昨日書いたエントリ「アーセナルがNLDで勝つには? トッナムのロウブロックをどう破るか」のつづきを書こう。
前回はどうゴールするか。今回はどうゴールさせないか、について。
アーセナルの「ハイライン戦術」にフォーカスする。
キミはなぜハイラインでプレイするか?
アーセナルの戦術に入るまえに、一般的な「ハイライン」戦術について触れておきたい。
ハイラインというのは、つまりGKの前の最後DF(オフサイドライン)を意図的にピッチ高くまで上げて、プレイエリアを圧縮する戦術。ハイディフェンシヴライン。
ちなみに「ハイライン」の定義は、CBのタッチの平均ポジションがゴールラインから38.8m以上離れている状態ということだそうだ(The Athleticの記事では)。
基本的な解説。2016年のTifo Football「The High Defensive Line」。この戦術の浸透における歴史的な経緯にも触れている。バルサ、アヤックス、ダッチNT。
当然ながらハイラインをやれば、ボールを失ったとたんに、その背後にはそれだけ広大なスペイスがあり、そこを利用できれば反撃する相手には有利な状況になる。
ではなぜ、そのようなハイリスクな戦術を採用するかといえば、それに見合うリターンがあるから。
ここで忘れてならないのは、ハイライン戦術には、プレッシングとオフサイドトラップがセットになっているということ。
相手守備がハイラインのとき、天地が圧縮された狭いプレイエリアのなかで前方にパスを通すのは難しく、また選手間の距離が近いため攻撃側の選手はインテンスなプレスを受けやすい。正確なプレイがより難しくなり、パスが雑になる。またこのとき、相手のDFラインはオフサイドトラップを狙っているので、背後に広いスペイスがあるといってもそれを使うのは云うほど簡単でもない。雑なロングボールはハイライン戦術の思う壺でもある。
そうこうしているうちに、高く危険な位置で相手にボールを奪われてしまうのである。それを試合のなかで何度も繰り返すのが、ハイラインを有効にあやつれるトップチーム。
ここ数年のアーセナルもそういう試合を何度か経験しているように、あれはやられるほうは観ていて窒息させられるような苦しさがある。優秀なハイライン&ハイプレスにハマると、手も足も出ない。
おそらく、1970年代にこの戦術が生まれて以降、それに対抗(まさにカウンター)するために、ストライカーがDFラインと駆け引きの技術を磨いたり、GKやCBのようなバックの選手たちのパス性能が重要視されるようになってきたり、狭いエリアでもプレスをかわせるプレス耐性のあるシステムを構築したりと、世界中で「ハイライン vs カウンター」の戦術的攻防があったのだろう。今回のNLDも、その一部かもしれない。お互いが切磋琢磨して、それをここまで洗練させてきた。
そして現在では、ハイライン&プレッシング戦術をある種極めた、リヴァプールやマンシティのようなチームが圧倒的強さを観せているところである(2022年序盤のリヴァプールはやや低迷しているが)。
※以下グラフィックはThe Athleticの記事「A game of risk and reward: The art of playing a high line(リスクとリターンのゲイム:ハイラインの美学)」より。
ちなみに、リヴァプールはPLでももっともハイラインでプレイするチームスのひとつだが(21-22シーズンはシティ、チェルシーにつぐリーグ3位)、相手にオフサイドさせることに関しては突出した結果を出している。つまり、彼らがハイラインによるオフサイドトラップをもっとも効率的に行っているチームと云える。
ちなみに、ヨーロッパのトップ5リーグスでも、リヴァプールはもっとも多く相手のオフサイドを引き出しているというので、ハイライン/プレッシング/オフサイドトラップ戦術においては、事実上の世界をリードするチームである。
ハイラインでプレイするチームは増えている
なお、PL全体でもチームがハイラインでプレイすることは年々増えているようだ。
グラフからすると、2016年あたりから急速にハイラインが増え始めているように観えるので、時期的にもリヴァプールやシティのようなチームが成功している影響はかなりあるのだろう。
もっと云えば、これは、2000-2010年代のバルセロナのポゼッションスタイルや「ティキタカ」のような世界的なインパクトを与えているようにすら思える。みんなが憧れて、あの真似をしたがった。
ユルゲン・クロップの代名詞のようなカウンタープレス(ゲーゲンプレス)も、いまでは、プロからアマチュアまで多くのフットボールコーチが選手に求めるようになっていそうである。そして選手からはひんしゅくを買う(笑い)。
昨年のノースロンドンダービーでの良いイメージがあるから是非今年も冨安に先発して欲しいですね。
日本人以外でもそう思っているグーナーは多いのでは?
興味深いエントリありがとうございます。
そしてNLDが近づくと現れる、気の抜けたような手書きのTOTサムネイルが大好きで、それを見に来たと言っても過言ではありません。