これはちょっと珍しい事態なのか?
グアルディオラがカラバオカップ決勝を前に答えたインタビューで、選手時代にバルセロナを退団後、プレミアリーグでプレイしたいとアーセナルのヴェンゲル監督のもとを訪れていたと話した。
今からおよそ一週間ほど前に、ヴェンゲルが「グアルディオラがアーセナルでプレイしたがっていた」と語ったという報道が出ていたが、それを当の本人が事実であると認めた形である。
ヴェンゲルといえば、しばしばメッシやイブラヒモビッチといった一流フットボーラーを過去に獲得するチャンスがあったと語りメディアやファンに揶揄されることも多いが、今回はグアルディオラ本人がアーセナルに入団を希望していたのはその通りであると語った。
グアルディオラはアーセナルでプレイしたがっていた by ヴェンゲル
Pep Guardiola wanted to join Arsenal as a player, says Arsene Wenger
SKY SPORTSによると、ヴェンゲルがカラバオカップ決勝を前にbeIN SPORTSにこのように語った。※シティがFAカップでウィガンに敗れたあとのコメント。
ヴェンゲル:彼(グアルディオラ)とは何度か話したよ。彼がまだ現役だったころにうちに来たこともあった。当時の彼はアーセナルでプレイしたがっていたんだ。
わたしが思うに、彼はわたしよりもうまくやっている。何をすべきかがわかっているんだ。すごいチームを持っているし、とてもうまくチームをマネージメントしている。
試合に対する明快なビジョンを持つ彼の取り組みを尊敬している。ポジティブに取り組むし、ポジティブな哲学を持っている。
もしも勝てなかったとしても勝つときと同じく彼をリスペクトすると思う。試合を通して人々に影響を与えられるから。試合に対してのポジティブな姿勢というのはそれくらい大事なことなんだ。
わたしはアーセナルでプレイしたかった by グアルディオラ
Pep Guardiola: I wanted to play for Arsene Wenger at Arsenal
グアルディオラが選手時代、アーセナルでプレイしたかったとSKY SPORTSに語った。
グアルディオラ:話しを聴くために彼が自分の家にわたしを招待してくれたんだ。とても優しくてね。わたしはこういったんだ。プレミアリーグでプレイするのが夢で、できればあなたのチームでプレイしたい。そうすればあなたを助けることができると思いますよってね。ちょっと傲慢だとは思ったよ。でも彼には自身のチームがあったし、チームには空きがないといわれたよ。
もちろんそれは完全に理解したよ。けど、わたしは彼のもとでプレイしたかったんだ。可能ではなかったけどね。まあ問題はないよ。
彼はたったひとつのタイプの選手が好きなんだ。クオリティがあってボールを大切にする選手だ。それはわたしが大好きなものだ。だからもしわたしたちのプレイがちょっとアーセナルっぽいといわれたら、それはわたしたちにはいいことなんだ。
何この師弟関係。
実際にグアルディオラがアーセナルに入団していた可能性は?
さて、実際グアルディオラがガナーになっていた可能性を考えてみるに、彼がバルセロナを退団したのは2001年のこと。
当時アーセナルはプレミアリーグでマンUとともにトップを突っ走っていた時期だ。いくらグアルディオラがバルセロナの伝説的な選手だったといっても、31才の彼をアーセナルの盤石なCMたちヴィエラやパーラーに置き換えるという選択肢はなかったかもしれない。だから、ヴェンゲルは断ったのだろう。ちなみにWikipedia日本語版によると、このとき多くのプレミアリーグのクラブが彼の獲得に興味を示したという(結局セリエAのブレシアに移籍した)。
入団希望を伝える面会があったとはいえ、いずれにせよ、彼がこの当時のアーセナルに入団する可能性は低かったと思われる。
グアルディオラのいるインヴィンシブルズ
2001年のこのタイミングで、もし本当にグアルディオラがアーセナルに入団していたら、彼はインヴィンシブルズのメンバーになっていたはずだ。生粋のバルセロニスタであり、マネージャーとしてその後のフットボールの歴史をつくっていった彼が、一世を風靡したアーセナルのインヴィンシブルズの一員だったらと考えると非常に興味深いものがある。
その後のアーセナルにとってはもちろん、もしかしたらバルセロナにとっても影響は小さくなかったかもしれない。ということは、つまりヨーロッパだけでなくフットボール世界全体に影響を及ぼした可能性がある。このことはもっと注目されていい。
以上。
蛇足ながら、J SPORTSのフットボール番組「FOOT!」で昔、原博実氏(元FC東京監督。現日本サッカー協会の偉い人)が彼のアミーゴだといって、休暇中のグアルディオラの家を訪ねるという企画があった。あれはいつのことだったか。現役引退の頃だったか。いま思い返すと、あのグアルディオラが自宅の庭でのんびりヒロミ氏のインタビューに答えているという絵面が非常にシュールで笑える。彼はこのままいけばフットボール史上最高の監督になって、いずれ神様みたいな存在になりかねないのだから。