昨日、アーセナル御一行はドゥバイキャンプを終えてロンドンに戻ったらしいのだが、なんとカイ・ハヴァーツのハムストリングのケガが伝えられている。ドゥバイで充電するどころか、ケガして帰ってくるとは。恐れていたことが現実に。
EXC: Arsenal striker Kai Havertz suffers worrying muscular injury scare on the club’s winter training camp in Dubai. Sources indicating the issue is hamstring related, but full diagnosis unconfirmed. Players and staff returning from UAE today. Story: https://t.co/PK80041HbX
— Sami Mokbel (@SamiMokbel81_DM) February 11, 2025
アーセナルは、サカとジェズースが長期離脱中のなか、前回のニューカッスル戦のあとには、さらにマルティネリが一ヶ月以上の離脱が判明していたところ。そんな、すでにアタッカーが危機的状況で、ついにハヴァーツまで。
これで、シニアアタッカーはトロサール、スターリング、ワニエリの3人だけになってしまった。ワニエリはシニア?
アーセナルのシーズンは終わったんだろうか。
「アーセナルがドゥバイキャンプ中にカイ・ハヴァーツのケガに見舞われる」 by Sami Mokbel
『Mail Sport』の記事を引用しよう。
ドゥバイでのトレイニング遠征の最中、アーセナルのストライカー、カイ・ハヴァーツがケガの懸念に見舞われた。
『Mail Sport』が確認したところ、これは今週はじめのセッション中に起きたことで、情報筋はハムストリングに関わる問題だと示唆しているが、ケガの程度はまだ定かではない。
クラブは追ってケガの程度を確認していく予定だが、いかなる程度でもハムストリングの故障となれば、このあとハヴァーツは離脱する見込みだ。
ミケル・アルテタは、すでにサカ、ジェズース、マルティネリをケガで失っているため、アタッキングエリアでこれ以上の離脱は避けたいはず。
ハヴァーツは今シーズン、クラブのトップスコアラーで15ゴール決めており、彼を起用できないとなれば、リヴァプールに追いつこうというチームの野心には非常に大きな打撃になることは必至。
Sami Mokbel(Mail)の独占スクープ。この情報は、ファブリツィオ・ロマーノ始めほかのジャーナリストたちも追随しており、信憑性は高い。またあなたか。このひとは最近すごいね。つぎのジャーナリスト格付けでは、AFC情報Tier1になりそうである。サミ・モクベル。名前おぼえよう。
彼のケガの程度は判明していないというので、軽症の可能性もある。おそらく明日か明後日に行われるミケルの試合前会見(PLレスター)で、ある程度のことはわかるはず。大きな問題にならないことを祈る。
ガブリエル・マルティネリがハムストリングの故障で一ヶ月以上の離脱
それと、このブログでは書いていなかったので、ガビ・マルティネリのケガについても触れておこう。
ちょうど先週のカラバオカップSFセカンドレグ、ニューカッスル戦で37分に負傷交代したマルティネリは、その後の検査によりハムストリングのケガが判明し、一ヶ月以上離脱するということ。試合直後にも「4-6週間」のような予想はあったので、ちょうどそれが的中したかたちである。
ドゥバイでのサカの手術跡のことがすこし話題になっていたが、同じハムストリングでもネリは手術まではいかない程度だったということなんだろう。それは、不幸中の幸い。ここから3ヶ月離脱ならシーズン絶望と同じだもんな。
これによって、ネリは3月16日のPLチェルシーあたりまで離脱する可能性が高い。それまでには、PLフォレストやマンUのようなビッグゲイムも含まれる。もちろん、まだ対戦相手は決まっていないがCLも。
ネリがケガしたこの試合は、冬の移籍ウィンドウが閉じた直後だったこともあり、とくに衝撃が大きかった。フロント3でプレイできるアタッカーが4人になっちゃったんだから。
そして、今回のハヴァーツで3人に。ピュア9はゼロ。いやハヴァーツはピュア9じゃないから、もともとゼロだったのか。じゃあマイナス。もう笑うしかない。
アーセナルの冬ウィンドウの決断が超裏目に出る。これは不運ではない
アタッカー危機のアーセナルが冬の補強に失敗【2025】 | ARSENAL CHANGE EVERYTHING
冬ウィンドウが終わったあとにあちしのブログでも書いたわけなんだが、いろいろな理由があるにせよ、最終的にアーセナルはアタッカーの補強なしで残りシーズンをやりくりできると判断したんだよね。ぎりぎりなんとかなるほうに賭けた。多くのものの目にはそれはギャンブルにしか見えなかったのだが。
そして、われらはいまそのギャンブルに負けつつあるという状況だろう。しかも、こんなに早くに。楽観的な判断が手ひどく罰せられている。
最近というか今シーズンのアーセナル界隈では、よく「不運(bad luck)」ということが云われるのだが、今回ハムストリングをやったハヴァーツに関しては全然運じゃないように思える。だって、こうなることは誰にでも予想できたんだから。
彼は、毎試合でかなりハードワークしていたことはアーセナルファン全員が知っていたことだ。少し前だが先月のPLウォルヴズで試合終了のホイッスルと同時に彼がピッチにぶっ倒れてしまったことも象徴的だった。直近のカラバオカップでもヘトヘトになりながら90分プレイした。スクワッドデプスのなさもあって試合ではいつも交代させることができず、彼はあきらかに酷使されていたのでみんな彼のケガを心配していた。もし、唯一の9である彼になにかあればチームはどうなるのかと恐れていた。
ACLをやったジェズースや軽くロテイトされていたマルティネリはともかく、サカもずーっとケガの懸念があるなかでのケガだった。彼はつねに対戦相手に足を狙われていたし、そもそも彼のプレイ時間はそうとう多かった。チームのベストプレイヤーに頼りすぎた。
ハムストリングのケガは過負荷が原因のひとつと云われているのだから、これはこうなってしまえば「やっぱり」としか云いようがない。これらのケガは、起きるべくして起きたこと。
これはマネジメントの問題であり、アルテタがよく言及するところのクラブの意思決定の問題なんじゃないだろうか。冬の移籍ウィンドウは穴を埋める大きなチャンスだったのに、それを活かさなかった。多少方針を妥協したり、もっと保険をかけるような低リスクなやりかたはあったのに、それをしなかった。
まあ、賭けというものは勝つ可能性だってあるのだから、それが100%悪いとは云わないが。
もし冬に選手に妥協せず資金を節約しチームをなんとかやりくりしてシーズン終了し夏ウィンドウを迎えられれば、そこで得るものは大きい。リターンはあった。
だが、やはりリスキーだった。勝ち目の薄い勝負をしかけた。無謀と云われてもしかたがないほどの。
だから、このアタッカー危機の多くの部分は不運じゃない。自分たちが招いた。
ハヴァーツの代替は?
とはいえ、起きてしまったことは、いくら嘆いてもしかたなし。それでも前を向くしかない。
当面考えねばならないのは9の代替をどうするか。オプションをいくつか。
1. 内部的解決
残ったアタッカーは、トロサール、スターリング、ワニエリ。
ふつうに考えると、PLレスターでスタートするのは、LWにスターリング、CFにトロサール、RWにワニエリ。あるいは、ワニエリがCFでトロサールと逆。これくらいしかない。
まあ、これでスタートは悪くないとしようか。LWのスターリングは右より悪くないようだし、トロサールの9もこれまでに何度もやっている。RWのワニエリは云わずもがな。
問題は、週1試合がつづくとはいえ、彼らをずっと90分使いつづけるのか。それは、同じことの繰り返しになりそうで怖い。選手がまた過負荷でケガしてしまう。とくにまだ17才で成長中のワニエリは心配だ。ここで、3人のうち誰かが故障したら、つぎは2人になってしまう。
システムを4-4-2のようにして、フロントの数を減らすやりかたもあるかもしれない。今シーズン、オーデガードがいないときにも4-4-2は何度かやっていた。
2. 内部的解決(コンヴァート)
KTをLWにしろとかそういうやつ。
ぼくの個人的おすすめはビッグガビのストライカー化なのだが、さっき観たこれがちょっとウケてしまった。
Understand Arteta has drawn similarities between Mikel Merino and Marouane Fellaini, who Arteta played with in his time at Everton. Fellaini was occasionally used as a striker in his Everton and Manchester United days. https://t.co/3Keybae3Y8
— AFCAMDEN (@AFCAMDEN) February 11, 2025
メリーノをストライカーで使うという。なぜなら。
ミケルがエヴァトンでプレイしていた時代のチームメイトであるフェライーニ(Marouane Fellaini)が、エヴァトンでもマンUでもしばしばストライカーでプレイしていたことにインスパイヤされるはずという。云われてみれば、フェライーニとメリーノはちょっと似ているかもしれない。
これは実際アリだなと。メリーノはチームのなかではもっともハヴァーツのプロファイルに似ているため、彼を9でプレイさせることによる周囲への影響が小さくて済む。問題は彼にゴールを決める本能があるかだが…… そんなのハヴァーツだってないから大丈夫か(自虐)。
そういえば、ちょっと前にぼくがたまたま観ていたマンUの試合で、AmorimがCMのKobbie Mainooをストライカーで使っていたことも印象に残っている。ベンチにはふたりも9がいるのに。正直、あれはけっこうおもしろいやりかただと思った。何かを変えなきゃいけなかったにせよ、非常に柔軟。
そういう意味では、ライスの9もありかね。優秀な選手はどこでプレイしても優秀なんだから。ちょっと観たい。
あとはこれとか。
🇮🇹 Riccardo Calafiori: “When I was a kid, I was a striker and I liked to score many goals” ⚽️
It’s time. pic.twitter.com/hMu4IKf0Qm
— Gooner Chris (@ArsenalN7) February 11, 2025
そうそう、ついこないだカラフィオーリは子どものころストライカーだったと云ってた。でも、そんなことを云えばプロになるようなエリート選手は、だいたい子どものころはストライカーだったんじゃないかという疑惑が。
こうなったらアルテタには、Amorimみたいに誰もが驚くようなコンヴァートをやってみてほしい。
3. アカデミー選手
アカデミーの若い選手たちにとっては、これは間違いなくチャンスになる。ベンチに入る選手もこれまでよりさらに増えるはず。
おなじみのAFCアカデミーにたいへん詳しいJeorge Bird氏が、さっそくアカデミーのストライカーとウィンガーの可能性についてリポートしている。
Assessing Arsenal academy’s striker and winger options as injury crisis continues https://t.co/SEdoUGqlCG
— Jeorge Bird (@jeorgebird) February 11, 2025
現時点でもっとも可能性がありそうなのは、Nathan Butler-Oyedeji(22)。フロント3ならどこでもプレイできて、CLのディナモ・ザグレブですでにシニアデビューも果たしている。
ウィンガーでは、Ismeal Kabia。彼はドゥバイキャンプにも参加した。
また、ウィンガーでは去年シニアデビューしたCharles Sagoe Jrもこの冬にローンから戻っている。彼はときどきストライカーとしてもプレイしているということ。
現在のU-21のメインストライカーはKhayon Edwards。48試合で21ゴール。シニアチームのベンチに入ったこともあり。
その他、さまざまな名前が出ているが、Bird氏の見立てでもっとも可能性がありそうなのは、Nathan Butler-Oyedeji、Ismeal Kabia、Charles Sagoe Jrの3人。
ただ、Nathan Butler-Oyedeji(25試合)、Khayon Edwards(7試合)、Charles Sagoe Jr(13試合)は3人とも、リーグワン(※英三部リーグ)のローン先でひとつもゴールしていないということで、アタッカーとしてファーストチームに貢献できるかどうかはあやしい。
厳密にはアタッカ-ではないものの、ファーストチームへの関与が期待されている15才マックス・ダウマンについては、PLではプレイ資格がないということは以前にこのブログでも書いたとおり。残念。
誰かが云っていたが、いまごろマンUへ行ったチドオビは代理人を叱りつけてる。ウケる。
4. フリーエイジェントの選手を買う
これデッドラインデイが終わったくらいで議論があって、そのときは移籍ウィンドウが閉じたあとも買うことができると云われていたのが、いま可能かどうかはわからない。※調べる気なし
TMでフリーエイジェント選手の検索ができる。
誰もが名前を知っているような有名選手はさすがにあまりいないのだが、そのなかに良さそうなひとりが。Wissam Ben Yedder(34)。ちょっと前に活躍してたストライカーで、アーセナルとも噂になったこともあったような。と思ったら、札付きの問題選手だったようで(ウキペ)。マジな犯罪者だった(笑)。
まあ、だからフリーエイジェントはないか。そもそも問題ない選手ならフリーエイジェントにはなっていないのだから、アーセナルのお眼鏡にかなうフリーの選手がいるはずがない。
こんなことになるなら、フリーだったウィリアンにもう一度行けばよかったのか?
ということで、アタッカー危機のなかでさらにハヴァーツまで失ったことで、PLもCLもわたしたちの先行きは非常に暗いと云わざるを得ない。これじゃあ試合に勝てなくても文句云えない。どうしてこうなった。。。
おわり
おまけ:トミヤスがヒザの再手術を検討されている?
ハヴァーツのケガを伝えたSami Mokbelのスクープ記事には、もうひとつのリポートがあって、それはトミヤスのヒザの再手術がクラブに検討されているということ。
もういつからプレイしていないのかわからないくらいだが(※10月に6分間だけプレイしてまた離脱した)、ここからさらに手術?? 今シーズン絶望はもちろん、来シーズンすら大きな影響を受けかねない。
アルテタはしばらく前にトミヤスについては「すでにピッチ上でワークを始めた」みたいなことを云っていたはずなのに。
彼の契約はこの夏に残り1年になるので、アーセナルは売却するならこの夏がほとんど最後の機会だった。ここで手術なら、夏にフィットしているかどうかもわからない。
ジェズースがACLで売れなくなったのと同様、アーセナルには厳しい状況になった。プレイできないあいだも、彼らの高給も払いつづける必要がある。
もちろん、トミヤス自身も。トミーの「カソルラ化」にはファンから同情の声も多い。ここから手術でさらに長期離脱が決まれば、精神的にも非常にタフなことは間違いない。
チームとして幸いなことは、ベンジャミンがキャンプでもよい調子だったようで、復帰が近づいていること。
いまはGet well soonとしか云えねえ。
パレスで燻ってるエンケティアのローンとか案として良さそうには思いましたが。ネトはローンバックする前提。
ジンチェンコやティアニーのウイング化はなくはないのでは?とも思う。特にティアニーは短い時間ながら中央に鋭いパス何回か入れてましたし。
ともかく今シーズンの趨勢を決める1ヶ月になりそう。
Jeorge Birdさんは Andre Harriman-Annous に注目している様子ですね。