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Arsenal, Data

昨シーズンに学びディシプリンを改善するアーセナル。ことしは偏向判定がない?

やあ。

先週末、サンダランドには勝てなかったものの、アーセナルはPLでの連勝(5)もあってシーズン2回めのIBをリーグトップで迎えた。

この週は、アーセナルが昇格チーム相手に足踏みするいっぽうマンシティがリヴァプールに3-0完勝したことで、メディアは「タイトル争いでまた逆転が起きるかも」と、せっせとアーセナルへプレッシャーをかけようとしているが、われらはそのようなナラティヴには耳を貸すことなくわが道をゆくべきであろう。

冷静になれば、こういうことだ。

Arsenal:

Before the October international break:
1 point lead over Liverpool
3 points lead over Manchester City
5 points lead over Chelsea

Before the November international break:
4 points lead over Manchester City
6 points lead over Chelsea
8 points lead over Liverpool

タイトルを競うライバルたちとは、むしろ差を拡げている。それが事実。

だから、今後もKeep calmでcarry on。

さて、ここまでだいたいシーズンの1/4を消化した時期で、アーセナルにおいては昨シーズンとはかなり違っている部分があるのにお気づきだろうか。

そう、それすなわちディシプリン。反則行為とその罰。

今年は、昨シーズンにわれらがめっちゃ悩まされたレッドカードがここまでひとつもないのであーる。それどころかイエローカードもリーグ最少。

それが、今シーズンのアーセナルの結果にかなり貢献しているのではないかという。

今回はそれについてすこし。



25/26シーズン序盤におけるアーセナルのディシプリン改善(MD10まで)

今回のエントリは元ネタがある。

Arsenal have cut out unnecessary bookings. How?

The Athleticは、特別オファーが来るまで更新しないでおこうと思ったら、なんと新規ユーザ扱いで既存アカウントを引き継げた$12.5/year。以前うっかりの自動更新で$70とか払った年もあるんだが。。。

まずは、ディシプリン関連のファクツから。以下、今シーズンのデータはすべてMD10までとなっている(※アーセナルだとPLバーンリーまで)。

昨シーズンとの比較で、今シーズンのアーセナルはファウルが減り、ご覧のとおりイエローカードとレッドカードは劇的に減っている。

PL MD10 (Arsenal)Fouls concededYellow cardsRed cards
2024-25
129
24
3
2025-26
102
10
0

そして、リーグ全体での比較。元ネタ記事ではFoul=1, Yellow=3, Red=6でカウントした独自の“Dicipilary Points”でランク。僅差ではあるものの、現時点でアーセナルがリーグベストとなっている。

PL MD10Total Fouls concededYellow cards2nd Yellow cardsStraight redsDiciplinary Points
Wolverhampton Wanderers
134
18
0
2
200
Bournemouth
124
25
0
0
199
Fulham
140
19
0
0
197
Brighton and Hove Albion
124
24
0
0
196
Chelsea
115
20
1
2
193
Tottenham Hotspur
117
21
0
0
180
Brentford
116
21
0
0
179
Everton
107
24
0
0
179
Nottingham Forest
110
18
0
0
164
Crystal Palace
104
18
0
0
158
Newcastle United
117
11
0
1
156
Aston Villa
97
17
0
1
154
West Ham United
102
15
0
1
153
Liverpool
96
19
0
0
153
Sunderland
92
17
0
1
149
Leeds United
99
15
0
0
144
Burnley
96
14
1
0
144
Manchester City
89
16
0
0
137
Manchester United
95
11
1
0
134
Arsenal
102
10
0
0
132

アーセナルは、ファウルの数自体は102ととても少ないわけではないが、イエローカード10が最少で、セカンドイエローもレッドもゼロの優等生。

25/26アーセナルにおけるディシプリン改善理由

昨シーズン、アーセナルのディシプリン問題はタイトル争いに大きな影響を与えただろう。とくにシーズン序盤の3つの退場。昨シーズンのわれらはこの時点ですでに3人も退場者を出していたのだ。あのときアルテタも「このレベルで10人では競えない」と嘆いた。

そして、シーズン全体で6枚のレッドカード(※そのうちひとつは誤審で撤回)と、シーズンを通してディシプリン問題には苦しんだものだが、今年はここまでほとんどそれに悩まされていない。それどころか、ここまでレッドカードなし、イエローカードもリーグでもっとも少ないクリーンなチームに変身している。その理由はどこにあるのか。

以下、The Athleticの考察から。

1. ポゼッションと高いプレイエリア

一般に、カードが出るような悪質なファウルはチームの必死さと関係がある。より危険な場所や危険な状況で慌ててファウルすれば、それは警告を受ける対象になりやすい。

今年のアーセナルは高いポゼッション率と、ピッチの高いエリアでプレイすることでそれを回避しているという。

まず、アーセナルの平均ポゼッション58.42%はリーグ3位。PLでそれより高いポゼッションは、チェルシーとリヴァプールだけ。

ボールを持ってプレイしているチームのファウルが少ないのは自明である。基本的に自分たちがボールを持っていれば、ファウルをしてまで相手から奪う必要がないのだから(と云いながらチェルシーのファウル数を観ると笑える。彼らこそ今年ディシプリン問題に悩まされているチームだろう)。

それに加えて、アーセナルはプレイエリアがもっとも高いチームという。

Optaの“sequence starting distance”というスタットで、アーセナルはリーグベスト。「シークエンス開始距離」とは、要するに(守備やシュートで止まるまでの)連続したプレイのスタート地点。

アーセナルの高いプレイ位置は顕著で、これはアーセナルのチームが自分たちのゴールからもっとも遠い場所でプレイしていることを意味する。それゆえに、ゴールが脅かされる/危険にさらされる確率は自ずと低くなり、それだけ慌ててファウルをする必要性も減る。

2. 危険なエリアでファウルしない

それと興味深いのは、ファウルするエリア。PL20チームがどこでファウルをしているかの比較。アーセナルは左上にいる。

アーセナルは、ディフェンシヴサードでのファウルが少なく、ミドルサードのハーフウェイラインを超えたエリアにファウルが集中している。これはチームとしての意図が見え隠れしているような。

シティやリヴァプールでさえ、ディフェンシヴサードでのファウルが少なくないのは、彼らの今シーズンの序盤の苦しさを物語っているようにも見える。

このメトリクスで、かなり優秀なのがニューカッスル。オウンハーフでのファウルが少ない。

3. ファウルしてもイエローカードをもらわない

そのニューカッスルについて、オウンハーフでファウルが少ないことは「イエローカードごとのファウル数」で彼らがリーグベストなことと無関係ではないだろう。

アーセナルは彼らにつぐ2位。アーセナルは、長らくファウルに対してカードをもらいやすいチームでこの数字にずっと悩まされてきたような印象があるが、それもかなり改善されていることに。

The Athleticの記事中におもしろい部分がある。引用しよう。

アーセナルが試合中に脆弱な姿を見せることは滅多になく、DFが地面に身体をなげうつ必要もほとんどない。

ACミランとイタリア代表の伝説的DF、パオロ・マルディーニはかつて述べた「タックルをしなければいけないとき、すでにミスを犯している」。

ガブリエルとサリバも、このフィロソフィに共感しているようだ。

P90のタックルはガブリエルが1.11、サリバが1.42という。多少その数字は異なるがFBRefで確かめると、PLのDFのなかでガブリエルは16パーセンタイル、サリバは47パーセンタイルに過ぎない。

DFの優秀さを確かめるために、ぼくはよくタックルのスタットを観ていたのだが、優秀なチームのDFはタックルする必要(機会)すらない。サリバとガブリエルのタックル系のスタッツは並かそれ以下だが、それは彼らが優秀でないという意味ではない。

4. 偏向判定がなくなった?

このパートは、元ネタ記事にはない部分。

アーセナルファンとして、昨シーズンと今シーズンのディシプリンを比べて考察するなら、外部要因の影響も避けては通れない。つまり、一部のレフリーによる偏向した判定。議論な判定。

あらためて、昨シーズンのアーセナルが受けた6度のレッドカードを振り返ろうか。

  • ライス(2024年8月 ブライトンH 1-1 ドロウ) *2nd yellow
  • トロサール(2024年9月 マンシティA 2-2 ドロウ)*2nd yellow
  • サリバ(2024年10月 ボーンマスA 2-0 敗け)*yellow turns straight red by VAR
  • MLS(2025年1月 ウォルヴズA 0-0ドロウ)*straight red **のちに撤回
  • MLS(2025年2月 ウェストハムH 1-0敗け)*straight red
  • メリーノ(2025年5月 リヴァプールA 2-2ドロウ ) *2nd yellow

24/25シーズン、退場者が出て10人でプレイした6試合、アーセナルは一度も勝てなかった。ポッシブル18ポインツのうち、取ったのはたった4ポインツ。14ポインツを落とした。それだけが問題だったわけではないかもしれないが、影響を与えたことは間違いない。フットボールでは、たいてい選手がひとり減るだけでまったく違うプレイを余儀なくされるのだから。

そして、自分がアーセナルファンというバイアスをできるだけ排除しようとしても、この6つの事案のうち納得できるのはせいぜいふたつだけだろう。ウェストハムのMLSと、リヴァプールのメリーノ。それは、どちらも受け入れようか。たしかにドジっ子なところはあったから。

でも、あとの4件はありえんわけだ。ひとつは誤審として後日撤回されたから(ウォルヴズのMLSのシリアスファウルプレイ)3件か。

リスタート遅延のライスとトロサール、それとラストマンディフェンスのサリバ。これは、PLで二度と繰り返されない類の、アーセナル専用基準で厳罰をくらったいい例。ほんとうにアーセナルはそんなのばっかだ。

とくに腹立たしいのは、シーズン序盤のリスタート遅延への罰。

PLとして、24/25シーズンからそのファウルを厳しく取り締まりますとしたのはいい。

でも、あのアーセナルに与えられたふたつの厳罰以降、シーズンが進むにつれてリーグのなかでもそのように厳しく罰せられるケイスはあきらかに減っていったように見える。というか毎度の試合でレフリーたちももうそんな新基準のことは忘れられてしまったみたいだ。多少相手チームの誰かがちょこんとボールを蹴ったり、ボールを相手に渡さず持って歩いたくらいでは、レフは反応もしない。これまでと同じじゃないか。

じゃあ、見せしめみたいに罰せられたライスとトロサールはなんだったんだよ。PGMOLは、その新基準の適用に関してシーズンレビューはしているんだろうか。

そんなことで、なぜか足を思い切り引っ張られるという不条理。

こういう理不尽なレッドカードは今年はまだない。それは昨シーズンからかなり改善された部分だろう。

もちろん、アーセナルのチーム自身で相当に気をつけてプレイしているとは思うが、先日のサンダランドでのズビメンディのように、アーセナルにはスキあらばカードを出そうとしているのがPLレフリーである。

今後もこのようなことがつづくよう、アーセナルにはしっかり自衛しつつプレイしてもらいたいものだ。手ぐすねを引きながら機会をうかがっているやつらにスキを与えなければいい。

ところで笑えるのが、先日のシティvsリヴァプールで、リヴァプールのゴールがVARで取り消されたことで、彼らはPGMOLに抗議しているのだとか。この試合のレフがChris Kavanaghで、VARがMichael Oliver。いつものメンツでウケる。こいつら、ふだんから優遇されてるからちょっと不利な判定されただけでパニックに陥っている。

LIVのファンが今ごろになって「アーセナルの気持ちがわかった」とか云って、Michael Oliverとシティのまとめ動画をシェアしてたのもほっこりしたわ。

PLレフがクソだとやっとわかったらしい。このたわけが。

 

おわり



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