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エメリがやりたいことをジャパンNTがやっていた

埼スタで行われた昨日の日本とウルグアイのフレンドリーマッチ。

大部分のアーセナルファンの興味はルーカス・トレイラのプレイだったはず。ながら、じつにエキサイティンな試合でちょっと驚いた。トレイラの存在がかすんだくらい。観に行こうか迷ったのだけど行けばよかった。

あの堅守のユルグアイにホームだとしても4点取るとかちょっとありえない展開。

ジャパンチームには選手それぞれの個人スキルも大変感心したのだけど、チームプレイとかプレイのコンセプトとか、ウーナイ・エメリが喜びそうなプレイだなあと思いながら観ていた。



日本NTのコレクティヴなプレイ

日本の基本フォーメーションは4-2-3-1。

  • ビルドアップはバックから行い、CBふたりが開きCMひとりがあいだに落ちて3CBを形成、もうひとりのCMがこれをフォロー。
  • CBもCMも縦パスに積極的。
  • ディフェンスラインを高く保って中盤を圧縮。前から後ろまで縦をコンパクトにキープ。
  • 中盤で選手間の距離を開けず少ないタッチでパス交換。ワンタッチを多用。
  • ファイナルサードでは、右の堂安と左の中島がインサイド気味でプレイしフルバックの上がりをサポート。ワイドをオーヴァーロードしてクロス。
  • ボールを失えばただちに激しくプレッシング。
  • ワイドプレイヤーはフルバックのフォローで最後尾まで戻る。
  • 守備時には4-4-2のフラットで守備ブロックをつくって対応。
  • etc…

ずっとそれをやっていたわけではないだろうが、ぼくが観た感じそういうシステムで動いている時間が長かった。

これほとんどエメリがアーセナルでやろうとしているプレイと同じだよね。

唯一、CFの大迫のポストプレイはアーセナルでラカゼットがやっているよりは、相手を背負ってボールをキープするというもっとわかりやすいポストプレイだったくらい。

これで攻撃はフィニッシュまで何度もいったし、守備でも、大小のミスはあったけれど、大きな穴をつくらずシステムとして90分かなり安定していたように見えた。

全般的にウルグアイ相手にかなりうまくいっていたので、観ていてほんとに楽しかった。

タレントいらずのチームプレイ

集団でのプレッシングとかコレクティヴな守備についてはいつも思うのだけど、必要なのはタレントとか特別なスキルじゃないのだよね。

アーセナルが戦力的にあきらかな格下相手のプレッシングに手こずったり、自分たちよりよほど上手に守られることはプレミアリーグでもとてもよく見る光景だ。

もちろんトップレヴェルでは、トップレヴェルの攻撃を防ぐために守備だって個人の特別なスキルが必要な場合もあるけど、正しいインストラクションとそれを忠実にこなすことができる最低限の能力とメンタリティのある選手さえいれば、最高級のタレントなんかいなくても十分競争力のある素晴らしいチームプレイが成立する。

ゆうべの日本だってあのなかに素晴らしいタレントが何人もいたけれど、当前ながら個人個人のレヴェルでアーセナルFCの世界最高峰のスター選手たちと比べられるはずもない。

でも、チームプレイに関していえば、昨日の日本NTはいまのアーセナルFCよりクオリティが低かったとはぼくには全然思えなかった。

モダンゲームの教科書的なシステムではあるけど、あんまりにもエメリがやりたいことと似ていたので、エメリがやりたいプレイの完成形ってこんな感じなんじゃねえかなと。ちと思ったわけです。

アーセナルはエメリが来てから、新システムへの適応が進んでいる兆しは見えているとはいえ、選手たちが口々に語っているようにいまだに適応に苦労しているところがある。

一方で、ジャパンNTはワールドカップの西野監督のときから、上記のような典型的なモダン戦術でプレイしようとしていたことはわかったけれど、少ない時間と新しいグループでここまでの完成度を見せている。

コレクティヴなプレイはやっぱり日本人の気質に合っているのかな。それともみんなクラブでは似たようなプレイをしているからだろうか。

アーセナルのファンとして中島翔哉の存在がうらやましかった

MOTMはおそらく2得点の南野だろうが、この試合で誰が一番観客の目を引いたかといえば、やっぱり中島だろう。

彼はボールを持てば、ドリブルでもパスでも、いつも何かをやってくれそうなワクワク感があった。

サンチェスやウォルコットが移籍して以来、アーセナルにはそのようなウインガータイプの選手がおらず、ファンベイスではウインガー待望論が出てきて久しい。

アジリティとペイスがあって、ドリブルで1対1で勝負できる選手。そんな選手が待ち望まれている。

中島はその要件をかなり満たす選手だ。PLでプレイするにはフィジカルだけ圧倒的に足りないのが残念である(小柄なアザールよりもまだ10cmくらい低い)。

彼のようなウイングの選手がいると、複数のDFをひきつけて味方のためのスペースを生むことができるし、もちろん自分でチャンスをつくることもできる。中島はさらに自分が得点することに積極的なところがまた素晴らしい。

現在プレミアリーグのトップクラブは、どのクラブにも基本的にこのような選手が必ずいてファイナルサードでのチャンスメイクの中心になっている。

エメリのシステムではワイドプレイヤーもインサイド気味にプレイすることが多いが(4-2-2-2)、その選手がピュアウインガーだからといって困ることはない。少なくとも相手にとってはかなり嫌な選手になるはずである。

中島はポルトガルのトップサイドだけでなく、スペインなどからも引き合いがあるようだが、彼の将来はだいぶ明るいように思う。

24才の彼や堂安みたいな選手がワールドカップでプレイしなかったことは、JFAは大いに恥じるべきでしょうな。なんかそれなりの結果を残して有耶無耶になってるけど、あのゴタゴタをおれは忘れない。

以上。

なんかエッセイみたいになっちゃった。



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5 Comments on “エメリがやりたいことをジャパンNTがやっていた

  1. 初コメです、いつも楽しく拝見させていただいております。

    アンリ以降のアーセナルと日本代表は概ね似た悩みを持っているように感じてましたが、
    先日のフルアム戦とウルグアイ戦でお互いに目指す方向が見えたかもしれませんね。

    両チームに共通する浅野くんの健闘を祈りつつ失礼します(^o^)

    1. どもどもー。アサノは昨日みたいに先行する試合だとけっこう効くかもですね。アーセナルでの未来は……ですが。。

  2. イウォビ覚醒してくれよー
    あとデリフトの違約金4400M€らしいっすよ

  3. まさにトレイラ見たくてTVつけたら日本が躍動していて驚きました。
    もしW杯が来月だったらどうなっていたのだろうとか想像しちゃいましたよ。

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