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フランスリーグでブレイク中のフォラリン・バロガン。リーグアン公式ロングインタヴュー

今回のインターナショナルブレイク(IB)では、イングランドU-21招集をケガで辞退したと伝えられたあと、USに滞在していることが話題になっていたフロ・バロガン(21)。

云うまでもなく、彼は今シーズン、アーセナルからローン先のフランスリーグでここまで17ゴールと大ブレイク中。クラブでの、そして代表チームでの彼の今後にはすでに大きな注目が集まっている。

そんななか、リーグアンの公式サイトがバロガンのロングインタヴューを掲載していた。

こちらも興味深い内容だったので、昨日のエジルインタヴューにひきつづき、日本語訳して紹介しよう。



フォラリン・バロガンのロングインタヴュー by League1.com(2023年3月)

聞き手は、ジャーナリストのMatt Spiro。※小見出しは訳者による

フランスでの生活

(フォラリン、今回はインタヴューに時間を割いてくれてありがとう。いま人生を楽しんでいるかい?……)

バロガン:イェア。とてもいい。いまはこの経験をただ楽しんでる。毎日チームメイツに新しいことばを習ったり。とてもいいね。

(キミのような若い英国人が、プレイするためにフランスのような海外に出るのは大きな決断だったでしょう。このローンに同意した決め手はなんだった?……)

エイジェントや家族、それともちろんクラブからもたくさんのアドヴァイスがあった。でも結局、決め手は自分自身だった。ぼくはリスクを取りたいタイプなんだ。いつだって自分をプッシュするし、ぬるま湯からは出たい。そのほうが自分にとってもベストだとわかっているから。

(キミはここに友人もいなければ、知ってるひとすらいない。それでフットボールに集中できる?……)

ここで暮らすのは簡単じゃない。週末遊びに行こうみたいなことにもならないし。だからちょっとした孤独がある。でも、それに教えられることもある。自分の居場所がよりいっそういい場所になることを学んだし、大人になることに役立っている。

(Comment ça va le français?)

あー……  ぼくのフランス語を試そうとしているね?(笑)

ぼくらはいつもミーティングをしていて、相手を分析しているけど、ぼくも日に日にそれが理解ができるようになっている。まだいまもそれをぼくに訳してくれるひとたちもいるけど。コツはつかめてきたよ。でもしゃべるのは、まだちょっと難しいかな。

Stade Reimsヘッドコーチのウィル・スティル

(コーチは英語もフランス語も得意。われわれもトレイニングセッションを観せてもらったら、彼はキミがフランス語をうまく話せないことに苦言を呈していた。キミにとって彼はどんな感じ?……)

そうだね、ウィルはファンタスティック。あれよりいいものは望めない。あなたが云うように、彼はぼくが地元にいるかのように上手に英語を話すし、フランス語もここにいる誰とも同じように話す。だから、彼がいてよかった。

彼はすべての選手たちととてもとてもいい関係がある。彼はオランダの選手とはFlemish(※フラマン語)だと思うけど、それも話せる。すごいよ。それ以上称賛できない。

(キミは彼の下での生活を楽しんでいる。彼がチームにもたらしているものは?……)

ウィルはとても若いマネジャーで、ぼくがここに来たときはまだアシスタントだった。Oscar Garciaがクラブを去ってから、彼がヘッドコーチにステップアップした。彼はその役割をすんなり引き受けて、まるでもう随分長いあいだそれをやってるんじゃないかと思えるくらい、余裕でやっている。

彼は毎日ぼくを観ていて全然油断できないし、休憩もできなければ、インテンシティを保たねばならないこともわかっている。

(彼からの特別なアドヴァイスは?……)

彼には、リラックスしないよう励まされている。彼はぼくのポテンシャルを観ているのだろうし、ぼくにそれを叶えてほしいと考えている。だから彼は、単純にぼくにはできるだけ容赦なく、効率的になってほしがっている。

22-23シーズン、フランスでの成長

(キミは定期的にゴールしていて、強く、自信に満ちあふれているように観える。今シーズンは、自分が選手としてより成長したと思う?……)

初めてここに来てプレイしたことを思い出す。マルセイユ戦がデビューで、雰囲気はクレイジーだった。かつて経験したこともないようなものだった。そして、試合が進むにつれて、ぼくはどんどんチームに入っていけてると思った。フランス文化にもなじんできたと感じたし、フットボーラーとしてより成熟したと感じた。

つまり、それこそがぼくがここにやってきた理由で、それが観られはじめたことにぼくは満足している。

(マルセイユでのデビューは、さぞかし刮目したのでは?……)

イエス。あれはクレイジーだった。ゾンビアポカリプス映画に迷い込んでしまったみたいだった。これまで観たこともないもの。ぼくはイングランドでも敵対的な場所でプレイをしたことはあった。でも、間違いなくマルセイユのアウェイはとてもとてもクレイジーな試合だった。

(たしか試合は3-0で負けていたから、あのゴールは気休めにしかならなかったかもしれない。しかし、キミにとってはVélodromeに爪痕を残したという意味で非常に重要だった……)

攻撃の選手として、ファーストゴールが早ければ早いほど楽になるものだ。それに時間がかかるほどプレッシャーになりだして、巷でなにを云われているかが気になるし、いったいいつゴールできるんだと自分でも疑問を抱きだす。そして、そうなればゴールを取ることにがんばりすぎることになる。だから、あの最初のプレイで、デビューでのゴールはとても役立った。

(キミはフランスで3試合3ゴール。すぐに「これはいい選択だった」と思ったのでは?……)

そうだね。あなたが云うように3で3。自信を感じていたし、うれしかった。だから、喜びに満たされていたし、自分は正しい選択をしたんだと確信した。

あこがれの選手たち

(子どものころ、キミにはロールモデルになるような選手はいた? あるいはいま憧れている選手は?……)

ぼくはロナウドをよく観ていたよ。ブラジル人のほうの。YouTubeで何度も。

そのあとは、もっと最近では、PSGのエンバッペ。ワールドカップは、何週間か前にみんなと観たんだけど、つまり、彼のやっていたこと、あの若さで、それはすごいことだよ。彼はすでに勝者だ。彼の試合を観ると、効率的でもあり、ぼくも彼のようにやろうとしている。

(キミは、絶頂期のティエリ・アンリを観るにはちょっと若いかもしれない。でもキミがParc des Princesで彼と会っていたのを観ました。あれは特別な時間だった?……)

そうだね。もちろん。彼のことはそれ以上褒めきれない。ぼくがアーセナルのユースチームにいたとき、彼がぼくらをコーチしに来てくれる日があったんだ。フィニッシングのエクササイズをやってくれた。ぼくは、たしか12か13才。そこで彼がみせてくれたフィニッシュのいくつかは、それまで観たこともないものだった。

だから、ぼくは彼のことはずっと憧れだ。ぼくが最初にアーセナルに行ったとき、クラブで彼がいかに大切にされているかわかった。

(Auxerre戦でのゴールは、ちょっとティエリ・アンリを彷彿とさせました。あるいはエンバッペですら。キリアンも、左から入ってくるスタイルに慣れているから……)

ぼくはそのふたりの選手を観てきたし、そうしたフィニッシュになっても驚きはない。ふたりともあれがかなり得意だ。彼らはふたりともテクニックをマスターしている。Auxerreでは、ぼくはあのポジションにはいって、それは練習していたことでもあるんだ。だから、あとは望んだように実行できるかどうかだった。身体を開いて、コーナーにボールを入れるだけ。

(差し支えなければ、PSG戦の前にアンリから云われたことを教えてもらえませんか?……)

彼からは、ただ向かっていけと云われた。自分を信じろと。裏へのランも奨励していた。それが相手のバック4に問題を起こせるから。

そういうことを試合前に聞けるのはいつだっていいものだ。それ以外にも20-30分くらい深い会話もした。フランスでの生活とか、今シーズンぼくがなにを達成したいかとか。

(試合後には彼と写真も撮っていた……)

そうだね。友だちもそれをほしがってたし。試合前に彼と話していたときに約束していたんだ。写真をいっしょに撮ってくださいと。

PSGでの95分劇的イコライザー

(Reimsが1-0で負けているParc des Princesで、インジャリータイムに入ったときは、どんな気持ちになっていた?……)

ぼくは、つねに最後の最後まで集中していようとしている。それで、そうだね、最後のギリギリにロングボールが来て、ぼくらがセカンドボールを奪った。あれはウィルがシーズンを通して、ずっとミドフィールダーたちに奨励してきたことなんだ。

幸運にもKamory [Doumbia]がそれを前に出すことができて、あとは歴史さ。

(キミがParc des Princesを独走していて、ドンナルンマがスプリントしてきたときは時間は止まっていた?……)

あれはあっという間の出来事だったと思う。ぼくはたくさんのことを考えて、どこへ向かえばいいのか、チップすべきなのか、あるいは回り込むべきなのか、自分でも気づいていなかった。1 v 1になったときには、頭のなかをたくさんのことが駆け巡った。

(キーパーを避けることができたとき、あそこでもうゴールは決まったとわかった?……)

いや、まだ安心はできない。トレイニングでもキーパーをかわしてリラックスしていると、誰かがライン上でクリアすることはあるから。それかcheekyなフィニッシュを試す。

でもそうしたことは、ぼくはもっと大人になってから学んだものなんだ。最後まで仕事を完了させること。だから、ネットにスマッシュすることができた。

(あれはキミのキャリアでこれまで最高の瞬間だった?……)

そうだね、それは試合が終わるまで気づかなかった。自分の家に帰って、友人のひとりからテキストがあって「あれはたぶんおまえのこれまでのキャリアで最大のゴールだぞ」と。ぼくのほうは「そうかもしれないな」みたいな。

ゴールを量産

(そのたった数日後にはキミは初めてのハットトリックをやった。あれはドミノ効果だったと思う?……)

その可能性はあるだろうね。でも、ぼくがあの試合のあとで覚えているのは、ぼくらがLorientの準備をしていたとき、チーム全体がすごく疲労していたんだ。パリの試合で入れ込みすぎてね。でも、その疲労はマインドセットだとわかった。

(あの3点のなかでいちばん好きなのはどれ?……)

最後の。あれはほんとにほんとにいいゴールだった。RVPのゴールを観ていたのを思い出した。あのゴールはそれにちょっと似ていた。

頭上からボールが来て、それを追いかけて、あとはいいコンタクトをする。あれはよかったな。

(キミのゴールの多くは正しい場所にいて、そこから襲いかかるというもの。あれは本能?……)

ぼくは、ボックスのどこにいるべきか分析することにはかなり時間をかけてる。どこでスペイスを見つけられるか。自宅でフットボールの試合を観るときですら、もちろんファンとしてただ楽しんで観ている部分もあるけど、なぜある選手につねにボールが転がり込んでくるのかも観ている。そういうことを自分でやっているんだ。

(フランスで14ゴール以上とった最後の英国人は誰か知ってる?……)

さあ。

(グレン・ホドル。1989年のこと……)

Wow。それは知らなかった。

(だいぶ昔のことです。彼はその年モナコで18ゴール取った。このリーグでトップスコアラーになることは、キミの目標?……)

いや、それはぼくの最初から設定していた目標じゃない。ぼくの目標はただ10ゴール以上だった。でももちろん、目標を達成したらあらたな目標ができる。

ぼくはここで座っているつもりはないし、ウソをつくつもりもない。もちろんそれはぼくの考えに入ってくるだろう。どの試合のあとでも、ぼくはもっとトライし、もっとゴールしたいと思う。そして最終的にぼくがトップにいるなら、それは当然うれしい。

アーセナルについて

(今シーズンのアーセナルは観ている?……)

イェア。観ないでいるのは無理。携帯をつけるときはいつも彼らのスコアを観るし、友人もいるからいまも話したりする。そうだね、彼らについては興奮しているよ。

彼らの多くがとてもハードにワークしているし、それはぼくもプリシーズンでも観てきた。彼らはいまあそこにいるのにふさわしい。彼らが一線を越えることができることを望んでいる。

ぼくはブカヨといっしょに育ってきたから。13才か14才くらいから。彼がファーストチームで達成していることを観るのは、インスピレイションになる。

(理想的にはキミはここでゴールを重ねることがチャレンジであり、アーセナルに戻ったら自分を試す?……)

そうだね。契約ではぼくは戻らねばならない。なぜならローンは一年間で、そういう約束だ。

でも、ぼくも将来に何が起きるかはわからないというか。フットボールではいろんなことが起きうる。たくさんのことが変わるし、だから、夏にクラブとの話し合い次第だ。何がおきるか観てみよう。

(フランスでの将来もありえる? ほかの英国人選手たちにこのリーグでトライするよう勧める?……)

そうだね、どんなドアも閉じてはいない。もちろん、ぼくはここでいい年を過ごしていて、多くのひとにとっても、ぼくがここに戻ってくることは理にかなっているのだろう。だから、ぼくも将来がどうなるかわからない。

でも、間違いなく若い選手たちにはここに来るようアドヴァイスするよ。ここはとてもとてもタフなリーグで、成長を助けてくれる。クレイジーな雰囲気でプレイもできる。もし、ぬるま湯から出る準備ができているなら、ぼくはどんな若い選手にもここへ来るようおすすめしよう。

(フロ、ありがとう。それと残りのシーズンもグッドラック……)

どうもありがとう。こちらこそ。

以上。長い。

※コメントくださるかたにお願い
プレヴューエントリでは、試合の結果がわかるようなコメントはお控えください
お互いリスペクトしあって楽しく使いましょう

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