ようやく発表になりましたな。Martin Zubimendi(マーティン・ズビメンディ)。
レアル・ソシエダ理由で移籍完了は7月にずれ込むとは云われていたものの、この取り引きがすでに完了していることはもうしばらく前からメディアでも伝えられていたため(※ロマーノのHere we goが5月)、われわれはあとはウズウズしながら発表を待つのみだった。
そして昨日。
Welcome to The Arsenal, Martin Zubimendi 😍
— Arsenal (@Arsenal) July 6, 2025
もちろん、彼の愛する古巣ソシエダからも発表されているぞ。
🤝 OFFICIAL ANNOUNCEMENT | Martín Zubimendi has been transferred to @Arsenal. 236 matches living the dream of every San Sebastian-born player. Forever txuri urdin. Thank you and good luck, Martin! #EskerrikAskoZubi pic.twitter.com/Dgf5JQ5kNx
— Real Sociedad 🇺🇸 🇬🇧 (@RealSociedadEN) July 6, 2025
アーセナルにとっては、この夏最大の補強のひとつがこれでDone。素晴らしい。
アーセナルがレアル・ソシエダからマーティン・ズビメンディを獲得!
AFC公式サイトから引用しよう!
わたしたちはスペイン代表のマーティン・ズビメンディが長期契約でチームに加入したことを喜んで公表します
レアル・ソシエダからやってきたこの26才は、クラブのアカデミー出身で、ファーストチームではすべてのコンペティションで236試合プレイ。2021年4月には、ミケル・メリーノとともに延期されていた19/20 Copa del Reyの勝利に貢献。地元のライヴァルであるアスレチック・クラブを破ってのものだった。
その後、22/23には近年におけるクラブの最高位リーグフィニッシュである4位を達成し、これまでたった3度しかない10年ぶりのCLフットボールも確保した。
スペイン代表として、マーティンは2020東京オリンピックの全5試合でプレイし銀メダル。La Rojaでは19のシニアキャプスで、2023にはUEFAネイションズリーグを優勝、またEuro2024優勝ではイングランド戦の2-1勝利にも貢献した。
えらいひとたち。
アンドレア・ベルタ:われわれは、マーティンをアーセナルに連れてくることができてとてもうれしい。この移籍を完了させることができたことを誇らしく思う。
マーティンはわれわれにとりキーターゲットであり、彼の持つ高いクオリティで、彼がこのチームに完璧にフィットするであろうことはわれわれ全員がわかっている。
マーティンと彼の家族をクラブに歓迎する。チームメイトたちとも早く慣れてもらうことも期待している。彼がアーセナルシャツを着てプレイする姿を見ることがとても楽しみだ。
ミケル・アルテタ:マーティンはわれわれのチームにとって、とても大きなクオリティとフットボールインテリジェンスをもたらす選手だ。彼はとてもよくチームにフィットするだろうし、チームのキープレイヤーになれるすべての能力を兼ね備えている。
彼がこの数シーズンにわたりクラブと国のために示してきた安定したパフォーマンス、それがなぜわれわれがこれほど興奮しているかの理由である。
われわれは、マーティンと彼の家族をクラブに歓迎する。
彼がNo.36シャツを着けることもここで発表されている。36とはまた中途半端な数字だが、彼がソシエダでシニアデビューしたときの思い入れあるナンバーだそう。
マーティン・ズビメンディ、ファーストインタビュー「この移籍はキャリアで最大の瞬間」
6分程度のインタビューをいちおう全訳。まだ英語には自信がないようで、スペイン語での受け答え。
(マーティン、アーセナルへようこそ。アーセナル加入はキミにとってどんな意味がある?……)
MZ:これは、ぼくのキャリアではとても大きな瞬間だ。ぼくが探し求めていたものだし、やりたかったこと。
15年間レアル・ソシエダで過ごしたから、当然これは大きな変化。でも、ぼくはもう始める準備はできているよ。
(ベルタやアルテタと話してクラブについてどう感じている?……)
ここに足を踏み入れたときから、このクラブとチームがいかに大きなものか実感した。アンドレアとミケルはすごくぼくに気を使ってくれたし、ぼくになんの疑いも持たせなかった。
(アルテタはキミと出身地も同じでプレイしたユースチームも同じ。クラブに慣れるためにそれがどれほど役立ちそう?……)
そうだね、ぼくらにはたくさん共通点がある。同じ町の出身で、同じチームでプレイした。ピッチ外のことでも、話すことはあるだろうね。そのことはうれしいよ。でも、そのこと自体は大したことでもない。
(キミのプレイのスタイル、クオリティは?……)
自分のことを話すのはあまり得意じゃないんだよね(苦笑)。
そうだな…… ぼくはかなりヴァーサタイルなCMと云えるかな。ひとりでもプレイできるし、誰かといっしょでもプレイできる。ハードワーカーで、チームにバランスももたらせる。
まあ、自分の目で確かめてよ(笑い)。
(キミは19/20にはマーティン・オーデガードともプレイしている。彼とのプレイにはどんな思い出がある?……)
短い期間だけだったけどね。あのときはCovidのあとで、ぼくがファーストチームに加わって3ヶ月間いっしょにプレイした。ピッチでのワークを抜きにしても、マーティンのジムでのワークには驚かされた。彼は100%自分のフィットネスに集中していた。
レアルからのローンで難しかっただろうけど、マーティンはその全部を経験にした。
(キミはダヴィド・ラヤ、ミケル・メリーノもスペインNTで知っている。彼らともまた同じチームでプレイできることについて……)
彼らといっしょなこともうれしい。メリーノとは何年もいっしょにプレイしてきたし、この移籍を楽にしてくれることが重要だ。きっと彼らはとても役に立ってくれると思う。
(15年もいたクラブからの移籍でアーセナルが正しいと思えた理由は?……)
たしかに簡単な移籍じゃなかった。ぼくがレアル・ソシエダからたくさんのものを受けとったことは、みんなが知っていることだし。
でも、一度移籍すると決めたとき、ぼくはアーセナルに目線を定めた。だって、彼らのプレイのスタイルが自分によく合うと思ったから。
若く、やる気に満ち、野心的なチーム。近年は彼らの可能性も示してきている。ベストはまだまだこれからだと確信しているんだ。
(アーセナル移籍にあたっては誰かに相談した?……)
こういうときは家族がいつも協力的で、ぼくのパートナーもいつも助けてくれるし、近くで観ていてくれる。父ともたくさん話した。
でも、これは個人的な自分で決めなきゃいけない決断だと思っていたし、そうなった。だから、ここにいられてうれしい。
(チームにはすでにスペイン人のグループがある。そして歴史的にもレイエス、セスク、カゾーラ、ベレリンといった選手たちがいた。そのリストに自分が加わることについて……)
ナチョもだよね。ナチョ・モンレアル。彼とはぼくもラ・レアルでいっしょにプレイしていた。
ぼくも彼ら全員のようにやっていけたらいいなと思うよ。彼らはクラブでもNTでもとても影響力があった。だから、ぼくも彼らのようにプレイできたらいいね。
(今後アーセナルで何を望む?……)
個人としては、ピッチでできることはすべてやりたいと思う。自分の能力を全部出して、競い、チームを助けられる存在になりたい。
チームとしては、トロフィを勝つことがシーズンを決めるのだから、そういうトロフィを勝つこと。それがいい目標になる。
(いまのチームについてどれほど知っている? このチームはどこまで行けると思う?……)
さっきも云ったように、ぼくはいつもPLを観ていて、最近はアーセナルのことはずっとフォロウしていた。彼らは自分たちのゲイムをかなりステップアップさせていたし、いくつかのビッグマッチには勝ってもいる。
繰り返すが、彼らは若いチームで志がとても高く、可能性もかなりある。全員が自分たちの努力にとても賭けているように見える。それもまたぼくがここに来る動機になった。
(最近キミは英語学習もがんばっているという。最後に英語でサポーターたちにメッセージをもらえるかな?……)
(笑い)Hi Gooners. I’m really happy to be here. I’m very excited to feel the environment of the stadium. So I know that my Englilsh is not the best. But I’ll try my best.
以上、アーセナルでの彼のファーストインタビューでした。
なんだか、インタビュー映像である程度その人物の人となりがわかるよね。落ち着いていて、冷静で。つねにピッチ全体を観ているCMらしいというか。聞き手が訊きたいこともしっかり理解したうえで答えているというか。
比較的ことばが少ないという意味では、ベン・ホワイトを想起させる部分もあるように感じたが、彼のように斜に構えた雰囲気はない。
おれは非常に好感を持ちました。
ところで、アーセナルの歴代スペイン人選手についてのやりとりの部分。ズビのほうで追加で名前を挙げたナチョ・モンレアルについて、当人が反応。さすが、いまは代理人として働く漢。ちゃんとチェックしてる。リスペクト。
ズビメンディの移籍金、契約期間、給与その他
まず移籍金について。
もともと彼のソシエダでの契約に設定されていたRC、€60m(£51m)をアーセナルが発動させたという報道もあるし、いっぽうアーセナルがいくらか上乗せして支払ったという説も有力である。それは、以前伝えられていた一括払いではなく分割払いのためにアーセナルがソシエダにRCよりもやや多く支払うという、あのやりかたのことだろう。
その上乗せ部分には諸説あり、BBC Sportでは総額「£60m(約€70m)に及ぶ」とリポート。The Athleticでは「€65m(約£56m)程度」と、やや幅はある。TMではThe Athleticと同じ€65m。
契約期間については、公式には長期契約というだけで具体的な年数は明かされていないようで、TMでも空欄になっているが、一部で報じられているように2030までの5年契約と思われる。
給与も不明。FBRefによると、彼のソシエダでの給与は年俸€3m。およそ€58kpw(£49kpw)となる。アーセナルでは受け取る金額は、その2倍か、3倍か。それでも彼の評判からすれば、十分妥当な金額。
ズビメンディ獲得の舞台裏:2024夏には移籍に合意していた
彼は去年の夏、リヴァプールとの強いリンクからの契約不成立があり、そこから今夏のアーセナル移籍という流れがあるため、その舞台裏では何が起きていたのかは非常に興味深いところ。
それについて、BBC Sport(サミ・モクベル)の記事からちょっと長くなるが引用したい。
アーセナルにとって、ズビメンディ獲得の終わりの始まりは、2004年6月というかなり昔の、スペイン南海岸の焼けつくような暑さの中で始まった。事実として、このMFのエミレーツスタジアム到着に至る旅は、昨夏のアンダルシアへの秘密訪問よりかなり前から始まっていたのだ。
アルテタはスビメンディをとても熱心に観察していた。彼は、あらゆるパスを正確かつタイミング良く繰り出す彼の能力に魅了され、 試合をコントロールするスビメンディはアルテタにとって執着の対象となった。
それを念頭に、当時のSDエドゥとそのNo2だったジェイソン・アイト氏を含むAFCリクルートチームは、レアル・ソシエダの代表たちと会談するためにMarbellaに飛んだ。スペインで彼らを迎えたのは、当時ソシエダのSDだったRoberto AlabeとプレジデントのJokin Aperribay。
エドゥとアイトにとって、そのときの会談のおもな目的は、アーセナルが即座に獲得を狙っていたソシエダのMF、ミケル・メリーノ。 しかし、そこに変化球が投げかけられた。
アーセナルのリクルートメント部長の説明では、24/25シーズンの前にメリーノと契約したいと考えていたが、彼のMFパートナーであるズビメンディにも目を付けていたという。
しかし、そこにあった落とし穴は、彼らがズビメンディと契約したかったのは2025年の夏ということ。昨夏のアーセナルの財政状況では、両方を同時に獲得することは不可能だったのだ。
さらに、リヴァプールが彼に興味を持っているという複雑な事情もあった。
最近リヴァプールのSDに就任したRichard Hughesは、ズビメンディの移籍についてソシエダと交渉に入っており、彼らは契約締結が近いと確信していた。
しかし、その後の情報筋によると、ズビメンディは昨夏のマージーサイドへの移籍に魅力を感じてはいたものの、とくにEuroの真っ最中の夏にそれを決断することは性急すぎると懸念していたという。
元ソシエダのMFであるアルテタ、そして元チームメイトのメリーノとオーデガードと再会することは、ズビメンディにとって魅力的だった。アルテタとスビメンディはともにバスク地方のサン・セバスティアン生まれ。
スビメンディとその代理人も同様にリヴァプールに敬意を払いたいという考えから(彼らはそう明言した)、彼がリヴァプール移籍を断ってアーセナルに移籍するというニュースが漏れるというシナリオは、関係者全員が避けたかった。
それでもエドゥとアイトは、メリノとズビメンディの獲得に基本合意してMarbellaを出発した。
しかし、RCの一括払い(※スペインリーグのルール)を避けるために多少金額を上乗せする契約ストラクチャはMarbellaで口頭で合意されていたものの、アーセナルには克服すべき大きな障害がひとつ残っていた。
後略&以上。
後略した部分はレアル・マドリッドの横槍について、いかにアーセナルが恐れていたかが説明されている。Xabi Alonsoはズビのユースチーム時代のコーチでありメンターであり憧れの存在としても知られるが、代理人も同じなんだね。そりゃ口約束だけじゃ心配にもなる。
さて、2024夏にはすでにアーセナル移籍でソシエダと口頭合意していたという驚きの事実。そして、それをリヴァプールへのリスペクトから公にしないよう努めていたという。なんだろう、この結ばれたカップルが振られたほうの男を傷つけないようにする配慮みたいな。これは実際やられたら、たまらんな(笑)。
ところでこの件で思い出すのは、去年の夏リヴァプールとの件が決裂したと報じられた際に、某AFCインフルエンサーのひとりから出ていたこの情報。おぼえているかい?
Arteta spoke with Zubimendi and asked him not to move to Liverpool, promising him that we’d come back in 12 months once Partey moves on.
Also helps smooth the Merino deal over the line as La Real didn’t want to lose both in one window.
— AFCAMDEN (@AFCAMDEN) August 12, 2024
アルテタはズビメンディと話し、彼にリヴァプールに移籍しないよう求めた。パーティが移籍する12ヶ月後には戻って来るからと約束して。
メリーノの取り引きがすんなり行ったことも(ズビのリヴァプール移籍を止める)助けになった。ラ・レアルは同時に彼らふたりを失いたくなかったから。
このTWのことは去年このブログでも伝えたが、正直そのときは笑い話だと思っていた。しかしいまとなってみれば去年夏にはすでに移籍で合意していたというのだから、パーティの件はともかく、ほぼ完璧に当たっていたという。
いやあ、なんという舞台裏。