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ベン・ホワイト前史。アーセナル加入前の初期キャリアを語る

こんにちは。

11/8にAFCオフィシャルサイトにベンジャミン・ホワイトのインタヴューをまじえた特集記事が掲載されていた。素材はマッチデイプログラム用のインタヴューのようだ。恥ずかしながら全然気づかず。

これがおもしろかったので、ざっくり訳そう。

‘That was a shock for me at Newport’



ベン・ホワイトのこれまでのキャリアおさらい

この記事では、彼がこれまでにローンでプレイしてきたニューポートでの経験などについて語っている。彼のコメントを読むまえに、彼がいつどこでプレイしていたか、あらためて確認しておこう。以下TMより。

  • 2014(16才) サウサンプトンアカデミーからブライトンU18(※当時チャンピオンシップ)
  • 2017(19才) ブライトンU23からニューポート・カウンティ(※当時リーグ2/英4部)へローン
  • 2018(20才) ブライトンのファーストチーム昇格
  • 2019冬 ブライトンからピーターボロ・ユナイテッド(※当時リーグ1/英3部)へ半年ローン
  • 2019(21才) ブライトンからリーズ・ユナイテッド(※当時チャンピオンシップ)へローン
  • 2020(22才) ブライトン
  • 2021(23才) ブライトンからアーセナルへパーマネント移籍

()は当時の彼の年齢。誕生日は8月。

こうして見ると、16才でブライトンに移籍してから、ローンを含めて6年もいた。ブライトンでのファーストチームデビューは、2016年当時18才でEFLカップにて。

PLでプレイするようになったのは、20/21シーズンのブライトンから。その前の19/20はチャンピオンシップでリーズのPL昇格に貢献(46試合でプレイ)。このときはまだPLでのプレイ経験がなかったという。

今年の夏にアーセナルに£50Mという巨額で買われたことを考えると、この2シーズンで彼がどれだけ急速に評価を高めていったことか。

そして今シーズンすでにアルテタのチームのなかでは、バック4の一員としてばつぐんの存在感を示している。

では彼のインタヴュー拙訳。

ベンジャミン・ホワイトのロングインタヴュー「ニューポートはショックだった」

リーグ2クラブで学んだこと

(リーグ2のニューポートへのローン)ぼくにとって、それが毎試合にどれだけ意味があるか初めて実感したときだったんだ。ファンだけでなく、選手も。どのポイントもすごく重要で、下部リーグの場合は、勝利ボーナスとかそんなのでお金が出る。だからあのレヴェルではそれがとくに重要だった。どのポイントもでかくて、だから毎試合がでかかった。

ぼくにはちょっとしたショックだったよ。最初の試合のときなんか控室で選手同士がケンカしてたからね。どの試合でもエモウションがすごいんだ。選手全員にとってすべての試合が重要だった。観客だってそれをわかってる。それがステディアムのインテンスな雰囲気をつくる。

(ニューポートのそのシーズンの平均観客数は3000でも敵対的な雰囲気)誰もニューポートに来て試合をしたがらなかったね。でもぼくはあそこが大好きだった。

リーグ2の試合だから、ステディアムはいつも良好というわけじゃない。だが、雰囲気があった。忘れちゃならないのは、ぼくがPLクラブのカテゴリ1のアカデミー出身ということ。そこはなんでもある完全な場所だ。ピッチもグレイトで施設もぜんぶ揃ってる。

ニューポートにやってくれば、そこはもうマジ別世界。たぶんそこはかなりオールドスクールなクラブのひとつなんだろうけど、ぼくにはそこへ行って生活したことが、ほんとにいい経験になった。そしてそれがぼくがそこに送られた理由のひとつでもあったんだろう。もちろん、ぼくにプレイする機会を得させるためではあった。そして下部リーグにおいて、ひとびとにとりどれだけフットボールが重要か観ることになった。ファン、選手、スタッフも。

ほんものの核心的なことを観る必要があったんだ。そしてどうそこでやっていくか学ぶ。ぼくはそこにはまったく愛すべきものがあったと云えるよ。ぼくが試合のなかで学んだすべてのこと。アウェイの試合も。ぼくの人生でベストな数年だったのは間違いない。

(ニューポートはそのシーズンFAカップで躍進。4thラウンドではトッナムともプレイ)スパーズとの初めての試合は、もう信じられなかった。最後の10分までぼくらがリードしていたんだ。ケインがイコライザーを入れるまでね。ぼくらが勝利に近づいていたが、結果はドロウ。1-1で終わったけど、すべてがすごかった。

じつはぼくはつぎの日に運転免許の試験があった。だから自分を落ち着かせるのが大変だったよ! でもそれはかんたんじゃなかった。だって誰もぼくを放してくれないんだから。ぼくらには、祝わなきゃならないくらいのいい結果だったんだ。結局試験は受かったし、よかったんだけどね。もしかしたら試験官もニューポートファンだったから受かったのかも!

あれはもちろん大きな前進になる試合だった。でもべつにプレッシャーはなかった。ぼくらは全然期待されてなかったし、だからただ出ていって、自由に、好きなように楽しんでプレイするだけ。ホームアドヴァンテッジも使わなきゃならなかった。相手はニューポートにたどり着く前にだって、恐ろしい試合になるってわかるんだ。

ピッチ全体に砂と泥がある。試合前にラグビーチームがトレイニングしていて、それで助かったところもある。アウェイチームには、ナイスデイにはならない。

ぼくらのファンも大きな役割を果たした。選手としてそのことも当然わかってる。マネジャーに云われるまでもないくらい当然なんだ。相手からもそのことは感じる。あそこへ行けば、これは楽しめそうもないってすぐにわかる。

ステディアムへ足を踏み入れるのさえ恐ろしいのだから、アウェイチームにはとっては場違い。どのリーグ2クラブでもファンの声を聞いたら、相手がニューポートのアウェイに行きたがらないことがわかるはず。タフな試合になるに決まってる。だから、それに慣れてないPLクラブならなおさらなのさ。

みんな「ストークの雨の夜に何ができるか?」って云うじゃない? でもリーグ2ではそれが「ニューポートで何ができるか?」になるんだ。それはリアルテストになる。雰囲気、ピッチ、対処の難しいニューポートのプレイ、そんなもののすべてのせいで。ぼくらはいつでも自分たちのホームアドヴァンテッジを使おうとした。

ウェンブリーの観客の前で

(FAカップのトッナムの再戦はウェンブリー。2-0で敗け)イェア。でもあの試合はぼくはプレイすべきじゃなかったなと。じつは試合の一週間前には大腿四頭筋を痛めてしまっていたから。だからウェンブリーでプレイできるかどうかわからなかった。プレイしたんだけどね! 正直、そうすべきじゃなかった。1時間しかプレイできなかったし。でも試合前フィジオに「この試合でプレイしないといけない」って云ったのはぼくなんだ。

そのときのぼくは、それは人生で一度きりのチャンスだと思った。だから何が何でもプレイしたかった。試合の日の朝にいくつか検査をして、クラブからはプレイするかどうかはキミ次第だと云われた。

ウェンブリーの観客はせいぜい半分くらいだったかな。でも巨大なステディアムだから、それでもすごい観客だった。当時のぼくには最多の観客だった。いい経験だった。敗けたけれど、あそこでプレイできたことはすごくよかった。

最初の試合では自分もよくプレイできたと思った。ハリー・ケインはずっとプレイしたけど、ぼくらは彼を抑えたし。しかしリプレイでは、ソンのような選手が出てきて、たくさんボールを持たれた。フェアにいえば、あの日の彼らはいいプレイをしていたし、ぼくらは彼らに何もできなかった。彼らはいいチームだったよ。

(ウェンブリーでは敵対的な雰囲気はつくれなかった。それでも集まったニューポートのファンは7000人)あの試合でたくさんのひとからチケットをせがまれたことを思い出すな。ぶっちゃけ、アーセナルに移籍してからも、またたくさんチケットをせがまれているんだけどね!(笑い)だから、ぼくに云わせれば、あの火曜の夜にニューポートでのぼくを観に来てくれたのなら、エミレーツでトッナムとプレイするときも来てほしいね!

ファンがチームにもたらすもの

正直、ぼくはすごいフットボールファンというわけじゃないんだよね。自分の時間があってもフットボールはあまり観ない。子どもの頃からずっとそうだった。小さかったときは、イングランドの試合はいくつか観たことがあるけど、自分がサポートするチームがあったことは一度もない。そこまで興味が持てなかったんだ。観るよりプレイしていた。ぼくはスポーツ全般が大好きで、クリケットとテニスもよくやる。ホッケーも少々。屋外でやるやつならなんでも。

サウサンプトンのアカデミーにいたころは、よくファーストチームの試合を観に行っていたけど、そういうのはあまり興味を持ったことがなかった。ただプレイするのが好きというだけで。どこかのチームのレプリカシャツも持ってたことがない。ステッカーを集めるとかそういうのもない。自分のやることじゃなかった。

いまは、分析のためとかで自分の試合を見返したりはある。それはやろうとしてる。自分のパフォーマンスを観て、どう進歩できるか考えるんだ。

(ファンがチームにもたらすものを理解してないわけじゃない)ぼくがローンでリーズにいたころ、エランド・ロードはいつもすごかった。とても大きな雰囲気があって。その年は、じつはぼくもアーセナルとエミレーツでプレイしているんだよ。FAカップで。

1-0でアーセナルが勝ったんだけど、たぶんリーズが勝ちにふさわしい試合だったと思う。だからぼくにはちょっとホロ苦な記憶だ。試合には敗けたけど、エミレーツで初めてプレイしたことはグレイトだった。いつだってたくさんの観客の前でプレイしたいし、ローンもそのためだった。ゆっくりとそうしたビッグゲイムをやるようになっていった。

これは云っておかなきゃいけないけど、ぼくがいままでプレイしたなかでいちばん最高な雰囲気だったのは、今シーズンここでプレイしたトッナムの試合だ。あれはベストだった。EUROもヤバかったけどね。ぼくはプレイしなかったんだけど、あのチームの一員になれたことはグレイトだった。ウェンブリーであんな試合に参加しているということが信じられなかった。

ぼくはアーセナルでもう何試合かプレイしていて、母さんが毎試合来るんだよ。彼女はアウェイファンがどれだけすごいか教えてくれた。ぼくらも選手としては彼らの声援を聞いているけれど。母さんが云っていたのは、彼らがかなりやばいということ。あんなの見たことないって。そんなアウェイ試合で、勝って試合後に彼らのところに行って感謝を伝えられるのはいいね。

ぼくの場合、ホイッスルが鳴ってしまえば、ホームとかアウェイとかどうでもよくなってしまう。キックオフしたらすぐ試合にすごく集中して、スタンズで何が起きているか気にならなくなる。試合がストップしたときに声援に気づくんだ。でもプレイ中はシャットアウトされる。ぼくはいままでステディアムで自分がその雰囲気に影響されると思ったことは一度もない。ぼくはそれをシャットアウトして、試合に集中することができるから。

試合前の緊張もない。でも大きな雰囲気でエナジーがもたらされることがあることはわかる。もっとよくパフォームするモチヴェイションになったり。そういう雰囲気が後押しになって、プレイに集中するにはとてもいい。

アーセナルファンとの関係

(アーセナルのファン)かなりやばい。ピッチに出たら一度立ち止まるようにしてる。それがとてもいいんだ。あんなにサポートがあるのはグレイト。あんなに困難なシーズンの始まり方だったのに、そばに彼らがいてくれるとわかって、それがすごく支えになる。彼らがステディアムにいない時期がとても長かったから、彼らが戻ってきて違いを実感する。6万人がそこにいて、ぼくらに向かって声援を送っているなら、試合に勝てるようになるのもおかしくないと思うよ。彼らが戻ってきてくれたことは、いいことずくめだ。

(アウェイでプレイしたい場所?)ユナイテッドかな。クリスチャーノ・ロナウドとプレイしたい。以前にオールド・トラフォードでプレイしたことはあるけど、そのときは満員ではなかったから。きっとグレイトな経験になるだろうね。じつは試合を観に行ったことはあるんだ。何年か前のチェルシー戦。ぼくのおじさんがユナイテッドのファンだから、ぼくを連れて行ってくれた。でも大人数の観客の前でプレイすることこそ、ぼくがほんとにやりたいことなんだ。

以上

 

夏の新加入選手のなかでも、ラムズデイルとトミヤスが、アーセナルでのデビュー以来敗けなしと称賛されがちであるが(※MD11時点)、じつはベンジャミンも初戦のブレントフォードで一度敗けて以降、そのほかはすべてのPL試合でフルでプレイし敗けなし。彼もまた、アーセナルのグッドフォームにおけるキーマンのひとりと認定してまったく差し支えない選手となっている。

初戦のブレントフォードやバーンリーのような相手には、空中戦やフィジカルプレゼンスで劣勢になり、心配させられたことはあった。しかし、それ以外では彼のウィークポイントが露呈するような機会は減って、むしろ最近はパスやドリブルなど、彼のCBとしてユニークな長所のほうがよく観られるようになっている。彼のようなCBがいるチームとしては、理想的な試合ができているということだろう。

ぼくは、それまでの彼のことはまったく知らなかったので、見た目からしてもこのひとはもっと性格のおとなしいまじめなタイプ(ロブホやチェンバースの系譜?)かと勝手に思いこんでいた。だが、試合を観ているかぎりではわりとふてぶてしいタイプと思うようになった。いい意味で無頓着というか。肝が座ってる。試合では緊張もしないし、プレイに集中して声援も聞こえないというのだから、ほんものだ。

インタヴューの受け答えの様子を見ても冷静沈着という感じで、温厚でフレンドリーでとてもとっつきやすいというタイプには見えない。だがそれがいい。それも個性。優しい選手も厳しい選手も、チームにはいろんな個性が必要だと思う。今風にいえば、多様性。それで厳しい環境を生き抜くことができる。

これからもベンジャミンには試合のなかで強烈に個性を出していってもらいたい。そうすればまたナショナルチームにも呼ばれるはず。

 

おわる



※コメントくださるかたにお願い
プレヴューエントリでは、試合の結果がわかるようなコメントはお控えください
お互いリスペクトしあって楽しく使いましょう

2 Comments on “ベン・ホワイト前史。アーセナル加入前の初期キャリアを語る

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