試合の論点
クリスタル・パレス vs アーセナルのトーキングポインツ。
Unbeaten in London derbies for 2024 😎
Check out the highlights from tonight’s 5-1 victory over Crystal Palace 📺 pic.twitter.com/1rnVmuBHss
— Arsenal (@Arsenal) December 21, 2024
プレッシングチームにアウェイで勝利。PLの2連続ドロウからやっと勝ちに戻る
フラムとエヴァトンという、アーセナルとしては当然勝つべき相手に勝てなかったフラストレイション。いくら支配的にプレイしても、ゴールできなければ試合には勝てない。引き分けというのは、もちろん最悪の結果ではないのだが、タイトルを目指していたシーズンのなかでこの不十分な結果は、界隈のムードを盛り下げるには十分な失態だった。
しかしこの期間、それ以外の試合では、CLモナコに快勝し、リーグカップのパレスにも快勝。それらのように、PLでもなんとかパフォーマンスを結果に結びつけるような試合が必要だった。しかもそれがアウェイとなれば、勢いと自信をつけるにはもってこいの機会。
アウェイで5-1快勝。やっとPLで勝ちに戻ることに成功した。できすぎのようでもあるし、実力であるとも感じる。そんな試合であった。
ただ、この試合のパレスはホームでとても積極的にプレイし、かなりアグレッシヴなプレスでアーセナルは苦しまされた。
前回ハットトリックのジェズースが6分にいきなりゴールして、イージーな試合になるのかと思いきや、とんでもない。その5分後にはイコライザーをぶちこまれてもいる。少なくとも前半は、フェアに云って一進一退のような攻防だっただろう。
試合のなかで、アーセナルは何度か致命傷になりかねないミスをやっているが、あれは間違いなくパレスのインテンスなプレスと組織だった守備に強いられたものだった。
アルテタも試合後に振り返っていたように、なかなかボールをバックラインから前進させられなかったために自分たちのゴールの前でプレイする時間が長く、ロングボールに逃げなかったといえば聞こえはよいが、リターンにくらべてリスクが高いという、悪いプレイだった。
ちなみに、ここにはデータがないが、HTにAFC公式のライヴオーディオのほうで紹介されていたスタッツでは、前半のパレスのプレスは際立っていて、ファイナルサードでのプレッシャーやターンオーヴァは、アーセナルの倍以上の数を記録していた。それだけ彼らはアグレッシヴなハイプレスを成功させていたのだった。あれではアーセナルのビルドアップが苦しそうに見えるのも当然。
しかし、前半は5分ごとにゴールを奪い合うみたいな混沌とした試合展開のなか、アーセナルがゴールを決めつづけ、結局3-1でHT。お互いの攻防という意味では互角に近かったので、その結果をパレスのボスがクレイジーと云いたくなる気持ちはわからないでもない。決め手は、やはりフィニッシュだった。ゴールを決めたほうが勝つ。当たり前。
後半は、アーセナルが60分に4点めを決めたことで、ほぼ試合終了。カラバオカップのパレスのカムバックを思い出すに「3-1は危険なスコア」もありえたが、その時間は長くはつづかなかった。
試合全体を振り返ると、アーセナル目線では、だいぶ相手の攻撃を許すオープンな状況をつくったということで、試合後はハヴァーツをMFで使った影響がけっこう指摘されていた。ハヴァーツではなくライスが左8でプレイしていたと考えれば、守備が手薄になってもおかしくはない。
今回ハヴァーツはゴールをひとつ決めたということはあるものの、彼のMF起用が非常に効果的だったという印象は残念ながらあまりない。ジェスースを9でプレイさせたいがためのMF起用に過ぎないのであれば、今後ハヴァーツのMF起用は悩ましくなる。
それと、ライスが入ったあとのチームプレイの安定ぶりも、その考えを支持しそうだ。
彼が58分にピッチに入って以降、人とボールが動き、あきらかにチームのリズムがよくなった。彼は5点めのSarrの意趣返しのようなゴールだけでなく、4点めも決定的な仕事をしており(ネリが触らなくても入っていたかも?)、いまも変わらずチームのメインマンであることを思い出させてくれた。
ところで、やはり今回のわれらの大勝は、相手が積極的だったというのは大きいと思う。フラムやエヴァトンは、自分たちの強みを活かすよりもこちらの長所を消すことに注力していたが、この試合のパレスはそれだけではなかった。あわよくば勝とうとしていた。アーセナルにとっては、そのほうがやりやすかったかもしれない。少なくともゴールするためには。試合後会見で「ゴールのためならコントロールも譲る?」という質問があるのは、このことだろう。
したがって、今回は気持ちよく勝てたが、今後もドロウ上等でこちらの長所を消すことだけを考えて挑んでくる相手をどう崩すかは、まだ課題としては残っているという気もする。そういう相手はまたすぐに現れるはずなので、それまでにすこしでも対処ができるよう、自信をつけ勢いをつけておきたいものだ。
復活のジェズースがまた活躍
この日は、6分、15分にゴールで2ゴール。先日のハットトリックにつづいての複数ゴール。彼は、ほんとうに生まれ変わったみたいだ。しかも突然に。
また、それ以外にも惜しいシーンがいくつか。
38分のハヴァーツのゴールでは、直前にマルティネリのカットバックをヘッダーでポストにヒット。それが結果的にアシストになった(※アシスト記録なし)。
そして、60分。マルティネリのゴール直前のトロサールのクロスからビッグチャンスをミス(0.47xG)。あのショットはこの日の彼の5つのショッツのなかでも最大のチャンスで、カメラアングルによっては外すほうがどうかしてそうなショットだけど、あまりにイージーすぎたため逆に外してしまった的な。そういうのある。ハットトリックのことも脳裏をよぎったかもしれない。2試合連続でハットトリックなら、アーセナルでは2013年のRVP以来だったとか。雑念。
カラバオカップでハットトリックをやったときは、1試合ではまだ判断できないと思っていたが、さすがに2試合連続だと、この勢いが本物のような気がしてきた。ゴールだけでなく、全体的にも動きがシャープ。あの自信なさげな、自分の能力にも疑いを持ってしまっているようなガビーはもういなくなったかのよう。
Confidence is a crazy thing. Gabriel Jesus suddenly looks the best player in the league.
— Sam Dean (@SamJDean) December 21, 2024
Sam Dean「自信とはおかしなものだ。ガブリエル・ジェイズースが突然にリーグのベストプレイヤーのように見える」。まさに。精神的/心理的理由がここまで強烈にパフォーマンスに影響を及ぼす例。
ただ、アルテタに云わせれば、ガビーはずっとトライしていて、我慢もしていた。利己的じゃなくて利他的だった。いざというときのためにも準備も怠らなかった。だから、いまがある。
美しい。