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【マッチレビュー】24/25 EPL アーセナル vs イプスウィッチ・タウン(27/Dec/2024)お疲れモードでお仕事完了

試合の論点

アーセナル vs イプスウィッチ・タウンのトーキングポインツ。

サカ不在のチームは機能したか。ネリのRWと攻撃の左右バランス

結論からいえば、まだ道半ばという感じか。道半ばもなにも、始まったばかりだけども。

イプスウィッチは思ったよりも積極的な試合のはじめかたで、最初からドン引きということはなかった。たとえばフラムのMarco Silvaのように、意図的にこちらにボールをもたせる意図があったかどうかはわからないが、それでも時間がたつにつれどんどん一方的な試合になった。上に書いたように、アーセナルのポゼッションは圧倒的で前半は80%ごえだった。

が、だからこそサカ不在のアーセナルが、相手の守備ブロックをどうこじ開けるかは見ものだった。

まず語らねばならないのは当然右サイド。予想どおりマルティネリがRWでスタートした。彼はどうだったかといえば、まあ難しかったね。

もちろん、ああいう展開だったから、むしろ攻撃はより難しくなっていて、フェアにいえばサカがいたとしても苦労した可能性はある。が、とくに1 v 1状況ではさすがにネリにサカのような効果や効率はなかったと云わざるを得ない。

彼は右足だから、試合が始まってしばらくの時間は、バイラインからのカットバックなんかは右足ですごく自然でいいボールを放り込んでいたと思う。ちゃんと危険なクロスボールだった。ハヴァーツのゴールも、彼のクロスボールを相手DFがクリアしたことが起点だった。もともとサカもネリも、縦に侵入してからのクロスは基本は弱足になるため、利き足の正確なクロスはちょっと新鮮でもあった。

しかし、それ以外ではタッチラインではボールをもってもつねに窮屈そうで、彼の長所であるペイスを活かすことはなかなかできず。狭いエリアでボールを持っても、うしろに戻すか、あるいは複数のDFに囲まれて選択肢がなくなりドリブル失敗でターン終了というパターン。

また、左サイドにいるのと違い、カットインサイドからシュート(右足)のような動きもない。ちなみに今回の彼のショッツはゼロである。

今回はオーデガードがやけに元気がなかった影響もあってか、いつもの右サイドのケミストリのようなものも感じず、むしろアルテタはネリをわざと孤立させているのかと思ったくらい。

それについては試合後の「マルティネリは孤立しすぎると苦労する」というアルテタコメントが興味深かった。

アルテタの基本的な戦術として、ワイドプレイヤーを故意に孤立させるというやりかたがあるが(そのあたりのニコラス・ぺぺ時代の議論はもうだいぶ昔という気がしてきた)、それと逆のことを云っているように聞こえる。「孤立しすぎると(too much isolated)」のようないいかたなので、孤立させること自体はいまでも基本のなかにはあるようだが、もっと周囲の選手と連携すべしと。まあ、それがあるべき姿だと思う。

後半のマルティネリは、9に移動したりでけっこう試合から消えてしまっている時間帯もあって、RWでの動き方やプレイに彼自身がもっと慣れていく必要がありそうだ。時間が解決する部分もあるだろう。まだ始まったばかり。

もっと強いチームとの試合も観てみたいね。それなりに守備を強いられるような試合では、相手ハーフに攻撃できるスペイスもあるし、それこそ彼が活きるかもしれない。

ただ、アーセナルの大きな問題は強敵との試合ではなく、もっと格差ある相手との試合だろう。ドン引きしたディープブロックの相手を攻撃の選手がどう崩せるかがつねに問われている。自信をもって攻めてくる強者よりも、そっちのアプローチのチームのほうが多いのだから。それを乗り越えないことには成功できない。

サカの不在を感じさせないようなパフォーマンスができれば、ネリとしてもチームとしても大成功だったが、それはひとまずお預けである。

 

それと、サカ不在で左右の攻撃バランスがどうなるかにも注目をしていた。

結果的にはこうなったらしい。右サイドに偏る傾向はサカがいるときとそんなに変わらない。

HTの時点↓では、左右の攻撃バランスはほとんど半々だったので、後半で右に偏ったようである。それもオーデガードと関係あるのかな。彼は後半ひどいタックルを受けてからのほうが元気になったように観えた。

前半のように、攻撃のサイドが左右で極端に偏らないというのは、やはりよいと思った。この試合はLWのトロサールがよかったので、彼のおかげか、ネリが左にいるときよりも左サイドは活性化していたように感じた。それで彼のアシストからゴールも決めている。

あのアシストは、トロサールはそれまでずっとカットインサイドしていたのをあそこで縦に行ったのだよね。あれは賢かった。インテリジェンス。

しかし今後は、自然と左右の攻撃バランスはそれなりに平衡していくんじゃないだろうか。サカのような特別な選手が不在というだけでも、そうなる理由はあるし、そうなれば逆サイドの左から攻撃する時間も自ずと増える。

これは、相手にとっての予測可能性という意味でも、チームにはとても健全なことなので、今後に期待しよう。

ということで、サカ不在のチームが今後どうなっていくか、これからも見守っていこう。この試合を観てとても楽観的になれるとは云わないが、失望したというほどでもない。

MLSがポジションをキープ&また躍動

試合後のぼくのTLには、ファンのMLS絶賛twが連なっていた。英国では“Myles Lewis-Skelly”がtwのトレンドワードにも入ったようだ。

チームのLB危機からプレイしはじめた18才が、いまやシニア選手たちをベンチに置いて堂々とプレイしている。彼はこれで3試合連続のスタートであり、今回は初めてPL試合を最後までプレイした。これを大活躍と云わずしてなんと云おう。

今回も身体を使った粘っこいプレイやターンでの突破など、彼独特のプレイを存分に見せ、レフトバックとしてますます安定感が増している様子。FBとはいえ、彼はもともとCDMとしてプレイしてきたこともあり、MFでの存在感もしっかりある。誰かが云っていた「左にもうひとりティンバーがいるようだ」は、彼にとってすごい褒め言葉だろう。

今回は、DelapやKalvin Phillips(マッチプレビューで触れるべきだったが、おれはこのひとの存在を完全に忘れてた)とのアツいバトルもありで、ファンのハートもがっちりつかんでいる。

今回のプレイで、MLSの立場はかなり確立されたかもしれない。ファーストチョイスが確定したと云ったらいい過ぎだろうが、もはやはっきりとしたバックアップ選手ではなくなっている。

このタイミングでの彼の台頭は、さすがにチームのなかでも想定外なのではないか。この状況にカラフィオーリが危機感を覚えてもおかしくないだろうし、もっといえば残りのLBたち、KT、ジンチェンコ、キヴィオール、トミヤスといった選手たちの将来にも大きな影響を及ぼしかねない。

どえらいことになったと思う。またしてもヘイルエンドの勝利。

これほど急速に、彼がアーセナルのトップチームで成り上がっていることにいちばん驚いているのはこのひとかもしれない。「おまえ誰だよ」とMLSに暴言をはいたひと(ロボ)。このときからそんなに時間はたっていないというのに。

つぎ会ったら、謝ってくれるかもしれないな。彼もすっかり謙虚になっているから。

 

この試合については以上!

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