試合の論点
アーセナル vs アストン・ヴィラのトーキングポインツ。
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Highlights from our 4-1 win over Aston Villa are LIVE, Gooners 📺 pic.twitter.com/GW4ybkGgl5
— Arsenal (@Arsenal) December 31, 2025
タイトル争いのライバルに雪辱を果たす。ゴールの決め手は<混沌>
3位と1位という3ポインツ差で迎えた、今シーズンのリターンレグ。
アーセナルはすでに彼らのホームで敗けていたこともあり、この試合は絶対に勝たねばならない試合だった。
そして結果は4-1快勝。後半の30分間で4ゴールをぶっこむケチャドバぶりで、最近のチャンスをいくら量産してもゴールを決められなかったトレンドをこれでもかとばかりに打ち破った。アーセナルファンとしては、さすがに気持ちよかった。
しかし、前半が終わった時点では正直これほどの結果になるとは想像しなかった。今回もまた、アーセナルのホームにも関わらず、どちらかといえばヴィラの思い通りに試合は進んでいたから。
彼らは、リスタートでは露骨に時間稼ぎをやり(※前半の彼らはリスタートにのべ「18分間」も時間をかけたらしい)、アウェイの地でドロウでけっこうという姿勢を見せつつも、スキあらば、ライン間やポケットを使って効果的にビルドアップ。アーセナルのアグレッシヴなプレスをかいくぐり、強引にトランジション状況に持ち込んでいた。
しかし、この試合であらためて思ったが、彼らの中央エリアを使うあのビルドアップのうまさ。それはPLでもトップクラスではないだろうか。MFがとにかく中央の狭いスペイスで後ろからボールをもらってから前を向くのが非常にうまい。
この日のアーセナルを含めて、どんなチームもあそこのエリアだけは使わせないつもりで守備をしているはずなのに、彼らはそれをやすやすと成功させてしまう。あんなふうに危険なエリアをいいように使われてはたまったものではない。
アーセナルではUシェイプのボールまわししかできなかったウナイ・エメリは、ヴィラでどんなマジックを使っているのかと思う。やっぱり彼らのMFが優秀だからできるのか。Rogers、Tielemans、Buendia。
それによって、試合は非常にオープンになり、とくに序盤のヴィラはカウンターアタックを連発。シュートは枠に飛ばなかったとはいえ、アーセナルは危ないシーンを何度もつくられた。
前半だけを観れば、この試合が最後にどうなっているか予想はできなかった。
ところで、HTの時点でぼくが思っていたのは、お互いの攻撃の対照的なこと。
アーセナルが攻撃するときは、たいがいヴィラは守備が整っている状態で、いくらアーセナルが攻撃アクションを起こしても、ディフェンスの目の前で起こるアクションに対して彼らが慌てる場面というのはほとんどない。
いっぽうヴィラの攻撃はほとんどがトランジションで、アーセナルの守備は整っていない。毎度アーセナルのDFたちは小さなパニックに陥っていた。
だから、これは一見イーヴンに見えて、アーセナルの試合では典型的な悪い流れだなと。アーセナルは相手のブロック守備を前に10のシュートを打っても決まらず、カウンターから相手の1のシュートに沈められてしまうようなおなじみのパターン。
あまり楽観的な気分になれるHTではなかった。しかし、後半。
流れを変えたのは、やはりゴール。後半が始まってすぐ48分、コーナーからビッグガビのゴール。
ビッグガビとエミマルとの競り合いだったため、VARレビューも入り、取り消されることもありそうな雰囲気もあったが、結局ゴールは認められた。まあ、あれはガブリエルのファウルには観えなかったし、どちらかといえばエミマルのエラーだろう。GKはあそこでボールをつかんで手放してはいけなかった。
あの判断は多少ラッキー成分を含んでいる部分もあるかもしれないが、だがむしろ、あれが取り消されたほうが不自然というプレイではあった。あの程度の判定で文句を云われる筋合いはない。
そのゴールもあって、アーセナルはさらにアグレッシヴに前がかりになり。その4分後にはオーデガードのハイターンオーヴァからのショートカウンターで、ゴール前に走り込んだズビメンディにうしろからドンピシャのスルーボール。GKと1 v 1になって、ブーツの外側で華麗にゴールへパス。MFらしいフィニッシュだった。ズビやんも絶賛のキャプテンからの完璧なスルーパスで2-0。
その後、69分にトロサールがファインゴールを決めて3-0にするまで、ティンバーやオーデガードにも惜しいショットがあり、この時間のアーセナルはわりと怒涛の攻撃だった。
ヴィラは敗けポジションからもっともポイントを奪っているチームということで、2-0は危険なスコアになりかねなかったが、その時間もそこまで長くなかったことに。それで試合を殺したし、78分にはカウンターからジェズースがダメ押しのゴール。4-0。彼はあれが最初のタッチだったろうか。出来過ぎ。
あの時間はヴィラのチームも意気消沈していたのもある。ちなみに、ジェズースのゴールにつながったカウンターでは相手のライトバック(16 Andrés García)のやらかしが起点になっているが、彼は今シーズン初めてのシニアチームでの起用だったらしい。かわいそうに。
ということで、前半と後半をくらべてみると、アーセナルにゴールの匂いがしているのは、すべてケイオス状況なのだよね。カウンターとかハイターンオーヴァとか相手DFがパニックになっているとき。そして、ケイオス状況にないとき(相手守備が整っているとき)は、いくらボールを持って攻撃してもゴールの匂いはあまりしない。
コーナーもケイオス状況に含めていいのかもしれない。もちろんセットピースではいかなるときも相手守備も準備万端だが、ゴール前には攻撃側も同じくらいの人数がいて、そこに50/50のボールが放り込まれれば何が起きるかわからない。それはやはり混沌とした状況が出来ているだろう。
アーセナルの悪いときは試合を通して、ケイオス状況をつくれず。相手の整った守備を前に正々堂々と勝負をしかけて、苦労して。それでなんとかこじ開けて、僅差で勝って。そしてたまに失点してポインツを落としたり。そんなことを最近は繰り返していた。
われらは、試合のなかでこういう状況をもっとつくれないものですかね。意図的に。アーセナルの場合、ほとんどの試合で相手が深く守るので、それをやるのは難しくはあるのだが、それでも。
帰ってきたキャプテン・ファンタスティック。マーティン・オーデガード
この試合でとてもよかった選手は何人もいる。
アーセナルの公式MOTM(ファン投票)、BBC Sportはビッグガビ(G1)。Who ScoredとSofa Scoreのトップレイティングはトロサール(G1 A1)。
ラヤもよかったし、ズビメンディもよかった。
しかし、チームパフォーマンス全体に与えた影響からすると、やはりオーデガードの存在感がもっともあったんじゃないだろうか。
ファンのあいだでキャプテン変更の議論までされていたのもそこまで昔の話じゃない。一時はフォームの落ち込みは深刻に思えたものだった。それが、いまはかつての輝きを完全に取り戻したようにすら見える。100%フィットネスのオーデガードがいてこそのアーセナル。彼が輝くとチームも輝いて見える。
𝐀 𝐜𝐚𝐩𝐭𝐚𝐢𝐧’𝐬 𝐩𝐞𝐫𝐟𝐨𝐫𝐦𝐚𝐧𝐜𝐞 🪄
Despite playing just 42.0% of available PL minutes, Martin Ødegaard has played more line-breaking passes into the penalty area than any other Arsenal player this season.
He was sensational in the statement win over Aston Villa,…
— Opta Analyst (@OptaAnalyst) December 31, 2025
先日のブライトンでのニアサイドを抜いたゴールも、いかにも彼らしいフィニッシュで復調を感じさせるものだったが、今回のプレイもとても好調時の彼らしいパフォーマンスだった。
トロサールの3点め、ジェズースの4点めも彼のプレイが起点になっているが、彼の復活を象徴するのはやはりズビメンディのゴールをアシストした一連のプレイだろう。
相手ハーフで身体をぶつけて泥臭くボールを奪い、周囲を見回しつつそのまま前進、前方を走っていたズビメンディの足元にそっと置くようなやさしいラストパス。対峙していたTielemansの背後に。これこそが、チーフクリエイターに求めるプレイでしょう。そして創造的なだけでなく、誰よりもハードワーカーでアグレッシヴという。おれたちのモダンNo.10。
ちなみに、今回めずらしく、AFC公式がこの試合の彼の個人ハイライト動画をドロップ。なんと試合ハイライトより長い。ありがてえ。
Intent in every action.
Odegaard’s best moments from Aston Villa (H) 🎞️ pic.twitter.com/Tow7788gUv
— Arsenal (@Arsenal) December 31, 2025
キャプテンの復活を堪能しよう。















