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【マッチレビュー】23/24 EPL エヴァトン vs アーセナル(17/Sep/2023)グディソン・パークで6年ぶり勝利

試合の論点

エヴァトン vs アーセナルのトーキングポインツ。

アーセナルがグディソン・パークでの悪い記録を終わらせる

ついに。おめでとう。

2017年以来6年ぶりの勝利。ヴェンゲルさん末期から、エメリ氏も一度も勝てず、アルテタも一度も勝てていなかったグラウンド。

でも、終わってみればこれがふつうという感じが非常にするな。呪いというだけあって、ようやく正常に戻ったんじゃないか。

たしかに、この試合で彼らはよく守ったし、アーセナルはボールを持ちつづけてもなかなかゴールはできなかったから、なにかの間違いでアーセナルがポインツを落とす可能性もありえた。

だが、試合内容を考えれば、まあ10回やって7-8回かそれ以上はアーセナルが勝ちそうな内容だろう。そして、それがいまのお互いのフェアなクオリティ差に思える。リーグトップを競うチームと、リーグ残留を競うチームとの差は小さくない。

PLではどんなチームだって勝てるというのがお約束の言説で、そうした試合もあるにはあるが、多くの試合ではそうならないから、われわれはテーブルで違う場所にいる。

アーセナルは、エヴァトンがコーチが代わって生まれ変わるでもしないかぎりは、もうしばらくグディソン・パークで敗けることはないんじゃないだろうか。

これでお仕事完了である。勝ててよかった。

ここでラヤ抜擢、驚きのGKローテイション。アルテタはパイオニアに?

アーセナルが夏にダヴィド・ラヤを獲得したことは、フットボール世界でも大きな議論になった。

チームに優秀な、それこそバロンドールのGK版にノミネイトされるようなNo.1がすでにいながら、もうひとりあきらかなNo.1候補を連れてきたこと。その型破りさ。以前このブログでも紹介したピーター・シュマイケルのようにネガティヴな声も少なくなかった。

それによって、アルテタはGKすら相手に合わせてロテイトするんじゃないかと云われていたが、ついにここでやった。ほんとにやっちゃったよ。

このことについて試合後会見で問われたアルテタは、それは以前から持っていたアイディアだったことを明かした。GKだってアウトフィールド選手のように、ロテイトすればいいじゃないかと。かつて、それをやる勇気がなかったことを後悔していると。

それを実際やってみてどうだったか。控えめにいってもかなりよかったんじゃないか。この試合のラヤは驚くほど落ち着いていて、アルテタが彼を使いたい気持ちはよく理解できたと思う。

ラムズデイルとのスタッツ比較では、優秀なラヤについて、チームでの違いもあるという見方もあったものの、初めてアーセナルのチームでプレイするラヤはとてもチームプレイに合っていたし、クオリティも高かった。

とくにビルドアップフェイズでの貢献は際立っていただろう。相手FWのプレッシングを受けながら周囲の選手たちとよく連携して、パスも正確(94%)、得意のロングボールでもクオリティを示した(7/9成功)。

もちろん、この試合ではゴールが脅かされるシーンはほとんどなかったので、ショットストップなどのテストにはならず、その点でGKの総合力でラムズデイルと比較するにはまだ早すぎるが、ひとまず彼がアーセナルでGKに求められているだろう資質を持っていることは存分に証明された。

アルテタは、今後もGKを試合によって変えていくようなことをしていくのだとすれば、革新的だと思う。

しかし一方で、これはもしかしたらいずれビッグクラブの日常になるのではないかという予感もある。多くのビッグクラブでは大金をかけてあらゆるやりかたを模索しスクワッドを築き、すでに選手は飽和しているようなクラブもあるが、ふたりのNo.1を抱えるというやりかたは、多くのビッグクラブにとっても新しいやりかただろう。まだ未着手の、可能性ある領域。

慣習として?これまでは避けられていたそのやりかたがもし許されるなら、財政的にもビッグクラブが真似をしない手はない。No.1になにか問題が起きたときや休ませたいときのカップ戦で、あきらかに実力の劣るNo.2で競争力を落とさずに済むという恩恵は大きい。

もしこのやりかたを採用するクラブが出てくれば、アルテタはそのパイオニアになるかもしれない。誰かが云っていた「優秀なマネジャーは発明をするもの」。師弟関係もあり、なにかと「ミニペップ」のような云われ方をされがちなアルテタだが、これが彼の編み出したユニークなやりかたのひとつとして認められていけばと思う。

今後の問題は、GKをロテイトするのはいいとして、ラムズデイルとラヤをどう使っていくか。

今回は正直かなりよかったので、このままラヤがNo.1に落ち着くということも想像できなくはないが、それだったら、GKのロテイションではなくただのノーマルな競争があったというだけのことである。当然ラムズデイルもそんな状況を許したくはないだろう。

たとえば、レノとラムズデイルのように、もしふたりがそれぞれでもっとわかりやすい強みを持っていれば、アルテタも使い所に迷わないだろうが、ラムズデイルとラヤだと強みも似ていて、ふたりを併用していくとしたら、彼らをどうやって決めていくのかは興味深い。さしあたっては今週から始まるCLはどうするのか?

むしろ、これまでのアルテタのやりかたを考えると、優秀なほうをNo.1に固定するほうがありえそうな気がしてしまう。

GKのセレクションは、今後どうなるか注目しよう。

VARによるマルティネリのゴール取り消しの妥当性

18分のマルティネリのティエリ・アンリっぽい美しいゴール。VARによって、ビルドアップ部分でエンケティアにオフサイドがあったという判定で取り消された。

VARのアングルが悪いとか、あのあともアーセナルのファンはいろいろ文句を云っていたが、まあそれは置いておいて。

そもそも、あの一連のプレイの発端になったのは、ビッグガビの横パスが相手FW(Beto)に遮られてのディフレクションからで、アレがオフサイドルールに抵触するのかどうかがぼくには疑問だった。

ガビがエディにふつうにパスをしたのなら、オフサイドの疑問の余地はないと思うが、あきらかに彼にはエディにパスする意図があったようには観えなかった。

『Sky Sports』の試合レヴュー記事では、こんなふうに説明されていた。

Betoの介入はガブリエル・マガリャエスの横パスのコースを大きく変えたが、PGMOLのルールでは、ディフレクションは意図的なものでなければならず、それは選手がボールをコントロールしていると定義されており、Betoはコントロールしていなかったとみなされた。

つまり、問題はBetoのディフレクションが意図的ではなかった(ボールをコントロールしていなかった)ということらしい。だからその前のガビのタッチが問題になる。もしあのディフレクションが意図的(パス)だと解釈されたら、それは相手チームのパスのミスであり、エディのオフサイドはなかったという。

へえ。ガブリエルの意図性は問題にはならないのか。そりゃそうか。

もう一度同じような状況があったら、どういう判定になるか注意深く観ていよう。あれがVAR事案にならなくても、なんだかそのままそういうもんかと思ってしまいそうである。

ヴィエラのこれから

驚きの抜擢だったファビオ・ヴィエラ。彼はけっこうよかったのでは。HTには、前半のベストプレイヤーという声もあった。マルティネリのゴールが認められれば、さらにアシストも記録していた。

ただ、わりと試合から消えてる時間帯もあったし、右8のオーデガードの存在感を思うと、左8として彼がやるべきことはまだまだ多い。シュート技術がかなりある印象の彼ながら、今回はフィニッシュも冴えなかった。ショッツ4でSoTはゼロ。

アルテタが今回彼のスタートを決めたのは、ここまでの試合のサブからの貢献のおかげだろう。PLが始まってから、タフなアーセナルライフを送っているハヴァーツを一度休ませたい意図もあったかもしれない。代表義務もなかったヴィエラはハヴァーツよりも肉体的にはフレッシュではあった。

彼は、これからこのチャンスをどう活かせるか。

そして同時にESRやネルソンにも早くそうしたチャンスが訪れることを期待してやまない。ヴィエラのようにアルテタの見る目を変えるためには、まず試合でプレイしないことには話にならないのだから、せめてCLではそのための時間を与えてほしい。

マルティネリのケガで、彼らのチャンスはどの程度増えるだろう。非レギュラーの選手は、結局そうした機会を活かすよりない。

 

試合については以上

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3 Comments on “【マッチレビュー】23/24 EPL エヴァトン vs アーセナル(17/Sep/2023)グディソン・パークで6年ぶり勝利

  1. キーパーのローテーションはブライトンを見倣ったんだと思います。向こうは去年から。後半多少修正したように見えたけど、ライスは放っておくと動きすぎてしまうのでしょうね。そこが直らない限り、ずっと攻撃が停滞した試合が続いてしまう。あとラインブレイクをアドリブではなく、しっかりと戦術に組み込まないと。

    1. すみません、試合中にGKをということですかね。それなら確かにびっくりです。

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