マックス・ダウマン(15)がPLデビューで活躍。ワネーリにつぐ史上2番めの若さ
ついにダウマンがシニアデビューした。高校一年生。15才と235日の若さでPLでプレイしたのは、イーサン・ワネーリの15才181日につぐ記録。スタンドで観戦していたESPNのジェイムズ・オリーによると、彼がピッチに出てきたときがこの日一番の歓声だったという。
15 – Arsenal’s Max Dowman (15y 235d) is just the third player to appear in a Premier League game before turning 16 years old after teammate Ethan Nwaneri v Brentford in September 2022 (15y 181d) and Jeremy Monga for Leicester City v Newcastle United in April (15y 271d). Kicks. pic.twitter.com/12wjsTFiAt
— OptaJoe (@OptaJoe) August 23, 2025
しかし、あのときのワネーリがとても毎週はプレイしそうに思えなかったのに対し(実際PLでのプレイは2年以上遠ざかった)、いまのダウマンはもしかしたら来週もふつうにプレイしていそうな雰囲気がある。
今回はペナルティを勝ち取るという重要な仕事までした。プリシーズンでの2回を含めると、これが3度め。ボックスでボールを持ったときの彼のクイックネスを物語っている。
たった27分間のプレイでも、数字も立派。
Max Dowman is the youngest player to win a penalty in Premier League history.
His Premier League debut by numbers:
27 minutes played
15 touches
5 duels won
5 touches in opp. box
2 shots
2 fouls won
2 tackles
1 penalty wonGoing to be some player. 💫 pic.twitter.com/7I9YKnZhkg
— Squawka (@Squawka) August 23, 2025
セスク・ファブレガスがアーセナルでの最年少ゴールの記録を持っており(16才212日)、記録を更新するまで、彼にはまだだいぶ長い時間がある。
Fabregas is Arsenal’s youngest scorer at 16 years and 212 days, so plenty of time for Dowman to potentially break that record.
— Jeorge Bird (@jeorgebird) August 23, 2025
だが、この日彼が勝ち取ったペナルティは本人に渡すべきだったという意見にはまったく賛成できない。そこはどう考えてもストライカーに委ねるべき。選手は記録のためにフットボールをプレイしているわけじゃない。それに、彼がPLでゴールする機会もそう遠くないように思える。
ダウマンのPLデビューは、ほんとうに伝説の始まりという気がする。ケガ人が複数出ていることを考えても、今後も彼のプレイ機会はかなりありそうだ。
マドゥエケがLWで初スタート。カラフィオーリとの左サイドでのリンクアップに光明
早くもこの日が来てしまった。LWのスターターがマドゥエケ。
彼はサカのバックアップRWとして獲得されただろうし、アルテタのシステムではLWは彼の利き足とは逆のポジションになるが、それでも。
でも、けっこうよかったんじゃないか。LWのマルティネリは観ていて、つぎに何をやるかだいたい予想できてしまうけど(それは対戦相手も同じように感じてそう)、マドゥエケはまだあまり見慣れていないこともあり予想できないというか。
インサイドに入っていったときに左足の彼には何もできなくなってしまうという課題はあるが。
この日とくによいと感じたのは、前半に何度かみせたカラフィオーリとの連携。マドゥエケが左ワイドでボールを持ったとき、背後をオーヴァーラップするカラフィオーリをよく使って、左サイドで効果的な攻略ができていた。あえてそれを使わないときもあったり。
それと、試合中にサカが負傷すると、今度は彼はRWにポジションを変えて、そこでの彼はやはりLWよりはやりやすそうに見えた。
もしサカがしばらく離脱するなら彼のポジションはRWになりそうなので、LWでプレイする機会はサカが戻るまでないかもしれないが、仮にサカが戻っても、もしかしたら彼はLWのポジションを維持するかもしれない。そう思わせるパフォーマンスだった。アルテタが、いまのマルティネリより、彼のほうに可能性を感じたとしても驚かない。
マドゥエケとの相性の良さを見せたカラフィオーリも、LBのスターターを維持するだろうか。この試合でも彼はかなりよかった。アシスト2と攻撃で結果も出している。
カラフィオーリといえば、この指摘が興味深かった。
“Blind” assist from Calafiori that, right?
Well, putting aside scanning what’s directly ahead, he made at least 6 scans in those 20 seconds to check if Rice completed the rotation & eventually spot Gyokeres.
Quantity & Quality of scans.
pic.twitter.com/u8yqgMWhbd https://t.co/Md4mN5r1N7
— Fathalli (@FathalliMo) August 23, 2025
あの48分ヨクレスのゴールのアシストになった彼のDF裏スペイスへのダイレクトパス。あの絶妙なパスによってヨクレスは相手DFと1 v 1を仕掛けることができ、最終的にゴールにつながったが、あれはカラフィオーリがノールックで闇雲に蹴ったわけじゃないんだと。
彼はあのパスを出すまでの20秒間に最低でも6回、周囲をスキャニングしてそれぞれのポジションを確認していたというナイスなご指摘。それによって的確なタイミングでラストパスができた。やるね。
それにしても、アーセナルはこういったダイレクトパスの機会を意識的にもっと増やすべきだと強く思う。プリシーズンでもオープンプレイからのゴールのいくつかはダイレクトパスにアシストされているし(キウイ→サカ、ズビ→ギョク)、今回もそれに近い。大きなチャンスになった。もちろん、成功率は下がるんだが、成功したときの破壊力が違う。
ハヴァーツに加えさらにオーデガードとサカが負傷……。しかし代役はいる
ああ、なんということでしょう。アルテタも、この美しい日に唯一ネガティヴだったことと述べていたふたりのケガ。
まずオーデガードは、相手DFの無理めなタックルを受けて転倒。相手のチャレンジ自体はそこまで悪質には観えなかったものの(無謀ではあったが)、彼は転倒して着地したときに地面に打ち付けた肩を負傷してしまったようだ。その後も10分ほどプレイをつづけ、結局前半38分という早い時間にワネーリと交代することになった。無念そうな表情のキャプテン。
この日のオーデガードは定位置の右サイドだけでなく、左サイドや中央にも頻繁に顔を出していて、わりとNo.10ぽくサイドにこだわらず自由に動いているように見えたので、もっと長い時間観たいと思っていたところだった。
彼のケガは、映像からして肩関節の捻挫、あるいは可能性は低いものの鎖骨骨折の疑いもあるようだ。軽度であれば1-2週間、もう少し悪いと2-4週間の離脱ということらしい。OMG.
それとサカは、相手と並走しながらのドリブルでやってしまった。ピッチに座り込んでフィジオと話していたときに大腿の裏あたりをさすっており、やはりハムストリングのケガということ。
もちろんサカは昨シーズン、ハムストリングのケガでおよそ3ヶ月離脱(19試合ミス)、チームのフォームに大打撃となったことも記憶に新しい。
まだケガの度合いはわかっていないものの、ハムストリングの通常の離脱期間としてGrade 1なら2-4週間、Grade 2なら4-6週間、Grade 3なら8-12週間かそれ以上。オーデガードと違ってすぐにピッチをあとにしたところを観ると、軽症には見えない。下手をすると数ヶ月単位の離脱も覚悟せねばならなくなるかもしれない。
アルテタも「あまりよくは見えない」と悲観的なコメントを残していたし、サカの険しい表情からも、まったく楽観はできなさそう。彼は去年の経験から、痛みとケガの程度がわかるはずだから。どの程度のケガか、すでに悟っている可能性もある。
ハヴァーツの離脱期間もまだ明らかにされていないなか、これで3人もの攻撃のコアがしばらく不在となることに。
まだシーズンが始まってから2試合しかプレイしていないのに、ちょっと信じられない。昨シーズンはそれがタイトル争いに大きな影響を及ぼしており、選手のフィットネスをできるだけ維持することが成功のカギということは、誰よりもわかっていたというのに。アーセナルの不運はまだつづくのか?
しかし不幸中の幸いとして、昨シーズンと違ってそれぞれのポジションに複数のオプションがある。クオリティもそこまで落ちない。そのおかげで、アーセナルファンの空気はさほど悪くなっていない。
まずハヴァーツの9には、もちろんヨクレスがいる。また、メリーノ、トロサール、マルティネリも9のオプションだろう。もうメリーノしかいない!みたいな状況ではない。
またサカのRWには、マドゥエケがいて、昨日はダウマンもRWでプレイした。ワネーリもRWでうまくプレイできる。マドゥエケは本来RWの選手で、左でプレイするよりはナチュラルにプレイでき、本来の実力を発揮しやすい。
オーデガードのRCMは、すでにワネーリがステップアップしている。昨日もオーデガードと交代して最後までプレイした。あるいは、ダウマンも本来はここの選手。
しかし、オーデガードの8/10ポジションは加入したばかりのエゼがプレイする可能性が高いように思う。ライスが右へ移動し、エゼはLCMとか。あるいはシステムを4231に変更して10として。
エゼはLWでプレイする予想をしているファンが多いようだが、それは実質いまのチームのなかでそこしか空きがなかったからで、MFでプレイさせられるならそのほうがいいはず。彼にしてみれば、しばらくは我慢も必要かと思いきや、意外にすぐにチャンスがやってくることになった。
もちろん、スクワッドの人数が減ることでこれ以上ケガ人が出せなくなったし、彼らのようなキープレイヤーが不在でいいことなどあるはずもない。
が、とりあえずこの悲惨な状況でも、いまはまだ危機的な状況にはなっていない。補強によってビッグクラブらしいスクワッドを着々と築いてきたおかげ。
新シーズンは、スクワッドデプスが厚くなってベンチにも入れない選手が出てきたなんて思っていたら、それどころじゃなくなってきた。やはり人数は必要ということ。それを痛感している。
このケガ人続出の状況に、「アーセナルはもうRodrygoを取るべき。そしてあとでFFPでいくらでも罰せられればいい」と云っているファンがいて、なるほどと思ったよね。いつまでも罪を認めない戦法もある。ルール違反でもやったもん勝ちで何年も連続でタイトル取れるんだから、わたしたちもやるべきかもしれませんね。
この試合については以上