最近ルートン・タウンでプチブレイクしている、アーセナルからのローニー、アルバート・サンビ・ロコンガ(24)。
ルートンというチーム自体、マンUと変わらぬ攻撃アウトプットと(笑い)、PLのスモールクラブに似つかわしくない勇敢なパフォーマンスが称賛されている昨今。アーセナルも12月のKenilworth Roadで勝つのはだいぶ苦労させられたのは記憶に新しい。
ルートンでも、ここ数試合はとくにサンビ・ロコンガの活躍がよく話題になっていて、試合ではPOTMにも選出。
そして昨日はなんと、あの世界の名将Jurgen Klopp氏がPLルートン戦を前に彼についてコメントしたということで、さらに注目が集まることに。
Jurgen Klopp cannot believe @Arsenal loaned out @LokongaSambi 😅
🔗 https://t.co/GUeoJOND0G pic.twitter.com/SiuY9DJOZW
— Hayters TV (@HaytersTV) February 20, 2024
Klopp「ロコンガがプレイしているのを観て思う。Oh、彼はアーセナルの選手か、それで彼らは彼をローンしたって? 興味深い(笑い)」
なんでこんな(優秀な)選手がローンで出されてんの?と。なんというお墨付き。
ロコンガはルートンでも当初はケガでほとんど試合に出ていなかったし、正直、彼がここでレデンプションをやるとは思っていなかった。これは、うれしい驚きである。
『The Athletic』がそんな旬な選手のインタビューを行っていた。そちらがおもしろかったのでご紹介。※閲覧は要サブスク
Albert Sambi Lokonga: ‘The last two years haven’t been easy – Luton are what I needed’
「サンビ・ロコンガがルートンとロス・バークリーへの愛情を語る」by the Atheltic
彼の発言部分のみ。小見出しは訳者による。
ルートンで愛されるロコンガ
サンビ・ロコンガ:(英国で3年め。その半分がローン)この2年は簡単じゃなかった。
支援してくれるマネジャーがいること、それが自信をもたらし、信頼を与え……。それこそが選手が願うものだ。ベストでパフォームするには必要なもの。だから、ぼくはそれをピッチで返そうとしている。Rob Edwards(※ルートンのボス)のことは大好きだ。
A heroic stop from Sambi ⛔️ pic.twitter.com/M1etG2P7CS
— Luton Town FC (@LutonTown) February 19, 2024
(シェフUではPOTMにも選出。いまがあなたのキャリアで最高?)ノー。そこに向かってはいる。自分のベストのレヴェルにも遠くない。でも、まだそこにはいない。
ぼくは試合のあと、毎日自分の身体を回復させるために取り組んでいる。なぜなら、こんなに連続でたくさんの試合でプレイしているのはすごく久しぶりだから。
Ross Barkleyからのアドヴァイス
(Ross Barkleyとのパートナーシップ)ぼくらは、お互いにボールを渡し合うし、とてもよい相互理解がある。それはピッチのうえで観えるはず。彼とのプレイは楽しみだ。なぜなら、ぼくは彼を信頼できるし、彼もぼくを信頼できるとわかっている。
(Ross Barkleyと似た境遇)それについては話していたんだ。彼がチェルシーにいたころアストン・ヴィラにローンに行き、そこから戻ったことはぼくも知っていたから。それは、ぼくが6月に迎える状況と同じ。だから、それについて話していたんだ。
ぼくはできるだけ彼の経験を利用させてもらいたいし、過ちを避け自分の道をみつけるためにもアドヴァイスをもらおうとしている。
(ナショナルチーム)自分がそれにふさわしいと云うのは難しいな。ガファ(※2022ワールドカップ以降Domenico Tedesco)が決断することだから。でも、もちろんぼくもそこに入る候補だ。Rossがイングランドの候補なのと同じ。
Rossはそこにいなきゃいけない。彼を見ればわかるように、とてもいいプレイをしている。彼はスクワッドに入るべきだ。
「All or Nothing」でのエンケティアとの一幕について
(プレイしていないからアンハッピー?)ぼくは、いまでも同じように答えるだろうね。ピッチにいたい選手、それがもしプレイしていないとすれば、彼はハッピーではないのだから。
それと云っておくけど、ぼくとエディはとてもとても親しいんだよ。あれを見返してみればわかるように、ぼくはそのあとに笑ってるし。
ぼくはそれが難しいと思ったんじゃなくて、好きじゃなかったというだけ。あれでは、まるでエディはハードワークするひとで、ぼくは不満なひとみたいでしょ。不平不満で文句を云って。エディは友だち。だからあれは、ソーシャルメディアで騒がれてるだけ。
「アーセナルの大きさがわかった」
今年になるまで、ぼくはアーセナルがいかに大きいクラブかわかってなかった。中にいると、外で起きてることなんかわからないものだから。
プレイすることとトレインすることにただ集中していた。そして、いまはパレスに行きルートンに行き、クラブからだいぶ離れて観ることができる。なんて大きなクラブなんだろう。彼らのファンは世界中にいる。
ルートンで残留を目指す
ぼくは泣いたりするほうじゃないが、もしぼくらがPLに残留したら、ピッチのうえで泣くかもしれない。自分が経験してきたこの数年からしても、ぼくにはすごく意味のあることだから。それに彼らにとっても、PL残留を達成することがどれほどのものかわかるから。
以上。彼のコメント部分だけを訳したらすごく短くなってしまった。実際はもうちょっと読み応えある記事。チャンスあればオリジナルをご参照あれ。
さて、サンビ・ロコンガ。
彼は、先日もインタヴューでアーセナルについて「自分はまだアーセナルの選手だと思っている」と殊勝なことを述べていて、ほとんど存在を忘れかけていた一時期から、なんだか応援したいような気持ちになっていたところだった。いや、個人的に。
だから、このように彼が活躍し、注目が集まっているのは、とてもうれしいことだ。
もともと彼は、アーセナルが獲得するくらい将来が期待されたMFであるし、パスのセンスだって非凡なものがあった。それをいまルートンで発揮している。
そんな彼の選手としての課題は、守備におけるアウェアネスやポジショニングだとよく云われていたが、上に貼ったマンUのフェルナンデスのゴールを阻止したスーパーブロックのように、彼が守備の部分で称賛されているのはすばらしいことだ。
ルートンのボスは、サンビについて「いま彼は必要だったものを見つけている」と述べたそうで、まさに彼はアーセナルでは得ることが難しかったプレイタイムを得て、進歩をつづけている。これぞ理想のローン。あるべきローンの姿。ローン元、ローン先、選手本人、すべてのパーティーに恩恵がある。
そして、彼がこのままルートンでよい調子でプレイをつづけていったとき、来年はどうなるかを想像する。
もちろんファンとしての理想は、アーセナルのMFとしてブレイクしてもらうことであるものの、そのハードルは現時点では非常に高いと云わざるを得ない。まず試合でプレイタイムを得るには、チーム内でのポジション争いに勝つ必要がある。8も6もアーセナルでは現時点でもかなり競争が激しい。
夏にはトマス・パーティのリプレイスメントで新しい、超優秀な6が来れば、ライスと新DMとポジションを競うことになるし、8では、右はオーデガードと競うのはかなり難しく、左はハヴァーツ、ヴィエラ、ESR、トロサールと、ただでさえすでに苛烈な競争がある。そこに割って入っていくのは並大抵ではない。ここには、さらにチャーリー・パティーノやイーサン・ワニエリが入ってくる可能性だってある。
彼のプレイのスタイルと現在のアーセナルのスタイルを考えるに、やはり適性は8よりは6だろうか。彼にアーセナルでの可能性があるとすれば、ジョルジーニョとの契約延長を断念して彼が移籍、6のバックアップとして入るくらいかもしれない。
だが、それよりも、夏に十分評価の高まった彼を高額で売却するほうが現実味があるのもたしか。ルートンがこのままPLに残留して、クラブレコードの金額で彼を買い取るとか。そしてアーセナルは、たんまりセルオンやバイバックをつけるとか。財政的には悪くない。いつプレイできるかわからないアーセナルでベンチを温めるより、サンビ本人もつねにプレイできるほうがハッピー。
あるいは、売却を検討させないほど、今シーズン終了まで彼がアルテタからの評価を高められるか。Kloppにはだいぶアピールできているようだから、アルテタが彼を見直すチャンスはもちろんゼロではない。Edwardsとアルテタは親しいらしいので、いま現場にいっしょにいる彼からもくわしいことは聞ける。
ルートンのサンビには、今後も注目しよう。
では、ここでお聴きください。「あなたを愛させて」。Carlton & The Shoesで“Let Me Love You”。
おわり