攻めても最後のツメが甘く得点できず、守ってもDFの数的優位のアドバンテージを活かせず相手FWひとりに翻弄される。またしても既視感のある試合展開。マンU、サウサンプトンと来た悪い流れを断ち切る必要があったガナーズだが、結局ゴール前を分厚く守ったウエストハムに逃げ切られた。ここ3試合で1敗2分。これでリーグ7位に後退。
また今回は失点しなかったとはいえ、ウエストハムが得点できなかったのはアンラッキーで2失点していてもおかしくなかった。スコアレスドローで終えられたアーセナルのほうがラッキーだっただろう。
West Ham v Arsenal preview: Aaron Ramsey and Shkodran Mustafi out
スターティング
予想はしていた。しかし驚きの4バック。しかも4-3-3。バック4だと、全体の動きが軽快に見える。エジルとイウォビの位置は逆っぽかったけど。
約束どおりジルーをスタート。そのかわりラカゼットをベンチに。だからさ。なんでボスはふたりを一緒に使ってくれないの。あの絶対得点がほしい試合展開でラカゼットを最後の最後まで使わないとか信じがたい。ウェルベックはこの一連の停滞ムードのなかでどう見ても調子が落ちてる。コラシナツをウェルベックのかわりに使ったほうがよほど効果的だったんじゃないか。
論点
何度も同じやられ方をするアーセナル
マンUはともかく、サウサンプトン戦とほぼ似たようなやられ方をしている。ゴール前を固められてカウンターに活路を見出してくるという予測もあったはずなんだけど、どうしても相手守備を崩せないしカウンターを許してしまう。ゴール前で慎重になりすぎてクリエイティブなプレイが出せない。守備ではたったひとりに前線で安々と起点を作られてしまい、結果上がっていた選手たちがフルパワーで戻るからそこでもまた消耗。
これEPLの下位チームと戦って苦戦するのは毎年だいたい同じやられ方で、アーセナルはその特効薬を持っていない。どんなチームだってゴール前を固められれば苦労はするものだが、それでも崩すのが強いチームだ。それを崩せないからアーセナルは弱いのだ。何か宗教的な理由でいつまでたっても守備が弱いまま改善できないなら、それはもう何もいわない。ただ、せめて、せめて攻撃力を上げてほしい。守備力も攻撃力も弱いんじゃ救いがない。
ハーフタイムの激励
ちょっとこの試合と若干話しが逸れるけど、ベレリンが試合の前に興味深いコメントをしていた。いまのチーム内での話し合いとか、ボスの試合前やハーフタイムの叱咤激励とか以前から興味があった。
Bellerin – The team talk I’ll never forget
ベレリン:たくさんチーム内で話し合いを行うよ。全部は思い出せないけど、ポジティブな話のほうは覚えてる。ハーフタイムに試合を変えるような。怒鳴り散らすよりももっと心にしみるんだ。
怒鳴ることで短期的にはいいリアクションがあるだろう。でも試合前にあるインスピレーショントーク、とくに重要な試合とか決勝戦とか、それはしみるね。もっとも重要な話し合いは、選手同士がお互いの気持ちを見せることだ。ドレッシングルームではいつもなくてはならないものだね。
FAカップ(16/17)の決勝で行われたチームトークはとても意義深いものだったし、エモーショナルなスピーチだった。ボスにとってそれがいかに大事かわかるでしょ。ボスには批判もあったし、ましてやリーグを取ったチェルシーとの決勝戦で、すべてが相手にとって有利な状況だった。
ボスは「われわれならできる。勝つポテンシャルもあるしわたしたちはグレイトなチームだ。自分たちのフットボールをプレイすれば勝てる」とぼくたちに訴えかけたよ。エモーショナルなスピーチでぼくたちにはそれらのことばがほんとうに響いたんだ。
ベレリンによると、FAカップ優勝したときのボスのおことばが印象深いという。ボスはやっぱり怒鳴らないんだな。
今回のウエストハム戦は、選手たちのメンタルの問題というよりも、ファイナルサードで冷静でいられないみたいな技術的な問題のほうが大きいと思うので(もっともそれもメンタルの問題ではあるが)、ハーフタイムに叱咤激励があったかどうかはどうでもいい。
ただ、ボスのことばがほんとうに選手たち、とくに若い選手たちに響いているのかがぼくは常々疑問に思っている。グアルディオラのそれと、クロップのそれと、モウリーニョのそれと、やっぱりそれぞれ違うと思うのだけど、言霊力というのか、知りたい。おそらくそれは監督のマネージメント能力ともかなり相関しているのではないだろうか。
マンU生え抜きのウェルベックあたりは、ドレッシングルームでのファーガソンについても知っているはずで、もし直接話せる機会があるなら聞いてみたいものだ。ベッカムにドライヤー投げつけて怪我させたのってあの人だったよね?(混乱)
ジャック・ウィルシャーとアーロン・ラムジー
ウエストハム戦に話を戻す。怪我のラムジーに変わってスタートから起用されたウィルシャー。ボール扱いのテクニックは比類ないものがあるが、ラムジーとの最大の違いは機動性だろう。よくいえば、ウィルシャーはCMの守備範囲からあまり離れず、ポジションを守ったプレイをしていた。
結果論でしかないが、この試合ではつねにブロックの前でボールをさばくウィルシャーよりも、走り回ってブロックをかき回すラムジーがいたほうが相手には脅威だったかもしれない。ジャカとポジションがたびたびかぶっていたように、似たようなプレイに終始したし、さらにこの試合ではエジルも後ろにだいぶ下がっていたので、ジャカ、ウィルシャー、エジルという3人がただブロックの外側でボールを回すだけの時間が非常に多かったと思う。
つまりこの試合にはラムジーの代わりをした選手はいなかった。それも敗因のひとつといえる(負けてない)。
イウォビはいいプレイもあったが、試合に影響を及ぼすような存在感を出すことには今回も失敗した。彼はいつになったらグッドプレイヤーからグレイトプレイヤーに脱皮できるのか。
その他
CBの衰え。メイトランド・ナイルズのブレイクの予感。ラカゼットの不満。サンチェスの不調(故意ではないかと)。
以上
つぎは日本時間土曜の夜、ニューキャッスルをエミレーツに迎える。これで3試合勝ちなし。いい加減勝たないと。