昨日、一足早く行われたQFの2試合はご覧になられましたか。
結局、どちらも先週のファーストレグの結果からしても順当な勝ち抜けになったわけだが、そのカムバックぶりは印象的だった。バルサに対するBVB、PSGに対するヴィラ。とくにヴィラがすごかった。ファーストレグの3-1劣勢からアグリゲイトスコアで5-4と、あと1点までせまったという。BVBもホームでバルサに対し終始優勢にプレイし、一時は2-0にまでした。
興味深いのは、この2試合とも、まずアウェイで大敗していたチームがホームのリターンレグで多くのゴールを決めていること(どちらも3ゴール)。同時に彼らは失点もしているため、あとがない状況でリスクをかけて攻撃した結果とも云えるが、それにしても。あわや大逆転。
この2試合の敗者のプレイっぷりに大いに勇気づけられたのは、レアル・マドリッドのチームとサポーターに違いない。
この試合、アーセナルはファーストレグの3-0リードをアウェイで守る立場だ。バルサやPSGのように、失うものがない相手に追い詰められるのか、あるいはエミレーツでの勢いのまま横綱相撲で寄り切るのか。
ドキドキするなあ。
試合をプレビューしてゆこう。
アルテタの試合前コメント「ピッチで語ろう」
昨日行われたアルテタの試合前記者会見。今回の会見には、選手からはラヤが参加した。AFC公式サイトより。
(チームニュースについて……)
アルテタ:ポジティヴなのはベン・ホワイト。彼は今日なんとかチームとトレインできた。だから彼はスクワッドに入る。トーマスも起用できる。彼は前回の試合でniggleがあったので交代になったが、あのあと数日でよくなっている。
それとジョルジは残念ながら週末の事故から回復していない。
(3-0で先行していることを考えてどう試合にアプローチする?……)
勝つためにアプローチする。ロンドンでやったのと同じ。われわれの試合の準備はやるべきことについてのものであり、試合を通して支配しなければならない。試合に勝つ最高の可能性をもたらす、異なるフェイズだ。マインドセットもクリアであり、それが明日のわれわれのプレイのやりかたになる。
(選手たちをどう感情に流されないようにするか……)
わたしもそれは理解している。彼らの歴史的にも(カムバックは)あるし、彼らはそういったシナリオについて語る権利を得てきた。
われわれのものは、それとはとても異なるマインドセットだ。準備も考えも違う。そして、試合のなかでの決定的な側面において、どうやって相手を上回るかだ。彼らはわれわれの意図とはまったく違うものにしたいはずであり、もしわれわれにそれができるなら、試合に勝ついいチャンスがあると思う。
(この試合で示す必要のあるカギとなる要素は?……)
勝利へのマインドセット、勇敢であること、支配的であること、覚悟があること。そして、自分たちは相手より強いという確信を持つこと。そして試合に勝つことだ。
(自分たちの歴史をつくることができる……)
物語をつくらねばならないなら、まず始めに、それにワクワクしなければならない。それにとても備えていなければならない。そして、そのあとには自分たちが成し遂げたいことについて、とても確信をしていなければならない。それが主張になる。ステップバイステップでやっていく。
多くのクラブは、それを何度もやることによって自分たちの歴史を築いてきた。何度もトライし、何度も失敗し、ときどき成功する。去年、われわれはそれを経験し、今シーズンはもっとうまくやりたい。セミファイナルに進出したい。それは、われわれのクラブの歴史でも3度しかないことだ。
(今シーズンのチームにはハートとガッツが十分ある?……)
試合のなかには3つの主要な側面がある。身体的側面、技術的側面、戦術的側面。そして感情面がある。そして、その感情面が非常に重要になる。なぜなら、わたしはこのチームがシーズンを通してやってきたことにとても安心しているから。ポジティヴな状況でも、とても困難な状況でも。
おそらくそれが道筋だったのだ。だからそうしたことが起きた。だから、そのようなシナリオに準備することと、われわれがどんな状況にも対処できると確信していることだ。われわれは明日どんな試合になったとしても、プレイすることを楽しむだろう。
(この試合の準備でなにか違うことをやった?……)
どの試合でも違うことをやりたいと思っている。70試合も同じプラン、同じシナリオで準備したらきっと退屈してしまう。だから、これはファーストレグとは違う状況だ。それはもう終わったこと。
われわれはそこから学びを得る。いくつかのとてもよかったこと、ロンドンでやったよりももっとうまくやる必要のあるいくつかのこと。そして、試合を自分たちのやりたいようにしていくキャパシティを持つことだ。どんな試合にも素早く適応できるようにし、自分たちの思い通りにしていく。
(外部の騒音を遮断する……)
それは不可能。外部のことは無理。そして、ピッチでそれをやってはいけない。彼らにとってそういうフィーリングをもたらすナラティヴがあるのは、わたしも理解している。
(この数年で見せてきたアーセナルのレジリエンスについて……)
われわれはそれを再度やらねばならない。それ(3ゴール奪われていないのは)は、497日間だが、そんなの関係ねえ。われわれは、この状況でそれを証明する必要がある。それがその美しさだ。それは挑戦であり、スポーツの素晴らしいところ。
われわれは、自分たちにはそれができると示してきたし、そのことで安心感を得なければならない。自分たちならそれができるという自信。
だから、ピッチのうえで語ろうじゃないか。ピッチのうえでやるんだ。それだけが問題だ。
(マドリッドのカムバックは怖い?……)
わたしならその単語(fear)は使わない。わたしの考えでは、それは尊敬であり憧れだ。彼らがクラブとして何年もこのコンペティションでやってきたこと、彼らの歴史、守っている価値。それは信じられないもので、とても素晴らしく、どんなコーチ、マネジャー、チームのインスピレイションになる。
だが、そうしたことがあってもなお、これは競争だ。それがわれわれが明日対面するものであり、われわれがよく知るポジションであり、そこで試合に勝つという決意がある。
(デクラン・ライスはフリーキックの練習はしている?……)
やっている。もし彼がもっとそうした時間をつくれるなら、それは素晴らしいこと。あれは素晴らしかった。わたしが思うに、3つめのゴールも同じように美しかったし、あれはとてもチームとしてのゴールだった。
このステイジまで来ると、チームの大きな瞬間があり、個人の大きな瞬間がある。それをピッチで見せるときだ。
(セミファイナル進出となればあなたにとってマネジャーとして最大の功績? 緊張している?……)
それは緊張というより興奮だと思う。それについて話すなら、それは歴史についてであり、われわれはこのコンペティションを勝ったことがないし、いまのわれわれは、安定してヨーロピアンコンペティションを支配しはじめることができるようトライしているところだ。
われわれは、明日最高の舞台でその権利を得なければならない。それ以上のものはない。その大きな機会があると思っている。
(アーセナルは勝つために必要なものを持っている?……)
われわれは(相手のカムバックと)逆のメッセージを繰り返そうとしている。だから、選手の頭のなかでは、この72時間はまったく違うものを聞いているはずだ。そして、われわれは相手にとても誓いところにいる。それがなによりもパワフルになることを望んでいる。
しかし繰り返すように、そこに出ていき、経験し、感じなければならない。それがわれわれが明日やらねばならないこと。
(ライスの攻撃力……)
彼はチームとともに物語をつくっているのだと思う。あの勢いは、しばらくわれわれの歴史にも刻まれるだろう。とくに彼のあのやりかた。2連続で決めたやりかたは非常にめずらしい。
だから、もっとクリエイトすることだ。彼自身もああいう瞬間を、もっともっともたらすことができるという信念を持たねばならなくなると思う。それがとても重要なのは、つまりもし彼がもっと信じるなら、それはもっと起きるということだから。
会見のつづき。↓8:40から。後半は『MARCA』のようなスペインメディアからの質問。
ダヴィド・ラヤの試合前コメント「自分たちの歴史をつくるために来た」
スペインでの試合ということもあり、ラヤ登場。
10分以上の尺があって全部を訳す時間はないので、彼がキヴィオールについて語った部分だけ。
(ヤコブ・キヴィオールは短い準備期間だったにも関わらず初戦はかなりうまくやっていた……)
ラヤ:ぼくは驚いてない。なぜなら、ヤコブがどれだけ優秀か知っているから。ガビーが大きなケガをしてから彼が入ってくることにはとても納得していたし、自信もあった。だから、ぼくは彼のパフォーマンスにはまったく驚かなかった。
彼はとてもとても優秀だし、いかに素晴らしい選手かは毎日のトレイニングでも彼は見せてきた。だから、彼のパフォーマンスはとてもうれしかったよ。彼も自信が持てただろうし。
彼が自分のクオリティを示すのは時間の問題だった。
絶賛。
ヤコブ・キヴィオールの試合前コメント「キャリアで最大の試合になる」
そして、そのキヴィーもセカンドレグを前にインタビューに応えている。AFC公式サイトより。
キヴィオール:(ベルナベウ)素晴らしいステディアムだと思う。ぼくは行ったことはないから、とてもいい経験になる。たしか最大のステディアムのひとつだったはず。試合が楽しみだ。
落ち着いていることが重要だけど、セカンドレグも勝たないと。
(ファーストレグ)試合のあとはとても気持ちよかった。ああいう試合のあとは気持ちよくなるしかない。でも、まだ終わってないとも感じている。もっとも困難なことはまだぼくらの目の前にある。ぼくはまだ冷静さ。
緊張はしなかった。もちろん、これはぼくのキャリアでも最大の試合のひとつになる。でも、(Kylian Mbappeとは)ナショナルチームでも対戦したことがある。でもぼくは完全に準備できていたし、試合の前もとてもいい気分だった。
クリンシートは毎回ぼくには完璧だ。それがぼくのピッチ上での仕事だから。Mbappeはとてもクイックで、とてもいい選手。現時点ではベストなストライカーのひとり。
ぼくはすべてに備えていなければならない。もちろんガビがプレイしたかもしれない試合だが、彼はケガをした。だから、ぼくも準備している必要があったんだ。このときを待っていたというわけではないし、彼の早い復帰を望んでる。またいっしょにポジション争いをしたい。
(サリバとのパートナーシップ)いいね。つぎの試合もそれをつづけないと。今回もまた同じように継続できることを望む。ぼくらはよくしゃべるから、ピッチ上でもとてもいいコンビネイションがあるし、とてもいいコミュニケイションがある。
(メリーノのCFへの適応)彼のゴールは素晴らしかった。とても難しいポジションだったから。彼はボールを待ってターンした。そしてマイルズのアシスト。彼はシュートもできたのに、ミケルへのパスを選んだ。それをミケルが決めた。
キヴィは途中出場の時はヒヤッとするときもありますけど、スターティングの時は心強く思ってます。
マンユナイテッド戦しかりマドリー1stレグしかり。
今回も頼んだぞ!!!