ブカちゃんがやってしまった。アルテタのコメントでは、“many weeks”のアウト。
みんながワクワクしているこんなときに悪いニュースはやめてほしかった。
ブカヨ・サカが長期離脱。アーセナルはどう対応する
先日のPLクリスタル・パレスで、前半右足のもも裏、ハムストリングをやって途中交代。どれほどの離脱になるかとても心配されていたところ。
復帰までの期間は約2ヶ月?
アルテタのコメントによれば、離脱は“many weeks”。はっきりしてはいないが、よく云われる数週間(a fer weeks / 2-3 weeks)よりは確実に長いであろう。
界隈ではさまざまな憶測や分析があるが、おなじみのグーナーDrによれば、アルテタの「もっと悪い可能性もあった」というコメントから、筋肉の「断裂」あるいは手術は免れたんじゃないかとも。
グーナーDr氏の予想はグレイド3aで、最短で4-6週間のアウト。
Saka confirmed to have torn his hamstring. Understand 8 weeks at least but could be longer. Absolutely gutted. https://t.co/ZEbF2or0vs
— AFCAMDEN (@AFCAMDEN) December 23, 2024
ハムストリング断裂で8週間以上という説もある。このひとは信じていいか微妙だが。
いずれにせよ。回復後しばらくのリハブ期間もあると考えるとサカの不在は、およそ2ヶ月くらいになりそう。戻って来るのは3月? OMFG. これは痛すぎる。
選手の過剰な負担があらためてフォーカスされる
今回サカの大きなケガがアーセナルで250試合めの節目だったことで、あらためて選手の過負荷によるケガが注目されることになってしまった。
ハムストリングは典型的な過負荷が原因になりやすいケガだそうで、今シーズンも多くのPL選手がハムストリングを故障している。当然サカの今回のケガもそれと無縁ではないと思われている。彼は以前にもハムストリングの故障でしばらく離脱していたし、その後も相変わらず出ずっぱりであったため、こういうことが起きるのも時間の問題だったと云える。
Wishing Bukayo Saka a swift recovery. And wishing Fifa and Uefa would wake up to PFA and Fifpro warnings over player workload. Saka’s played 144 games for Arsenal and England since August 2022, often the full 90 minutes and frequently at high intensity. Something was always…
— Henry Winter (@henrywinter) December 23, 2024
FIFPROのリポートは以前にもこのブログで取り上げたやつ。
#FIFPRO’s latest workload report reveals the troubling impact of expanding competitions on men’s footballers.
⚠️ 54% of players face heavy workloads
📅 31% played 55+ games last season
🛌 <1 full day off per week for some
🚨 80+ games projected by 2025— FIFPRO (@FIFPRO) September 5, 2024
Bukayo Saka and the increase in hamstring injuries across the Premier League
試合数の増加による選手への過負荷については、以前からこうしたメディアだけでなく、主役である選手側からも何度も警告はされてきた。しかし、PL、UEFA、FIFAといった運営組織からもいまだ大きな改善策の提案は聞こえてこない。その間にも、どんどん選手が犠牲になっているという現状がある。不健全。
アルテタは今回の会見のなかで、アスリートになるための正しいプロセスを見つけようとしている、というようなことを述べているが、結局サカのようにつぶれるまで酷使して、結局こうしてつぶしてしまった。近い将来、彼にこういうことが起きるのは、ある意味わかっていたことだろう。
サカのケガは、アーセナルのタイトル争いに致命的影響を与えかねない。いやマジで。防がねばならない事故だった。予想できたのなら、なおさら。残念ながら、アーセナル(アルテタ)がそういう予防策を講じていたようには観えなかった。
今回の会見で、アルテタはあらためて「アーセナルはリーグ最薄スクワッドだった」と認めているが、なぜそのような状況を黙認したのかが問われるんじゃないか。チェルシーみたいなチームを考えると、小さいスクワッドのメリットはたしかにあるとは思うが、万が一の事態に弱い。
それも含めて、クラブとアルテタのマネジメントにはもっと求めたいですね。個人のケガの影響があまりにも大きすぎるみたいな、同じ過ちを何度も繰り返してはいけない。
RWをどうするか問題1:内部的解決
サカのしばらくの離脱が判明して、RWの代替の件も各所で議論が盛り上がっている。
まずは、内部的解決策。
会見でアルテタが述べているチームのなかでのRWのオプションは、以下のとおり。けっこういるっちゃいる。
- マルティネリ
- トロサール
- ジェズース
- ハヴァーツ
- ワニエリ
なかでも、パレスでRWで活躍したネリは最有力候補かもしれない。彼がそのまま右でいいパフォーマンスを維持してくれれば、ほかの場所を多くいじらずに済む。
ちなみに、ちょっとおもしろいと思ったデータがあって、@markstatsによると、パレス戦はRWがサカからネリに変わっても、ネリが高いポジションをキープしていたという。左サイドのネリのパスマップはだいたいいつも低いのに。
これは、アーセナルの右偏重の左右バランス問題が、WGの属人的な問題じゃなくて、構造的な問題であることを示しているんじゃないか。もっといえば、オーデガード。アーセナルの左右問題は、やっぱりオーデガード問題なのかも。有効な攻撃はほとんど彼を経由するので、どうしても彼がいるサイドにボールが偏る。
それと、興味深いのは同時に起きているジェズースの復調。
いま突然にファインフォームを取り戻した彼をどうしてもスタートから使いたいが、チームとして9のハヴァーツも失いたくない。となれば、このふたりの共存を探らねばならず。
パレスではジェズースが9をキープし、ハヴァーツが8に落ちるかたちになったが、そのオプションで学んだことは、彼がMFのひとりになると守備バランスが崩れるというマイナスの効果だった。たしかにオーデガード(8/10)とハヴァーツ(9/10)はふたりともやや攻撃的で、6がひとりになってしまえばMFから守備成分が失われるのは自明というか。
したがって、サカの代替にジェズースはかなりアリなオプションになると思う。あるいは、彼を左にいれて、右にネリ。ハヴァーツ9のフロント3。ハヴァーツはRWでもプレイしていたらしいし、ありはありだろうが、ジェズースやネリより優先したい理由はちょっとわからない。
もちろんトロサールも有力なオプション。しかし、彼はサブでいい数字を残しているため、これまでどおりでもよいのかもしれない。あるいはネリとのロテイション。
ワニエリもRWでプレイできるということで、もしアルテタがそのオプションを選んでくれるなら、かなり楽しみではある。彼はドリブルもあるので、意外にウィングはありかもしれない。
ジョージ・バードによる、アカデミーのウィンガーオプション。
Assessing Arsenal’s academy winger options
サカとスターリングのふたり同時にRWが不在のため、アカデミーから誰かがベンチ入りくらいはあるかもしれない。
RWをどうするか問題2:外部的解決
それと、外部的な解決策。もちろん1月の補強。会見でアルテタは、「備えはできている」と機会を逃さない意気込みを語っている。サカを2ヶ月か下手するとそれ以上失うということは、新しい選手に門戸が開くのは当然といえる。
いま、アーセナルが興味を持っていると噂になっている選手は以下。
- Ademola Lookman(アタランタ)
- Mohammed Kudus(ウェストハム)
- Viktor Gyokeres(スポルディング)
- Marcus Rashford(マンU)
など。
Gyokeresのような9も含まれているが、ジェズースもハヴァーツもワイドでプレイできるので、サカの不在で9を補強することは必ずしも間違いではない。サカのケガがもしなくても、もともとアーセナルが夏にビッグストライカーに向かうのは既定路線と思われていた。
このなかでもっともありえそうなのが、Rashfordというのが笑える。マンUが彼を売りたがっているのだから、金額も比較的お手頃になるに違いない。フロントなら左右中央どこでもプレイできるヴァーサティリティもアルテタ好みではある。
ぼくは、Lookmanという選手のことはまったく知らないのだが、最近アフリカのPOTYみたいな賞をもらっていたのは観た。アフリカでトップということはMo Salahよりすごいってどんだけ。彼もアーセナル界隈ではしばらく取りざたされてきた選手。彼はPLでプレイしていた時期もあるそうで、イングランド適応問題もなさげ。アタランタのようなチームがシーズン中にメインマンを失いたいはずもないだろうから、1月の獲得はさすがに難しいだろうが。
それと、Kudusに関しては、WHUが1月に手放す可能性があるとかなんとか。ToTの選手をぶん殴った以外、彼はなにか問題起こしてたんだっけ? £85mのリリースクロウズありらしい。アーセナルが冬にそんな大金出すかねえ。トップドリブラーのロマンはある。
ということで、サカのいない2ヶ月をどうするか。アルテタはその適応について「われわれは、違うものになる」と述べた。サカ個人のスーパーなクオリティをそのまま代替するのは不可能であり、となればべつの選手を入れて、その選手の強みを活かした構造にするよりない。それはこれまでとは違う姿に見える。とか。それはそれで楽しみではある。
ピンチはチャンスとよく云われる。サカがいなくなったことで、よりよくなる可能性を信じよう。左右バランスがもっとよくなって、全体的にはパフォーマンスが上がるなんてこともあるかもしれない。
サカ不在のおかげでタイトルを逃したなんてことがないよう。信じたい。
おわり