試合の論点
ブライトン vs アーセナルのトーキングポインツ。
Three on the spin 🌀
Highlights from a huge win on the south coast 📺 pic.twitter.com/5L1xX8QLyn
— Arsenal (@Arsenal) March 5, 2026
Fabian Hurzelerの試合後コメントは一線を越えてね?
この試合はブライトンの優秀さとか、アーセナルのダメさとか(疲労も大きい?)、いろいろ語りどころはあるのだが、もっとも大きな論点はFabian Hurzelerの試合後コメントのように思われる。
「今日フットボールをプレイしようとしたのはひとつのチームだけ」
「わたしはあんなふうに勝とうとするマネジャーには絶対ならない」
えらいストレイトな批判ですね……
これについては、「世論を味方につけようとしている」という見方もすくなくない。とくに、いまアーセナルに対する批判はすごいから。まるで悪役。試合前からアーセナルの時間稼ぎに批判的だった彼に、それに便乗しようとする意図がまったくないとは云えないだろう。多少乱暴なことを云っても許される雰囲気はある。
しかし、それにしてもこのコメントの内容だ。
前者は、典型的アンチフットボールへの批判で、アルテタもときどき云うし、なんならふだんはアーセナルがやられるほうだろう。われらがミッドテーブルチーム相手にポインツを落として、アルテタが「相手が攻撃しようとしなかった」とか「終始スタート&ストップにされて難しかった」と述べることはめずらしくない。それを意図してやろうとしたと今回はアーセナルが批判されている。
でもまあ、そこは甘んじて受け入れるとしようか。いくつかの事実もあるから。
30 – Arsenal took 30 minutes and 51 seconds to restart play against Brighton last night, their highest total in a Premier League match this season. Delayed. pic.twitter.com/0v5G18Z6Ri
— OptaJoe (@OptaJoe) March 5, 2026
Tonight’s match had the lowest ball in play time of any match at the Amex Stadium this season 52 minutes 32 seconds.
#BHAARS
— Orbinho (@orbinho.bsky.social) March 5, 2026 at 7:05 AM
だが、後者のコメントは一線を越えてませんかね。
これまでアルテタと舌戦をやりあったマネジャーというのはいたが、こういう直接的な云いかたをした相手がいたかどうか思い出せない。
今回、ふたりは試合中もピッチサイドでなにやら揉めていて(アルテタもめずらしく相手の顔を指さしヒートアップ)、彼らにあまり良好な関係があるようには観えないが、それにしても。
だが、これについては試合後のソーシャルメディアを眺めていて、多くのファンが自分と同じように感じていると知った。要するに、若いなと。彼はPLでもっとも若いマネジャーなんだっけ?
というのは、ある程度経験あるマネジャーだったり、あるいはビッグクラブのマネジャーなら、出てこないだろう発言だからだ。
つねに勝利が求められ、つねに厳しい目線にさらされるトップチームのヘッドコーチやマネジャーなら、ときにそういう現実的な戦略が求められるのは当然であり、理想を追い求めるだけではやっていけないのを知っているから。だから、こんな発言は出てこない。モイーズやアラダイスに説教されろ。
そもそも「ぼくはそんな存在には絶対ならない」ってなんだよ。アムロ・レイかよ。すでにブライトンのレベルのクラブのマネジャーをやっていて、自分の将来の展望を語る青臭さ。
でも許そう。若さとはそういうものだから(どこから目線)。彼もいずれ自分の発言を省みる日がくるだろう。
いや、違うな。
というかアーセナルのファンとしては彼の云いたいことも理解できなくもないと云うべきか。だって、この日のブライトンは、かつてのアーセナルなのだから。どれだけいいプレイをしても勝てなかったフットボールをプレイするグッドチーム。相手をいくらアンチフットボールだと訴えたところで、試合はどんなかたちでもゴールしたほうが勝つという無情。なおかつ相手はリードを守るために手段を選ばないプラグマティスト。そのフラストレイションは正直かなりわかる。同情できる。
でも、いまアーセナルはそういうナイーヴにはかまっていられないのだ。なぜならタイトルがかかっている。なりふり構わず、なんとしてでも勝つ。それをやろうとしているのがミケル・アルテタという漢。勝てるなら、アンチフットボール批判なぞ知ったことか。
試合後、サム・ディーンのTWがアツかった。Likeが15kのスポットオン。
Arsenal need to lean into these “boring”/”time-wasting”/”Set Piece FC” accusations. Let the wider world sneer. Create a siege mentality. Dig in. Be mean. For around two decades they were accused of being too soft, now they are apparently the opposite. Ride the hate-wave.
— Sam Dean (@SamJDean) March 4, 2026
アーセナルは「退屈/時間稼ぎ/セットピースFC」批判に乗っかっていくべき。世界にもっと嘲笑させてやれ。籠城の精神で粘り、意地悪になれ。
もう20年近くもあまりにもソフトすぎると批判されてきて、いまや逆になっている。このヘイトウェイヴに乗っていけ。
云いたいことを云ってくれた。ありがとうサム。Telegraphの良心。
ところで、Hurzelerが追求するアーセナルの時間稼ぎ問題についての不都合な真実として、こういったデータもある。Opta Analystより。
今シーズンのPLにおけるball in play(実際の試合時間)。アーセナルはリーグ6位の長さ(56:47)。ブライトンは? 17位なんだが……(53:30)。どの口で?? 毎回相手がこっぴどく時間稼ぎするの?
今シーズンのPLで、もっとも実質の試合時間が短かった試合ワースト2位にチェルシー vs ブライトン。フルタイムが105:14で実質プレイ時間が46:44。試合時間全体の44.4%sかプレイしていなかったという。これも相手のせいかね?
リスタートでの時間のかけかたでは、たしかにアーセナルはかなり遅い部類なのだが(リーグ17位)、ブライトンとて10位。彼らは、ウォルヴズにリスタートが遅すぎると文句を云われていい返せるだろうか?
アーセナルはいつもああいう試合をしているわけじゃない。彼が批判するところのリスタートだって、リーグワーストじゃない。
だから、Hurzelerはただ自分たちを誇ればよかったのだ。自分たちが素晴らしいパフォーマンスで、アーセナルのようなチームにそういうプレイを強いた。テーブルでトップのチームよりずっといいプレイをした。
この試合の彼らの優勢は全アーセナルファンが認めるところだろう。たしかにアーセナルは彼らにタジタジだった。それゆえのプラグマティック戦略。それを、アーセナルは「いつも」やってるみたいに云うから、説得力がない。「アーセナルはセットピースでしかゴールできない」のレベルのエヴィデンス無視のたわごとであり、ただ世論に便乗しただけみたいに見える。
だから彼もこれほどアグレッシヴな調子ではなく「アーセナルの狡猾なやりかたにすっかりやられてしまった。だがそれもフットボール。それにハマった自分たちがナイーヴだった」くらいの調子にしておけばよかったのだ。それが大人であり経験豊富なマネジャーのふるまい。それならもっとリスペクトされただろうに、若さゆえ、ついカッとなって云いすぎてしまった。
試合後は、クラブのえらい人に怒られてるんじゃないの?
彼がつぎにエミレーツにやってくるときが楽しみになった。
ガブリエル、ヒンカピエの鉄壁
この日、アーセナルの攻撃はまったく冴えなかったが、そのぶん、守備はそうとうにがんばっていた。ブライトンにあれだけプッシュされながら、ボールを跳ね返しつづけた。
あのゴールを決めてからの試合展開でも、とうてい1-0のスコアラインが最後までもつようには観えなかったが、それでもなんとか耐え抜いたのは、DFたちのパフォーマンスがあってこそ。とくにガブリエルとヒンカピエ。
MOTMだったガブリエルのデュエルは、地上・空中あわせて7/8。14クリアランスという際立つ数字。
LBでスタートし、64分にカラフィオーリが入ってからRBにポジションを移したヒンカピエも、デュエルは6/11、12クリアランス。際立つパフォーマンスだっただろう。
最近はとくにヒンカピエの株価が急上昇という気がする。
このチームのなかで、タイトルを取る勢いをつけるために最終盤に誰かブレイクする選手がいてほしいと思っていたが、そのひとりは間違いなくヒンカピエ。守備でキラリと光るものがある。
この試合ではこんなシーンも。選手にはこういうクールさをつねに求めたいものだ。これは相手が赤っ恥。
— ★ (@sivvlp) March 4, 2026
シーズン終了まで好調をキープしてほしい。
ヨクレスとハヴァーツ
この試合のヨクレスはとくにひどかったかねえ。
彼のデュエルは地上・空中あわせて0/8。1 v 1で毎度ボールを失った。さすがに、あれは擁護できないか。今回も60分プレイして彼のショッツはゼロ。攻撃全般がひどかったので、それは彼だけの責任じゃないけども。
そして、残り30分で彼と交代で入ったハヴァーツ。
彼も際立ってよかったというわけではないものの、残り30分チームがやや盛り返したのは、彼が入った効果だったとも云われている。
Massive appreciation for Havertz today.
His sub made a massive difference towards Arsenal’s ability to grab a foothold in this match. pic.twitter.com/xfom5Rz76h
— Scott Willis (@scottjwillis) March 4, 2026
こういうヨクレスのパフォーマンスだったので、試合後はまたストライカーについて議論になったりもしている。
個人的には、とくにこの議論が興味深かった。redditの「ヨクレスはホールドアップストライカーではない」。ホールドアッププレイというのは、日本語で云うところのポストプレーのこと。
この試合は相手のハイプレスもあり、ラヤからのロングボールもかなり多かったのだが、ヨクレスにはなかなか収まらず、ハヴァーツが入ってから収まるようになったという。フリックしたりキープしたりして、彼からボールが前進する。
ハヴァーツだと周囲の選手が活きるが、ヨクレスはパスで周囲の選手を活かすほどの技術レベルに乏しい。
なんだが、議論がヨクレスが来る前に戻ってしまっているような錯覚をおぼえる。
そもそもジェズースやハヴァーツに足りない、ゴール前でのフィニッシュ精度を補うために来たプロパー9がヨクレスのはずだが、彼は彼のスタイルに合わない戦術のなかでよくやっているとはいえ、やはり理想のアウトプットには程遠く、結局それなら周囲の選手を活かせるストライカーのほうがマシなんじゃないかという。
実際、いまハヴァーツが100%フィットネスなら彼が9のファーストチョイスになりそうである。
これもまた悩ましい問題だ。今シーズンここから、どうなるか。
ヨクレスは、こういう理不尽な判定をされがちという話もある。
Decision: Foul by Gyokeres!
This league is terrible. pic.twitter.com/g3RfxXo9WT
— Bergkamp FC (@BergkampFC) March 4, 2026
この試合については以上

















