hotいま読まれているエントリ

Arsenal, Arteta, EPL, Match

【マッチレビュー】24/25 EPL ニューカッスル vs アーセナル(2/Nov/2024)噛み合わない歯車

試合の論点

ニューカッスル vs アーセナルのトーキングポインツ。

敗因を考える

なんというつらい作業。苦行。でも、自分であとで振り返ることもあるかもなので、いま考えていることを書いておこう。

まず、最初にニューカッスルを褒めないといけないと思う。残念ながら彼らは強かった。アーセナルは自分たちからパスミスを繰り返しはじめて、いかにも自滅した感はありながら、そのような苦戦は相手に強いられた部分も多い。

彼らのMFは、スタートが予想されたフィジカルを前面に押し出した3人(Bruno G、Joelinton、Tonali)ではなく、Bruno G、Willock、Longstaffをスタートさせてきた。そして、われらの右サイドが手こずらされたJoelintonはLWポジションながら、この3人に加わり、彼らのMFはさらにパワーアップしたという。

MFではジョー・ウィロックがすごく効いていて、彼が今シーズンこの試合も含めて2試合しかスタートしていないことを考えると、エディ・ハウの抜擢は当たったのだった。元ガナーは去年の試合でのあのプリアシストにつづいて、今回もアーセナル戦で期待に応えた。彼もアルテタを見返したい気持ちがあってもおかしくない。やる気。

それと思ったのは、今シーズンここまでの彼らが、とくにToTやシティといった主導権を握られがちな試合(※どちらの試合も今回と同じくポゼッションは30%台である)で結果を出しているのは、リアクティヴなアプローチでうまくいっていることが示唆されていたということ。この試合もアーセナルがボールを持つ時間は多かったわけで、彼らにはそういった試合での成功体験もあるし、やりかたも心得ていた。この試合の直前のリーグカップ、ホームでチェルシーに勝った試合も似たようなポゼッションだった。

前回のSJPでの試合もあり、Bruno Gみたいなイヤな選手もいるしで、ダークアーツばかりがフォーカスされがちなチームだが、ふつうにクオリティは高い。

とはいえ、この試合のアーセナルの敗因を考えたとき、その多くは相手都合というよりは自分都合だろう。今回のアーセナルは、あまりにもひどかった。

前半しばらくはよかったのに、とくに後半になってあんなにボールを失いはじめ。勢いも失って。やることなすこと裏目。最後まで自分たちの時間にすることはできず試合を終えた。なんで?

まず、広く云われているのは、アルテタの攻撃への消極的アプローチと、チャンス不足。

オンターゲットのショットでxGがゼロって意味わかんないけども。このポストのreplyにいちおうxGOTの説明がある。わしは読んでない。

そして後半はSoT自体がひとつもなし。この試合全体でもアーセナルのSoTは1しかないので、ショッツは10でニューカッスルよりやや多いとはいえ、アウェイチームがいかに相手ゴールに近づいていなかったかということ。

これは、一日ぶりに見た(笑)r/Gunnersで共有されていたもので、後半のわれらがゴール脅威という意味でいかに決定打に欠いたかがよくわかる図となっている。ボックスの周囲でボールを回しているだけで、相手の嫌がるDF裏の危険なエリアにボールを入れることができていないし、受け手もいない。攻撃はぜんぶサカのクロス頼み。

これも同意するしかない。こんなシーンを何度見たことか。

アーセナルのウィングポジションは独力での打開が求められるとはいえ、こうして囲まれてしまえば、できることは限られる。本来はひとりが相手を複数人ひきつけることで得られる有利なエリアを見つけねばならないはずだが、こうなっては抜け出すこともできない。

それと、ちょうどこの瞬間でもピッチ上に見えていることだが、ゴールに向かうアーセナルの選手がとても少ない。ここで仮にネリが相手を出し抜いてクロスを入れられたとしても、これでは味方がいないのでチャンスをつくれる可能性はとても低いだろう。

攻撃にかける人数が少ない? カウンター対策? そのわりにボールを奪われるとそれなりの確率でカウンター状況でボールを前に運ばれていたけども。だから、攻めるのか守るのか、どっちつかずで中途半端になったのかもしれない。

だから、そういった攻撃のうまくいかなさが、リズムを失わせ、全体の歯車を噛み合わなくさせていったんじゃないか。後半はとくに、悪いプレイが悪いプレイを呼び込むみたいな、完全に悪循環に陥ったようにしか観えなかった。

最近のアルテタの攻撃面における消極的アプローチについて言及されるのはこれが初めてではない。ここ数試合ではパーティ、ライス、メリーノの3DMの同時起用についていろいろ議論があったし、今回はMFにハヴァーツ/トロサールが入ったとはいえ、似たような攻撃への消極性をこうして観ることになっている。

アルテタはとくにアウェイで慎重になっているのだろうか。

これはThe Athleticの記事からのスタット。

今シーズンのアーセナルはアウェイでオープンプレイから1.0以上のxGを記録した試合はゼロで、ホームでも3試合しかない。もちろん、レッドカードなどの特殊な状況は考慮する必要はあるものの、10試合プレイしてこの数字はタイトルを狙うチームとしては心もとない。アーセナルの攻撃はうまくいっていないのだ。チャンスをつくれなくなっている。

その最大の影響はもちろんオーデガードの不在ということに議論の余地はないと思う。

キャプテンが離脱して以降、adaptability(適応)がチームのテーマになってきたところはあるし、タフな状況のなかでこれまでがんばってきたのはアーセナルファンなら誰もが認める事実だと思うが、本質的にはオーデガードのカヴァはできていないし、毎度の試合を観ていて、こういう試合もいつかありそうではあった。フットボールではゴールできなければ試合に勝てないのだし、ゴールするにはチャンスをつくることが必要だ。

幸いなことに、そろそろキャプテンは戻って来るため、その点ではチームのフォームは上向いていくことが期待してよさそうに思えるが、今後の短期・中期的な将来のことを考えると、クリエイティヴィティをオーデガードに頼り過ぎな状態は長く維持されるべきではないと思う。少なくとも健全ではない。

もうひとつの敗因というか、この試合でぼくが感じたのは、ちゃんとした9の不在。とくに今回前半におもに9でプレイしたトロサールはファンに不評で、HTにはぼくの観測範囲では彼のワーストゲイムではないかなどと云われていた。

これを強く感じたのは、今回ニューカッスルにはAlexander Isakがいたから。彼のゴールは、CBのあいだに入って高さで負けず、クロスに完璧に合わせるまさに9のものだった。あれはクロスも完璧だったから、彼だけの功績ではないけど。松木安太郎から0.5点もらえるくらいのクロスだった。

いっぽうで、アーセナルが攻撃の人数が少ないと書いたように、アーセナルのクロスがGKとDFのあいだのスペイスを横切った場面で、一番ゴールに近くにいたトロサールが相手DFと並んでいないのを観たときには、9不在の弱点を観た気がした。

Isakは、あのゴールだけでなく単独のホールドアッププレイも見事で、囲まれてもなかなかボールを失わないし、彼らのビルドアップでも確実に効果的だった。アーセナルの理想のCFと云われるのもうなずける。

いまもアーセナルは彼を含めて複数人のCFとリンクされているし、今年の夏にはBenjamin Šeškoに向かっていたということは、チームとしてナチュラル9を求めているのは間違いないにせよ、こういう試合を観ると、その必要性がとても迫っているように思う。

あと、これを直接の敗因といっていいのかわからないが、ジンチェンコとワニエリについて。

ジンチェンコはもう観てられなかったなあ。後半の30分間で、相手を追いかける立場であれば、あのポジションでそれなりの存在感を出してもらうことを期待したが、それとは逆に不安定なプレイに終始。まさか2回もひどいエラーをやるとは思わなかった。逆襲される起点にすらなった。

これはこのブログで以前にもキヴィオールについて似たことを書いたが、今回のジンチェンコも自信の問題のように感じた。あのポジションで主導権を取るどころか、彼はひどく自信がないみたいだった。

自信を失っている選手というのは、ひとによってはパフォーマンスが激落ちするのだよね。それは、去年のラムズデイルでも観たものだ。マネジャーから信頼されていない、自分はクオリティを疑われていると思い込んでしまうと、PLでもっとも価値あると云われたGKでも、あんなふうに悲惨なパフォーマンスをやってしまう。あれを思い出すと、こっちまで背筋が寒くなる。孤立無援。

今シーズンのジンチェンコはチームに復帰してからも、18才になったばかりのMLSにすらポジションを優先される状況で、彼が自信を失っていることは想像に難くない。少なくとも自信満々ではない。

だから、今回のジンチェンコの悪いパフォーマンスは、一部はアルテタのせいだと思う。もちろん、プロ選手が甘ったれてんじゃねえってのは正論だけど、ひとは繊細だから。もちろん、すべてとは云わない。しかし、常日頃からスクワッド全員で戦うといっているアルテタなのだから、バックアップの選手にももっとチャンスを与えるべきだったのかもしれないし、それができないのなら、今回のようなことは起きるべくして起きたと受け入れるよりない。選手に与えず、ほしいときだけ提供してくれと求めるのは、やっぱりちょっと都合がいいんじゃないか。こういう、いざというときに痛い目にあう。

ジョルジーニョのようにチームのなかでの自分の役割をはっきり理解して受け入れている選手と違い、ジンチェンコはまだ自分もチームの主役のひとりだと信じているはず。だから難しい。

今回は、サブで入ったジンチェンコとジェズースという2年前にチームを再生させたふたりがほとんど何もできなかったことで、時代の移り変わりも目の当たりにしたようにも思う。

ワニエリについては、あの悪い流れのなかで入ったこともあるので、彼のパフォーマンスについてあまりネガティヴなことは云えないが、彼が2回くらいスペイスへのスルーボールに反応できなかったシーンがつづいたのが印象的で、いかにも周囲との連携不足を感じた。オーデガード・サカ・ホワイトという右サイド3人のような、当然そこにいる自動的なポジショニング、意思疎通がない。あのときの彼は異物だった。

で、これは個人的に彼に期待していたから恨みがましいことを書くのだけど、オーデガード不在のこの期間、結局ワニーに与えるべき時間が少なかったんじゃないかと思わないでいられない。もっともっと彼を使っているべきだった。オーデガード役として、8として、実戦において周囲の選手たちとの連携の経験をつませるべきだった。

オーデガードが負傷してからの彼のPLでの機会。ちなみにCLではゼロ。リーグカップでは2試合フルでプレイしている。わしは物足りない。

対戦相手を見ればどれもタフな試合だし、17才の彼をPLで起用しないからといってマネジャーを責めるのはもちろん不当だろうが、ここで彼の才能を信じてもよかった。そういう未来だって皆無ではなかった。現時点でオーデガードの直接のバックアップは彼なんだから。彼がこれまでもっと経験を積んでいたら、信頼を感じていたら、この試合で違うパフォーマンスを観ることができたかもしれない。

ま、どれもタラレバに過ぎない。ええ、そうですとも。

ひさしぶりに文句ばっかり長く書いてしまったわ。

 

この試合については以上

※コメントくださるかたにお願い
プレヴューエントリでは、試合の結果がわかるようなコメントはお控えください
お互いリスペクトしあって楽しく使いましょう

Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *