かなり遅くなってしまったが、先日アップしたPart1につづいて、ヴェンカテシャンとサンレヒのインタヴューPart2の翻訳をざっくりお届け。
Part1はこちら。
ヴェンカテシャン&サンレヒ公式独占インタヴューその1「われわれはウーナイのインパクトにとても満足している」
映像の尺はPart1よりだいぶ長いが、公式サイトにスクリプトがアップされている部分だけをざっくり翻訳した。文字起こしされていない部分もかなりありそうだ。
本来は映像を見ながらヒアリングして翻訳すべきなんだろうが、正直その作業はPart1で懲りた。終わったあと公式サイトにトランスクリプトがアップされたときは骨折り損だったと悟りましたよ、ええそうですとも。。
ちなみに今回自分のなかでは過去最大級に訳に苦労したのが遅くなってしまった原因で。そして誤訳もあるかもだ。どう訳していいかわからないところは文脈から意訳したりしている(戸田奈津子リスペクトかもだ)。それでもよければ。
ではPart2を。
今回はリクルートに関する質問がメインだからか、サンレヒが答え、ヴェンカテシャンがそれをフォローしていくかたちが多くなっている。
※アップが遅れてしまったが、このインタヴューは5月の20日ごろに行われたもので、PLのシーズン終了後&ELファイナル前となっている。タイミング的にはCL出場のチャンスがまだあったときと要ご理解。すっかり旬のタイミングを逸したよ。ごめんね。
ヴィナイ&ラウールのインタヴュー「ラムジーの件はクラブのミスだった」
リクルートは誰が主導するのか?
(夏が来てチームのなかのどのエリアを強化するか決めるべきときです。ウナイはこう云うかもしれません。「わたしがずっとファーストチームを見てきた。これがわたしが必要だと思うところだ」。テクニカル・ディレクターも同じように一家言あるでしょうし、ディレクター・オブ・フットボールもそうでしょう。そしてマーケットに入ってからはアカデミーとの兼ね合いも考えて正しい人選をしなければなりません。最終的にはみんなの意見が集約されることになるのでしょうが、そもそも誰が担当なんでしょう)
サンレヒ:そのとおりだね。わたしが云いたいことは、「よし、じゃあ今日これからじっくりと分析をしていこう」なんて明快なスターティングポイントはないということ。これはプロセスなんだ。シーズンに渡って、たくさんの会話があり、たくさんの公式/非公式のミーティングがある。
われわれが現在のスクワッドの強い部分と弱い部分を詳細にわけ始める。ケガ人の件、パフォーマンスの問題について、たくさんのことがらが上がってくる。しかし、いずれにせよ、まずはチームを補強する必要のあるエリアを特定すること。そうやってたくさんのミーティングを重ねていき、スカウティングやデータ分析からくる情報をたくさん受け取る。そうしてわれわれはコンセンサスに至るまでやる。
これはたいていはイージーなプロセスだよ。だってわれわれにはフットボール観とターゲットの選手分析があり、とても整理されているから。つまり、前にも述べたようにこれはチームエフォートなんだ。
(ファンはそれはウィンドウでやることだと思っています。フィジカルなウィンドウです。窓が開いて、窓が閉まる。しかし最終的には同じようにビルドアップするまでにはとても長いプロセスがあります)
サンレヒ:それはとてもいいポイントだ。ウィンドウはとても理論的なものだ。ウィンドウというのは、選手を登録することができる時間だね。契約をファイナライズして契約にサインして、契約を登録する。それがFIFAがウィンドウ期間にやっていることだ。
それは年をまたいで交渉をしないという意味ではない。もちろんそれはできる。われわれはクラブと、選手と交渉する。7月1日にまっさらから始めるというわけでもないんだ。それはほとんど不可能。準備が必要だ。ウィンドウというのは、実際すべてが結実するところなんだな。プロセスの最終段階だ。何事かを行うにはどこかのウィンドウでやらなければならない。しかし、つまるところ、ウィンドウというのはテクニカリーに云えば、選手を登録することだよ。
ヴェンカテシャン:補足すると、わたしはこうかなとも思うんだが、もし過去を振り返れば、この夏にやろうとしていることは去年の8月にはミーティングが行われていた。詳細なミーティングだよ。残念ながらこれは1年規模のプロセスなんだ。
(想像するに、なぜファンがウィンドウをこのように重視しているか、あるいは関心高く見守っているかの理由は、ときどきデッドラインデイまでかかることがあるからだし、またそれがプロセスが何ヶ月にも渡って行われるとか、それで最終日ギリギリまで粘ったりするからでは)
サンレヒ:ここで云っておかねばならないのは、わたしがこのクラブに来てからいくつかのカルチャーショックがあって、それはそのひとつだということ。デッドラインデイにTVショウがあるだろう? あれはすごいね! カウントダウンまである! 慣習(myth)を台無しにしたいわけじゃないが、でもそれは不自然(artificial)なものだね。そういうことは起きるよ、それには同意するけど、ときどき……
(FAXマシーンが壊れる!)
サンレヒ:そうそう。起こっちゃいけないことだけどね! それは避けるべきだ。
ヴェンカテシャン:もうFAXはほとんど使ってないけどね! これは保証してもいいけどもうFAXマシーンはこういったプロセスでは使われてないよ。
サンレヒ:そうだね。でもわれわれのポリシーとあなたたちが100%把握していない戦略がある。何事も早めにやろうとはしているんだ。最後の1秒までかかるべきことだとはまったく思ってない。もちろんときにはネゴシエイションが最後まで時間がかかることはある。どの交渉にも3者、選手とふたつのクラブが関わるのだからね。ときにこのうちの1つがもっといい条件はないかと話を前進させないこともある。でも原則的にはデッドラインデイの交渉は避けたいといつもトライしている。誰にもオススメできないよ。
夏のターゲットについて
(ラウル、どのエリアを補強するつもりなのかヒントをもらえませんか? それとこの夏にどんなビジネスをやりたいのかも)
サンレヒ:やれる範囲でだね(To an extent.)。わたしは注意深くいなければならないし、慎重さがとても重要なことはわかってほしい。もうマーケットは開いているし、だからとても慎重になる必要がある。
わたしが云えることは、ヘッドコーチもテクニカルなスタッフの意見も満場一致でわれわれのターゲットは非常に明確であるということ。何を優先したいか、優先しているかを自覚している。すでにマーケットは開いており、それをサポートしてくれる人々とはすでに動いている。力強く感じているよ。うまく進んでいるし、このフットボール世界でのアーセナルのイメージもとても強いものだと感じている。
ヴィナイが云ったように、われわれはトップクラブで世界的なクラブなんだ。だからチャンピオンズリーグが必要だということ。多くの選手たちがほんとうにそこでのプレイを望んでいる。わたしがここまでに得ているものについてはかなり力強く感じているよ。
補強については来年もっと強くなれるようなとてもいい計画があると信じているし、みんなが望んでいる成功をもたらせると思う。
(狙っている選手のなかには、アーセナルがCLに出られるかどうか知りたがっている選手もいると云いましたね。それはマーケットで選手を探すときに大きな影響があるのでしょうか?)
サンレヒ:それは会話には登る話だね。幸運なことに、アーセナルのイメージは十分力強い。われわれはフットボール世界のお手本でもあるので、われわれが選手の門戸を叩くときは、ほかのクラブがそうするのとは意味が違うんだ。もちろんわれわれは2年もCLに出ていないという事実はあるし、来年出場できるかどうかも疑われている。それは助けにはならないね。
しかし、もう一度云うが、われわれのモデルをつくるのに十分なほど、アーセナルのイメージは強い。これからの新時代にわれわれがもたらそうとしているものについてもだ。それはとてもワクワクすることだよ。
コーチの情熱がチームに反映される。それをフットボール世界の全員が見ている。内輪だけでなく外側からもね。そのことをわれわれは選手たちから直接聞いているんだ。アーセナルはフットボールキャリアを形成するのにとてもナイスな場所だとね。だからわれわれはチームをつくっていけるんだ。
もちろんCL出場はとても役立つよ。すべての選手がプレイしたがる究極のコンペティションなんだから。もし来年それに出られなかったとしようか、そんなことが起きるとは考えていないが、でももし起きたら。われわれはただちにチャレンジを始めるだろうね。アーセナルに来て成功するプロジェクトに参加することは、彼らにとってもエキサイティングだと思うよ。
ヴェンカテシャン:それと、選手たちがPLでプレイしたがっているというのもあるかなと。あらゆるプロファイルの選手がおり、注目や興奮といったすべてがもたらされる世界一のリーグであるわけで。こんなにもコンペティティヴなリーグなので、仮にPLでプレイしたとしてもCLでプレイできるとは限らないのが残念だが。PLでプレイすることと、CLでプレイすることを天秤にかけなきゃいけないときもある。
サンレヒ:しかしわれわれは選手にたくさんのものをオファーできるよ。それが誰にとってもディスアドヴァンテイジになるとは思えない。
まずリーグ。PLは世界中の選手たちにとってエキサイティングなものだ。そしてロンドン。アーセナル。歴史とクラブが向かっているところ、ステディアム、コルニーの施設、ファンベイス、世界中のフォロワーと注目。ほんとうに、このプロジェクトに加えようとしている選手たちと話すと、たくさんのポジティヴな反応があると感じるよ。
ダニー・ウェルベックの退団の経緯について
(ダニー・ウェルベックは契約満了で退団が許される選手のひとりです。どういった経緯があったのでしょう?)
サンレヒ:アーロンのシチュエイションと似ているね。彼とは彼がこの夏にどうしようとしているのか話し合いをしてきた。彼にはいくつかのオファーがあってね。彼は契約満了までクラブでつづけると決めたわけだ。そしてわれわれはそれを尊重した。彼が去年クラブにたくさんのものをもたらしてくれたとわかっていたしね。
しかしまたしても、われわれは契約の最終年にいるという、(ラムジーのケイスと)とても似た状況になってしまった。
(そしてもちろん彼のケガですね。そういったことを許したときケガをするとは思っていなかったのでは)
サンレヒ:まあそれが契約最終年まで選手がいることになったときの唯一のリスクだね。どこか別のクラブと新契約について交渉するときは有利な立場にいられるだろう。しかし、最終年にケガをしてしまうリスクはある。
アーロン・ラムジー退団の経緯について
(ファンベイスにとっても明らかにすることが重要だとわたしは思うのですが、契約について、実際アーロン・ラムジーとは何があったので? だって、われわれがクラブの再投資について話していたとき、可能な限り最高の取り引きを行おうと努力していることや、退団する選手にはしっかり移籍金を得ようとしているなんて云ってたじゃないですか。アーロン・ラムジーには何が起きたんです? なぜ彼はフリーで退団が許されたので?)
サンレヒ:うん、それはいい質問だね。聞いてくれてうれしいよ。わたしは普段は個人について話すことは好まないんだが、ここから始めさせてもらおうか。
われわれはアーロンに関しては最高の尊敬や尊重があっただけでなく、彼はグレイトなプロフェッショナルでグレイトなフットボールプレイヤーだと考えていた。事情によって(それが何だったかはともかく)、契約の最終年まで行ってしまった。それが問題だった。故意のようなやり方で選手の契約が最終年まで行ってしまったとき、たくさんのクラブがフリーでの獲得を狙おうとしてくる。そこで選手はマーケットヴァリューを持つことになる。アーロンのケイスでは強いマーケットヴァリューだよ。
だからこれはどんなクラブにもあると想像できることだが…… 選手への投資の総額はいつもふたつの要素が追加されるんだ。選手に払うことになるサラリー、それに彼で得られる移籍金だ。もしこのふたつのうちひとつを選ぶなら、そしてアーロンは契約の最終年に達しているという状況で、片方はほとんどゼロだったので、もう片方のやり方でビルドアップするしかなかった。
いまではわれわれはクラブをどうマネージしていくか責任を持たねばならない。わたしにとってカギになることのひとつは(そしてそれはほかのクラブで何度も見てきたことだが)、チームでのサラリーのバランスに合理性を保つことだ。われわれの状況によって、アーロンの契約更新が間に合わなかったことによって、アーロンはすごいサラリーの上乗せオファーを受けることになった。
彼はほんとうにクラブに残りたがっていたし、彼はなんとかしようと準備もできていた。しかし結局プロセス全体のなかでわれわれは自分たちに責任を持たねばならなかったし、アーセナルというクラブの利益を守らねばならなかった。中長期で考えて、チーム内でのバランス崩壊が起きればそれがチームにとても打撃になるとわかったんだ。
(では、アーセナルはこのプロセスにおいてエラーが起きてしまった事実を受け入れることができると思いますか? ずっと以前にこのような状況になることを許してしまったことに)
サンレヒ:イエスだ。結局この問題の核心は、彼が契約の最終年に到達してしまったということに尽きるんだ。ヴィナイがこのインタヴューの最初のほうで云ったと思うが、われわれの優先すべきことのひとつは、まず契約の最終年に到達させないこと。これがその例であり理由だ。契約の最終年まで行く唯一の道があるとしたら、それは契約満了でその選手を放出する準備ができているときだけだ。
しかしもしほんとうにその選手をキープしたいのなら、最終年に差し掛かる前に契約を更新せねばならない。なぜなら、自分たちをとても弱い立場に置くことになるからだよ。だからもう最終年まで契約を引っ張ることは無理だ。その前に契約更新できないのなら、そのときは売らなければならない。
しかしクラブのポジションからしても、クオリティのある、フットボールのクオリティだけでなく人間としての品性のある選手を失うこと、アーロンのような選手を失うことは避けなければならない。われわれにとり正しい行いではないんだ。
ヴェンカテシャン:わたしもラウールが述べたすべてのことについては、それをもうただ繰り返すだけだ。
アーロンがわれわれに将来の成功を祈念され見送られ去っていくという事実。彼はふつうじゃない貢献をクラブにいるあいだずっと行ってくれた。FAカップでの成功の立役者でもある。われわれみんながピッチ上でのアーロンという人間を見た。最後の瞬間まで完全に100%を捧げる姿を。昨シーズンからアーロンに対するわれわれのリスペクトは増すばかりだった。
以上。
なかなか重要なことが話されている読み応えのあるインタヴューだったのではないだろうか。
サンレヒとヴェンカテシャンが語ったことまとめ
Part1 & 2でポイントをまとめよう。
- アーセナルボードはウナイ・エメリに完全に満足している
- アーセナルのヴィジョンは「世界中のファンにとって誇らしいフットボールクラブになること」by ヴェンカテシャン
- アカデミープレイヤーの起用を促進する
- 残り契約2年の時点で契約更新するかどうか見極める(残り契約1年には到達させない)
- オーナーシップについて、クロンキ親子は「スポーツのひと」でアーセナルのスポーツ面のストラテジーに積極的に関わっている by ヴェンカテシャン
- たまにWhatsAppで連絡を取り合っている(笑い)
- エメリが来てクラブは正しい方向に進んでいる兆しがある by サンレヒ
- クラブは「マーケットの裏をかく必要がある」by サンレヒ
- クラブが稼いだお金はすべてクラブに再投資する by ヴェンカテシャン
- リクルート活動はウィンドウ期間中だけやっているわけではなく1年中やっている
- デッドラインデイまで契約が完了できないのは望ましくない、イングランドの独特なカルチャー by サンレヒ
- 選手契約でFAXはもう使われていない(笑い)
- 夏のターゲットはすでに完全に明確になっている
- アーセナルのイメージは強い(ブランド力がある)by サンレヒ
- ウェルベックを契約切れまで残したのはクラブのリスペクト
- ラムジーは残り契約1年にしてしまった時点でミス
- チーム内でのサラリーのバランスを取るためにしょうがなかった(ラムジーサイドの要求が大きかったと)
こんなところか。
いまだにモヤモヤが残るラムジー契約問題
最大のツッコミどころはもちろんアーロン・ラムジーの契約問題。
ウェルベックの件も、ラムジーの件も、暗に前任者であるアイヴァン・ガジディスが選手契約を最終年まで判断保留にすることを許した拙いマネジメントを責めているように聞こえるが、サンレヒとヴェンカテシャンだって残り契約1年時点(つまり去年の夏)でクラブの中心にいたのだし、彼らだって売却を強く提言することはできたはず。ガジディスはもう退社が決まっていたのだから、彼がひとりで周囲の反対を押し切れるほどの影響力はなかっただろう。その決断ができていれば、少なくともフリー退団という最悪の結果は免れていた。
ラムジーがユヴェントスとあれだけの巨額契約(サラリー400kpw)になったということは、ビッグクラブのあいだで熾烈な獲得競争があったということを物語っており、残り契約1年の時点でも売りに出せばかなりの額になったかもしれない。
たしかオーンステインが、アーセナルはラムジーを売って得られる金額くらいなら1年使ったほうがマシと考えていると指摘したことがあったと思うが、要するにクラブは彼の価値を見誤ったのだろう。外部のクラブよりも所属クラブのほうがずっと評価が低いなんておかしなことだ。もっともラムジーに一番厳しかったのもファンであるわれわれだったので、その点ではあまりクラブを責められないが。
済んだことを蒸し返してもしょうがないか。
しかし、残り契約2年段階で契約延長するか売却するかを判断するなんて、いままでのことを考えればなかなか難しいように思われるが、果たしてアーセナルにできるんだろうか。いまオバメヤンに契約更新しなきゃ売却だと迫ったところで、クラブが有利な交渉ができるような気がしない。いま契約更新しないからといって売却する勇気があるかどうか。
この残り契約2年で見極めはかなり重要な方針だけに、今後どうなるか注目していきたいところだ。
「アーセナル」のイメージと若い選手の起用
ぼくが個人的にこのインタヴューで一番興味深く思ったのは、サンレヒが語っている「アーセナルのイメージは強い」というくだり。接触した多くの選手がアーセナルに好意的な反応を示しているのだという。
イメージという意味では最強クラスのバルセロナから来た彼がそんな印象を受けるくらいだから、ほんとうにそうなんだろう。ファンにとってもまったく誇らしい話だと思う。
しかし、いつかもこのブログで書いたかもしれないが、このままではアーセナルのいいイメージは失われていくものだと考えたほうがいい。
いまたとえば10代の若い選手がアーセナルというクラブへの憧れを口にするのは、インヴィンシブルズなどの歴代のスーパースターの存在が大きな理由かもしれないが、彼らが直接アンリやベルカンプを見てきたわけではなく、大部分は親や周りから受け継いだものだろう。ぼくは彼らの親世代なので(恥ずかしながら)、ぼくらのような親がアーセナルに熱狂する姿を見て育てば、子どもたちがそれに影響を受けてもおかしくはない。
しかしインヴィンシブルズがすでに15年前の出来事であり、時代はだいぶ変わっていまアーセナルは無敵どころか、PLで2番手グループあるいは3番手グループになりつつある。CLには出場すらできなくなった。
これから育っていく子どもたちが、週末になるといつも機嫌が悪くなる大人たちの姿を見てアーセナルのサポーターになりたいと思うだろうか。『Fever Pitch(ぼくのプレミアライフ)』でもそういうくだりがあったはずだが、弱いチームのファンは学校でバカにされるし。いまならリヴァプールやシティのファンになるほうがよほど自然だ。
このままスポーツ面での停滞がつづけば、アーセナルのファンは減っていくだろう。誰が毎週敗けるような弱い、魅力のないクラブをサポートしたがるかという話だ。
一朝一夕で強くなれるわけではない。しかしだからこそ、アーセナルは強くなる努力をつづけるのはもちろん、ファンが誇らしいと思えるような魅力的なクラブであってほしい。たとえいまは実力が伴わなくても。
ヤングタレントを積極的に使うクラブであってほしいし、いつだって見ていて楽しい攻撃的にプレイするチームであってほしい。アーセナルらしいスタイルがあって、プレイに「美」を感じさせるチームであってほしい。低予算なチームでも頭脳と戦略で金満を打ち負かしてほしい。
ヴェンゲルさんのチームは晩年はほんとうにひどかったが、それでもうつくしい攻撃だけは最後まで期待した。
もう界隈では繰り返し述べられていることだが、なかでも若い選手の起用、これがほんとうに重要だ。
アーセナルがオーナーが変わるでもして、クラブのストラクチャの大改革が行われない限りは毎年の予算が限られるのは避けられない。でもそれは、ドルトムントもアヤックスもアトレティコも基本は同じだ。なんならスパッズも。彼らはタレントを発掘してうまく売ってそれをチームに再投資して強化しまたつぎのタレントを発掘してー、とほとんど理想的なサイクルで運営されている。決して財政力ではメガクラブほど恵まれていなくても、しっかり毎年フットボールの競争力も維持している。
そしてどのクラブでも成功のカギになっているのは、ヤングタレントのリクルートだ。彼らにちゃんとプレイタイムを約束することがクラブへの強力な誘引剤となっていると、アヤックスのオーフェルマルスが語っていたのが印象深い。アヤックスの今季のヨーロッパでの躍進は目を見張るものがあった。あと数秒ガマンできればリヴァプールとCLファイナルを戦っていたのは彼らだったのだ。
アーセナルもそれをやらなくちゃいけない。
アカデミーの先にはちゃんとファーストチームがあるクラブ。若い選手こそにチャンスが与えられるビッグクラブなんだと、アーセナルは実績をもって内外に示さねばならない。
不安定な若い選手を起用すること。そういうリスクをかけることに勇気をもって取り組めるかどうか。そこが成功の分かれ目かもしれない。
さすがです。完全同意です。エメリに読ませたい。
勇気ですね。あたしも勇気を出そう。
いつも更新ありがとうございます😊
chanさんがこのタイミングでアップしてくれたおかげで(?)非常に芳しいインタビュー内容に感じました。
周りの若い子でプレミアファンは圧倒的にシティ、リバポファンが多いです。
「へぇ〜無敗優勝とか見てないもんね😋」なんて心で思いながら、口に出せない年月が経ってしまいましたね。
今シーズンの締め括りで踏み外した階段は思いのほか高く、ウルブズやワトフォードを羨ましく眺める未来が来ない事を祈ります。
興味深い記事をありがとうございます。
こちらが期待するほど若手を使ってくれなかったエメリ監督就任1年目でしたが、
2年目にどうなるのか、楽しみ半分、不安半分です。
エメリ監督はチーム内の序列を大切にする監督であるというお話があったと記憶していますが、
若手の抜擢が、彼のいう序列と反しないといいのですが。
売り下手なアーセナルが、残り2年で見切りつけて良い値で売っぱらうイメージをイマイチ持てません。
むしろ買い手がつかなかった選手を残り1年で使い続けてたら確変を起こしちゃって、嗚呼第二のラ(吐血