こんにちは。アーセナルのない日々は退屈。
さて先日も伝えていたように、今回はPLブレントフォード戦で15才にしていきなりアーセナルデビューしてしまった少年、Ethan Nwaneriについて書きたい。
いまもヘイルエンドアカデミー周辺には、たくさんの才能があふれているのに、15才にしてその全員を一足とびにしてしまった。
彼の誕生日はなんと2007年。アーセナルのホームステディアムがエミレーツに移転したあと。2007は、Appleから初代iPhoneがリリースされた年でもあるという。なんという最近。
このブログの読者さまでも、彼くらいの子どもがいるなんてひとはふつうにいるんじゃないか。中学生の息子がアーセナルデビューである。もし15才のひとがここにいたら、キミの同級生だ。
彼のデビューは、ニュースとしては、もうすでに一週間ほどまえのタイミングなのですっかり旬の時期を逃した感はあるが、アーセナルブログとしてそれでも書いておこう。
アーセナルのEthan Nwaneriが、15才と181日でEPL最年少デビュー
2022年9月18日のPLブレントフォード vs アーセナルで、初のファーストチーム入り&3-0リードで迎えた90分、ファビオ・ヴィエラと交代でベンチからIN。No.83シャツ。
15 years and 181 days.
The youngest player in Premier League history.
Congratulations, Ethan Nwaneri 👏
❤️ @ArsenalAcademy pic.twitter.com/52pnzERNM8
— Arsenal (@Arsenal) September 18, 2022
You deserve this, Ethan ❤️ pic.twitter.com/X0gw2e51IE
— Arsenal Academy (@ArsenalAcademy) September 18, 2022
PLの歴代最年少選手。このリストのトップに。
もちろん、アーセナルFCでもこれまでで最年少デビュー。
EPLでの最年少デビューは、ジャック・ウィルシャーの16才256日。すべてのコンペティションだと、2003年10月のカーリングカップ(※EFLカップ)で16才と177日でプレイしたセスク・ファブレガスが最年少だったということ。
年々競争力が増しているこのPLのようなリーグで、さらに最年少記録を更新するというのは、ふつうのできごとではない。
デビューについてパンディットの反応。『BBC Sports』より。
Nigel Reo-Coker(元WHU、アストン・ヴィラ):これはすばらしいことだが、15才にはプレッシャーがかなりある。あの少年の才能を台無しにしないよう、外部からの影響は遮断してほしいね。
Nedum Onuoha(元マンシティ):クレイジーだ。彼にはなんて後押しなんだろう。彼の年齢ではすごいことだし、火曜までに宿題だってやらなくちゃいけないのに。彼と、彼を育成しているアーセナルを称賛する。
Ian Dennis(BBC Radio5):PLの最年少選手になり、彼をこれからちゃんと育てていかなければならない。彼も謙虚でいる必要がある。あとは、彼がどう扱われていくかだ。彼の周囲だけでなく、メディアもそう。あの少年に過大なプレッシャーを与えてはいけない。
ちなみに、ここでは取り上げないが「アーセナル(アルテタ)の記録をつくるためだけの行為だった」のようなネガティヴな反応もある。
Ethan Nwaneriのプロファイル
以下TMより。
- 名前:Ethan Chidiebere Nwaneri
- 誕生日:Mar 21, 2007
- 年齢:15
- 国籍:England Nigeria
- ポジション:midfield – Attacking Midfield
- 利き足:left
身長などはわからないが、育ち盛りの15才の身長を気にしてもしゃあない。
— Reu (@reuellwalters) September 21, 2022
マット、リーノ、Ethan、レウ。すごい小さいということはない。
ポジションは、CAMだが、ワイドやもっと前のポジションでもプレイできる。
現在は、ジャック・ウィルシャーがコーチを務めるアーセナルU-18でプレイしつつ、今年すでにU-21(PL2)でもデビューしている。
NTは、イングランドU16、U17。U17には8月に招集されて、3試合G1。
それと、これはいま気づいたが、ナイジェリア系英国人という国籍は、ブカヨ・サカと同じである。
Ethan Nwaneriのこれまでのキャリア
9才:アーセナルに加入
14才:アーセナルU-16でレギュラー。その後アーセナルU-18でデビュー。イングランドU-16招集
15才:アーセナルU-18。今年からはアーセナルU-21(PL2)でもプレイ。イングランドU-17招集。9月、アーセナルのPLスクワッドに初招集、初出場
15才にしてキャリアが語られる少年。。
Ethan Nwaneriの評判
現AFCのスカウト、元アカデミーコーチ。アシュリー・コールからブカヨ・サカ、ミケル・アルテタのコーチBライセンス取得まで観てきた、AFCに30年在籍のヴェテランスタッフ(名前不詳?)のコメント。
現時点で、アカデミーには、わたしが30年アーセナルにいるなかで、歴代選手のなかでもトップ10に選ばねばならないふたりのU-16選手がいる。彼らは際立っている。
ひとりは、Myles Lewis-Skellyという。もうひとりは、Ethan Nwaneri。
わたしの最大の心配事は、クラブが彼らをキープできるかだ。この国の最大のクラブスが彼らのことを嗅ぎ回っている。
このふたりの少年はまったく際立っており、もし彼らがこの2-3年以内にチャンスを得られないとしたら、わたしたちみんなの目が節穴ということになってしまう!
2020年2月、Nwaneriが12才のとき、アーセナルU-14のWHU戦を観ていたというPLのスカウト。以下『Sky Sports』より。
彼はU-13から上がってきた。うえの年代だ。そこでさえ彼はそのグループのなかで優秀なほうの選手だった。
その試合はコンディションがひどかった。風があって雨がふって、ふつうはそのような環境だと選手を評価するのは難しくなる。だが、わたしは彼のボディラングウェッジが目についた。彼のキャラクター、その環境への反応にも。
彼はその試合で得点し、ゴールをする力があると思ったものだ。しかし、彼がほんとうにしたかったのは、ビルドアッププレイへの関与だったんだ。いいボールコントロールもあった。
同じスカウト。
わたしが彼を観たとき、彼には違うなにかがあった。最初に彼を観たのは、わたしがべつのPLクラブの仕事をしていたときで、彼は11才でアーセナルU-13でプレイしていた。だがその数年後に、わたしがマンUのスカウトとして彼を観たとき、彼はわれわれが云うところのグレイドAのアカデミー選手に育っていたんだ。
わたしは、彼をユナイテッドで契約できるようマークしていた。だが、「カテゴリワン」のアカデミーチームから、選手を引っこ抜くのは難しい。
彼が12-13才のときでさえ、ピッチのベストプレイヤーだった。上の年代のチームにいてさえも。彼がボールを持ったときには、いつも何かを起こそうとしていた。つねに脅威であり、セットピースを蹴り、いい配球をしていた。
アーセナルU-18コーチのDan Micciche。Nwaneriが2アシスツで4-2勝利に貢献したU-18レディング戦の試合後。
ヘイルエンドにたくさんの少年がいるなかでも、彼はとても高く評価されている。
わたしは彼は今日もやってくれると信じていたし、彼はふたつアシスツを決めた。彼のことを知っていれば、彼が今回ゴールできなかったり、いくつかのパスミスをやったことに失望しているとわかる。彼には「チャンピオンメンタリティ」がある。
イングランドU-21マネジャーのLee Carsley。
彼はわれわれのレイダーに引っかかっている。彼には、ほんものの才能があり、それはすばらしいアチーヴメントだ。
ファーストチームでチャンスを得られるというのなら、それはまた違う話になる。これはまだ沈むか、泳ぐかの状況ではない。アカデミーからシニアフットボールへの移行で苦しむ選手は何人も観てきたから。彼らはみな時間が必要で、経験が必要。だから、ミケルがやったことはグレイトだったよ。
Nwaneriが通うEnfieldの学校「St John’s School」の校長、Alexander Tardios。
Ethanは、とても謙虚な少年だ。彼は9才のときからいくつものクラブのレイダーに触れていて、注目を集めていた。
しかし、彼のもっともいい部分は彼の両親だ。彼らがこれまで彼をどう育てたか。彼らはEthanに尽くして、可能なかぎりサポートした。教育に専念した。なぜなら、彼にはセイフティネットがほしかったし、謙虚に育ってほしかったから。それは、これから公衆の面前にさらされていく彼に必要になるものだろう。
彼らは、いつも彼が学校でうまくやっているかチェックしていた。父親は、Ethanには、もし期末テストをパスできなければ、アーセナルでプレイさせないと云っていたくらい。
彼の父親は自分の考えるトライアングルについて、わたしにも語ってくれた。家族・フットボール・教育。その三本柱があれば、謙虚な少年になる。いまEthanがそうなっているように。
彼は学校でも完璧な服装をしている。シャツはいつも白く清潔で、タイも完璧。ブレザーも完璧。(ブレントフォードで)Ethanがピッチに入ってくのを観たら、落ち着いていて、穏やかだったのがわかったはず。それが彼なんだ。
わたしが彼を初めて観たのは、学校のアカデミートライアルデイで、その日は各フットボールクラブから来たアカデミー選手たちでピッチはごった返ししていた。
われわれは、そこでタレントを見つけることになる。だが、Ethanがピッチに入ったとき、彼はほかの子どもたちのだいぶ上をいっていた。彼は、まるでほかの子たちがいないかのように、そこを抜けていく。すごかった。
われわれは彼をピッチから出さなきゃならなかった。なぜならほかの選手たちがボールに触れなかったから。彼は8分でフルのスカラシップを得たよ。なんて才能かと。
そのあとでわたしはフットボールにくわしい知人にテキストしたんだ。「Ethan Nwaneriって子を知ってるかい?」。彼の返事はシンプルだった「イエス。彼はヤバい」。
彼はスキルフルで、パワフルで、速く、謙虚。ほんとうに、アーセナルは特別な選手を得た。そしてさらに云えば、彼が年齢を経ればイングランドも特別なものを得る。
この若者にはそれがある。それがどんなものであろうと持っている。みんなが彼のプレイを楽しむようになったとき、われわれがいま観ているものがなにかわかるようになる。彼は持ってるんだ。セスク・ファブレガスとの比較もできるかもしれない。わたしはジャック・ウィルシャーと比較するがね。なぜなら、彼にはスキルがあり、それが彼の本来の能力だから。
校長先生も大興奮。
フットボールクラブがアカデミーの子どもを学校のトライアルに送るというのは、なんだか興味深い。たしかに、学校の理解もないとクラブチームでやっていくのも難しそうだし、そういう子たちが集まる学校というのがあるんでしょうな。
Nwaneriにはグラニト・ジャカの庇護も「彼はとてもとても特別」
『CBS Sports』より。ブレントフォード戦後のインタヴュー。
ジャカ:ぼくはいまコーチングライセンスのために動いている。U-16の彼(Nwaneri)もトレインしているところだ。彼とほかの子には、大きな違いがあるのがわかるだろう。
彼はとても、とても特別。もちろん、彼はとても若いから守らなきゃいけない。彼が今後もこんなふうにハードワークを継続していけば、大きな大きな未来があるよ。
あるブレントフォードの選手に、彼は15才なんだぜって話したんだ。そしたらぼくを観て「くそやべえ、おれらみんなおっさんやんけ!」て云ってた。だから、もちろん、15年の年の差があれば「OK、まだ時間は終わったわけじゃない、ぼくにもまだ時間がある」と思える。ぼくらも彼を楽しんでいるし、彼もまたぼくらと楽しんでいる。彼にはクオリティがあるから。
トレイニングでは、彼はぼくらとは、まだそれほどたくさんはいっしょにやっていない。2-3回くらい。彼はとてもシャイ。でも当然だ。もっとぼくらといっしょにいれば慣れるはず。彼を守り、助けないと。
彼にとっても、ぼくらにとっても、フットボールがすべてというわけじゃない。だけど、クラブが彼を助けるだろうし、経験ある選手は彼を助けなければならない。
最近のジャカのレデンプションがここにもよき影響を及ぼしているとは。すばらしい。あのままファンとケンカ別れみたいに退団していたら、こんな未来はありえなかった。
そしてやはりジャカもコーチになるつもりという。彼がコーチライセンスに取り組んでいるという話は初耳のような。
このままだと、ミケルのようにアーセナルに在籍しながらコーチライセンスを取ることになりそう。
Myles Lewis-Skellyにも注目
アーセナルで30年アカデミーを観てきたスタッフも述べていたように、ヘイルエンドでEthan Nwaneriと同じくらい将来を嘱望されている選手が、Myles Lewis-Skelly(15)。
2006年9月26日生まれで(※今日から3日後に16才)、Nwaneriよりひとつだけ年長ながら、評判は彼に負けず劣らず優秀なようだ。ふたりは、同じ試合でアーセナルU-18デビューということ。
Lewis-Skelly is a cheat code 😅#AFCU18 pic.twitter.com/2r5G6BebRr
— Arsenal Academy (@ArsenalAcademy) September 21, 2022
チートである。
Ethan Nwaneriの今後
Nwaneriが、あのPLブレントフォード戦からシニアチームに昇格したと考えるのは、さすがに早急だろう。
場合によっては、カラバオカップなどでファーストチームのスクワッドに入る可能性はあるかもしれないが、今後は彼はひとまず、U-18/U-21に落ち着くことになるのではないか。
アーセナルにとってNwaneriのブレントフォード戦参加は、オーデガード、ESRらCAMが足りていなかったという状況ありきであり、また3-0リードという試合内容がなければ、彼のベンチ入りも実際の出場も実現できなかったと思う。
昨日の報道によれば、オーデガードは比較的軽症のようだし、現時点ではIB開けにはチームに復帰する可能性が高い。そうなれば、Nwaneriが再度シニアスクワッドに入るのは難しくなる。
それよりも、アーセナルはほかのライヴァルクラブに引き抜かれないよう、なんとか彼をキープすることに専念したい。
そうした危惧がクラブ関係者のなかにあることが明らかにされるのは、それだけ実際の危険があるということなんだろう。アルテタが異例中の異例で、15才の彼を数分でもPLの試合に出したことも危機感のあらわれかもしれない。
クラブは、選手が16才になるまではスカラシップ契約もできないということなので、ひとまずそこまでは乗りきりたい。彼が16才になるのは、来年の3月。プロ契約は17才?
セスクやジャックと比較される才能なら、17才くらいで本格的にファーストチームに加わっていくのか。だとしたら、それはすごい。
いまのアーセナルのファーストチームのクオリティのなか、17才でレギュラーでプレイするようなことがあれば、まさにあのインヴィンシブルズのなかでプレイしたヤング・セスク・ファブレガスの再来。
アーセナルのU-20ではパティーノもいるし、ノートン・カフィも、サラー・エディンも、フローレスもいる。
このあと数年で、ヤングガナーズの黄金期が来るのだろうか。楽しみだ。
おわる
プロ契約も済んだReuellをCedircの後釜として私的に期待。
Norton Cuffy、Patino、Balogun、TavaresだけでなくBierethもLino Sousa、Azeezもいるし公式YoutubeのInside Hale Endにも出ていたMaldini Kacurriも面白そう。
どの才能がいつ羽ばたくのか、願わくばアーセナルで羽ばたいてほしい