Explained: The balancing act of Saka, Martinelli and Saliba’s contract situations
いま、アーセナルが取り組んでいると観られているブカヨ・サカ、ガビ・マルティネリ、ウィリー・サリバの新契約。これらが現在どのような進捗状況になっているか、また急速に選手たちが成長しているアーセナルが直面している給与問題。
今回はこの記事を元ネタにすこし書こう。
サカ・マルティネリ・サリバの契約交渉の進捗
ダイジェスト版にて。
- アーセナルは、ユースプロジェクトのために高給の選手をつぎつぎと放出
- 若い選手たちが大活躍し、彼らをほかのクラブから守るためにも高給の新契約が必要に。現在の成功の代償は給与総額がまた圧迫されること
- (※訳注:TMによれば)サカ、マルティネリ、サリバの契約は全員2024まで。しかしそれぞれの状況がある
契約 追加条項 実質的契約切れ Saka 2024まで (なし) 2024 Martinelli 2024まで 2年延長OP 2026 Saliba 2023まで 1年延長OP 2024 サカの契約交渉
- サカの契約交渉がもっとも進んでいて、契約の成否というよりは時間の問題
- これまでにアルテタもサカも、この契約成立に自信アリの発言
- アルテタ「I am very confident that we as a club, Bukayo and his family and agent are all aligned」
- サカ「Yes, I share his confidence」
- (※訳注:サカはエミレーツのVIPボックス席を個人的に買っていることも、アーセナル残留のサインとみられる)
マルティネリの契約交渉
- マルティネリは、2024までの契約に、さらに2026までの2年の延長オプションがあるため、比較的交渉の初期段階
- サカもマルティネリもクラブとの契約延長の希望を明確にしている(※訳注:マルティネリも先日のリヴァプールのあと「Of course, I want to stay」と発言)
- マルティネリは、ここからまだ4年も契約が残っているのに、なぜ新契約の交渉をしているか。それは単に選手を守るためだけでなく、選手・代理人との関係において、いいパフォーマンスに報いるという暗黙の了解があるため
サリバの契約交渉
- この3人のなかではサリバが、クラブに対してもっとも強い立場
- クラブはサリバ本人・代理人との関係維持、あるいは再構築がもっとも重要
- 2019の契約はファーミーとサンレヒが担った契約で、彼の代理人はその契約に改善の余地がかなりあると観ているはず
アーセナルの課題
- アーセナルの直面している問題のひとつは、新契約がつぎの先例になること。バロガンとエンケティアは有利な契約を勝ち取るために不安定な契約を活用した。サカの契約は、マルティネリの代理人も必ず引き合いに使う
- 3人ともワールドカップというグローバルな舞台で、さらに選手価値を上げる可能性がある(※訳注:サリバはヴァランがアウトならヴァイスキャプテン候補のひとりとの報道も)。そしてその後には、さらに要求が上がる
- したがって、アーセナルはワールドカップ前に交渉をかなりのところまで進めておきたい
- また、アーセナルの課題として、CLを決めたときに選手がCLの給与を求めること。アーセナルはそれをできるだけ削減したいので選手側とCLボーナスについて議論している
- だが実際にCLでプレイできれば、クラブは喜んでCLクラブの給与を支払うつもりもある
その他の選手契約について
- ラムズデイルの新契約も議題に。すでにアーセナルでNo.1を確保し、イングランドNTでも毎回招集されている。待遇もトップ6のGK並に改善されるかも
- 控えめな給与で獲得したトミヤスも。ドミノ効果で契約の見直しを希望するかも
- パティーノの契約は今年いっぱい。しかしながら、クラブは2年の延長オプションがある。まだ契約交渉は開始もしていない。これもすぐに必要になる
以上
3人いっしょに発表なんてことになったら、きっとお祭り騒ぎになるなんて楽観的に思っていたが、それぞれの状況があるということで、それはさすがに難しそう。
新契約でサラリー大幅アップとトップクラブの給与総額
この3人で、具体的に新契約の給与まで報道されているのは、たぶんいまのところサカだけか。
Arsenal must cash in on dream start and tie down their young players
この10月2日づけの『Daily Mail』(Sami Mokbel)の記事によれば、アーセナルがサカにオファーしている新契約は、£200kpwという21才にして超巨額。
この金額がどういう根拠かはいろいろな観方があるが、そのひとつは最近合意されたマンシティとPhil Fodenの£225kpwという巨額契約がある。22才と年齢もサカとほとんど同じのイングランド代表で、これがサカの新契約における新給与の基準のひとつになっていることは想像に難くない。
そして、仮にそのあたりでサカとクラブが合意したら、マルティネリとサリバの代理人は、このサカの契約をどう利用するか。ここで、サカ以上の条件を要求するのはさすがに過大に思えるが、彼らのチームでの活躍ぶりを思えば、それに匹敵する給与を要求する権利は十分にありそうにも思える。
また、そうしないと若く優秀な彼らはほかのビッグクラブに狙われる。最近も、PSGがサリバに興味というゴシップもあった。
そうなれば、せっかくオバメヤンやラカゼット、ぺぺのような選手を放出したというのに、いきなり毎週£200kクラスのサラリーを受け取る選手が3人も誕生してしまうわけだ。
このThe Athleticの記事でも触れられているように、クラブが成功すればするほど、ほかの選手たちの要求も自ずと高くなっていき、それだけクラブ運営の難易度も上がっていく。
22-23ヨーロピアンクラブの給与総額ランキング
ところで、現状のアーセナルの給与総額は、ほかのヨーロッパのクラブ(*Big5 leagues)とくらべるとどの程度なのか。FBRefにそのページがある。こいつはありがてえ。
クラブ | 契約人数 | 給与総額(年間) | |
1 | Paris S-G | 33 | £348m |
2 | Barcelona | 29 | £286m |
3 | Real Madrid | 23 | £250m |
4 | Bayern Munich | 24 | £238m |
5 | Manchester Utd | 31 | £223m |
6 | Chelsea | 25 | £170m |
7 | Manchester City | 24 | £163m |
8 | Juventus | 30 | £143m |
9 | Atlético Madrid | 23 | £143m |
10 | Liverpool | 27 | £142m |
11 | Inter | 29 | £114m |
12 | Tottenham | 28 | £101m |
13 | Arsenal | 23 | £85m |
14 | Dortmund | 31 | £85m |
15 | Roma | 28 | £82m |
16 | Leicester City | 26 | £79m |
17 | Sevilla | 26 | £78m |
18 | Aston Villa | 27 | £75m |
19 | RB Leipzig | 25 | £74m |
20 | Villarreal | 24 | £73m |
上位はほとんどCLクラブのなか、アーセナルは£85mでヨーロッパで13位。BVBとほぼ同じ。
アーセナルはこの前年が£114m(14位)、その前が£147m(8位)なので、年々給与総額を減らしていることに(※ただし、これらのシーズンは契約人数のカウントがだいぶ多いので一概に金額で比較してはいけないかも。どういう計算をしているのかよくわからない)。
週給の200kは年俸にして(※52倍)10m程度になるので、今回3人がその程度の新契約を結ぶと、年間で£30m程度の大きなインパクトになる。
いずれにせよ、一度落ちた給与総額のふたたびの大幅アップは避けられないだろう。
しかし、それがこれまでと違うのは、現状で来年のCLが期待できているから。そうなれば、これからのクラブ運営は、もはや、かつてジョッシュ・クロンキが言及した「ELバジェット」ではなくなってくる。
アーセナルは、あらためてビッグクラブへの道を歩きだしているんだよなあ。
その他の契約更新の懸案
サカ、マルティネリ、サリバ、それとくだんの記事で挙げられている選手以外で、ファーストチームで契約更新を検討しなきゃならない選手はいるか。
残り契約が今年いっぱい(2023まで)の選手が以下。
- モハメド・エルネニー
- リース・ネルソン
このふたりは、さすがに来年は厳しいか。ネルソンはこのまま低空飛行では、時間切れになるだけ。エルネニーはケガがあまりにも痛かった。
2024までは以下。
- グラニト・ジャカ
- セドリック・ソアレス
- ロブ・ホールディング
セドリックも現状の扱われ方では厳しいか。いまフルバックは右も左も競争があって、ケガ人でも出ないかぎり、セドリックの入り込む余地がますますなくなっている。ロブホも、レギュラーチームではほとんどチャンスがなく、来年の夏にPLのミッドテーブルクラブからオファーなんてあったら、いかにも手放してしまいそうではある。
ジャカは、前回契約更新したときは、ぼくもこのブログでさんざん書いたんだけども、アレは結局必要な契約更新だったことになってる。この世界線では。そして、いまの彼の好調っぷりを考えると、すぐにでも新契約があってもおかしくない状況である。
そのほかに、契約で縛り付けて起きたいほうの選手としては、パーティとオーデガードが2025までの契約。パーティは高給&高齢で、新契約には慎重にならざるを得ないが、オーデガードのほうは早々にオファーがあるかもしれない。クラブは2025まで契約があったガブリエルと契約を更新したばかり。このユースプロジェクトのなかでも、キャプテンMØは失ってはいけないひとりだろう。
エドゥの契約更新
<10月26日追記>
だいじな案件を書き忘れてたよね。エドゥ。
最近、AFCテクニカルダイレクターのエドゥが、複数クラブ(少なくともふたつのヨーロピアンクラブ)から興味を持たれているという噂があって、昨日にはアーセナルがエドゥと契約更新の交渉を開始したというニュースもあった。
EXC: Arsenal move to renew contract of technical director Edu amid interest from rival clubs. Edu happy at the club with all parties hopeful of a positive conclusion. https://t.co/6SUuT0S6mk
— Sami Mokbel (@SamiMokbel81_DM) October 25, 2022
アーセナルに来た当初いろいろ云われるところもあったものの、なんだかんだ、いまこの現状を観れば、チームの移籍戦略をリードしている彼の功績は非常に大きいと云わざるを得まい。アルテタとともに、アーセナルを再構築するユースプロジェクトの中心人物でもある。
エドゥは現在アーセナルでハッピーということで、いま彼がクラブを去るようなことはちょっと考えられないが、彼もまた今後はわからない。ふさわしい契約を結ぶべきだろう。
<追記ここまで>
ということで、以上。
サカ、マルティネリ、サリバの新契約は今後もニュースに注目していよう。いきなり来るかもしれない。
おわり
これ成績急上昇のクラブにありがちなことで主力全員と契約延長できれば良いのですが
実は超高額な選手を1人だけ放出した方が長い目で見ると財政的にはうまくいくんですよね
サカはイングランド人&左利きなので放出したくないとなると
週給20万ポンド希望のマルティネッリを120億円で放出して
たとえばムドリクを60億円週給10万ポンドで獲得とか(難しいでしょうけど)
まぁCLを確定して主力全員契約延長もロマンがあります
夢がありますね。
これまでは4位にもなれないのに高給な選手が多数、それもシニア。
でもサカたちはこれからもっと成熟すること間違いなし。ビッグサイクルのためにもみんな延長してほしいですね。