久々にいろんな意味で非常にアーセナルらしい、観ていて楽しい試合だった。この両手ぶらり戦法に同じく両手ぶらりで付き合ってくれたCSKAの諸君にも礼をいいたいね。
以前にティエリ・アンリが「アーセナルはボールを持ったときは常にイエス! ボールを持ってないないときはノ~」と発言していたことがあったが、まったくもってそんな試合内容だった。でもおもしろかったからいいか。おもしろきゃいいんである。
Arsenal 4-1 CSKA Moscow: Alexandre Lacazette and Aaron Ramsey net doubles in easy win
アーセナルのスターティングイレヴン
オスピナは怪我だったらしい。3週間の離脱とか。サブにはメイシーが入った。そこ以外は当ブログの予想どおりのメンバーで始まった。実際のポジションはジャックが前目で、ジャカとラムジーがCMの4-2-3-1に見えた。
ボスの試合後のみことば
試合後のコメント。
(パフォーマンスについて……)
ヴェンゲル:そうだね。仕事の半分は済んだと思う。前半はいいペースでプレイして、後半はレベルが落ちた。とくにフィジカルがね。最初からパワーマックスもりもり全開の両チームだった。だからスペクタキュラーな前半になったんだ。後半は失点しないこと、できればあともう1点取ることが目標になった。失点はしなかったけど得点もできなかったね。チャンスはたくさんあったのに得点できなかったのはアンラッキーだった。まあそれがフットボールさ。
(ラムジーのゴールについて……)
あれはすごいゴールだった。ここ最近はフットボールですごいゴールがいくつかあったね。
(ラカゼットですけど……)
イエス。彼は残りたがっていたよ。正直いうと彼はさほど疲れているようには見えなかったんだ。でもわたしはもう1点欲しくて、点が取れそうなダニーみたいな選手を入れたかった。
(CSKAの得点について……)
彼らは前に行くいいチームだ。とても早く順応して、テクニックもよくてとても攻撃的だ。彼らはつねに危険だった。
(ミキタリアンの怪我……)
彼は(ぶつけた)膝に問題があった。あんまり悪くないことを祈っている。明日の朝に改めて確認するつもりだ。メディカルチームが今夜の時点では彼の怪我を評価するのは無理だといっているよ。
(この結果で自信は有頂天……)
ルック。われわれは現実的にならなきゃいけないよ。まだ勝たなければならないセカンドレグがある。そこで勝つことが仕事をやりとげる最高の方法だと思っている。
論点
シャンペン攻撃としょんぼり守備
Arsenal are the new Arsenal.
— Gary Lineker (@GaryLineker) 2018年4月5日
リネカー氏も思わずニッコリ。でもほんとにそうかな?
この試合の攻撃はまじでヤバかったのは認めよう。躍動していた。そこはNEW ARSENALと呼んでもらっても構わない。
アタッカーたちは敵陣でワンタッチでぽんぽんとパスをまわし、ボールを持てば毎回シュートまで行くようなイメージ。全能感にあふれていまなら何をやっても成功しそうな。練習の延長というのか、肩の力が抜けてフットボールがほんとうに楽しそうに見えた。ラムジーの2点目なんかは心身ともにリラックスしていないと思いつかない発想のプレイだろう。チーム全体にとっても今季ベストゲームといってもいい。攻撃のときだけは。
守備は相変わらずの体たらくぶり。ゴロヴィンやムサを中心にした彼らの攻撃にかなり手こずっていた。とくにアメド・ムサのサイドでベレリンはやられまくっていた。こちらはボールを持たれれば毎回ゴール前まで攻め込まれるようなイメージで、改めてわれらの守備戦術の拙さを露呈したかたちだ。彼らにはビッグチャンスも何度かありxGは確実に1点以上はあるはずだ。1失点で済んだのはラッキーだった。アーセナルは守備陣形を保っていてすら、CSKAレベルの相手にふつうに崩されるのだから問題の根が深い。
大差で勝ったとはいえ、守備についてこの戦いをレビューしてそれを活かさなければ、来週のセカンドレグは苦しい戦いになる可能性がある。ただでさえ難しい人工芝だ。CSKAはアウェイでもあれだけ攻撃を組み立てられたのだから、ワイルドなホームサポーターを前に勢いづくに違いないのだ。
アーセナルにおけるエジルのベストゲーム
異論あるかな?
途中までラムジーとエジルどっちがMOMかなあと考えていたが、アーセナルが後半に攻撃のアクセルを緩めると、もうエジル・ショーといった感じだった。長短のパスも気が利いているし、自らボックス内に走り込んでパスをもらう動きも冴えていた。キレッキレである。BBC Sports並びにSKY Sports、双方のMOM。文句なし。
本人もこんな顔するんだから満足できるパフォーマンスだったのは間違いない(ジャカのパーフェクトパスに対して)。試合中にこんな満足そうな顔でサムズアップって初めて見た気が。。
そしてこの件。最近の試合で見かけていた、スタジアムのピッチサイドにあるFedExの看板「GAME CHANGING DELIVERY」ていいコピーだなあと思っていたら、ラムジーへのアシストの瞬間にうまいこと中継に抜かれていたようだ。エジルによるまさにゲームチェインジングサービス。これだれよりもFedExが喜んでるはず。
Not even surprised by advertising board knowing how Özil’s delivery is going to be. 🐐 pic.twitter.com/9lwZ2bwhsk
— Dammit Arsenal (@DammitArsenal) 2018年4月5日
ラムジーが週給350kレベルで躍動
ラムジーなあ。ラムジーってスタミナすごいし、テクニックももちろんあるんだけど、自由奔放なポジショニングだけなんとかしてくれりゃあなあと。そう思っているグーナーは世界に100億人くらいいると思っている。
ぼくはヴェンゲル・アーセナルであるかぎりはそこはもう諦めていて、前掛かりになるのならば、せめて得点力を上げてくれと、それだけが彼への願いだった。それがどうだい。こうあっさり得点を決め始めるなんて、まるで彼の数年前のフォームを見ているようじゃないか。この試合だってポストに当てたシュートが決まっていればハットトリックだった。なんというゴールスコアラー。これはいったいどういった心境の変化なのだろう。就活?
ボスもいっていたように、最近はクリスチャーノのバイシクルシュートやブラヒモのロングシュートとかスーパーな得点が相次いでいておもしろい。そういえばチェンバレンのミドルシュートもヤバかった。ラムジーのこれも一連の流れにあるはず。持ってるね。
アーセナルと彼の契約は来シーズンいっぱいで終わる。もし残り1年を切ったら条件交渉で最後までもつれるという、エジル・サンチェスと同じ流れになりかねない。そうさせないよう彼の契約はできるだけ早く延長すべきだ。このパフォーマンスを見てまだラムジーいらねなんていう人はいないだろう。
点を取るラムジーって最高。
この写真だとヒップアタックに見える。こりゃ絶好のコラ素材だなと思ったら。
ラカゼットが着々と自信を回復。なのに。
彼はペナルティだけじゃなく流れから得点してくれてほんとうによかった。ああいうゴールを見るとさすがボックス内で仕事をする職人だなあと思うわけで。オバメヤンが率先してやってくれてうれしかったけれど、ラカゼットをノセてやるというのはチームにとってメリットしかないのだ。そんななかで、足を引っ張る男がひとり……
選手に自信をつけさせるために疲れていても交代させない場合があるとか、ボスのこれまでの数々のコメントからすると、今回の交代はほんとうに不可解。
試合後のインタビューで突っ込まれたら、ラカゼットは疲れているようにも見えなかったと。え?
そりゃあのタイミングでなら守備もしてくれるフレッシュなウェルベックを入れたいというのはわかるけど、いままさにラカゼットが自信を取り戻しつつあるというタイミングで、しかもラカゼットは途中交代に不満だとわかっていてやるべき交代だったかな??
みんなでラカを盛り上げようとしているのになんで空気を読まないかな? おじいちゃんだから?
CSKAのゴロヴィンはよかった
去年あたりにアーセナル移籍も噂された彼。アーセナルにいいところを見せたのではないだろうか。ゴール右隅奥に叩き込んだフリーキックも見事だったし、中盤で彼を捕まえるのは厄介だった。
ただアーセナルがこの手のタイプの選手が必要かというと、いまは間に合っているとしかいえない。もし、そのうえでアーセナルがアタッキングMFを取るなら、彼のようなグッドプレイヤーではなく、グレイトプレイヤーでなければならない。エジルやミキタリアンがいるのだから、並のいい選手ではダメなのだ。
まだフォルスベリやフェキルに比べられるほどではない。
その他アーセナル選手
チーム全体良かったと思うけれど、気になったのはジャックだ。彼だけは目立って調子が落ちていた。ポジショニングの問題か序盤は行方不明だったし、試合中は守備のフォローをだいぶがんばっているように見えたが、ビルドアップや攻撃ではパスミスを連発するという、普段の彼らしくないプレイに終始した。もっと早いタイミングでエルネニーと交代させるべきだった。たぶん、疲労が溜まっていたんだろう。代わりの選手はいるのだから、少し休ませたほうがいい。
ジャカはかなり良かった。ラムジーが積極的に攻撃参加できたのもジャカが中盤で安定していた影響もあっただろう。ピッチの中心から繰り出されるパスはどれも正確で、試合をコントロールしていた。彼もチームを駆動させた原動力のひとりとして非常に印象的だった。
負傷交代したミキタリアンは週末のPLには間に合わないかもということ。膝と膝がぶつかっていかにも痛そうだった。コメンタリでもそのシーンは、オウニートゥニーアウチ!と痛そうなコメントだった。チームにとって彼の影響力はもう小さくない。長引かないことを願うばかり。
怪我といえば、ムスタフィも足をだいぶ痛そうにしていた。彼は週末大丈夫だろうか。
最後にウェルベック。この試合でもゴール前で腿あたりにボールを当てゴールならず。非常にウェルベックらしかった。so much welbecked。Arseblogより。
Welbeck
verb
1.to succeed felicitously. To score a goal in the game of association football through an unintended act, or with an unusual body part.
“the cross came in and the striker Welbecked it into the goal with his arse.”ウェルベック
動詞
1、適切に達成すること。フットボールにおけるチームプレイで、予期しない行動あるいは普段使わない身体の部位を使って得点すること。
例「クロスが入ってきて、ストライカーは尻を使ってゴールマウスにウェルベックした」
キミも一緒にウェルベックしようぜ。
スタジアムの空席
公式発表はチェックしていないけれど、ミッドウィークの試合にしては客は入っていたのではないだろうか。それでも満席ではなかっただろう。中継でも空席はだいぶあったように見えた。
でもこれだけ魅力的な試合を見せたのだから、週末のサウサンプトン戦にはたくさんのファンが戻ってくるのではないだろうか。
以上。
ELのセカンドレグは来週ロシアで。これでクウォーターファイナルの勝ち抜けはだいぶ現実味を帯びてきた。他の試合を見る限りではどの組み合わせも順当だったようだ。ぼくの見立てではセミファイナル敗退だが。。
次の試合は日本時間日曜22:15キックオフのEPLサウサンプトン戦。ホームマッチ。サウサンプトンはいま降格の危機で死に物狂いが予想される。勝って6連勝。COYG
追記:ラムジーとラカゼットのポストマッチインタビューをアップしました。