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20/21シーズン序盤のアーセナルのまずさ

こんにちは。

一週間以上このブログに何も書かなかったのは随分久しぶりかもしれない。少し休もうと思ったらもうだいぶ時間がたっていた。この間を思い返せば、なんだかんだでヴィラの敗戦は結構ショックだったなと。さすがに少しアーセナルから離れたくなっていたようだ。でもまあそのくせに毎日ニュースやtwitterをチェックしたり、ウダウダと考えつづけてはいたのだけども。

この一週間でサイトの直帰率がすごく上がっていて、更新されてないかとのぞきに来てくれた方々には大変申し訳なく。IB中もなんか書くからってウソついてごめんなさいね。

さて。PLは8試合が終わったところで(まだ8試合めを消化していないチームもある)、38試合のなかでは1/4も終わっておらずまだ序盤もいいところであるが、ここまでを振り返れば、アルテタのマネジャーとしての最初のフルシーズンはわりと厳しいスタートになっていると思う。

W4 D0 L4。勝率50%。

このうち3試合(リヴァプール、マンシティ、マンU)は、昨シーズンのトップ4とのアウェイゲイムであることを考慮すれば、8試合で4勝はかなり悪い結果だとは云えないかもしれない。ビッグ6のアウェイではまったく勝てていないアーセナルだったのだから。

だが現在のチームを見ていて、より深刻なのは結果よりもパフォーマンスだろう。われわれはあきらかに問題を抱えているように見える。

今シーズン、アーセナルの積年の課題であった守備で大いに改善していることはもちろん素晴らしいが(アストン・ヴィラに3失点して敗けるまでアーセナルがここまでPL最少失点数だった)、そのせいもあってか攻撃パフォーマンスのほうは目に見えて低迷している(得点数9はPLで11位)。

今回のエントリは、今シーズンのアーセナルのここまでのパフォーマンスについて、スタッツを混じえてより詳しく見ていきたい。



20-21シーズン序盤 アーセナルのファクツ

20/21シーズンのスタートから8試合(7試合のチームもある)のアーセナルのデータをまとめよう。

サンプル数も少ないし、タフなフィクスチャが集中したという偏りはあると云えばあるが、プレイやパフォーマンスの傾向を見ることはできる。

まずはPLテーブル。アーセナルは現在12ポインツで11位。9得点10失点。GD(※ゴールディファレンス)は-1。

以下データはすべてFBref.comより。スタッツでソートもできて大変に便利なサイトである。

※( )はPLランク。一部を除きすべてp90(90分ごと)のスタット。

シュート&ゴール

  • ゴール 1.13(14位)
  • シュート 8.88(15位)
  • xG(ペナルティ含まず)1.15(12位)
  • シュートごとのxG(ペナルティ含まず) 0.12(5位)
  • SCA(シュートまでのアクション)8.0(16位)
  • GCA(ゴールまでのアクション)1.75(16位)

平均ゴール数とシュート数が14位と15位。ミッドテーブルチームと云おうかボトムチームと云おうか。

「シュートごとのxG」がリーグ5位と比較的良好ということは、つまりシュートは少ないが、シュートを打てばわりといいチャンスになっているということ。一か八かのようなシュートは打たないし、よほどのチャンスと見なければシュートを打たない。そういう傾向がある。

それにしてもシュートやゴールに至るアクションは、「ビッグ6」と呼ばれるのがはばかられるほどに少ない。

パス

  • 成功したパス 494.5(4位)
  • パス成功率 84.6%(3位)
  • パスの前進距離 19044(12位)
  • ショートパス成功率 89.5%(8位)
  • ミディアムパス成功率 91.1%(2位)
  • ロングパス成功率 67.3%(3位)
  • アシスト 0.75(14位)
  • xA 0.72(10位)
  • キーパス 6.25(15位)
  • ファイナルサードへのパス 32.8(7位)
  • ペナルティエリアへのパス 7.38(10位)
  • ペナルティエリアへのクロス 2.0(8位)
  • 前方へのパス(プログレッシヴパス)30.5(12位)

パス数や成功率などでは、概ねパスの得意なチームのスタッツになっている。

しかし前方へのパス、あるいはキーパスやアシストのような得点に結びつくようなパスが悪いということは、得点を奪ううえでは、あまり効率的なパス回しをしていない。

ショートレンジ、ミディアムレンジ、ロングレンジのパス成功率でのリーグランクも興味深い。このなかでショートパスの成功率が並(8位)というのが、いまのチームを見ていて感じるストレスの原因かもしれない。

ポゼッション

  • ポゼッション 52.6%(11位)
  • タッチ 683.5(6位)
  • 自陣ペナルティエリアでのタッチ 81.8(1位)
  • ディフェンシヴサードでのタッチ 254.5(2位)
  • アタッキングサードでのタッチ 142.0(14位)
  • ドリブル成功 6.75(18位)
  • ドリブルアテンプト 12.8(18位)
  • ドリブル成功率 52.9%(18位)
  • ボールキャリーズ(選手がボールを運んだ回数) 460.3(4位)
  • 選手がボールを運んだ距離 2616.6(4位)
  • 前方に運んだ距離 1504.9(2位)
  • 選手がミスコントロールした回数 8.75(18位)
  • 選手がボールを失った回数 8.63(20位)

ポゼッションは並(11位)。それがいまのチームの現実である。

それと自陣でのタッチがかなり多いこと(ほぼリーグトップ)も、ファイナルサードでのタッチの少なさ(14位)と合わせて見れば、ネガティヴに捉えざるを得ない。

バックからのプレイでボールを失わずビルドアップができるようになったはいいが、ビルドアップの目的はボールを失わずにボールを前方へ運ぶこと。いまは前方になかなかボールを運べず、危ないエリアで曲芸のようにボールを回せているだけとも云える。深い位置でいくらボールを回してもゴールのチャンスは生まれないし、ひとつのミステイクで失点する危険が高まるのだから、その部分ではリスクとリターンが見合っていない。

幸いにもまだ失点に結びつくエラーはそれほど多くは見ていないものの、このようなプレイを続けていればいずれそうした失点も目立ち始めるかもしれない。

ドリブルも悲惨な数字が並んでいる。ドリブルに関してはほぼリーグワースト。ぺぺ、ウィリアン、サカ、どちらかといえばドリブルが得意と見られている選手がこんなにいるというのに。

アルテタの下でぺぺのペッキングオーダーが下がっていることもこの理由のひとつだろうが、彼らが頻繁にドリブルを仕掛けられる状況をつくれるストラクチャになっていないという理由もありそうだ。先日ウィリアンのパスの消極性が話題になっていたが、パスは出し手と受け手がセットであり、ひとりで完結できるものではないことは留意しておくべきだろう。

一方で、選手のミスコントロールやディスポゼッション回数はかなり少なく、ほとんどリーグベストという記録になっている。これは選手クオリティやチームワークを示すものであるとポジティヴに捉えることもできるが、ボールを失うリスクを恐れてプレイをしている(プレッシャーの少ない自陣でプレイする時間が多い)結果という見方もできなくはない。

守備アクション

  • タックル 13.9(20位)
  • タックル勝ち 9.0(19位)
  • ディフェンシヴサードでのタックル 6.25(17位)
  • アタッキングサードでのタックル 1.25(17位)
  • 対ドリブラーへのタックル 4.00(20位)
  • 対ドリブラーへのタックルアテンプト 11.6(20位)
  • プレッシャー 119.5(18位)
  • プレッシャー成功率 28.8(11位)
  • ディフェンシヴサードでのプレッシャー 40.3(16位)
  • アタッキングサードでのプレッシャー 27.0(16位)

タックルやプレッシャーなどの守備の積極性を示すスタッツはかなり悪い。アーセナルは、それだけアグレッシヴな守備をしていないということだ。

ここは個人的には正直意外なデータだった。相手GKから始まるプレイでは、かなり前からプレスに行っている印象があったから。相手のGKやCBに詰めていくことを示す、アタッキングサードでのプレシャーはリーグでなんと16位だ。

ただし、それでも失点が少ないなどの結果は出ているのだから、アグレッシヴな守備をしないことが悪いことでは必ずしもない。ディフェンスの方法がより受け身(たとえばドリブラーに対しタックルで飛び込んでいかないなど)になっているということなのだろう。

ただ、攻撃(得点)のことを考えると、インテンスなハイプレッシングなどの「攻撃的守備」を十分にしていないことは懸念材料になる。

後述する『The Athletic』の記事では、いまのアーセナルはクリエイティヴィティに欠けているのだから、もっとアグレッシヴなハイプレッシングで相手のエラーを誘うようなプレイはとくに有効なはずだと指摘していた。

その他

  • ファウル 10.0(19位)
  • 被ファウル 11.4(10位タイ)
  • インターセプション 5.25(8位)
  • ルーズボールのリカヴァ 628(19位)
  • 空中戦の勝率 45.3%(15位)

ファウルの少なさは、アーセナルがアグレッシヴにプレイしていない証拠なんだろうか(※20位はリヴァプール)。

興味深いのは「ルーズボールのリカヴァ」というスタット。要するにピッチ上でどちらのボールでもないという状況から、結果どちらがそれを保持できるかという数字だろうが、アーセナルはそういう状況でボールを奪えないという(19位)。運の要素もあるだろうが、だとすれば、よけいに残念である。ちなみに20位はマンシティである(笑い)。

※コメントくださるかたにお願い
プレヴューエントリでは、試合の結果がわかるようなコメントはお控えください
お互いリスペクトしあって楽しく使いましょう

3 Comments on “20/21シーズン序盤のアーセナルのまずさ

  1. このデータからいうと、仮にオーバを中央に置いたとして、
    オーバにパスをつなぐ方法(フォーメーションやメンバー選び)に変化がなければ、
    大して変化はないということですかね。
    まぁオーバのとんでもない決定力からすると得点は増えるかもしれませんが・・

    アルテタはウィリアンに動きすぎないよう指示したっていう記事があった気がしますが、
    個人的には間違ってないと思うんですよね。要は幅を大きくとって、相手DF間の距離を長くする。
    空いたスペースに飛び込んだり、飛び込んだ結果、ラインが崩れたところを突くとかを
    やりたいんだと思うんですよねぇ。

    シティでいえば、そのキーを握ってるのがデブライネだったり、シルバだったりしたわけですけど、
    そういう選手がいないってことでしょうね。正直思い浮かびませんもんね。

    今でも割とよくやってると思うけど、ベジェリンのパスとかシュートの精度がもう少し上がるだけで
    かなり違うと思うんですけどね。逆にいうと、左サイドは中にカットインするプレー少ないですよね。KTもサカも割と縦に抜けることが多いような。。

  2. ティアニーを下げて3-4-3にした当初はルイスとムスタフィだったから、少々創造性を欠いたサッカーをやっててもロングパスでチャンスを作れたと思う。
    トランジションに備えて全員がマーカーの正面にポジしてても(chanさんの嫌いなやつだ)、ロングパスはあまり関係ないから。

    トランジションやプレスに対する意識を捨てない前提で言うなら、中盤でグラウンダーをカットされる心配がないから前線で多少の自由度を作れた、とさえ言えると思う。

    ガビ・ホールディングは足元は上手いけど、ルイスのロングパスの代わりになるか?というとかなりハードルが高い。
    まして今CB・DMFは全員初顔で、しかもプレシーズンはゼロに近かった。
    連携はないと考えるのが自然だと思う。

    僕は4バックにもプレメーカーの起用にも賛成だけど、連携を作るのには時間がかかると思う。
    中盤で頻繁にカットされるようだと、よけいに全員がマーカーの正面から動けなくなってしまう。
    そこで「じゃあトランジションなんて気にしなくていいや」になるくらいなら、僕はロングパスのほうがまだましだと思う。(まあルイスとジャカは別の意味で怖いので微妙だけどw)

  3. 攻守の切り替えが遅いのは気になってました
    折角プレスでボール取ってもショートカウンターにいかずに横パスばかりですから…
    攻撃の形をはめすぎてて相手からしたら怖くないでしょう
    勝てない上にboringなサッカーが結局まだ続くんでしょうか
    IB明け何か変化を求めます

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