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ラウル・サンレヒがアーセナル時代を語る「自分が56人めとなるとも思わず55人を解雇した」

こんにちは。元気ですか。

昨日『The Athletic』に、ラウル・サンレヒのインタヴューが掲載されていたので、今回はそれを紹介しよう。

Raul Sanllehi: ‘I had to lay off 55 people at Arsenal, without knowing I was the 56th’

サンレヒといえば、2020年8月に電撃的にアーセナルの職を辞任し、世間を驚かせたものだ。彼がアーセナルに来たのは2018年2月なので、およそ2年半の短いアーセナルライフだった。ちなみにヴェンゲルさんの退任が発表されたのが、彼が来て2ヶ月後の2018年4月の出来事。

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あれから早2年、いまの彼はスペイン2部のReal Zaragozaで働いているということ。知らなかった。

サンレヒといえば、多くのアーセナルのファンにとっては、ウーナイ・エメリとともにアーセナルがもがき苦しんでいた時代にクラブのトップにいた、あまりいい思い出がない人物のひとりかもしれない。とくに、ようやくアーセナルが本来の自分たちの姿を思い出せるようになった現在からすれば。

またもちろん、ああいうクラブからの去り方だったこともあり、彼もまたアーセナルに対して含むところがあるのではないかと、多くのひとに思われているだろう。

いろんな意味で、興味深いインタヴュー。



ラウル・サンレヒ「Covidがなければ、わたしはまだアーセナルにいたはず」

今回も有料メディアからの引用であるため、ここで紹介するのは彼のコメント部分のみとする。また、アーセナル以外のトピックスは割愛する。この記事は、基本的にサンレヒについてのインタヴューなので、アーセナルの話題は全体の1/3程度である。

サンレヒ:想像できないかもしれないが、アーセナルでわたしはクラブのひとびともクラブの歴史も愛していたよ。

ほんとに、自分が世界のトップにいると感じていたんだ。オーナーたち、クロンキたちのことも愛していた。しかし、最後の10ヶ月はひどかった。わたしは、55人のスタッフを解雇せねばならなかった。自分が56番めになるとも知らずにね。

(アーセナルで驚きの辞任)クロンキから裏切られたなんて思ってはいない。クロンキは、LA Rams、Denver Nuggets、Colorado Rapidsのようなクラブを抱えていて、(Covidパンデミックで)突如すべてのチームがプレイできなくなったのだから。

それでも給与は払いつづけねばならない。放映権料の保証もない。彼らはパニックに陥り、それは論理的パニックだが、世界全体がパニックに陥った。もしCovidがなければ、わたしはまだそこにいたはずだ。わたしとクロンキの関係はグレイトだったから。

いまとなっては笑い話だが、2019年12月にわたしは4人の漢たちと食事をしたのを思い出す。ミケル・アルテタ(※訳注:MAはクラブへ来たばかり)、エドゥ、ハス・ファーミー、ペア・メルテザッカーと。乾杯のときに、わたしは云った。「これからはわれわれ次第だ。いまやわたしが求めていた完璧なモデルがある。もしそれがうまくいかなければ、もういい訳はできない」。そのチームは、当時のわたしにとってはドリームチームだったんだよ。そして、3月にはすべてが崩れ落ちた(※訳注:PLの無観客試合が決定)。悲しかったね。

そのモデルには、4つのポインツがあった。ヘッドコーチ、スポーティングダイレクター、フットボールオペレイションズ、それとアカデミー。そして、彼らはとてもよく協調せねばならない。

アーセナルは、ひとりのボスがすべてをやっていたアーセン・ヴェンゲルの時代から、前へ進む決断をしたんだ。

(エメリのセカンドシーズンにELタイトルを逃す)アーセナルにとってCLへ行くことは決定的だった。われわれにはウーナイといういいコーチがいたが、ELファイナルでチェルシーに敗れた。ウーナイにとっては、2年め地獄(second year hell)だった。

それまでは、ずっとワンボスモデルだった。アーセンのことは大いに尊重する。彼がアーセナルでやったことはユニークで、おそらくはあの当時ならベストなやりかたでもあった。だが、前進せねばならなかった。だからそれが起きた。

(サンレヒモデルに必要なSD/TD)イングランドでスポーティングダイレクターを置くことは、とても新しかった。わたしはそれについて説明しなければならなかったよ。SDの最優先はファーストチームだが、アカデミーともつながっている必要があるし、移籍市場への理解も必要。うまくいかないことがあれば、ヘッドコーチを変えることもできる。テクニカルダイレクターはクラブのスポーツ面のフィロソフィを守るものであり、モデルの守護者である。

わたしは中間にいるものだ。オーケストラのディレクターみたいに。ドラム、シンバル、ヴァイオリン、トランペットがいる。彼らはとても優秀。だが、彼らを協調させられないのなら、そのサウンドはひどいものになるかもしれない。アーセナルでは、head of footballとして、わたしはそこにハス、エドゥ、ミケルにペアを置いた。完璧なクロスだ。

(ヴェンゲルやファーガソンのような古典的英国流はモダンゲイムでは通用しない)わたしは、クラブがファーストチームのコーチを「マネジャー」と呼ぶことには反対なんだ。ファーストチームコーチは、ファーストチームコーチだ。それで十分。いまどきは、仕事量もハンパなくなっているし、わたしは彼にはファーストチームに専念してもらいたい。

その仕事のさまたげになるものすべてに責任を負う必要はない。旅程のアレンジメンツ、ピッチ、給与の予算、医療部門。われわれはそれをほかの人間にやってもらう。ファーストチームコーチは短期型、今晩の試合に勝つことだけ。

(アルテタのタイトルがファーストチームコーチからファーストチームマネジャーに変更)いま彼らはモデルをちょっとばかり崩しているね。トップのマネジャーに戻ることは、ミステイクだ。だがそれは彼らのミステイクだがね。わたしなら、それは許さない。でもいいんだ。ここまで彼らはうまくいっているのだから。

アーセナルはそれで結構。じゃあZaragozaの話に戻ろうか。

……

後略&以上

いかがでしたか?

 

雑感

サンレヒは、Covidがなければ自分はまだアーセナルにいたと主張している。ほんとかな?

つまり、それによる財政難からクラブは高い給与を支払うのが苦しくなったので、自分も辞めざるをえなかったと、云いたいようだ。

以前アイヴァン・ガジーディスがアーセナルでCEOをやっていたころ、仕事に対して不当に給与が高いという話はあったと思うが、サンレヒもかなりもらってたのだろうか。バルサで20年仕事していたような人材が転職して薄給なわけはないけれど。

あのとき、従業員を解雇して、選手にさえ減給を求めたようなクラブのあの悲惨な状況を考えれば、そういう側面はたしかにあったのかもしれないとは思う。

だが、ぺぺの件はどうなのか。あの巨額移籍案件の調査後にいきなり辞任したのだから、それが辞任(解任)の直接の原因になったと一部で疑われている。

この件は真相がわからないので、いまだにモヤモヤさせられる。

さて、このインタヴューでは、それ以外の話題ではクラブストラクチャの話がなかなか興味深かった。ヘッドコーチを「マネジャー」と呼ぶことに反対というひとは初めて観た気がする。その仕事に集中できるよう、もっと責任の範囲を限定しろってことかね。それはけっこう同意できる。アルテタは、いまどうなんだろう。AoNを観ても、ファーストチームマネジャーの仕事に専念しているようには観えた。

個人的には、サンレヒの遺産?でクラブに残すべきだったといまでも思うのは、「選手契約を残り2年以内にしない」ポリシー。

もちろんそれを実行するのは簡単ではないけれど、せっかくそういう立派な方針をクラブのなかでつくったのだから、サンレヒが去ったからといって忘れてもらいたくはなかった。いつのまにか、けっこう妥協している。

いまだにアーセナルは、フリーで選手を手放したりしているし(ラカゼットの適正価格はいくらくらいだったのか?)、そのあたりの契約マネジメントがあまりうまくいっているようには観えない。

選手の売却でほとんど利益を上げられないような、ここ数年のアーセナルの契約マネジメントに持続可能性がないのはあきらかで、だからアーセナルではこれまでよりももっと厳しい方針が必要なんじゃないかと思わずにいられない。

もちろん、最近の選手の顕著な若返りから、いずれ自然と選手売却で利益を得ていくほうのクラブになりそうというのはある。アカデミーもつぎからつぎへとタレントが出てくる。

それもありつつ、契約も厳格にすれば、理想のクラブ運営に近づける。

 

おわり



※コメントくださるかたにお願い
プレヴューエントリでは、試合の結果がわかるようなコメントはお控えください
お互いリスペクトしあって楽しく使いましょう

5 Comments on “ラウル・サンレヒがアーセナル時代を語る「自分が56人めとなるとも思わず55人を解雇した」

    1. ファンが集う場所でしょうもないこと言うのやめてもらっていいですか?

    2. いや今回はせいぜい一日くらいの時間差でそんなに遅くないと思うんだが。。
      いつも他記事の二番煎じってArseblogとか?
      デイリーでくまなく話題をカヴァしてるブログと比較されるとおれも困っちゃうぞ

  1. この記事めっちゃ読みたかったんです。
    いつもありがとうございます😭

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