マンチェスター・ユナイテッドについて
名将エリック・テン・ハーグがようやく解任され、ポルトガルのスポルティングから新マネジャーをぶっこ抜き。※暫定マネジャだったニステル(©粕谷秀樹)はレスターのボスに
Ruben Amorimは、スポルティングをあれだけ強くした立役者であり、その手腕が買われてマンUへ。彼はそうとう期待されているだろうが、サー・アレックスが去ってからこれまで、数々のマネジャーがマンU再建に挑戦して、ことごとく頓挫。誰が観ても簡単な仕事ではないのはあきらか。プレッシャーもタフななかで、彼がどれだけのことができるか、そしてマンUがどれほどの時間を待てるか。見ものである。
現在マンUは、PLで13試合を消化し19ポインツの9位。思ったより上にいた。2位のアーセナルとも6ポインツ差しか離れておらず。アルテタがマンUのタイトル争いを否定しなかったのも、まあわからないでもない。この試合で、もし彼らが勝てば一気にわれらとも3ポインツ差。トップグループに入る現実味はゼロではない。もちろんここで勝てば、の話。
マンUの今シーズンここまでのアウトプッツを確認すると、まず失点がとても少ない。ここまでの失点13はリーグ2位(タイ)。いっぽうゴールが少ない。ゴール17はリーグ14位。※xGでも12位に過ぎない
ここで興味深いのはxGAと実際の失点の数字で、彼らのxGA(21.90)から実際の失点はおよそ9ポインツほど差がある。この差はリーグトップで、つまり守備ではたくさんチャンスをつくられているのに、多くのそれを防いでいることになる。ラストDFやGKが優秀ということかもしれない。たしかに、PSxG-GAではOnanaが現在リーグトップである。
この試合のアーセナルのテーマのひとつは、ゴールかもしれない。
フォーム
PLの直近6試合は、W3 D2 L1。
Amorimからの試合に限定すると、PLの2試合は、イプスウィッチ(A)で1-1ドロウ、エヴァトン(H)で4-0勝ち。この間に、ELのBodoe/Glimt(H)に3-2で勝っている。つまりは、Amorimは、マンUでの3試合でW2 D1 の敗けなし。
ぼくはエヴァトンだけハイライトを観たが、正直4-0というスコアはエヴァトン理由がかなりある。単純なエラーで失点しているし、守備もザルに観えた。あの試合の結果で、彼らのクオリティははかれないように思える。
今シーズンのトップチームとの対戦成績は、リヴァプール(A)、ToT(H)、ブライトン(A)に敗け、ヴィラ(A)、チェルシー(H)でドロウ。ここまで勝ちはない。トップ6チームには、ひとつも勝っていない。
チームニュース
Victor Lindelöfがアウト。
Lisandro Martínez、Kobbie Mainooは累積カード5枚でサスペンション。このふたりいないってけっこう痛いのでは?
Jonny Evansがダウト。
ボスコメントでは、エヴァトンでケガの疑いがあったBruno Fernandesがフィット。それと今シーズンからマンUに加入して、いきなりケガをしてしまったLeny Yoro(18)が初のスクワッド入りの可能性があるらしい。
Leny Yoroって、アーセナルとプリシーズンでプレイしてたCBか。目が飛び出るような大金で買われたとかいう。あのときのケガからだとすると、随分長くかかったものだ。彼がプレイするなら、どれだけの選手か観てみよう。
Head to head
PLの直近6試合で、アーセナルはマンUにW4 D0 L2。
ホームだけに限定すると、アーセナルが最後にマンUに敗けたのは2017年12月。もうエミレーツでは、7年も彼らに敗けていない。
今回アーセナルが勝てば初のマンUに4連勝となる。
Ruben Amorimの試合前コメント「アーセナルははるかにベストチーム」
マンUボスの試合前会見より。
RA:(アーセナルは)われわれが対戦するなかでも、とびきりのベストチーム。だが、毎試合がテスト。前回のエヴァトン戦を振り返っても、非常にタフなものだった。
いまやすべてがテストであり、トレインする十分な時間もない。多くの選手になんとかプレイ時間を与えようとやりくりしている。ひとつの試合だけ考えていてはいけない。何人かの選手は60-70分ピッチに出さねばならない。
これは難しい。すべてがテストだ。だが、アーセナルは、わたしもマンチェスター・ユナイテッド側の人間がこういうことを云ってはいけないのはわかっているが、彼らは違うポイントにいる。彼らがいる時間は(マンUとは)違うんだ。
勇敢になることが重要だ。わたしが勇敢というとき、それはつねに高くプレッシングするということではない。同じではない。
試合を理解せよということ。試合のときを。われわれはボールを持つ必要がある。そこがキーポイントだ。われわれはボールを持ちたい。試合のなかで支配する時間がほしい。なぜなら、こういう試合ではつねにコントロールするのは難しいのはわかっているから。
われわれは勇気を持ち、試合をプレイしなければならない。
なかなか現実的なことをおっしゃる。
マンUの戦術について by エイドリアン・クラーク
AC:Amorimは、スポルティングでもうまくいっていた3-4-2-1システムをすぐに使っている。短期的にはやや不安定なシェイプに見えるかもしれないが、RWBのAmad Dialloがかなり高い位置に上がり、Diogo Dalotがより相手サイドでプレイできるようになる。
Amorimは、ポゼッションがないときにかなりのインテンシティを要求する。スポルティングは恐ろしいほどの守備組織と、トランジションでの素早く破壊的な攻撃で知られていた。
Amorimのチームの成功は、バックからのプレイ、シャープにボールを動かし、ショートパスでビルドアップするフィロソフィにあった。そしてボールをトゥイン10の足元に送る。Bruno Fernandes、Alejandro Garnacho、Mason Mountたち。Fernandesは、チャンスクリエイティングマシーンで、オープンプレイからのキーパスはリーグのトップ5に入る。
ユナイテッドは、24/25シーズンはセットピースでもかなり進歩がある。すでにデッドボール状況から4ゴール決めている。
しかし、彼らのCMはコンパクトネスとアスレティシズムに欠け、相手が中央を通り抜けてしまう。それが理由で、彼らは2シーズン半のあいだビッグ6には、一度もアウェイで勝てていない。
2.5シーズン、ビッグ6のアウェイ試合で勝ててないってけっこう深刻では。