こんにちは。
昨日のファビオ・ヴィエラの獲得ニュースにつづき、今回は彼のプロファイルや、戦術的な面でアーセナルに与える影響について書きたい。
アーセナルがFCポルトからクリエイティヴMFファビオ・ヴィエラの獲得を発表 | ARSENAL CHANGE EVERYTHING
ファビオ・ヴィエラの基本プロファイル
以前のエントリでも伝えたが、もう一度あらためて。以下、TMより。
- 本名:Fábio Daniel Ferreira Vieira
- 誕生日:May 30, 2000
- 出身:Santa Maria da Feira Portugal
- 年齢:22
- 身長:1,70 m
- 国籍:Portugal
- ポジション:midfield – Attacking Midfield
- 利き足:左
- エイジェント:Gestifute
ここまでのキャリア
昨日のエントリでも触れたように、現在の評価からするとやや遅咲きの選手。
<クラブレヴェル>
8才から在籍していたFCポルトでのシニアスクワッドデビューは、いまから3年前の19/20シーズンで、8試合226分プレイ。当時はまだほとんどの時間を、ポルトB(2部リーグ)でプレイしていた。
20/21シーズンは、シニアチームでのチャンスもやや増えて19試合390分プレイ。ただしスタートから起用された試合はわずかで、G0 A1という記録。CLでも6試合プレイしてG1(v オリンピアコス)。
飛躍のシーズンとなった昨シーズン21/22は、リーガ・ポルトガル(1部リーグ)27試合でG6 A14を記録。95分ごとにアシスト1は、昨シーズンのヨーロッパ7リーグスでトップ記録ということ。
Minutes per assist top 7 European Leagues (UEFA Rankings) 2021-22:
1 Fabio Vieira 95
2 Dembele 109
3 Tete 117
4 Success 130
5 Rafa 136
6 Müller 143
7 Gakpo 147
8 Pogba 150
9 Miranchuk 153
10 Messi 154— Orbinho (@Orbinho) June 21, 2022
また、このシーズンのうちのG5 A10は、1月以降ルイス・ディアスがリヴァプールへ移籍後にレギュラーでプレイするようになったシーズン後半に集中している。シーズン後半15試合でG5 A10ということは、この期間のいわゆるゴール貢献(G+A)が、1.0/gameという高いレイトになっている。
Onde quer que estejas, o Fábio Vieira descobre. E coloca lá a bola 🤩⚽️
💪13 assistências e 5 golos em 2021/22#FCPorto #ComoNósUmdeNós pic.twitter.com/EbBsqanNWB
— FC Porto (@FCPorto) March 22, 2022
<代表レヴェル>
17/18シーズン、ポルトガルNT(U18)に初めて招集される。その後、各年代のNTスクワッドに選出。
そして2019年にデビューしたU-21では、21試合でG13A4と突然のブレイク。チームキャプテンでもあり。
この記録の多くの部分は、昨シーズンのEURO U21での14試合G12A3が占める。彼はこのコンペティションでPlayer of the tournamentを受賞し、一躍注目を集めることになったという。※ちなみに2017年の同アウォード受賞者はダニ・セバーヨスである。
クラブでもNTでも、試合でプレイするようになった21-22シーズンが、彼にとっては飛躍のシーズンだった。
こうして彼のこれまでのキャリアを観ると、いくぶん不遇な環境で時間を過ごしながら、チャンスを与えられたときにすぐに結果を出しているようにも見える。
ポルトのシニアスクワッドでは、あまりユースに頼らない方針のマネジャーのおかげで彼にはなかなかチャンスがなかったという話で、ルイス・ディアスが移籍しレギュラーでプレイするようになると突然にブレイク。
またユースNTでも、デビューの日付をみるとU-19に選出されて以降は、U-20、U-21とかなり短期間でレヴェルを上げていることがわかる。それも彼のパフォーマンスを観た結果、現場がそのような判断をしたんじゃないかと想像される。思ったよりよかった、みたいな。
彼の周囲のひとたちにとっても、ある意味「彼を発見した」ようなところがあるのかもしれない。
アチーヴメント
- UEFAユースリーグ優秀(18/19)FCポルト
- リーガ・ポルトガル優勝(19/20、21/22)FCポルト
- ポルトガルカップ優勝(2022)FCポルト
彼がPOTTを受賞した21/22のEURO U21は、ファイナルでドイツに敗けている。ポルトガルは準優勝。
ポルトガルのジャーナリストが太鼓判「ファビオ・ヴィエラのヴィジョンは際立っている」
アーセナルのオフィシャルサイトが、彼についてポルトガルフットボールの識者のコメントを伝えていて、まずはそれを紹介したい。ポルトガルのジャーナリストTom Kundert氏のコメント部分だけ。
Fabio Vieira: The view from Portugal
Tom Kundert:これはアーセナルにとっては、とてもエキサイティンな契約だと思うんだ。間違いなく、彼はポルトガルでもっとも有望な、これから台頭してくる選手のひとり。彼はとてもスタイリッシュで、完璧なスムースオペレイター。いまのPLにいる選手なら、ブルーノ・フェルナンデスに近いスタイルかな。身体つきだって似ているところがある。
彼はとてもとても強力な武器だ。わたしにとって、彼をスター選手として際立たせているのは、彼のヴィジョンさ。彼はファンタスティックなパッサー。彼はスポットにパスできるタイプの選手。「なんてこった、スタンドからだって観えなかったのに、どうやってあいつはそこを見つけたんだ!?」と思うような。ファイナルサードでもすごく切れ味があるし、自分でゴールだって取れる。
彼はとてもいいシーズンを過ごした。彼のこれまでのベストであり、リーグを取ったポルトのチームでも初めてレギュラーでプレイした。彼はリーグタイトルにものすごく貢献したよ。
もしわたしがアーセナルのファンだったら、喜んだだろうね。そして、ここポルトガルでも、ポルトギースフットボールのファンとして、彼がキャリアのなかでこのステイジでどのようにやっていくかワクワクしている。
(アーセナルのチームのなかではどこにフィットしそう?)
彼は左足だが、右でプレイすることを好む。すくなくとも昨シーズンはそうだった。彼はカットインしてシュートか、あるいは左足でのファンタスティックなパスを選ぶ。彼は、ある意味オールラウンダーだが、間違いなく守備的ではなく、攻撃的なMF。ナンバー10でだってプレイできる。
(ナショナルチームでの活躍)
彼は、ポルトガルU-21チームのボスだったね。去年もそんな感じだった。彼を観ていると、指示を出し、チームメイツにどこへ行くべきか伝え、攻撃セットアップをまとめている。彼はそれをすごくうまくやる。
ポルトガルU-21は、とても才能あるスクワッドだ。彼らがここ数年出している結果は素晴らしい。どの試合でも勝ってしまいそうだし、毎試合で5-6ゴールズ取るような。彼はその中心にいる。
彼がまだシニアNTでプレイできていないのは、ちょっと残念。でも、ポルトガルチームで彼のポジションは選び放題だから。そこには世界のベストプレイヤーズの何人かがそこにいる。ブルーノ・フェルナンデス、ベルナルド・シルヴァ、レナト・サンチェスもときどきそのポジションでプレイする。それが、彼がまだシニアNTに入っていけない理由だ。
わたしは、そのうちすぐ彼がそこへ入っていくと思う。カタール行きの飛行機に彼が乗っていたとしても驚きはない。もしアーセナルでうまくいけばだね。NTは彼のターゲットだと思う。
(まだキャリアの初期で、ヴィエラはアーセナルで輝ける?)
彼は問題ないと思う。彼は子どものころからずっとポルトにいるが、ポルトガルでは珍しいことじゃない。まだ若いトップタレンツがビッグクラブに引き抜かれる。毎年何人も何人も引き抜かれて、そこで成り上がるのはほんの一握り。
でも、ヴィエラのことは、みんな長いあいだ注目していた。ポルトが2019にUEFA Youth Champions Leagueで勝ったとき、彼はチームでキーパートを担っていた。実際、みんな彼がもっと早くに彼がファーストチームに入っていけると思っていたくらい。彼はずっとトッププロスペクトだったよ。
イングランドでもよく観られることだろうが、ポルトガル人というのは、総じて、新しい国にすぐ慣れるし適応に苦労しない。彼はもうちゃんと英語が話せるし、なにか問題があるようには思えない。
すでに云ったように、彼の移籍はほんとにエキサイティンだ。彼にも、アーセナルにも。ロンドンで彼がどうなっていくのか、みんな見守っているよ。
完璧なSmooth Operator。シャーデー。聴きたくなった。
ポルトガルでは2019から注目されていたとすると、もう3年前。あまりに急に出てきたので、ワンシーズンワンダーみたいな選手だったらどうしようと少しだけ心配もあったが、それなら大丈夫か。よかったよかった。
ジャーナリスト氏のコメントでもっとも興味深いのはポルトガル人の外国への適応力。これはたしかにPLでもよく見かけているように思える。最近でも、マンUのブルーノ・フェルナンデスは最初のシーズンからいきなり大活躍だったし、ルイス・ディアスもあのスクワッドのリヴァプールですぐレギュラーになるのだから、たしかにすごい。ヌーノ・タヴァーレスは…… どうだろう(笑い)。
ことばについては、ファビオ・ヴィエラも英語でのメッセージはファンにウケていた。しかも、かなり上手そうだった。問題なさげ。若い外国人の新加入選手で、適応の心配があまりいらないというのは、非常にありがたい。
それにしても、アーセナルはブラジル化が進んで、ポルトガル語(スペイン語)話者がさらに増えている。マルキーニョスとヴィエラのふたりとも母語がポルトガル語で、ジェズースともしかしたらラフィーニャ、リサンドロ・マルティネスもそう。英語よりそっちがマジョリティになったりして。エドゥ効果すごい。
来季から交代枠が五人になることを考えると、ヴィエラのような危険なエリアにチャレンジングなパスを出せる選手は貴重に思うし、出てくるチャンスは全然ありそう。
先制された相手を覆せないって課題にも効きそうな特徴。ワクワクしますね。