アーセナルは、先日のレスター(A)での勝利でPLで2位をキープ。2011年ぶりという15試合の無敗記録も更新した。
続出するケガ人や不可解なレッドカードのような逆境にさいなまれているシーズンでも、アーセナルのチームはここまで崩壊することなくしぶとく生き残っており、残り13試合にして、まだまだPLのタイトルをあきらめる様子はない。
25試合を消化した時点では、トップのリヴァプールと2位アーセナルの差は7ポインツとなっている。
残りがおよそ3ヶ月となった24/25シーズン、このあとのPLタイトル争いにどんなドラマが待っているか、現時点での状況から展望してみよう。
EPLの歴史からするとアーセナルの逆転優勝はかなり難しい?
PLの残り試合が13試合ということは、ポインツ換算で42ポインツ。試合数が残りすくなくなったシーズン終盤ならいざ知らず、まだ42ポインツ分もあれば、7ポインツ差くらいはひっくり返りそうにも思える。
だがしかし、先週の『BBC Sport』の記事によると、PLのタイトルを逆転で勝った歴代のチームで、GW24時点でのトップとの最大のポインツ差は「5」だということ。つまりそれ以上のポインツ差があった2位は、いまだタイトルを勝ち取ったことがない。
かつてそれをやったのは、PLの歴史のなかで2チームだけ。 02/03のマンUと、18/19のマンシティ。
95/96シーズンには、2位のマンUがGW24の時点でトップのニューカッスルに9ポインツ差から逆転優勝をしたケイスもあるが、そのときはニューカッスルよりも彼らのほうが残り試合数がひとつ多かったという。実質6ポインツ?
いずれにせよ、GW24時点での(※GW25でも同じ)7ポインツ差をもしアーセナルがシーズン終了時にひっくり返すなら、PL史上最大の逆転劇となる。
今シーズンは、例年どおりタイトルの有力候補だったマンシティが不調に陥るという予想外のことも起きているし、リヴァプールだって直近6試合(※すべてのコンペティション)のうち3試合でポインツを落とすなど、けして盤石ではない。
想定外のことが起きるシーズンだとするなら、アーセナルの逆転タイトルがあってもおかしくない。
残りフィクスチャの難しさ比較
以下は、BBC Sportの記事より拝借したデータ。2月16日時点での対戦相手の強さ(ポインツ/試合)で比較。
これによると、残り13試合すべての対戦相手の強さを平均したとき、リヴァプールの1.41に対し、アーセナルの1.38となっている。数字のうえではアーセナルがやや有利(イージー)だが、大きな違いはない。
ひとつ注目したいのは、このあとの3試合。
リヴァプールは、ヴィラA(1.85)、シティA(2.17)、ニューカッスルH(1.62)で、平均1.88。
アーセナルは、ウェストハムH(1.08)、フォレストA(2.0)、マンU A(1.23)で、平均1.43。
アーセナルもフォレストやマンUといった試合はトリッキーになりえるが、さすがにリヴァプールほどタフではない。この3試合が終わった時点での両者のポインツ差は、見ものである。
楽観的シナリオとして、リヴァプールが3試合のうちふたつでドロウをやり、アーセナルが3勝した場合、残り10試合でポインツ差は3。そうなれば、その後はもうなんだって起きそうだ。一時の9ポインツ差からそこまで追いつかれたら、日々プレッシャーを感じているはずのリヴァプールのチームに与えるショックもあるだろう。
それと、もちろん最高にアツいのがGW36の両者の直接対戦。エミレーツ。
アンフィールドエミレーツでは、アーセナルが2度のリードを追いつかれる残念な展開ながら、それでも1ポイントはキープした。
もしこのときに、いまよりも差がだいぶ縮まっているようなら、タイトルを決めるのにふさわしい試合かもしれない。
もっとも、そのあとの最後の2試合のなかに、リヴァプールはブライトンA、アーセナルはニューカッスルHという、これまたヤバそうな試合が残っているため、もしこのときまだ接戦ならお互い安心はできない。夏にアーセナルファンがミトマを熱望するようなことになってくれるといいのだが。
24-25EPL結果予想(GW25時点) by Optaスーパーコンピュータ
ここからチェックできる。
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Optaによれば、現時点でのアーセナルのタイトル可能性は、14.08%。最終的なポインツ予想(xPTS)は、80.36ポインツと見積もられている。
いっぽうのリヴァプールのタイトルは、85.81%で圧倒的本命。87.36ポインツでのフィニッシュ予想。まあ、ふつうに考えると彼らが勝つシーズンだろう。コンピューターじゃなくたってそう考える。
リヴァプールとアーセナルの最終ポインツ予想は、ちょうど差が7ポインツで、ここから差がまったく縮まらないとされているのは少々心外ではある。
だがこれに関しては、とくに嘆く必要もないだろう。
当たり前のことながら、コンピューターは過去のパフォーマンスや結果のデータから未来の予想を計算するわけで、それが突然によくなったり悪くなったりという予想は基本的にしないはず。シティとフォレストの順位が入れ替わっているのは、近年のフォレストの実績のなさのおかげだろうと思う。
リヴァプールの現在のポインツ取得率は2.40、アーセナルは2.12。現状の差を縮めるには、ここを変えていく必要がある。
ところで、仮に87ポインツ程度で優勝できるのだとすれば、今シーズンはやはり例年に比べるとややオープンと云える。ちなみに、去年2位フィニッシュしたアーセナルのポインツは89。今年ならタイトルを取っていたかもしれない(一昨年は84ポインツで2位)。
PLはリヴァプールを勝たせたがっている件
昨日のウォルヴズ戦で、リヴァプールに疑惑の判定があったということで、それを確認しようとニュースを観ていたら、リヴァプールの選手が2枚めカードを「ラッキーに」回避したのだとか。ぼくは、そのシーンは観ていないのだけど、どうも「Wイエロー」の可能性があって、やっぱりマルティネリにしか適用されねえじゃねえかという。
試合に敗けたウォルヴズのボスは試合後に「彼は2枚めイエローでレッドカードだった」と述べ、それもミケルならビッグトラブルになるからノーコメントにしないといけないやつ。
しかも、ウケるのがこれでリヴァプールは3試合連続で、ラッキーなかたちで2枚めカードを回避しているという話。マジか。
Ibrahima Konate: Wolves frustrated after Liverpool defender avoids red card for two bookings
さもありなん。
これはさもありなんだし、アーセナルが今シーズンに不可解なレッドカードをもらいまくっているのもさもありなん。
PLとPGMOLは、どうもリヴァプールを勝たせたがっているようだ。そう考えればすべて合点がいく。
リヴァプールを勝たせるためには、アーセナルを勝たせてはいけない。奇しくも同じウォルヴズ戦だけど、MLSがあんなふうにありえないレッドカードを宣告されたのが動かぬ証拠じゃないか。アーセナルを勝たせないために、あんななりふり構わない無理くりな判定をやった。
ひどい話ですね。
むすび:アーセナルは大丈夫か?
どうだろう。
ハヴァーツのシーズンが終わって、メリーノが活躍して。いまこの瞬間は、アーセナル界隈はちょっとだけポジティヴムードがあるとはいえ、ふつうに考えるとチームはほとんど壊滅状態である。ストライカーがいないんだから。
それと個人的に心配なのは、アルテタが今後もスターリングを使いつづけること。つぎの試合もレスターと同じ3人でスタートする。やりそうである。
今後のアーセナルに明るい材料があるとすると、サカとネリの来月くらいの復帰。われらはいまのひどい時期を乗り切れば、そのあとはだいぶマシに見えそう。とくにサカが帰ってきて、何事もなかったかのように活躍しだせば、大いに盛り上がるだろう。サカとワニエリ。それは観たい。
そして、そうなればリヴァプールにはかなりプレッシャーを与えられる。彼らはウォルヴズでの後半にゼロショッツをやったそうで、追われるもののプレッシャーの影響も指摘されている。アーセナルが勝ちつづけられるなら、今後は彼らが勝手にプレッシャーを感じてくれる。このあと、Salahがケガしないとも限らないし。ひとりへの依存度が高いチームの脆弱性はある。
おわり