メリーノがゴールをつづける
メリさんがまたゴールである。ティンバーのスルーボール→ワネーリのカットバックから。本職よりすごい。シーズンが終わるまでにハヴァーツのゴール(9)も上回りそうな勢い。
6 – Mikel Merino has scored six Premier League goals this season for Arsenal – his most in a single league campaign in his top-flight career. Striker. pic.twitter.com/W26BqKRjTP
— OptaJoe (@OptaJoe) April 1, 2025
あれはボールが相手DFに当たってコースが変わって入ったラッキーももちろんある。だが、ゴールを決めるストライカーのショットというのはそういうものだろう。なぜか入る。
このブログでは以前にも書いたように、今回のゴールは彼のMFとしての良さが出たゴールだったと思う。あのボックスのなかのクソ狭いスペイスでボールを持てる足元の技術と落ち着きがあったこと。並のFWだとあそこで目一杯ちからを入れてボールを蹴って宇宙開発したり、ブロックされたりするもので、あのショットとゴールはMFのメリーノの良さが出たのではないかと思う。相手にしてみれば、DFに囲まれているのにあそこで平然とプレイされるのはイヤなものだろう。
彼自身は、この試合でショッツ2しかなかったのだが(SoTが1、ブロックされたショットが1)、SoT 1をそのままゴールにしてくれた。なんという決定力か。
彼はこれまでも少ないショッツでゴールを決めている印象があるが、そのコンヴァージョン率は脅威の36.4%。3ショッツで1ゴール以上決めている計算。リヴァプールファンが聞いたら泡吹いて倒れちゃう。
Since coming on as a striker against Leicester on 15 February, no player has a better shot conversion rate than Mikel Merino in the Premier League (36.4% – 10+ shots).
pic.twitter.com/Y0dYnSwhy9
— WhoScored (@WhoScored) April 2, 2025
アルテタがよく云っているように、メリーノは学習意欲がかなりあって、9としてのプレイもすでにかなり理解しているという。今回はすこしそこを注目してい観ていたが、相手のDFラインと駆け引きをして裏抜けのボールをもらうような動きも繰り返しており、ちょっと微笑ましかった。
がんばっている選手というのは、どうしたって応援したいものだ。
今シーズンはまだまだ試合が残っている。彼にはこれからもゴールを決めつづけてほしい。ていうか、このままゴールを決めつづけたら、来シーズンはどうなるんだろうか?
マルティネリが電撃的超躍動。ファンが選ぶ圧倒的MOTM
この試合、スタッツ系のサイトだとメリーノがもっとも高いレイティングをされているようなのだが、数字でなく見た目で選ぶなら、もっとも輝いた選手は圧倒的にガビ・マルティネリだろうと思う。AFCの試合後のファン投票でも60%以上の得票を集めてダントツのお客様満足度No.1をゲット。2番めのサカですら26%である。
Time to choose your Player of the Match, Gooners!
— Arsenal (@Arsenal) April 1, 2025
ぼくもこの試合は、今シーズンだけでなく、ここ数年でも彼のベストゲイムだったんじゃないかと思う。ちゃんと€70mの選手に観えた。
この試合、フラムの基本的な守備ブロックはバック5(5-4-1)で、アーセナルのWGにはつねにタイトなマークがつき、ワネーリやネリにはワイドエリアのスペイスもなく、彼らも1 v 1ではかなりやりにくタイプの試合だっただろう。実際、右サイドのワネーリはボールを持ったときに、ことごとく後ろを向かされるなど、とくに前への展開にはけっこう苦労しているように観えた。
しかし、左サイドのマルティネリはボールを持つたびに相手とマーカーに1 v 1をしかけ、少なくない回数で縦に突破したり、クロスボールを上げた。ドリブルは2/3、クロスが2/9と数字こそ突出しているわけではないものの、フラムのRWBでプレイしていたTimothy Castagneは、ネリの対処には明らかに手を焼いていた。
この日の彼のハイライトのひとつは62分のナツメグ。1 v 1で対峙していたCastagneは、きれいに股を抜かれて尻もちをついたという。ちんちんにしていた。
それと、もちろんチームの2点めとなったサカのゴールのアシスト。アーロン・ラムジーのいつぞやのフリックゴールを思い起こさせるような、ボックスでの即興プレイ。お見事。彼がブラジル人に見えてきた。
あのゴール自体が、ネリのお膳立てによるものでもあった。相手のビルドアップのボールを奪ったライスが近くにいたネリにパス。そこから彼は追いすがる相手DFをものともせず強引にドリブルを開始。あのプレイはまさに彼のこの日のシャープさと自信を物語っていた。そして、左サイドにいたメリーノにパスをすると、そのままボックスへ。メリーノ(クロス)→ネリ(フリック)→サカ(ヘッダー)。これは美しい。
マルティネリは、どうも調子が安定せず、まあまあいいときとあまりよくないときを交互に繰り返していた。アーセナルに来てからいきなりブレイクしたシーズン以降、順調に成長しているとはなかなか云い難いところはあった。
しかし、今回のネリは、あのまま順調に成長していればこうなったはず、みたいな結果をいきなり見せられたみたいな気分がしている。そしてもちろん、彼は今後このフォームを維持することが重要だ。
来週のレアル・マドリッドでも、今回のようなネリが観られるなら、かなり大きな武器になるはず。ネリの大活躍は、間違いなくこの試合でアーセナルが得た最大のポジティヴのうちのひとつだろう。
Gabriel Martinelli might have enjoyed Bukayo Saka’s goal vs. Fulham more than Saka himself
pic.twitter.com/LurspYuJCM
— ESPN UK (@ESPNUK) April 1, 2025
ESRの哀愁の背中に泣いた
最後にESRのことを。
夏にアーセナルからフラムに移籍して以来、初めてのエミレーツ。ESRのパフォーマンスは悪かったとまでは思わなかったが、正直パッとしないパフォーマンスではあったと思う。
なにより元気がないというか。エナジーやオーラみたいなものがない。あれじゃあ、いまのアーセナルのチームではプレイできない。
攻撃時もポケットでうろうろしているだけで、あのチームのなかでボールを要求したり、自分がチームプレイの中心でイニシアチブを取ろうとするような雰囲気はまるでなく。その小さく見える背中はまるで、彼はいまもアーセナルに複雑な思いを抱いているみたいにも観えたほど。未練といったら言い過ぎかもだが、彼はいまもアーセナルに対し吹っ切れず寂しい思いがあるのかもしれない。
そんな彼が後半ピッチを退いたのは、サカがピッチに入るのとほぼ同じ時間の入れ替わりで、そのときは一部スタンドから、♪Saka and Emile Smith Rowe~のチャントも発生したらしい(TVではわからんかった)。
ESRはもちろんいまもアーセナルのファンフェイヴァリット。ピッチから下がるときは温かい拍手もあった。だが、サカが2025年になって初めてエミレーツのピッチに足を踏み入れた瞬間のファンの歓迎は、当然その比ではなかった。
Listen to that noise
Welcome back, B
pic.twitter.com/K9xDbjjNC0
— Arsenal (@Arsenal) April 2, 2025
これが、すべてのヘイルエンド育ちの少年たちが夢にまで観ている晴れ舞台だと思うのだよね。6万人の注目と期待を一身に受け、奮い立ち、鳥肌が立つような瞬間。かつてのエミール少年だって例外じゃないはず。
そして、時を置かずしてあのファインゴール。サカの名前を叫び、喜びにあふれるスタンドの大きな盛り上がりに、わしはついフラムのベンチからそれを眺めるESRの心境を考えてしまった。虚ろな瞳。その場所にいたのは自分だったかもしれない。これは、やるせない。
でも、それでも彼には前進してほしいなと思う。まだ24才と若く、才能にも恵まれていて、これからどんな選手にだってなれるのだから。愛するクラブで成功できなかったことを挫折とはとらえてほしくない。自分次第でどうにだってできる。
ブカヨが放つ眩しい光に隠れてしまった、かつてわたしたちが愛したNo 10、エミールの今後の幸せを願わずにはいられない。
この試合については以上
貴殿の言うWGのストライカー化、ブカちゃんは難しくてもネリはいかがでしょう。ちゃんと足速いので、リアルにネクストアンリになることを夢見てます。
いつもながらのESRへの愛あふれるコメントに涙。自分もまったく同じことを考えていました。まだ24歳、もっともっともっとやれるはず。今年はフラムの試合も毎試合、観続けています。