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セスク・ファブレガスが現役引退

セスク・ファブレガスが現役引退というニュース。彼ももう36才になっていた。今年はアーセナルのインヴィンシブルチーム20周年ということで、彼はあのとき16才。

Ex-Arsenal and Chelsea midfielder Fabregas retires

彼はここしばらくはイタリアのセリエB、Comoというクラブでプレイしていて、2年契約が終わったところでリタイヤとなったそうな。今後は、Comoのリザーヴとユースチームのコーチを始めるということ。

アーセナル、チェルシー、バルサといったビッグクラブ、あるいはスペインNTでも活躍した、かつてのスター選手のリタイヤには、フットボール世界も大きな反応を観せている。



セスク・ファブレガス本人のコメント

twでは、英語とスペイン語でファン向けにメッセージを送っていた。

ぼくもブーツを脱ぐときが来てしまって、すごく悲しい。

バルサでの初日から、アーセナル、バルサ、チェルシー、モナコ、そしてComo。すべてを宝物にする。

ワールドカップ、ユーロを掲げたことから、イングランドとスペインですべてを勝ち、ほとんどのヨーロピアントロフィを取ったことまで、それはわたしがいつまでも忘れない旅だった。

わたしを助けてくれたすべての人たち、チームメイト、コーチ、ディレクター、プレジデント、オーナー、ファン、そしてエイジェント。家族のみんな、わたしの両親からきょうだい、妻と子どもたち。わたしは、あなたがたの助言、メンターシップ、ガイダンスに感謝する。ぼくをノックさせようとしてきた相手選手にも。ぼくを強くしてくれてありがとう。

もうすでに価値があるなんてもの以上の素晴らしい思い出や、友人をつくった。それにわたしは3つの言語をおぼえたことで、より思いやりを持てるようになったし、分別がつくようになった。

わたしは、100万年かかっても思いもよらない経験を生きた。

でも、悲しみばかりというわけではないんだ。わたしはこれから白線を超えて、Como1970でBチームとプリマヴェーラチームのコーチングを始める。クラブとプロジェクトは、わたしがこれ以上ワクワクできないようなもの。このチャーミングなフットボールチームは、ひと目見たときからわたしのハートをがっちりつかみ、わたしのキャリアのなかで完璧なタイミングで来てくれた。わたしは両手でそれをつかむ。

犠牲、奉仕、喜びに満ちた20年という素晴らしいときが終わり、この美しいゲイムにありがとうとさよならを云うときが来た。

すべての時間を愛していました。

Cesc

ヴェンゲルさん、レオ・メッシ、ティエリ・アンリといったフットボールワールドの大物たちが、彼のリタイヤにメッセージを寄せている。

とにかく、お疲れさまだ。

最後の古典的No.10

全盛期のセスク・ファブレガスといえば、もちろんクリエイティヴなMF(チャンスをつくるひと)の代表的な存在であり、そのプレイのスタイルにはファンも多かった。いまの若いフットボーラーたちが、彼へのあこがれを口にすることもしばしばある。オーデガードもそう。

そして彼自身もまた、彼がキャリアの多くを過ごしたであろうポジションである「No.10」について、特別なこだわりを持っていたという印象がある。ポジション自体の独自性や時代性に非常に自覚的だった。

そのことは、以前にこのブログでも書いた。

「この10~15年といまの選手はどこが変わった?」セスク・ファブレガス氏の質問 | ARSENAL CHANGE EVERYTHING

エジルがリタイヤしたときにも強く感じたことだが、ファブレガスのリタイヤもまた長い目で観れば、「古典的No.10」時代の終焉のひとつかもしれない。

セスク・ファブレガスの今後。コーチで成功できるか?

さて彼の今後について。

とりあえずは、彼はセリエBチームのBチームからコーチ業を始めるということで、往年のスター選手にしてはなかなか慎ましいスタートに思える。

グアルディオラはバルサBでスタート? アルテタなんかいきなりアーセナルである。

そういえば、彼はちょっと前にもロンドンコルニーに滞在していたことがあって、あれはきっとコーチの研修として訪れていたのだろう。駆け出しのコーチがいまのアーセナルで学ぶべきことはたくさんありそう。インヴィンシブル時代にともにMFでプレイしたエドゥとは、いまもいい関係があるのかもしれない。

アルテタとの関係については、いま調べたらちょうど2011夏、ファブレガスはバルサへ移籍すると、その直後にエヴァトンからアルテタが来ていて、まったく同時期の入れ替わりだった。

そして、もちろんアルテタは、ファブレガスを含めたMF黄金期だったスペインNTに招集されることもなかったため、彼らは同じチームでプレイすることもなかったという。アルテタは、のちにスペイン代表にかなり近づいていたと述べていたので、これはニアミスといってもいいのかもしれない。

さて、スター選手が引退後にコーチになるにあたっては、毎回のように「優秀な選手が優秀なコーチになるわけではない」というお約束のせりふが思い出されるわけだが、ファブレガスはどうだろうか。

今回の引退発表の数日前に、『The Coaches’ Voice』がセスク・ファブレガス編をアップしていて、彼のフットボールコーチ観がかいま見れる。

こうして彼がかつて自分がプレイしたアーセナルチームをお題にして戦術的なことを語っているところを観ると、やっぱりMF(CM)がコーチにいちばん近いポジションと感じずにはいられない。グアルディオラもアルテタも元CMであり、ピッチのうえでつねに攻守全体のことを考えている選手がコーチになりたがるのは自然な流れのように思える。

ファブレガスにとって、同じスペイン人で大成功しているアルテタがコーチとしてのロールモデルになるであろうことは想像に難くない。彼のようなタイプの元選手の理想が、現在アルテタがやろうとしているフットボールとそう遠いとも思えない。もちろん、アルテタは、彼だけでなく世界中にいるいまの若いコーチにとってのロールモデルだろう。

今後、ファブレガスがコーチとして、どんなキャリアを築いていくのか。アルテタのそれと比較して観ていくのもおもしろいかもしれない。

 

最近、彼の姿はTVパンディットとしてもよく見かけていたので、このニュースには個人的には「まだ現役だったんだ……」なんて思ってしまった。

というか、彼のアーセナル時代を観てきたファンには云うまでもないことながら、彼の存在というのは、われらにとっては非常に複雑なのだよね。大好き!だけではない。

アーセナルでキャプテンまでつとめていた絶頂期に、古巣のバルセロナへ復帰。あのときの去り方もあるし(まだアーセナルの選手だったにも関わらず公の場でバルサのシャツを着せられたりとか)、その後にはロンドンのライヴァルチームであるチェルシーに移籍したり。そこで活躍したり。

彼にはいまだに愛憎いりまじった複雑な感情を抱いているアーセナルファンも多いと思う。ぼくもなのだよね。2011のあの移籍に裏切りを感じたとき以来、彼を「セスク」とファーストネイムで呼ぶことになんだか抵抗がある。

まあ、いまとなってはどうでもいいことだけど! あのときは愛していたから!

ということで、ファブレガス氏。お疲れさま。

彼が現役をリタイヤしたということは、今後はわれらもパンディットやコメンテイターとしての彼に触れる機会も増えるだろう。ぜひ、アーセナルに愛情たっぷりのコメントを心がけてほしい。

 

おわる



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