こんにちは。
PLエヴァトン、EL PSVと、つづけて2試合も延期になってしまい、たいへんに静かだった今週のアーセナル界隈。女王死去からの唐突なブランクだったこともあって、シーズン中とは思えぬほど静かに思えた。CLなどのほかクラブの試合を除いて今週のめぼしいニュースは、チェルシーオーナーのオールスター計画とか、あとは各国のナショナルチームの発表があったくらいか。
そんななかで、昨日これはぜひこのブログに書いておきたいというネタを見つけた。
Arsenal’s forgotten man looking to usurp Gabriel Magalhaes into Arteta’s plans
今シーズンは、チャンピオンシップのバーミンガム・シティにローンされている、オーストン・トラスティ(Auston Trusty)についての記事。
この記事タイトルにもあるように、ぼくも彼のことはけっこう忘れてたなと。失礼ながら。それが、バーミンガムで思ったよりがんばっているらしいというので、紹介したくなった
オーストン・トラスティのプロファイルおさらい
なんと、確認したところこのブログでもファーストチームの新加入選手なのに、独立したエントリを書かなかったという。失礼極まりなし。彼を紹介したのは、移籍まとめエントリのこのくだりのみだった。
(2022冬の)獲得は、最終日に発表された、Auston Trusty(オーストン・トラスティ)というMLSコロラド・ラピッズの選手。23才のアメリカ人CB。左足。コロラド・ラピッズは、AFCオーナーであるスタン・クロンキの所有クラブでもあるので、両クラブのつながりはあった。
彼は、アーセナルの選手となったものの、そのままいまのクラブに半年ローン。夏のチーム加入となる。
彼は、2022年の冬ウィンドウにMLSのコロラド・ラピッズから£1.8mで獲得して、そのままローンバック、そして今シーズンはバーミンガムへシーズンロングローンということで、アーセナルのファンにも忘れられてしまっていてもしかたない部分もあるっちゃある。現在24という、アーセナルのチームのなかではけして若くない年齢ながら、すくなくとも現時点ではチームの即戦力とは観られていない。
だいたい、アーセナルの2022冬は世間的にも「実質的に補強なし」みたいに云われているのだから、彼の存在はチームの補強選手としてカウントしてさえいなかったと云える。(※アーセナルのオフィシャルサイトのスクワッドリストに入っていない)
ちなみに、実質補強なしの2022冬は、トラスティのほかにアカデミーのリーノ・ソウザ(Lino Sousa)17才LBもWBA U-18から獲得されていて、ELのスイス遠征スクワッドにも加わっていた彼が今後ファーストチームで台頭するようなら、見過ごされた歴史がすこし反省されるかもしれない。
ぼくだけじゃなく、あんまり彼のことを覚えてないひともいるかもしれないので、本題に入るまえにざっと彼のプロファイルをおさらいしておこう。
トラスティの基本プロファイルは以下。TMより。
- 名前:Auston Levi-Jesaiah Trusty
- 誕生日:Aug 12, 1998
- 出身:Media, Pennsylvania United States
- 年齢:24
- 身長:190cm
- 国籍:United States
- ポジション:Defender – Centre-Back
- 利き足:Left
- MV(2022.Sep):£1.98m
左足のCBということで、アーセナルでは比較的デプスのないビッグガビのポジション。身長もある。右CBでもプレイできるようだ。
そして、もちろんUS出身で今年のワールドカップでプレイしたい。彼はまだUSMNTでデビューしておらず(過去に招集はされているようだ)、今回ドイツで日本NTとプレイするチームでも招集されなかったのは残念。
バーミンガム番記者によるオーストン・トラスティ評「ここまではかなりポジティヴ」
冒頭に貼った『football.london』の記事より。バーミンガム・シティでは、トラスティは今シーズンのチャンピオンシップ9試合すべてで90分プレイしている。
(オーストン・トラスティはMLSからチャンピオンシップフットボールに移行できてる?……)
Brian Dick:いちばん未知数なのは、彼のColorado Rapidsでのあきらかな成功を英国チャンピオンシップの慌ただしさにどう持ち込むかだが、すぐにその答えはポジティヴなものだとわかった。結局世界中どこでもアスリートはアスリートであり、アーセナルはいい選手を選んだね。
彼も最初は若干カルチャーショックでめまいをおぼえたのは認めていたが、彼はそれにもよく慣れて、このフットボールにもクラブにも溶け込んでいる。
(彼はどんなスタイルのDF? その役割ならどのポジションに入っていけそう? 理由も……)
ここまでは、すべての時間で3人DFの左サイドのセンターハーフとしてプレイしている。今シーズンのどの段階でも、彼がそのポジションでファーストチョイスじゃないと想像するのは難しい。
これはアーセナルのファンには当然かもしれないが、チャンピオンシップのレヴェルということは妥協せねばならないとして。まず、彼はもともと左サイドの選手ゆえに、すぐにディフェンスにバランスをもたらしたこと。それと彼は身長もあるため空中でも競えるし、ポジショニングを修正するに十分な機動力もある。
それは、ノリッチ戦でもウェストブロム戦でも観られた。彼は概ね試合をよく読むし、いい意思決定がある。
(アルテタのDFにとって配球がカギになる。彼はアーセナルで要求されるパス能力がある?……)
彼のすべての守備クオリティーズのなかでも、そこは「取り組むべき」ところかもしれない。彼はブルースにおいても、ワーストのディストリビューターなどではないよ。彼はボールを持ったときにかなり落ち着いているし、タイトな場所から脱するためのアジリティもフットワークもある。
3CBのなかでは、もっともロングボールに逃げない選手であり、まずプレイをしようとする。ダイアゴナルの長いパスにおいては、まあOKだろう。完璧というわけではないにせよ。
(彼が弱点を露呈することがあったり、成長が必要なところは?……)
守備の面では、彼はチャンピオンシップレヴェルで必要なすべての能力を備えている。まだトライもしていないから、彼がPLやヨーロピアンフットボールで絶対にうまくやるなんて断言するのは難しいけれど。
とにかく、ここまで彼を観てきたなかでは「失格」なんて呼べるようなものはまったくない。慣れない環境に入ってきて、対戦相手のこともよくわからないのに、彼はとてもよく仕事について学んでいる。
(アーセナルのサポーターたちはもしまだなら、もっと彼をよく観ておくべき? ガナーズのチームで将来的なオプションになると思う?……)
彼がアルテタのスクワッドでプリシーズンに参加して、そこで判断されるのではないかと思う。トラスティは、確実にアーセナルファンが今シーズン追いかけるべき選手だ。彼の成長曲線は興味深いし、彼はとても好人物だしね。
ブルースサポーターたちも、彼のことをとても気に入っている。彼も試合後には、盛大にセレブレイトをやってサポーターたちに返している。彼のための「USA! USA! USA!」チャントもとても楽しんでいるようだ。
ここまでこのローンは、すべてのパーティーズにとって、とてもうまくいっている。
以上
USA! USA!チャントはこれだろう。先日トラスティがRTしていた。英国人がUSA! USA!ってなんかクスっとくるな。
USA, USA, USA! 🇺🇸
Some Trusty content for you, @USMNT. 😏 pic.twitter.com/del7MPfgdw
— Birmingham City FC (@BCFC) September 3, 2022
ところでこのひとのtwitter、現時点でフォロワーが10kくらいしかいない。アーセナルの選手でさすがにさびしい。フォロウしましょう。
雑感
さて、バーミンガム・シティの番記者的には、ここまでのトラスティはなかなかの評価と云えるんじゃないか。とくにアメリカのようなリーグから来た選手にしてはよくやっていると。
彼はもちろん、マット・ターナー同様、オーナーつながりのUSコネクションでアーセナルにやってきた選手のひとりであり、実際のプレイがほとんど知られていないため、能力に関しては懐疑的に観られてもしかたのない部分はある。
しかし、バーミンガムのファンからも愛されているということは、それだけうまくプレイしているということだろう。そこは安心した。
そして彼にとって最大の問題は、来年からアーセナルのファーストチームに入っていけるかどうか。現在アーセナルの守備ラインは、PLのなかでもかなり優秀なほうであり、ということはこの世界でもかなり優秀なDFがプレイするチームになっている。彼も、バーミンガムで今年のPOTYに選出されるような、この一年での大きな飛躍がないとさすがに難しいだろうか。
また記事中の質問にもあるように、アルテタはDFのパス能力を「かなり」重視しているから、このチームの一員になるには並のDFでは務まらない。守備タスクをこなしたうえで、際立つパス能力がないと。その点は、かならず問われるはず。
もちろん、いまのところLCBのファーストオプションはガブリエルであり、バックアップとしてのクオリティが十分かどうかの問題だとすれば、トラスティにとってファーストチーム入りのハードルは一段低いとも云えるが、いまやっとチームの基礎ができたところで、今後アルテタはバックアップだってこだわりを見せていくだろう。
そういう意味では、サリーバが台頭してホワイトもいるRCBポジションで、来シーズン以降、たとえばロブ・ホールディングの立場が危なくなってもおかしくないくらいだ。
各ポジションでスクワッドのクオリティが上がっていて、このチームでプレイすることはそれだけ難しくなっているし、今後スクワッドがさらに充実してくれば、それはもっともっと難しくなっていくに違いない。
ひとまず、ここまではポジティヴということで、トラスティの今後には注目していよう。
パブロ・マリー(※ローン)もおそらくは今年かぎりだろうし、ガブリエルしかいないLCBは、来年は補強エリアのひとつになるだろうから、アーセナルとしては、来年トラスティがすんなりそこに入ってくれれば、云うことなし。もっとも理想的なシナリオになる。かけた移籍金からしても、そこまで期待はしていないかもしれないが。。
サプライズを待とう。
そうそう、現在のバーミンガム・シティのキャプテンは、あのトロイ・ディーニー(34)。肝っ玉もでかくして帰ってきてほしいね!
おわり