試合の論点
チェルシー vs アーセナルのトーキングポインツ。
Battle at the Bridge ⚔️
Check out the highlights from today’s 1-1 draw with Chelsea 👇 pic.twitter.com/jXcX8RsnH8
— Arsenal (@Arsenal) November 10, 2024
あのみどころ満載の試合でハイライトが2分尺は短い。観たいシーンが入っていない。
クオリティの高いハイレベルな試合。アーセナルはドロウをポジティヴに受け取るべき?
前半が終わったとき、いまのアーセナルが、相手にこんなにたくさんのはっきりとしたチャンスをつくられることは、あんまりないんじゃないかと思った。なんなら、今年対戦したシティ(A)やリヴァプール(H)と同等か、あるいはそれ以上のような。HTにスタッツを確認すると、数字的にはアーセナルもそれと競っているのが意外に思えたほど。アーセナルの守備がどうこうというよりは、彼らの攻撃クオリティを感じた。
チェルシーの前半のショッツは9(後半は8)だが、ショットまでいかないまでも、ファイナルサードまでボールを運ばれることが何度もあった。アーセナルはボールを奪われれば、多くの場面でカウンターにさらされるような感じで、ワイドのふたりとくにMaduekeの突破と、PalmerがMFのスペイスでボールを受けてからのビルドアップが優秀で、かなり手こずらされた。
もちろん、アーセナルもやられっぱなしには観えなかった。アウェイチームとしてなんとか相手のスタンダードに食らいついていたように思う。
32分のハヴァーツの幻ゴールが、もしVARで認められていたら痛快だったのは、前半アーセナルはやや押されていたから。ああいうときに入る事故みたいなゴールが優勢なほうに与えるダメージは小さくない。残念。
そして後半も一進一退の攻防を繰り広げつつ、今度はアーセナルの時間が多くなっていった。
後述するように、ひさしぶりのオーデガードがむしろ後半に生き生きとし始めて、サカとホワイトとあのもはや懐かしいような連携で右サイドをしつこくプッシュ。60分のネリのゴールもそんな右サイドでの連携から生まれたもの。パーティもからんで、あのくそ狭いエリアでボールをこねくり回しつつ、ファーサイドへクロス。相手はパニック状態になるやつ。あの時間帯はよかった。
そんなよい時間がつづいていたタイミングで、サカが負傷交代を余儀なくされたのが残念だった。あれはククレヤのひどいタックルが原因なんだろうか? あいつはサカに毎度ラフなチャレンジをする。エミレーツでは退場にしてやろう。
そして、ゴールを奪ってなお攻勢がつづくアーセナルに冷水をぶっかけたリードして10分後のNetoのゴール。よりによってZone 14のあんなド中央からぶち抜かれるとは。さすがに唖然とした。あのボックス前のスペイスがぽっかりあいた一瞬は、ほんとうにアーセナルのDFはスウィッチオフしてしまった。そこしかないというところに決めたNetoのショットを褒めるべきかもしれないが、われらの過失も小さくない。アルテタから、われわれのスタンダードから程遠いと苦言を呈されたのもやむなし。
その後は、アーセナルはメリーノのチャンスや、終盤のトロサール(ハヴァーツ)を含めたいくつかのチャンスを決められず。1-1のドロウで終わった。
そして、冒頭に書いたようにぼくはこの内容なら1-1ドロウは受け入れられると思ったのだった。ニューカッスルもインテルも結果を受け入れたくないような試合だったが、この試合は相手のクオリティを考慮しても、こちらがやりたいことをやった満足感のようなものはあった。
アタッキングモメンタム。全体的な趨勢は互角に近いというのがフェアな評価だろう。
ただ、もちろんタイトルを狙っていることや、最近の低調なフォームからどうしても脱出したかった状況からして、われわれにはスーパーフラストレイテッドな結果には違いない。
いっぽうのチェルシーは試合後の彼らのマネジャーの明るい表情が印象的だった。ニコニコしてやがった。彼らにしてみれば、いまのアーセナルに互角かそれ以上にプレイした手応えを感じただろうし、ホームで結果は最高じゃないが、いまの彼らの立ち位置からしても、ビッグ6相手にドロウは満足できる結果だったのかもしれない。テーブルでもアーセナルより上位も維持した。
これでアーセナルは、トップのLIVに9ポインツとさらに差が開いてしまった。もうタイトル争いは終わったと思っているファンもいるだろうし、メディアもアーセナルのタイトルにはだいぶ懐疑的だ。当然。
だが、絶望するにはまだ早いんじゃないかとも思う。もちろん確実に状況は厳しくなったが、まだ残り試合が27試合81ポインツ分ある。
これはSky Sportsのグラフィックで、おそらく「90pts」はタイトル、「71pts」はトップ4フィニッシュのそれぞれ近年の平均じゃないかと思うのだが、そのために必要な結果の例は100%ありえないというものではない。
それにアーセナルは、今回の試合を含めてここまで、タフすぎるアウェイフィクスチャをこなしてきた。シティ、ToT、ヴィラ、ニューカッスル、チェルシー等々。ケガなど不運にも見舞われた。
「今回のようなパフォーマンスが継続できれば、結果はいずれくる」というのは、アルテタが最近もよく云っていることで、インテルのあとなんかにこれを云われてもあまり説得力を感じなかったが、今回の試合でこれを云われたら、ぼくはけっこう納得できる。
そういう、今後に期待を抱けるような、チームがちゃんと正しい方向を向いていると実感できるパフォーマンスだった。ポインツは失ったが、ここで得たものはある。
オーデガードの2ヶ月ぶりの復帰。いきなり期待以上のパフォーマンスでびっくり
そういうポジティヴな気分にさせてくれた大きな理由のひとつが、マーティン。キミさ(ウィンクばっちーん☆)。
彼は先日のインテルは数分しかプレイ時間はなかったので、今回がほぼ2ヶ月ぶりの完全復帰。まさか90分プレイするとは思わなかったが、思った以上にチームは蘇った。MØ効果すごい。
そしてオーデガードが戻ったことで、このチームにずっと欠けていたものがよくわかったという。
今回もアシストをひとつ決めたように攻撃でのクリエイション(あるいは意外性)は云わずもがな、ハイプレッシングのリード、ピッチ上でのコーチングとサポート(ピッチで何度も大声で選手たちを鼓舞していたというファンの指摘あり)、それとチームにとって戦術的に大きいのはやはりビルドアップでの貢献。
彼がいるのは主に右サイド(ハーフスペイス)だが、彼が狭いスペイスでボールを受けて展開したり、あるいは深く落ちてビルドアップを主導したり、ポゼッション時に水を淀ませないようなプレイができる。それがチームにリズムを生み、パスが成功するようになり、攻撃に積極的になる。そういったプレイを彼以上に上手にやる選手はこのチームにはいない。今回そのことをあらためて再確認した。
もっとも、今回2ヶ月ぶりのキャプテンが、100%以前と同じ彼だったと云えば、それはさすがにいい過ぎであり。
とくに前半ははじまりはまだよかったが、気づいたたら試合から消えている時間帯もあって、いかにもマッチフィットネスの不足を感じさせた。ちなみに前半の彼のタッチはライス(40)の半分以下の19。彼のようなボールがないと窒息してしまう系プレイヤーが。そういうところは、まったく彼らしくなかった。
デュエルで負けることも多かった。地上デュエルは3/10。あの粘っこいボールへの執着は、さすがにまだ取り戻せていない。
しかし後半は、アルテタはいつ彼を替えてくるだろうと思っていたら、むしろどんどんと彼の動きがよくなっていって、右サイドを支配するように。マルティネリのゴールも気の利いたクロスでアシストした。
こういう結果だったのに、この試合をなんとなくポジティヴに受け取ることができたのは、オーデガードのパフォーマンスが大きいと思う。やはり、彼はチームにいなければならなかった。
こうなれば、あとはいかに彼に健やかにシーズンを過ごしてもらうか。よりによってこんな状況で代表チームになんて行っている場合ではない。
今回の試合で、チームにおける彼の重要さがあらためてわかったし、チームとして彼の代替がいないという課題はいまも残るということは、少なくとも今シーズンはできるだけ彼にフィットしていてもらうしか解決策はない。なんという綱渡り。
メリーノとのソシエダ連携も、今後が楽しみだ。
試合については以上