こんにちは。
ライスとティンバーのAFC加入が、なかなか発表されませんな。昨日は、ティンバーのメディカル完了が報じられていて、彼のほうは近日中には公になってもよさそうではある。
BREAKING: Ajax’s Jurrien Timber has completed his medical ahead of his transfer to Arsenal, with formal confirmation of a £38m deal expected soon 💰🔴 pic.twitter.com/Y0r7kVaLDT
— Sky Sports News (@SkySportsNews) July 10, 2023
いまアーセナルのファーストチーム御一行は、プリシーズンキャンプでドイツのアディダス本社を訪れていて、木曜にはニュルンベルクとのフレンドリーが予定されている。ふたりともこのあとのUSキャンプで合流といううわさなので、いずれにせよ今週には、はっきりするように思われる。
さて、そういうわけで、アーセナルの移籍活動についてはここまではかなり順調で、新シーズンに向けてスクワッドも整ってきたが、ハヴァーツにつづいて今回のライスとティンバーで一段落したあとも、アーセナルはまだ数人の補強をする意向があるとも云われている。
そのうちのひとりかどうかは定かではないものの、新加入選手をくわえた現在のスクワッドでも、いまだにやや心配に思えるのがブカヨ・サカがプレイするライトウィング(RW)。サカ自身は、すでにこの世界でRWとしてベストプレイヤーのひとりであり、彼がプレイしているあいだはもちろんなんの問題もないが、問題は彼になにかあったとき。バックアップをどうするか。
去年、ジェズースとサリバがケガで離脱したときに起きたことを考えれば、バックアップの重要性は明白。その補強はこの夏のテーマでもあるだろう。シーズン50試合以上を、クオリティを落とさず戦い抜けることができるデプスが必要。アルテタも「目標達成のためには、4-5月までスクワッドを健康に保てなければいけない」と云っていた。
アーセナルは、このウィンドウでサカのバックアップをあらたに獲得するつもりなのか、それとも内部的な解決策を考えているのか。今回はそのあたりを考えてみたい。
サカは出ずっぱり。シリアスなケガは時間の問題
すでに現在のアーセナルのなかで絶対的なエースになっているブカヨ・サカ。€120mという、チームでもっとも高額なMVもそれを示している。彼は、現在のアーセナルの躍進を支えているもっとも重要なメインメンのひとり。
いっぽうで、このチームのこれまでのサカへの依存度はたいへんに高いと云わざるを得ない。マネジャーからの信頼が厚いといえば聞こえはいいが、ひとりの選手に依存してかなり酷使しているといういいかたもできる。あまりにも優秀な彼を、休ませる余裕がないチームでもあった。
これまでサカがこのチームのなかでどれほど重い負担を担っているかは、彼のプレイタイムを観れば一目瞭然である。
彼がチームのなかで盤石な立場を築いたといえるこの3年間を振り返っても、プレイタイムの長さは顕著。これはナショナルチームを含まない。
- 20-21(19才) 46試合 3,604min(うちPLが32試合2,559min)
- 21-22 (20才) 43試合 3,253min(うちPLが38試合2,988min)
- 22-23(21才) 48試合 3,744min(うちPLが38試合3,194min)
トップ5リーグのU-21では、プレイした試合数(48)で22-23シーズンはサカがトップタイ。21-22は2位タイ(49)。
特筆すべきは、直近2シーズンで彼がPLの全試合でプレイしていること。世界一タフなPLを2年間ひとつも休んでいない。アーセナルでそれを達成しているのはサカだけ。彼のまだかなり若い年齢を考えれば、理想的とは云えない。
それは同時に、チームの個人への高すぎる依存という点でも問題がある。もしサカになにかあったときに、このチームはどうなってしまうか。
この間、それが露呈しなかったのは、サカがほとんどケガをしなかったためでもある。
彼のインジャリヒストリーを観ても、TMに記録がある19/20シーズンから彼は12日間以上のケガをしたことがない。そして、これも驚くべきことに、ケガで欠場した試合がたったの2試合しかないという。なんという鉄人ぶり。
だが、それも幸運だったとしか云えない。仮に彼がケガをしにくいタフな身体を持っていたとしても。なぜなら、彼はただでさえ毎試合のように、相手DFのフィジカルチャレンジのターゲットになっていたのだから。そして、それは今後もつづくだろう。相手DFがそれを止める理由もない。
それに、シーズン中の彼に大きなケガがなくとも、フィットネス理由と思われる低フォームな状態の時期は、昨シーズンのなかでもいくらか観られた。
クラブでは出ずっぱりで、IB中はナショナルチームでもプレイして、ほとんど休みがなければ、一年中ずっとフィットしているなんてほとんど不可能なことだ。期待すべきでもない。
クラブは、シーズンを通して彼が高いフィットネスを維持できるよう、また致命的な負傷をする前にプレイタイムをいくらか減らせるよう、まともなバックアップを連れてくる必要がある。もちろんアルテタもこれまでのような個人に偏ったヘヴィな起用をあらためて、より積極的にローテイションをしていくべきだろう。サカのこれからをつぶさないためにも。
ということで、新シーズンにおいてサカのバックアップをどうするかは、間違いなくこのチームの重要な課題になっている。サカが優秀であればあるほどそう。シーズン中に彼を失いたくなければ、もっとだいじに使うしかない。
サカのバックアップを内部で解決できる?
アルテタはこの問題をどう考えているのか。彼が現状のままでいいと思っているとは、さすがに思えないので、当然なんらかの解決策は考えているはずである。
あたらしいウィンガーを連れてくるか、それともいまのチームのメンバーのなかで解決できると考えているのか。
もっともシンプルな解決策はあたらしい選手を買うことだろう。RWのポジションとロールに完璧にフィットする選手を買えばよい。だが、システムに合う理想的な選手はそれほど多くないだろうし、優秀な選手はもちろん安くない。
クラブはもうすでにこの夏にハヴァーツ、ティンバー、ライスの3人で£200m以上をつかっている。これはひとつのウィンドウとしては、もちろんクラブ記録。新シーズンのCLなどでいくらか余裕があるとはいえ、そこまで財布の紐がゆるいとも思えない。
あるいは、内部的な解決。既存のスクワッドでそれをまかなう。
以下のグラフィックは、以前にこのブログ用につくったものを少しアップデイトしたもの。あれから状況がちょっと変わったので、あらためてデプスを確認してみるとこんな感じである。
多くの選手がかなりヴァーサタイルなので、こうしてポジションを当てはめるのが、とくにアタッカーの2以降のバックアップは難しいが、サカのバックアップは契約を更新したばかりのネルソンにしてある。
ただ、そこが完璧なフィットとは云い難いのは、ネルソンが右足だからだ。このチームのなかに右足でLWとしてプレイできる選手は、少なくとも4人はいるが(ネリ、トロサール、ESR、ネルソン)、左足でRWとしてタッチライン際でプレイできる選手がサカくらいしかいない。トロサールのRWも評価は高いようだが、サカ役ができるとはちょっと云い難いように思える。
※ネルソンのウィンガーとしての適性あるサイドについては、先日r/Gunnersで議論になっていた。あるユーザの主張によれば、彼はLWでプレイしたときのほうがRWでプレイしたときよりもよほど評価(rating)が高い。ボーンマスのサブもLW起用だった。
アルテタのチームでRWとしての理想像がサカだとすると(あるいはシティのマーレズとか)、それに完全にフィットした選手が現在のチームにいない。そこが大きな問題なのである。
アルテタがシステムを優先して、選手をポジションやロールにフィットさせることを考えれば、あたらしく選手を買うしかないかもしれないし、あるいは、選手のキャラクターを優先してシステムをそれに合わせることをアルテタがやるか(やりたいか)どうか。
アルテタのアーセナルでの3年半を振り返ると、彼は結局既存のスクワッドに適応するよりも、自分のシステムに合わせて選手を獲得し整理することで問題を解決してきたところがある。
だが現実的には、いまも既存スクワッドへの適応にトライしてもらうほうが望ましいのは云うまでもない。それでチームをワークさせることができれば。なぜなら、かなり理想に近づいたとはいえ、アルテタの理想のチームとして完璧になるにはまだ時間もお金もかかるから。いまもある程度は、アルテタのほうが既存のスクワッドに適応する必要がある。
たとえば、アルテタはKTをチームに残したがっているというが、KTがジンチェンコ役(Inverted FB)にあまり適していないのはあきらかであり、KTをLBでプレイさせるときは彼に合ったシステムにする必要がある。そのために逆サイドでInverted FBができるティンバーを取ったという説もあるが、そこは実際に始まってみないとわからない。
ESR(ヴィエラ)のワイド起用もそうだろう。彼のウィングは、マルティネリやサカのロールとは違うものになるが、そこには彼なりの持ち味がある。
個人的な好みとしては、何度も同じことを書いて恐縮だが、もしRWのバックアップを買わないのなら、サカになにかあったときはジェズースをRWで起用してほしい。昨シーズンの最後の試合で、サカとジェズースのポジション入れ替えがかなり頻繁に観られたのは、もしかしたら新シーズンに向けての伏線だったんじゃないかとも疑っている。
ジェズースももちろん右足なので、この議論の流れでは彼もまたアルテタのRWには適していないが、彼の場合はそれを補ってあまりある個人クオリティがある。
ジェズースのウィング起用が見えると、もしかしたらバロガンの残留にも現実味が出てくるかもしれない?
あとは、いちおうニコラ・ぺぺもいる。マルキーニョスとどちらがいいか。
いやぁ、前線の選手は余るくらいでしょう。
RWはハヴァーツ、トロサール、ジェズス、スミスロウ、ヴィエラ、ネルソン、マルティネッリ、バログンと
流動性をもたせるなら皆やれなきゃ行けないしやるしかない。
1ポジに完全に2~3人とか言っていたら、エンケティアやトロサール、ヴィエラなんて出場機会が得られない。
シティでもバイエルンでもある程度皆そうしてるでしょう。
アーセナルはそれでなくても売るのが下手なのだから。ジャカは奇跡。
メイトランド=ナイルズ、ゲンドゥージ、パブロマリのように塩漬けからのフリー放出がアーセナルのしょぼい手離れ確率大。
ユナイテッドもチェルシーもリヴァプールもスパーズも復権を狙ってて、
CL権も安泰とは言い難く、右肩上がりで成長できるとは限らないのだから、
ペペやホールディング、タバレス、ロコンガを売ったお金でのみ、これ以上の補強を考えよう。
先に売って、その後に買う。これだけ。
おっしゃるようにトーマスが右SBに入ってからだったか、ジェズスとサカのポジションチェンジが増えていたのは来シーズンへの備えかなと思いました。中に入る役割ならハヴァーツもできるし、トロサール、スミス郎もできなくはない。あとサイドに張らせるならネルソンよりもマルティネッリの方が右はいい気がします。テクニックというよりもパワーとスピードで抜くタイプだし。