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アーセナルはジャカを売る必要がない!? 23-24プリシーズン目前でスクワッドプランニングに異変か

ひさしぶりでエントリを連発している。いつも読んでくれてありがとう。

さて、順調にことを進めているように見えるアーセナルの移籍ウィンドウで、週末はちょっと気になるニュースがあった。

それは、『The Athletic』のある記事のなかでのArt de Rocheによるコメント。この夏の各PLクラブの売却必要性にふれるなか、「アーセナルにはジャカを売る<必要性>はない」と言及されていて、これが話題になっていた。

アーセナルはジャカを売る必要がない?

これは、ほんとうならちょっとしたニュースではないだろうか。

今回は、それを踏まえて、今日(7月3日)にはプリシーズンが始まるということで、現時点でのアーセナルのスクワッドプランについて考えてみたい。



「アーセナルはジャカを売る必要はない」by Art de Roche

くだんのコメントはこんな感じである。アーセナルでは得られないだろうFWのファーストチョイスを求めるフォラリン・バロガンの売却必要性につづいて、こんなことを述べている。

それ以外では、バイヤー・レヴァークーゼンのグラニト・ジャカ獲得は、6月初旬からいまだに止まっている。もっとも、アーセナルのデクラン・ライス獲得は進んでいるので、それに合わせて動く可能性はあるが。

そうであるにせよ、アーセナルの観点からはジャカを売却する「必要性」はない。

キーラン・ティアニーの売却も資金増加に寄与するものであるが、このウィンドウではまだ時期が早い。

なんと。

この夏にアーセナルが彼を売却しなくてもよいというのは、契約状況からしてもたしかにそうかもしれないが、ジャカ本人ですら、すでにチームにもファンにもお別れを告げたというのに。

ちなみに、このArt de Rocheは、The Athleticでオーンステインらとともにアーセナルをおもに担当するメインライターのひとりであり、信頼のおけない書き手ではない。と思う。

そういえば、この発言のすこし前のタイミングで、レヴァークーゼンはジャカに£13m(€15m)というバーゲンプライスではなく、もっと多く支払う必要(£20m)が出てきたと報じるメディアもあった。それもアーセナルのジャカに対するスタンスの変化を示唆する記事だったかも。

もともと、アーセナルはライスの契約成立を待ってから、ジャカの移籍を認めるというようなことがよく云われていたので、それがここから数日以内で決まれば(昨日は撮影セッションのリークもあり発表も時間の問題か)、自ずとジャカの移籍も進むと思われていただろう。

それがここへ来て、ジャカのアーセナル残留がありえると? これにはけっこう驚いた。

ジャカがアーセナルに残る理由はある

だが、云われてみればジャカがアーセナルに残る可能性は、わりとあるような気がしないでもない。その理由はいくつもある。

ひとつは、移籍金。

選手の売却に£50mや100mを要求することがこんなにもふつうになってしまったインフレしたフットボール世界で、9月に31才になるといえどジャカの£13mという移籍金は果たして適正だろうか? 仮にも前シーズンはPLのベストMFのひとりだった漢が。

今年の夏は、サウジアラビアというあらたなプレイヤーも現れて、マーケットに大きな影響を与えているということもある。あきらかに、選手がより高額で取り引きされる機会が拡がった。

彼とアーセナルとの契約は2024年までの残り1年ながら、アーセナルは1年の延長オプションを持つと云われる。クラブはそれを行使することなくジャカの移籍を認めると云われていたのだが(クラブの功労者への配慮?)、もしアーセナルがジャカを引き止めたいのなら、その権利を行使すれば、今年キープしても来年の夏もいまとおなじ残り契約1年の状態は保てる。

彼の残り契約と受け取れる移籍金とチーム状況を考えて、「もしかして、いま急いで売る必要はないのでは?」とアーセナルが気づいちゃっても、それほどおかしいことでもないのかもしれない。気づいちゃったのならしょうがない。

それと、もちろんジャカが残るならそれがもっとも大きな理由だろうが、23-24はアーセナルにとって近年最大のビッグシーズンになるということ。去年があんなシーズンだったので、つぎは当然期待が大きくなっている。

この夏の投資への姿勢を観ても、アーセナルFCは本気みたいである。いろいろと。

そんな超絶重要なシーズンにおいて、ジャカという選手の存在はピッチのなかと外で大きなメリットになりうる。多大なプレッシャーもかかるだろう新シーズン、ジャカのようなビッグプレイヤーがチームにいることは、アルテタらコーチたち、それに若い選手たちにとっても間違いなく大きな安心になる。

そして、そのことがジャカ自身を心変わりさせる理由にもなりうるんじゃないか。まだフットボール世界の中心にいられる。

彼のドイツクラブ移籍においては、家族理由が大きな動機のひとつだと云われていた。だが、彼もまた本心ではアーセナルが望むならまだいっしょに旅をつづけたいと思っていたのではないだろうか。そもそもアーセナルであれだけ苦労して、やっと成功しそうなこのタイミングでクラブを離れるとか、美談にもほどがあるとは思っていた。

UCLだってある。アーセナルでようやく手に入れたCLでプレイする権利。フットボーラーなら誰しもが夢見る大舞台。彼のようなキャリア終盤を迎えている選手にとっては、とくに魅力的だろう。長期契約を交わすことになるだろうレヴァークーゼンで今後CLでプレイできる保証はない。あらためてクラブに慰留されたとき、彼はCLの誘惑に抗えるだろうか?

もし、退団確実と観られていた彼がここへ来てほんとうにアーセナルに残るなら、それは彼にとって初めてのことではない。ファンと決裂し、スーツケースまで用意してのぞんだアルテタとの面会で、その場でアーセナル残留を決意した劇的なエピソードは本人が語っていたとおり。

あのときも、すべての決まっていたであろう予定をグラニトは覆した。アーセナルでもう一度チャレンジしようと翻意した。今回もそれがないとは限らない。もしアーセナルが心変わりするのなら。間違いなく彼の最大の理解者のひとりであるアルテタが彼をほんとうに望むのなら。

ライスの発表があったあと、それでも彼がプリシーズンにチームに合流するのかどうか注目しよう。それが彼の去就についての大きなヒントになるはず。

Granit Xhaka doing his “I am leaving Arsenal” gimmick every summer
byu/Tarp96 inGunners

ジャカ残留のスクワッドプランニングへの影響

これはけっこう小さくない。

直接的な影響がありそうなのは、もちろん彼が22-23でプレイしていた左8。

そこには新加入のカイ・ハヴァーツが入りそうだが、もしジャカが残るなら彼はジャカとポジションを争うことになり、すでにポジションとロールにフィットしているジャカは、彼にとりなかなかのライヴァルになる。

それと、そこからさらに追い出されるかたちになりそうなのがESR。ちまたで新シーズンの左8候補と云われる彼は、ジャカが残るなら、そこではせいぜいサードチョイスになってしまいそうだ。仮にLWとしても、マルティネリとトロサールがいる以上、似たような状況。

彼は先日の『The Sun』の独占インタヴューで、新しいシーズンにMFかワイドかどのポジションでプレイすることになるか、まだはっきりわからないと述べていた。ちなみに彼は、このオフシーズンもイングランドU-21でプレイしているためチームへの合流はかなり遅れるはずで、それもチーム定着にはよくない材料ではある。

もし、ESRがあまりにもプレイタイムが限られる場合、シーズン後半はローンに出るなんてこともあるかもしれない。

あとは、もちろんMFの補強にも影響がありそうだ。

この夏のアーセナルはふたりのMFを狙っているというのが通説で、デクラン・ライスがほぼ決まったいま、あとひとりをどうするかは注目されていた。

最近はサウサンプトンのロメオ・ラヴィアは、リヴァプールが熱心に交渉をしているようで、いっぽうのアーセナルはセインツが彼に要求する£45mや50mのような移籍金を支払うつもりがないというニュースもあった。

ブライトンのカイセドはとっくにアーセナルの予算レンジから外れているだろうし、もしかしたら、このあたりがアーセナルがジャカ残留に傾いている理由でもあるかもしれない。コストパフォーマンスは比べものにならない。逆にそちらの財政理由のほうが強いかも?

ライスももっと安価で決まることが期待されていただろうし、カイセドもそう。それに対応できる予算があったとはいえ、予想以上に資金を使わされている面はありそうだ。

もうひとりのMFの補強は、パーティ次第ということもよく云われている。彼もアーセナルに残りそうだとか、サウジクラブが相変わらずプッシュしているだとか、いろいろな憶測があり、現時点でどうなるかがいまいちわからない。

個人的には、ジャカとパーティと両方のシニアCMをチームに残すというのは、アーセナルにとって悪くない選択だと思う。この夏のタイミングでこのふたりと袂を分かつ選択も、将来に向けた積極的なスクワッドビルディングとして評価できるとは思うが、もしそうでなくとももちろん最悪ではない。すくなくとも、それによって22-23シーズンの安定は維持できるだろうし、結果的にそこが違いになるかもしれない。新シーズンのタフさを想像するに、より無難なオプションではある。

もちろん、彼らへのオファーの内容次第ということでもあるだろう。9月1日のクローズまで、夏ウィンドウにはまだ長い時間が残っており、ここからよりよい条件のオファーが届くなど事態が変わることは大いにありえる。

いずれにせよ、もしこの夏、ジャカがアーセナルに残ることになれば、多くのファンは歓迎するに違いない。

どうなるか観てみよう。

 

おわり



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