やあ、どうも。ウィンターブレイクで静かなウィーク。
と思ったら、この期間もカップ戦があったりして、PLクラブでも長いブレイクになっていないところもあるんですな。それは気の毒に。
アーセナルは現在ドゥバイキャンプ中で、昨日はジュリティンのトレイニング映像が話題になっていた。動いてる。まあ、おっかなびっくりではあるか。
Timber stepping up his rehab 💪
📺 Go inside training and watch the full behind the scenes in Dubai 👇
— Arsenal (@Arsenal) January 11, 2024
満喫。
いっぽうの冬ウィンドウのほうは、いたって静かなものだ。
昨日デイヴィッド・オーンステインも「アーセナルはこのウィンドウで積極的になりそうにない」とあらためて述べていた。もし財政的に余裕ができても、まずブレントフォード(ラヤ)にそれを使う約束になっているのだとか。
だから、金になる誰かを売らないかぎりメジャーなサインは無理だろうし、いまのデプスで金になりそうな誰かを売っている余裕はない。
そんななかで、アーセナルにとってはまた新たなストライカーとのリンクが報じられていた。
Arsenal eye £50m-rated Bologna striker Joshua Zirkzee
トミヤスの取引でお世話になったイタリアのボローニャでプレイする22才のダッチストライカー、Joshua Zirkzee(ジョシュア・ザクシー)。元バイエルンで、今シーズンのセリエAで注目の選手だそうで。
今月アーセナルが動くことはないだろうが、ちょっと興味深い選手。
今回は彼についてすこし。
アーセナルがJoshua Zirkzeeに興味 by The Telegraph
昨日の『The Telegraph』(Sam Dean, Jason Burt)の記事を要約。
- アーセナルがボローニャのJoshua Zirkzeeに興味を持っている。アルテタのチームの攻撃を強化できるターゲット候補として注視
- 最近のゴール問題で、アーセナルのFW必要性は最近とくに高まっている。エディ・エンケティアの長期での将来も不確か
- Zirkzeeは、今シーズンのボローニャで22試合でG8 A4(※すべてのコンペティション)。193cmの長身はアーセナルのチームに違うタイプのオプションになる
- Telegraph Sportはボローニャの要求額は£50mあたりとみる
- アーセナルは1月のビジネスにオープンだがFFPに要注意
- クラブのなかでは、現在のスクワッドは全員がフィットすれば非常にバランスがよく、新しい補強はチームを格段に強化する選手でなければならないと考えられている
- 先週アルテタは1月に新ストライカーを取ることは「非現実的」と述べた
- したがって、実際にZirkzeeに動くということは当初の興味以上のステップアップになるため、夏のほうが可能性がある
- ボローニャは今月Zirkzeeを売る気はない
- SDのMarco Di Vaio「彼のリリースクロウスはバイエルン・ミュニックだけに有効」と述べている。バイエルンは彼がティーンエイジャーのときにフェイエノールトから獲得したクラブ
- Zirkzeeは、バイエルンで17試合でG4。そのあと21/22シーズンはローン先のアンデルレクトで47試合G18。ボローニャに£7mで彼を買う決心をさせた
- Zirkzeeは、オランダユースのレギュラーでもある。U-21では19試合でG7
- Zirkzeeは、アーセナルが注目している唯一のオランダ人ではない。アヤックスのDF、Jorrel Hatoも
Who is Joshua Zirkzee?
基本プロファイル。以下、TMより。
名前: Joshua Orobosa Zirkzee
誕生日: May 22, 2001 (22)
身長: 193 cm
国籍: Netherlands Nigeria
ポジション: Attack – Centre-Forward
利き足: right
代理人: Sports Invest UK ltd
所属クラブ: Bologna FC 1909
加入: Aug 30, 2022
契約: Jun 30, 2026
基本的にセントラルFW。TMによると、今シーズンはセカンドSTとしてもすこしプレイしているようだ。過去には、RWとしてプレイしていた時期も多少ある。
もっとも目を引くのが高身長。193cmはカイ・ハヴァーツと同じ。
国籍はオランダとナイジェリアで、彼はまだオランダのシニアチームに招集されたことがないようなので、ナイジェリアを選ぶ可能性もあるのかも?
足は右足ながら、両足使いが彼の長所のひとつになっている。
ボローニャとの契約は、夏で残り2年。そこが彼らの売り時になる。
ところで、これを書きながら発見をしてしまった。彼のエイジェントはSport Invest UKで、どっかで聞いたような?と思ったら、KJことキア・ジューラブシアンの会社だった。アーセナル的には、ダヴィド・ルイス、ウィリアン、セドリックの代理をしている会社。今回の件はアーセナルファンのあいだでもけっこう話題になっているが、KJのことはみんな見逃しているかも。エドゥはKJとつながりがあるから、今回のリンクもその影響があったりして。
クラブ遍歴は、フェイエノールトユースから2017にバイエルンユースへ。2020にバイエルンのファーストチームに昇格すると、その年の冬にパルマにローン。2021/22はアンデルレクトへローン。2022にボローニャに売却された。
ナショナルチームは、オランダユースの各年代に選出されている。ユースチームでは、彼と同年代のジュリアン・ティンバーが彼といっしょにプレイしていた時期がある。
彼の現在のMVは€30m。
ジョシュアのひととなり。去年末にアップされた映像。バスケが好きで音楽やスニーカーが好きという、いまどきの22才っぽい若者である。
Joshua Zirkzeeの発音
名前の発音については、いくつか映像を確認して、ぼくはジョシュア・ザクシーと呼ぶことにした。カタカナ表記ならザークシーのほうが忠実かもだけど、Zirkzeeのzeeのほうが強調されてザクシーに聞こえるような。日本人的には、結婚情報誌の『ゼクシー』が近いと思う。
語感は英語のsexyにも近く聞こえるので、彼が英国に来たら、活躍した翌日の新聞の見出しはsexyをもじって「I’M TOO ZEXY」とかやるに違いない。英国のスポーツ新聞のダジャレ見出し考えるの楽しい。
Joshua Zirkzeeのリリースクロウス? 諸説あり
このニュースで気になるのは、彼の契約についているというリリースクロウス。
くだんのThe Telegraphの記事には、それがあるというだけで、具体的な金額については触れられていないが、おそらくその情報の元になっているSDの2023年12月のインタヴュー(La Gazzetta dello Sport)では「€40m」とされているようだ。via football-italia
ただしSDいわく、それを発動できるのは、バイエルンだけという。
ファブリツィオ・ロマーノは、そのインタヴューが公開される一週間ほど前にこういうtwをしている。
🔴🇳🇱 Bologna gem Joshua Zirkzee has €40m release clause into current deal.
❗️ Bayern can get him for 50% of this fee as buy back clause negotiated when Zirkzee was sold to Bologna.
↪️ Bayern also have 50% sell-on clause in case Zirkzee joins another club.@MatteMoretto 🤝🏻 pic.twitter.com/6bEKHcw8y5
— Fabrizio Romano (@FabrizioRomano) December 21, 2023
ボローニャとJoshua Zirkzeeの契約には、€40mのリリースクロウスがあり、バイエルンは彼をその50%(※€20m)で買い戻せるバイバッククロウスを持っているという。それが、彼を€8.5m(TM調べ)でボローニャに売却したときにバイエルンが契約に入れた内容。
そして、バイエルンはさらに50%のセルオンクロウスまで持っているという。
The Telegraphは、彼は£50m前後で売却されると考えているということで、バイエルンは彼を買い戻さない場合、ボローニャがほかのクラブに彼を£50mで売却すればその半分の£25mが手に入る。なんというビジネス上手。付帯条項がてんこ盛り。アーセナルでは考えられない。彼の€8.5mは、それほど破格だったということか。
ボローニャにしてみれば、いい金額で彼を売ってもその半分しか利益を得られないので、より高い金額をふっかける動機にもなりそうである。
€40mのリリースクロウスは、果たしてほんとうにバイエルン限定なのか、それともそうじゃないのか。イタリアンクラブの関係者の話なんて、あてにならないからなあ。でも、Telegraphが彼が£50mあたりの取引になると云うのは、やっぱり€40mのそれは誰もが利用できるわけじゃないということなのか。
アーセナルがその金額で買えるなら悪くない(£34m)。
Joshua Zirkzeeのプレイスタイル。ズラタン? ケイン?
ぼくが数あるうわさのなかで彼に興味を持ったのは、このスレッドを観たから。ハイライトだけだとなかなかいい選手だなあと。スレッド以下には、映像クリップもあるのでご覧あれ。
Joshua Zirkzee is one of the most intelligent #9 right now🧠
Facilitator of build-up play to escape swamped areas, drops deep to help the team evade the press, elite spatial awareness👀
6’4” but turns like he’s 5’9”, loves a Cruyff turn🪄
An elite potential ST💫
[THREAD] pic.twitter.com/o7KsxEe1mu
— Ben Mattinson (@Ben_Mattinson_) January 10, 2024
彼の強みと弱みとして、以下が挙げられていた。これはどこかのサイトの情報そのままだろうか。
Strengths: IQ, spatial awareness, link-up play, hold-up play, ambipedal, finishing, athleticism
Development Areas: less creative responsibility強み:IQ、空間の知覚、リンクアッププレイ、ホールドアッププレイ、両足つかい、フィニッシング、アスレティシズム
発展途上エリア:クリエイティヴの責任が少ない
高身長のわりにアジリティがあるというのが彼がよく指摘される長所のようだ。クライフターンのような細かいステップでDFを翻弄したり、ハイライトにもあるようにナツメグを決めたり。ゴール前での落ち着きもある。キビキビ動いていて、こうしたハイライトリールを観ていても、云われないとそこまで身長があるように観えないのはたしか。ズラタンをほうふつとさせるというのはちょっとわかる。
MFに落ちてのホールドアップ/リンクアッププレイ、ロング/ミドルレンジの正確なパスなどはケインぽいところも。
肝心のフィニッシュについては、今シーズンのリーグでのG7は、5.2xGで決めているというので、そういうオーヴァパフォーミングはアーセナルとしてはもちろん悪くない。xG以下のゴールしか取れないストライカーなどゴロゴロいる。今シーズンここまでは、ジェズースもエディもゴロゴロのほうである。(※追記&訂正:今シーズンだとエディはxGより実際のゴールのほうがちょっとよかった)
ただ、セリエAのようなリーグで、ストライカーとしてゴール・アシスト(ここまでG7 A2)が特別に多いわけではないというのは事実。※じつはOsimhenも同じG7 A2だが。VlahovicがG7 A3
この点に関してこのスレッド主が云うには、ボローニャのチームにはクリエイターがいないため、彼がクリエイティヴの部分を任されていて、それが彼のゴールが少ない理由になっているということ。それとアシストの少なさもチームに彼のほかにまともなゴールスコアラーがいないためという、要するにボローニャがミッドテーブルクラブゆえに、周囲に優秀な選手がおらず、彼の才能がアンロックされていない部分がけっこうあるという主張。彼の活躍でCoppa Italiaではインテルにも勝ったし。彼がチームを変えたらきっと化けますよと。
ほんとかな?
個人的には、彼のクリップを観ていて、なんだかリヴァプールへ行ったCody Gakpoを思い出してしまった。ダッチリーグ産の長身アタッカー。FBRefでも、Zirkzeeと似たタイプの選手として彼の名前が出てくる。
うーんどうでしょう。チームもリーグも違うので、単純比較は危険ではあるけど。
まあ、ハイライトリールもスタッツも過信するとだいたい痛い目にあうものだ。このスレッドのような非常によい評判をどこまで信じていいのかよくわからない。
Joshua Zirkzeeはアーセナルに必要か?
長身で、スキルフルで、ゴールは並レヴェルのストライカー。少なくともいまのところは。
r/Gunnersの反応を観るに、このうわさにはけっこう賛否両論という感じである。この件の当該サブのトップコメントは「セリエAでも大してゴールしてない選手に£50mは超ばかげてる」。
ボローニャのファンで彼のプレイをよく観ているというあるユーザは、彼のタレントを称賛しつつも、彼が提供するものはジェズースと劇的な違いはないとコメントしていた。身長があるジェズース。
ゴール前での生産性という意味でジェズースと彼を比較すると。※このデータは直近365日のものなので、今シーズンに限定したらまた違うものである可能性はある
まあグラフィック的にもグリーンの量で一目瞭然なわけだが。ここで観るべきポインツは、SoT%、Goal/Shot、Goal/SoTのあたりか。シュートがゴールになる確率。Zirkzeeのそれは、ジェズースにほとんど劣っているし、FW全体で観たときのパーセンタイルでも軒並み平均以下となっている。Zirkzeeがジェズースより優れているのは、xG比のゴールくらい。そことてそこまで大きな差はない。
いまアーセナルにおける問題は、とにかくチャンスをゴールにコンヴァートしてくれる生産的なサムワンなので、彼のゴール記録に心配になるひとは少なくない。あの高身長で空中戦がさほど強くないというのも、あまり印象がよくない点である(※空中戦勝率42.2%。ちなみにハヴァーツは51.6%)。
彼がシニアチームに昇格した19/20シーズン以降のゴール・アシスト記録。
- 19/20(バイエルン)P9 G4 A1
- 20/21(バイエルン/パルマ)P6 G0 A0
- 21/22(アンデルレクト)P32 G15 A8
- 22/23(ボローニャ)P19 G2 A2
- 23/24(ボローニャ)P19 G7 A2~
いまのところ、彼にとってシニアチームでのキャリア最多ゴールは、ベルジャンリーグでのG15。
今年は、シーズン後半もこのペイスでゴールを決めるとG15あたりになるので、トップ5リーグでそれができれば、彼にとってはブレイクしたシーズンになるのかもしれない。彼のセリエAでのゴールは、per90だと、0.33になるらしい。だいたい3試合に1ゴール。
だが、アーセナルの9を任せる選手がそれではまずい。いまここで熱望されているのは、ゴールにかけてはトップオブトップのストライカーだろう。シーズン20ゴール以上を求めるなら、2試合に1ゴール以上を決めてもらわなきゃならない。
The Telegraphの記事中にもあるように、アーセナルのスクワッドは(全員揃いさえすれば)かなり充実していて、現時点で足りないピースはかなり限定された部分。それすなわちゴール。チームを強化してくれると信じられる選手じゃないと手を出さないというなら、それが彼でいいのかどうか。
アーセナルの新9は、ジェズースよりは、確実に多くゴールを決めてくれそうな選手でなければならない。だって、ジェズースはもういるのだし。
Zirkzeeはまだ22才なので、これからの選手の成長に賭けるという選択はある。彼がこの先ブレイクしない保証もない。個人的には、いつまでもそういうチャレンジングなアーセナルでいてもらいたいとも思っている。だが、いまのプロジェクトのフェイズでそのような選択をすべきなのか、また彼がリスクをかけるほどの価値あるタレントなのかはわからない。多くのひとは、アーセナルの立場なら、£100mでトップストライカーを買うほうが低リスクだと思うかもしれない。
彼のようなタイプは観ていて楽しそうなので、チームにいてほしいとは思う。そして変わらずゴール不足に悩まされる…… それはイヤだなあ。
もしかして、ハヴァーツみたいにMFで使うプランがあるとかだと、それはそれでべつの楽しみがある。彼の長所を観るに、けっこうMFでも生きていけそうではある。FWとしてはパス方面のスタッツはかなり優秀なので、ジェズースのように、9としてじゃなきゃ大いに満足できるタイプの選手かもしれない。
Joshua Zirkzee。いろいろ興味深い選手。どうなるか観てみよう。
おわり
ベンゲルっぽい選手ですが、ボスなら2年前に連れてきてるでしょうね。
今のチームに必要なのは無慈悲なキラー。
オシムヘンかブラホビッチクラスでなければ。