この冬にアーセナルを退団したマーカス・マグエイン(Marcus McGuane)19才が早くもバルセロナのファーストチームでプレイしたことが話題だ。もっともカタラン・スーパー・カップというカップ戦だったということで、ファーストチームといっても、メッシやイニエスタといった選手たちとプレイするのはまだ先だろう。
マグエインといえば、アーセナルのファースチームでも何度かカップ戦でプレイしていたものの、何か特別強い印象を残したわけでもなかったように思う。
しかしこうして早くもバルサの一軍デビューと聞くと、もしかしてわれわれは大変なものを盗まれてしまったんじゃないかと、かすかな胸騒ぎをおぼえるのである。
SKY SPORTSが「マーカス・マグエインて誰?」を掲載
このバルセロナデビューを受けて、早くもSKYではマグエインて誰だよ記事を掲載した。リネカー以来だという、バルセロナでプレイした英国人ということも話題である。
Who is Marcus McGuane? The ex-Arsenal player following in Gary Lineker’s footsteps at Barcelona
また、もちろんアーセナル・アカデミーからバルセロナ行きという珍しい移籍でもあった。ファブレガスやベレリンなどの逆である。
マーカス・マグエインのプロファイル
19才。ロンドンのグリーンウィッチ生まれ。ポジションはディフェンシブ・ミッドフィールド。イングランドU19に2回選出されている。アーセナルにはアンダー6から在籍してきたというヘイルエンドの生え抜きである。
マグエインはイングランド代表にスイッチする前は、アイルランドU17、U18でプレイしていた模様。
バルセロナでの経験が彼のこのあとのインターナショナルキャリアに箔をつけるのは間違いない。
マーカス・マグエインの評価
アーセナル時代。
ヴェンゲル:マーカス・マグエインはディフェンシブ・ミッドフィルダーで、ウイングバックでもプレイできるし、トレーニングではセンターバックもやっていた。
バルサBのコーチ。ESPNのインタビューで。
ジェラール・ロペス:マグエインはよく適応したね。うまくやっている。彼は完成された選手だね。止まったときやわれわれのポジショナルプレイでは、ボールを持ったときの落ち着きがまだ少し欠けているかもしれないけど、彼はわれわれの中盤に必要なほかのすべてのものを持っているよ。
ハードワーカーだし、空中戦にも強く、深いところからボックスに入っていける。彼がチームにもたらしたものは多いよ。彼の年齢だとわたしはたくさんのポジションで使うことができる。まだまだ進歩の余地がある。
短期的には彼はわたしの信頼をすでに得ているよ。これからわたしたちのために重要な選手になることを望んでいる。
グアルディオラやクーマンらとプレイしたバルサOBのホセ・マリ・バケロ。
バケロ:彼をここに連れてきたのは彼がファーストチームに入れる素質がある選手だからだよ。フィジカルも素晴らしいし、両足を使えるし、タッチもシャープで、気づくのも早い。バルセロナのファーストチームでミッドフィルダーに要求されるすべてを持っている。まあこれからハードワークが必要だけどね。
なぜマーカス・マグエインは移籍を選んだのか?
Meet Marcus McGuane, the English teen making history at Barcelona
本人が語った。
マグエイン:(アーセナルでの)チャンスのなさにフラストレーションを感じるようになったんだ。練習するにはいいんだけど、ぼくのパフォーマンスを停滞させたくなかったし、いつまでも同じレベルでいるのがいやだったんだ。だからこのステップはぼくにとって意味あるものだよ。
(移籍するとき)彼(ヴェンゲル)とはなんの会話もなかったよ。(アーセナルで)ぼくはがんばればチャンスは訪れると思っていたんだ。でもそれはやって来なかった。
恨んだりしてるわけじゃないよ。でも一番いいのは別の道を探すことだと感じたんだ。成長できる場所、ファーストチームでプレイできる場所がほしかったら、アーセナル以外の別の場所を探すしかなかった。
ボス……。あなたにしては随分と冷てえじゃねえか。嫌いだったのかな?
英国人はもっと海外でプレイすべき by マグエイン
このインタビューでマグエインが興味深い発言をしていた。
マグエイン:英国人のフットボーラーはみんな冒険しなさすぎだったんだ。いま海外に行くチャンスはいくらでもある。
以前にこのブログでも、なぜイングランド人は海外でプレイしないのか問題を問うたことがあったように、とにかく彼らはプレミアリーグ以外でのプレイをしたがらない。それが若いイングランドの選手たちの機会損失になってるんじゃないですかといった話し。
しかし、このマグエインのように、最近は少しづつ英国人フットボーラーが海外に出ていくケースが増えてきたのかもしれない。この記事でもベンフィカに移籍した元ガナーのクリス・ウィロックや、BVBに移籍したシティのジョーダン・サンチョなどのケースが指摘されている。たったそれだけだったとしても特殊なケースとして挙げられるのは、いかに英国人が海外に出ることに臆病になっているかということでもある。
ジャック・ウィルシャーが残り契約3ヶ月で交渉が停滞しているそうで、彼が海外のビッグクラブを新天地に選ぶような前触れでなければいいのだけれど。
以上
おまけ
Marcus McGuaneでググると出て来るこれ。
まだWikipedia日本語版には項目はないから、Google様(やっぱりAI的なアレ?)が命名してるんだろうけど、マクギュエインて。舌噛むわ。この世界の真打ちこと、Wikipedia日本語版様がどんなカタカナ命名をするか、いまから興味津々である。
ここで表記している「マーカス・マグエイン」はぼくが耳で聴いた英語のサウンドをそのまま使ったもの。ジョン万次郎メソッドである。
※追記(2018.3.11)マグエインの報道はフェイクニュース?
このエントリを書いたあとにこういうブログ記事を見つけて。
The Fake News Surrounding Marcus McGuane
彼のファーストチームでのデビューといっても、カップ戦(The Supercopa de Catalunyaは、2014年に始まったカタロニアとスペインのトップチームが戦う試合で公式戦ですらないと)にしかも77分からの途中出場だったということで、マグエインの報道「“first team debut”」はいくらなんでも大げさに取り上げすぎという指摘であった。なるほど。
英国人だからとマグエインを大げさに扱い過ぎで、実際の彼は移籍先であるバルサB(アーセナルだったらアーセナルU23?)でもこれまで2試合しかスターティンに入っておらず、あとの2試合は途中出場だったとのこと。
つまりあれか。日本人初のセリエAプレイヤーが誕生して、大挙してイタリアに報道陣が押しかけてみたいな話しか。無理に日本人推しするために「起点」みたいな奇妙な用語まで開発する的な。イギリス人もあまりにも海外で活躍する選手がいなくて、しかもバルセロナで興奮しちゃったんだな。日本人かよ。なんか親近感わいてきた。
ちなみにぼくも、アーセナル、DMの有望株とか手放してんじゃねえよとか思っていたけど、よく考えたらおれたちにAMNって宝石がいたんだった。なあんだ心配ないや。よかったよかった。