アーセナルの土曜のPLニューカッスル(A)で起きた議論なVAR判定について、英国では日曜になってもまだ収拾がつかないといった様子だった。
あのあと、アルテタの試合後のひどく感情的なコメンツに対して、アーセナルFCがクラブとしてそれを支持する声明を発表したことも、それに拍車をかけているところがある。
じつは、白状すると、ぼくもあのVAR判定については若干誤解していたことがあって、あの試合のレヴューのエントリを読んでくれたひとは薄々感じたかもしれないが、アルテタ含めてアーセナルのファンがそこまで騒ぎ立てるほどの明白なVARエラーだとは認識しておらず、なんならアルテタもちょっと感情的になりすぎでは?くらいに思っていた。PGMOLの見解や、あれを正しい判定だったと信じているひとたちの意見も、一理あるものだと思っていたのだ。
だが、あのあと出てきた新しい映像(画像)もあったり、いろいろな議論や情報を観ていたりして、少し考えをあらためた。
今回はそれについてまた少し。
アーセナルFCの声明「PGMOLには早急な対応を要求する」
昨日クラブから出されていた、ニューカッスル戦のVARエラーに対する声明。
アーセナル・フットボール・クラブは、土曜日の夕方、またしても容認できないレフェリングとVARのミスを犯したミケル・アルテタの試合後のコメントを心から支持する
また、セント・ジェームズ・パークでの選手とサポーターの多大な努力とパフォーマンスにも感謝したい。
プレミアリーグは世界最高のリーグであり、最高の選手、コーチ、サポーターがいる。PGMOLは早急に審判の水準に対処し、回顧的な分析、説明の試み、謝罪から私たち全員を前進させる行動に焦点を当てる必要がある。
私たちは、ハワード・ウェブ主審の継続的な努力を支持し、私たちのリーグが要求するワールドクラスの審判基準を達成するために協力することを歓迎します。
DeepLにて翻訳
アルテタの試合後コメントは、かなり強い調子での批判だったので、試合バンのような、なんらかの罰を受けることはおそらく必至であるが、そうであってもクラブがこうして彼の考えを支持し連帯を表明することには、大きな意味がある。
もっとも、この声明自体も議論の対象になっていて、批判的な声も少なくない。典型的なネガティヴ反応は、一貫してあれを正しい判断だったと主張している、アーセナルファンからほとんど総スカンのギャリー・ネヴィルで、彼はこの声明について「恥の上塗り」(意訳)とまで云った。
わたしがオフサイドルールを根本的に誤解。そして実際は……
※以下、最初に記事を公開した内容から一部を修正しています
冒頭に書いたように、なんでぼくが考えをあらためたかというと、それは3つのVARチェックの3番めのオフサイド案件について、まずオフサイドの正しいルールを誤解していたから。
というか、オフサイドのこの誤解は、ぼくはこのブログで以前にも読者のひとに指摘された記憶があるんだよね。だから、それを忘れてたという。そんなのばっかりでほんとごめん。
これ。
もし、手前にいるJoelintonがGordonにこのタイミングでパスを出したのなら、そこにガブリエルがいるから、ガブリエルより後ろにいるGordonはふつうにインサイドなんじゃないかとぼくが思いこんでたという。なんでみんなそんなに騒いでいるのかな?と、じつは少し思ってた。
それが、認識が違っていた。
基本的にオフサイドラインは攻撃側にとって「最後からふたりめの相手選手」の場所で引かれるのと、そこを越えて攻撃側が前に出ていた場合は、今度はボールの位置がオフサイドラインになり、パスの受け手がそのボールより前にいただかどうかが問題になるという点。
なのでこの場合だと、Joelintonからボールが離れた時点で、そのボール(オフサイドライン)よりGordonが前にいたか、あるいは後ろにいたかが問題になる。このとき守備側は、ゴールキーパーとか、アウトフィールドプレイヤーとかは関係なし。だから、この局面で問題になりそうなのはボールとGordonの位置関係。上の画像からだと、たしかに判断ができない。
※フットボールのオフサイドルールの理解について、当初書いた内容にご指摘を受けてこの前後を大きく書き直したのだけど、シンプルなルールの説明を探しているうちに、オフサイドルールの死ぬほどわかりやすい解説しているWEBサイトを見つけてしまった。『The Washington Post』
That’s a clear offside! But why?
画面をスクロールしていくと、アニメーションでオフサイドのいろんなの事例が再生される。今回のケイスをばっちり説明するところもあった。もちろん英語だけど、シンプルなアニメだけでめちゃくちゃわかりやすい。世界一わかりやすいオフサイドの説明かも。
今回、その瞬間のGordonとボールの位置関係を判断するための大きな問題は、完璧な証拠になる(オフサイドラインが引ける)アングルの映像がないことのようだが、タイミングとしては、reddit有志が取ってくれたSky Sportsの解説動画のキャプチャが決定的に観える(※動画は日本からだとおま国で観れない)。
とても微妙な映像だが、あえてJoelintonの背後から腰あたりにほんの少しだけ観えているっぽいボールの位置にオフサイドラインを引けば、Gordonの足はオフサイドラインより前に出ていると判断されるのではないか。
ということで、ぼくのなかでも、この場面のオフサイドはあったと考えざるを得ないという結論になった。
ガブリエルへのファウル?
それと、Joelintonのビッグガビへのファウルについては、あらたに別のアングルの映像(スチル?)があった。これもふつうにアウトにしか観えない。逆に、どう弁解できるのだろう。両手をそっと添えただけ? ウケる。
ということで、今回の試合を決したニューカッスルのゴールを認めたVAR判断は、やっぱりPGMOLの謝罪がありそうに思える。ファウルのほうはともかく、オフサイドのほうはやはりギルティに近い。
彼らが、これを「clear and obviousな証拠がないからオンフィールドの判断を尊重した」なんて開き直った弁解をつづけるようなら、VAR制度のストラクチャは根本的に問われなければならない。
まあ、謝罪など、もう決まってしまったあの試合のゼロポインツには、なんの意味もないが。実際、謝罪をつづけていながら、彼らはいまもこうした重大なエラーを起こしつづけている。改善をする気があるのかすらもあやしい。
しかし、いずれにせよ、アルテタの罰もやはり免れないように思える。
これからも重要な試合がつづいていくので、チームとしては、それが試合のバンだとけっこう痛い。
毎回結論は同じになってしまう。VARはなんとかしてくれ。毎週毎週あらゆるクラブで、こんなに頻繁に問題を起こしていては、ないほうがマシみたいなことになりかねない。いや、なければないで困る。
そんな昨今なので、PLのレフェリングは壊滅的みたいなことがよく云われている。外国はどうしているんだろう。
おわり
いつも楽しく読んでます。ありがとうございます。
今回のオフサイドについてですが、ボールとゴードンの位置関係も確認必要ですよね。ジョエリントンがボールより前のゴードンにパスしたのならオフサイド。今回はその位置関係が見えにくいから、明確でないと感じていました。(感情的にはオフサイドです。)
こんにちは。ご指摘ありがとうございました。ご指摘をうけて、たぶん、今度は理解したと思います。内容を書き直したのでご覧くだされば幸いです
仮にあれがノーゴールだったとしてもアルテタは言い過ぎだとは思いますね
あそこまで言っていいのは明らかにパッと見ただけで分かるだろどこに目ついてんだ?!っていうレベルの案件だけだと思います
今回はあの瞬間短時間で判断を下すには難しかったと思う
誤審がどうのよりアルテタにはずっと停滞している攻撃についてどうにか頑張って改善して欲しいですね・・・