アーセナル・ウイミンがタイトルを取ったそうで。。おめでとう。いま公式サイト見ると結婚式と葬式を隣同士でやってるみたいな絵面の落差がおもしろいゾ。
さて昨日もまた負けましたね。驚きの3失点。この3試合で9失点。AFCが3連敗で3失点以上つづけてやるのは1966年以来だそうで。なにこのどえらい失速。
ただ個人的には云うほどショックを受けていない。敗戦はなんとなく予想していたことでもあるし。興味深い戦い方も見られた。そしてなにより、トップ4争いがアレ?って感じになっている。
試合を振り返ってみよう。
エメリの試合後コメント
試合後のプレスカンファレンス? 公式サイトではいつもの一問一答ではない。いつもと違う会見だったのかな。
エメリ:われわれのゲームプランは守備のときでも攻撃のときでも力強いものになるはずだった。チャンスをつかんで彼らのバック4を攻略する。
始まりはとてもよかった。いいポジショニングと守備では多くの問題を起こさず試合をコントロールした。彼らはポゼッションをコントロールしたが、こちらもピッチではよくやっていて、90分のなかで勝てるよう徐々にやっていきたかった。90分競争力を保ち、メンタリティを強く持つこと。
(AMNへの)2枚めのイエローカードで、効率的にゲームプランを遂行することが難しくなってしまった。ひとり少なくなってしまえば、アイディアをつづけていくことは難しくなる。あのレッドカードが多くのことを変えてしまった。
選手たちはとてもよくワークしたよ。彼らを誇らしく思う。ひとり減っても自分たちのゲームプランをつづけようとした。一体感をもって力強いディフェンスを行った。そして攻撃のときでは自分たちの時間を取り戻そうとした。最初のゴールがこの結果のきっかけになった。われわれがひとり少ない状態でピッチ上での優位を保てていたとしても、彼らにはカウンターアタックがあり、2点目を取り試合を終わらせた。
これからELのヴァレンシアについて考えていくことになる。このコンペティションでは大いなる野心を抱いている。それはセミファイナルでまた難しい試合になるだろう。そのつぎには日曜にブライトン。この試合には勝つ必要がある。
シーズンの最初に、このシーズンがとても難しいものになることはわかっていた。それは今日も同じだ。
チームの自信はまだ回復できるかもしれないし、できないかもしれない。だがもっとも重要なことは明らかだ。われわれのやり方はセミファイナルのことを考えることと、その試合にできる限りベストの可能性があると信じて準備することだ。
「チームの自信は回復できる」でいいじゃないか。なぜ回復できない可能性にまで言及しているのか(笑い)。
もしかしたら、エメリはチームのメンタルマネジメントに限界を感じているのかもしれない。それを別のことばで云えば「絶望」である。
AMNの2枚のイエローカードについても語った。
エメリ:最初のカードはカードが出るようなファールに見えなかった。最初のイエローカードを出した決断には賛成できないね。それが試合に大きな影響を及ぼした。
最初のイエローカードは7分のものでイエローに値しなかったと思う。2枚めはわからないが、でもレフェリーは尊重する。
マイコー・オリヴァーだしなあ。でもぼくはこれが試合に大きな影響を及ぼしたとは思うけど、結果が変わっていたような気もしないんだよな。
ローラン・コシエルニのコメント「ひとりでは何もできない」
キャプテンも試合後に語っている。休ませたかったけど無理だった。
(パフォーマンスについて……)
コシエルニ:3試合に負けているんだからハッピーではない。もうほとんどシーズンも終わりの時期にいて、最後のスプリントをしているはずだった。どのポイントもどの試合もとても重要なんだ。今日は勝ちたかったが、相手がよかったことも確かだ。10人になってしまったこともある。今週は悪い週になってしまったが、一体感を持ち続ける必要がある。ぼくはスクワッドのどの選手のクオリティも信頼している。ここ数ヶ月はともてよくプレイしていたしね。
22試合の無敗をやったとき、それは簡単じゃなかったしみんながそれのために戦った。これがフットボールなんだ。顔を上げたい。シーズン終わりが近いが、ぼくらはシーズンを通して戦わなかったことはない。
(AMNのレッドカード……)
わからない。それを見てなかった。レフが彼の責任においてそれを提示したのだから、それがミスだろうがそうじゃなかろうが云うことはない。ぼくにはできない仕事だよ。彼だって、どのチームにとっても毎試合が重要だということは知っていると思う。だからぼくはレフについて話すことはないよ。
(アウェイフォーム……)
いまのアウェイフォームはよくない。ナポリではとてもタフな環境のなかでもアウェイで勝ったが、自信を少し失ってしまっているときにはカムバックが難しくなるものだ。ぼくらはチームのために毎日一体感を持っている必要がある。自信回復のために毎日もう5%を捧げる必要がある。トップレベルに戻るためにね。自分たちにクオリティがあることはわかっている。すでにそれを見せてもいる。しかしあと5試合、ぼくらの未来にはとても重要なものだ。ファイトしないとね。
(このプアなフォームの原因……)
もちろんぼくらは3日おきにたくさんの試合をプレイしている。しかしビッグスクワッドがある。ベストな結果を出すためには全員がチームを助ける準備ができていなければならない。ケガで何人か失っているが、まだチームにはたくさんのいい選手たちがいる。フットボールにおいては自信を持つことはもっとも重要なことだ。ともにワークし、チームにコミットメントを与えること。ひとりではぼくらは何もできない。一緒にやることだ。それでぼくらの目標にたどり着ける。
(トップ4フィニッシュできそうですか……)
もちろんだ。ぼくらはすべての試合をファイナルのようにプレイする。つぎの試合はELでそのつぎはブライトンとホームで戦う。トップ4でフィニッシュするためなら、最後までピッチ上でなんだってやるさ。
もう何度ファイナルで敗けてしまったんだ。。キャプテン。。
試合について
アーセナルのファースト11
驚きのフラット4-4-2。エジルの居場所がないやつ。
後述するように、エメリはこの試合でレスターをリスペクトしたのか、引いてカウンターという絵に描いたような「弱者のフットボール」をやってきた。
ペーパー上で4-4-2でも蓋を開ければダイヤモンドとか4-2-2-2とか?……ってほんとにフラット4-4-2だった! こりゃ新鮮だったね。
今シーズンもウェルベックがいたときには何度か見たような気がするが、この2トップのフラット4-4-2は初めてではないだろうか。
もうラカゼットがトロイ・ディーニーに見えたよ(ウソだけど)。
マッチスタッツ
なにこれバルサと戦ったみたいな数字。笑える。
とくにポゼッション。中継で17分に出たグラフィックでは19%、HTでは27%という記録破りのポゼッションの低さだったということで、33%で試合を終えているということは、それでも後半はそれなりにボールを持ったということ。ちなみにアーセナルのPLレコードはポゼッション35%だそうなので、33%はワーストの新記録達成。おめでとう。
AMNが退場したのが35分なのを考えると、このポゼッションの低さは彼がいなくなったせいだとも云えない。
そう、アーセナルは最初からボールを持って押し上げることを放棄して自陣に引いたのだ。
エメリはアウェイでの強敵相手の厳しい戦いが予想されるなかで、初めて試合のしょっぱなから完全に「守ってカウンター」というプレイスタイルを選択をした。ここは拍手するとこでしょう! 誰もしなくてもおれはする。
xG map for Leciester – Arsenal
Leicester were in control before the red, and it was just a laugher afterward pic.twitter.com/SCE4c3wVad
— Caley Graphics (@Caley_graphics) 28 April 2019
xGどおりの結果。
試合の論点
「引いてカウンター」を採用したアーセナルの泥臭さ。敗けてしまったが勝利への渇望はあった
個人的に、ウォルヴズ戦で最大の不満はアーセナルの戦い方に何の工夫もなかったこと。引いて守るチームに攻めあぐねカウンターに沈むという、誰でも予想できた試合展開をそのままなぞり惨敗した。
今回は負けはしたがただ惨敗しただけではないサムシングがあったと思う。アウェイでタフな相手に適応しようとしたし、とにかく現状を変えようという工夫があったことは明らかだった。そこはウォルヴズ戦とはまったく違っていた。
アーセナルはエジルの不在とオバメヤンの復帰でフラット4-4-2を選択。後ろで4-4のブロックをつくり攻撃は前のふたりに任せる的な、まるっきりPLのミッドテーブルチームが上位チーム相手に戦うような戦い方を選択した。それは、いつもエメリがボールを持って試合をコントロールしたいと云っているのとはまるで逆行するような戦い方だったが、そこに必死さ・切実さを見た。
そして、この「守ってカウンター」というアーセナルにしてはかなり珍しい試みは、失点するまではわりとうまく行っていたと思う。
アーセナルのこの重心を低く構えるという戦略は、試合が始まってからすぐに明らかにになった。
前述したように開始17分の時点でのポゼッションが19%ということが、アーセナルの試みを如実にあらわしている。
ボールを8割以上持たれるというバルセロナやバイエルンのようなスーパーチームと戦ったときのような極端な支配率で、そのせいで序盤からシュートを何本も打たれていたが、レノのビッグセーブもあったりで、31分にヴァーディにビッグチャンスらしいものがあった以外ではそこまでやられているという感じもなかった。
逆に、攻撃では何度かカウンターでシュートまで持ち込んでいたので、エメリが思い描いていたゲームプランに近い展開になっていたのではないだろうか。
AMNが35分に2枚めのイエローカードでセントオフになったことは、とにかく「守る」というコンセプトがより明確になったという意味では、チームにとりむしろポジティヴな影響があったようにも思えた。
結局58分には失点してしまい試合はほとんど終わってしまうのだが、35~58分くらいまでは、どちらかといえばボールを持って攻めあぐねるレスターの拙さのほうが目についたくらいだった。
深く守られるのはアーセナルが相手にいつもやられていることだけれど、いざ自分たちがブロック守備をやる方になってみると相手のアイディアやクオリティもよく見える。レスターの攻撃レベルに比べれば、アーセナルの攻撃のクオリティはやはり高い。それを再認識した。
そんなわけで、ぼくは個人的にはこのエメリの大胆な試みはアーセナルにとって大きな意味のあるものになったと思っているが、惜しむらくはこの戦略・戦術で戦おうという決断をしたタイミングで、それはあまりにも遅すぎた。これではつぎにつながるものがあったとしても来シーズンになってしまう。アウェイに苦しんだ今季こそこのような戦い方が必要だったと思うのだが。
仮にシーズン中に、このシステムを使い始めそれがアーセナルの武器のひとつになっていたらと思うと非常に悔やまれる。この戦い方ができていれば、とくにアウェイでのポイントにだいぶ貢献したかもしれない。
そして、この試合に負けてしまったということは、もちろんひとり少なかったこともあるが、やはりフラット4-4-2での組織的な守備と、効果的なカウンターアタックに慣れていなかったためでもあるだろう。というかそもそもガナーズの諸君は守備に慣れていない(笑い)ので、守備をベースにした戦術・守備ファーストの戦術をチームに浸透させるにはそれもまた十分な時間が必要になるはずである。
今季ホームでは絶好調をつづけていたので、問題のほとんどはアウェイにあった。チームがアウェイらしい戦い方を身に着けて、とにかくポイントを稼ぐことに貪欲になれれば、来シーズン以降は期待できるのではないだろうか。ホームではバルセロナように戦い、アウェイではアトレチコのように戦う。なにそれつよい。
試合内容については以上。
PLトップ4争いはかつてないグダグダな展開。トップ4フィニッシュが見える!?……
この週末はToTがWHUに負けて、アーセナルはレスターに敗けたんだけど、チェルシーとマンUが引き分けてんですよね。
これでテーブルがどうなったかというと。
直近6試合、ToTがL3、チェルシーがD2 L1、アーセナルがL4、マンUがD1 L3。アーセナルも最低だけどほかもたいがいやな。やる気あんのかと。トップ2をミテミロ。
そして残り2試合とポインツ比較。
でね。
ぼくレスター戦の前は彼らがどんな結果だろうとアーセナルが負ければ、残り2試合でもうトップ4は絶望的と思っていたのね。チェルシーがへまをやるわけないって。
ところがですよ。チェルシーがOTで予想以上にグダグダだったようで(ぼくはハイライトしか観ていないが、デ・ヘアのエラーでかろうじてドローとか)。
今回目の当たりにしたレスターのホームでの強さ。マディソン?なんだあいつ! エジルよりすげえぞ。
それとチェルシーのいまのアーセナルのようなグダグダっぷり。それを合わせて考えてみる。
ラストゲームで彼らがザ・キング・パウワ・ステイディアムでわれらのように敗ける可能性があるのではないか? なんならワトフォードもイヤな相手じゃね?
もちろん、アーセナルだって最後のバーンリー(A)はキツい。彼らはホームでToTにも勝っているし、シティにだって1点しか取られていない。
でも、もし。あと2試合でわれらが2連勝をやったりすると、チェルシーが残り2試合ワトフォード(H)とレスター(A)どちらかでポイントを落とせば、追いつく。追いついてしまうのである。そして彼らのフォームからするとそれは絶対やらかさないとも云えない。ような気がする。GDも逆転されたとはいえ、われらとの差はたったの「1」しかないのだよ。2連勝すりゃあひっくり返る差である。
おお。これぞ煩悩。一度諦めたはずなのに、敗けてもなおまた性懲りもなくむくむくと沸き起こってくるこの飽くなき欲望。ハアハア。
それにしてもPLとELの両方でチェルシーをCLから追い出せるチャンスがまだあるというこの世界の素晴らしさ、美しさ。噛み締めたい。
しかしいずれにせよ、このあとのアーセナルの2勝が前提で、このクソみたいに自信を失っているスクワッドの自信をまずは回復する必要がある。
つぎの試合は木曜のELヴァレンシア(H)。ファーストレグだが今回ばかりはホームがありがたいと思う。ここで快勝して勝利の味を思い出すのだ。
あーELに集中できなくなっちゃったわー。まじツラいわー。
終わるまでは終わらない。COYG
442の堅守カウンターはメンバーを見ると、オバメヤンとラカゼットの独力のあるFW、イウォビやムヒといったハードワーク出来るゲームメーカー、脆弱な最終ラインというメンバーを見ると合理的な選択ではあると思う。
けれど、ベンゲル後期から続くアーセナルの文化として、守り切る戦術の経験値が圧倒的に低かった。
エメリはいつかのインタビューでペップとシメオネをリスペクトしているとか見たけれど、SBをひとり失ったとはいえ、乾きたての煉瓦塀のように脆い守備ブロックだった。
時折、後半勝ち越しでブロックを組んでカウンターをするけれど、妙に浮足立って、逆にピンチになるケースは結構な頻度で見る。
ぜひ、鉄壁ブロックも身につけてほしい所。アウェイや先制後の戦い方がずっと楽になると思う。