ついに来た。今シーズンも何度もここが大一番といってきた試合があるが、これがほんとにほんとの最後の大一番である。これで負ければアーセナルの17/18シーズンは大失敗に終わるし、勝って決勝に進めば(そしてそこで優勝できれば)ひとまず及第点。まあリーグやその他カップ戦の成績をみればELのタイトルを取ったからといって「成功」として総括はできないだろう。ビッグクラブなのだから。
ファーストレグをホームで戦いディフェンダーのミスから1-1と痛恨のアウェイゴールを奪われたガナーズ。このほとんど難攻不落といわれるアトレチコのホームスタジアムWanda Metropolitanoで、守りきれば勝ち抜けという状況で堅守速攻を武器とするアトレチコ相手に、なんとしても得点しなければならないというトリッキーなタスクを背負う。
ちなみにこの試合はボスにとってアーセナルを率いてヨーロッパを戦う250試合めになるそうだ。これで負ければそこで終了。251試合めに進めるかどうか。
奇跡を起こせ。
予想スターティン
4-3-3
GK オスピナ
DF モンレアル、ムスタフィ、コシエルニ、ベレリン
MF ラムジー、ジャカ、ウィルシャー
FW エジル、ラカゼット、ミキタリアン
オバメヤン、カソルラ、エルネニーが欠場。オスピナとミキタリアンがフィットしている模様。そしてGKはチェフではなく引き続きオスピナが務めるとヴェンゲル監督が語っていたようだ。
ミキの件、木曜に使えそうにないというのはやっぱりブラフだったな。もっとも練習風景を見る限りでは彼はまだ膝にサポーターをしているので、100%ではないのかもしれない。左サイドは好調を維持するウェルベックがスタートする可能性も高い。
そしてこの試合でミキタリアンの復帰とともに注目されているのが、マヴロパノスがチームに帯同していることである。彼はマンU戦でかなりいいパフォーマンスを見せた。もしムスタフィかコシエルニ、どちらかのフィットネスが万全でなければ本当にマヴロパノスを使うかもしれないと思ってしまうくらいには、印象的だった。驚きの采配があるか。
ボスのみことば
マドリッドで行われた試合前日のプレスカンファレンスにて。
ヴェンゲル:ヨーロッパではアウェイでもうまくやれている。試合とパフォーマンスに集中したい。選手たちはプレミアリーグでのフォームを心配しすぎないようにしている。
彼(ディエゴ・コスタ)は違いをつくれるところを見せている。イングランドでも成功していた。しかしわれわれの仕事は彼を黙らせることだ。一番いい方法は彼らを自陣に押し込んでおくことかもしれない。
(アトレチコのホームでのディフェンス記録について……)
記録はどこかで止まるものだ。それがわたしたちがトライすることだ。ファーストゲームではいくどもチャンスをつくったが得点することができなかった。同じコミットメントを保つ必要がある。どこでプレイしているかを考えすぎるべきじゃない。どうやって攻略し、どうやってゲームをつくるか。
(ディエゴ・シメオネについて……)
どのマネージャーも自分のパーソナリティを持っていると思う。彼はとてつもなくうまくやっている。ポジティブなやり方でチームに影響を与えようとしている。それで何度もうまくいっている。先週彼は退場になったが、レフェリーだけがその決断ができた。
(シメオネや若い監督と戦うことについて……)
正直なところ、わたしは自分の年齢をそれほど気にしないんだ。シメオネが若いマネージャーだとは思わないよ。すでにとても豊富な経験があるし、チャンピオンズリーグのファイナルまでいったこともある。スペインでリーグを取ったし、スペインに来る前ですら経験があった。わたしは監督同士の戦いだと思わないようにしている。わたしの仕事はチームの準備をして、わたしのチームだけに集中することだ。相手チームのマネージャーが誰かなんて完全に忘れるし、自分のチームがいいパフォーマンスができるようにするだけだ。
(アントワン・グリーズマンについて……)
グリーズマンはここでとてもよくやってると思うよ。先週わたしたちを傷つけたことは残念だったけどね。彼はわたしが評価する選手だ。彼は若い時分にもうフランスから出ていって、ずっとアウェイで戦っている。すごいキャリアを持っているし、試合でプレイすることがだいぶ好きみたいだ。そういう才能のある選手が好きだよ。
この試合以外のことについても質問が飛んだ。
(スペインでマネージャーをやる可能性はありますか……)
ヴェンゲル:来シーズンどうするかわからないんだ。いまは自分の仕事をきっちり終わらせたいと思う。わたしは仕事をする男というものは、コミットメントとエナジーをもって全力で務めなければならないと思っている。最後の日まで全力を尽くしたと感じたいんだ。いつかこの日々を振り返ったときに、このラヴ・アフェアをちゃんとフィニッシュさせたと思いたいんだ。
(どれだけクラブにチャンピオンズリーグを残したいっすか……)
わたしはそれを20年か21年続けてきた。もうどれだけだか忘れるくらいにね。もちろん出場権がほしいよ。
(試合には興奮しますか……)
イエス。もちろん。フットボールでは、いつか見たようなことも起こるが、新しいことを発見することもできる。どんな試合にも驚かされるものだ。だからそれが新しい冒険だというのさ。何が起こるかわからない。だからエキサイティンなんだよ。
この「恋愛(love affair)」をうまいこと終わらせたい……。この前の「ラヴ・ストーリー」といい、なんかボスはだんだんいうことがポエムになってきたな。いいぞもっとやれ。
シメオネのコメント
アトレチコにとってはエジルがもっとも危険なプレイヤーだという。
シメオネ:われわれのラインはアーセナルを意識したものになるよ。彼らはとてもダイレクトなチームだ。
たくさんのライン間でプレイできる選手がいるし、彼らはそれぞれ得点を狙える違う場所にいる。
ラストサードではスピーディにプレイする。
彼らのなかではエジルがもっとも危険な選手だよ。彼には創造性や試合を読むヴィジョンがある。
アトレチコ・マドリッド情報
チーム状況
コスタがフィットしていてグリーズマンとトップでコンビを組む可能性が高いようだ。
3月に骨折の手術をしたというフェリペ・ルイスが復帰するようだ。
そしてファーストレグでレッドのSime Vrsaljkoはもちろん出場不可。
さらにシメオネもベンチ入り不可。なんかすごい見た目のアシスタント氏がベンチに入るだろう。
10人で練習?
驚愕の用心深さ。Thomas Parteyとかいう選手のコメントによると、シメオネはファーストレグに続き、セカンドレグでも退場者が出ると予想して10人になったときのために10 vs 11での練習もしているという。
Revealed: Atletico trained with 10 men day before Arsenal clash
ナンテコッタ。これ要するに、UEFAがビッグクラブに忖度したジャッジをするんじゃねえの?という強烈な批判になっている気がするんだが気のせいだろうか。もはやどっちがビッグクラブかわからんけども。UEFAは怒っていいぞ。
アトレチのスタジアムについて
全然知らなかったんだけど、彼らのホームステイディアムであるワンダ・メトロポリターノ(エスタディオ・メトロポリターノ)は、チャイナ資本でリニューアル?された巨大スタジアムらしい。今季から使用しているとのこと。キャパシティは驚きの73000人。どっちがビッグクラブやねんと。ワンダは大連万達グループのワンダでネーミングライツ的なアレ。全然聞き覚えがないのも変だなと思ったら新しいスタジアムだった。
しかし、エミレーツ建立の計画を立てた当初は6万人も入れちゃうすげえって考えたわけだろうけど、今ではアトレチコがこの規模のスタジアムで、来シーズン?から使うとかのToTの新スタですら6万収容とかってことは、エミレーツは9万人くらいのキャパにしとけばよかったね。もっともこの10年でヨーロッパのフットボールがこれほどの巨大産業に成長するなんて誰にも想像できなかったけれど。
アーセナル情報
We are playing in Grey and Pink for Thursday’s match in Madrid. pic.twitter.com/IHpVBNytl2
— Arsenal Fixture News (@AFCFixtureNews) 2018年5月2日
どうも今季のアウェイ青シャツが呪われていると信じている人が多いようで、今回アーセナルが黒いほうのアウェイシャツを着ることになったことが大変に話題になっている。
まあもはや何にでもすがりたい気持ちはわかる。
マッチファクツ
- アーセナルはスペインで行われた直近6つのヨーロッパの試合に勝っていない(W0 D2 L4)。最後に勝ったのは2006年のレアル・マドリッド(1-0)
- アーセナルが過去2回ヨーロッパのセミファイナルのファーストレグで引き分けたとき、どちらもファイナルに勝ち抜けた(79/80、93/94カップウイナーズカップ)
- しかし、メジャーなヨーロッパの大会でファーストレグをアウェイで引き分けた過去5チームがファイナルに進出している
- アトレチコはここ17試合のホームゲームで1敗しかしていない(W13 D3 L0)。が、その1敗はイングランドのチェルシー(今季CLグループステージ)
- ラカゼットはELの13試合スタートして13得点に絡む(11G2A)
- アーセナルがファイナルに進むと、05/06シーズン以来メジャーなヨーロッパ大会で2つのイングランドのクラブが同時にファイナルに進むことに
試合結果予想
WhoScored.com 1-0でホームチームの勝ち
SKY SPORTS 2-1でホームチームの勝ち
まあ順当ですな。アトレチコが難敵という以上に今季のアーセナルのアウェイフォームがひどすぎる。ここで勝ち予想なんてしたくてもできない。評論家だってアーセナルが勝ち抜けるなんていったら笑われる試合である。
しかしですよ。もし、万が一、天地がひっくり返りでもして、何かの間違いでアーセナルが先制点を入れたりして御覧なさい。一気にあいつらと同じステージに上がれるわけですよ。ていうか形勢逆転? あんまり残り時間があると、今度は守れない病が発動するんで、0-0で迎えた85分くらいに何もないところからのジャカ砲でゴーーーーーーーーーール!!!!!みたいな展開がいいな。
しかしこのアウェイゴールルールってやつはほんとやっかいだよね。ローマ・リヴァプール戦はご覧になりましたか? まだ見てない人もいるかもだから詳しくはいわないけどミスの1点が明暗を分けたからね。ガナーの面々はあのシーンをもう一度見直して肝に銘じたほうがいい。そういう意味じゃ彼らに感謝だよなあ。
1点までは取られても構わない。とにかく1点をなんとしてももぎ取ること。話はそこからだ。
この試合については以上。
アーセナルニュース
「さよならアーセン」ホーム最終戦でセレモニー
コメントをもらって気がついたのだけど、今週末、5/5土曜日のバーンリー戦が今季EPLのホーム最終試合となる。もちろん、ボスにとっては最後のホームゲーム。この日にはアーセン・ヴェンゲルの22年を祝って、ハーフタイムと試合後にセレモニーイベントが開催されるというお知らせがあった。
Merci Arsène: Burnley (h) post-match activities
来場者には記念のTシャツなんかももらえるらしい。いいな。
Zeljko Buvac続報
クロップのアシスタントをアーセナルがヴェンゲルの後釜に据えたいという、降って湧いたようなニュース。
昨日から新しい情報があるわけではないんだけど。SKYにもこの件が来ていて、それによるとブヴァッチはチャンピオンズリーグのローマとのセカンドレグの2日前にチームから離れた(辞めた)ということで、この大事な状況を考えると「右腕」が今職場を離れるというのはいかにもただ事ではなく、やはりなにかクラブか上司とトラブルがあったと疑われてもしょうがないものとなっている。
Zeljko Buvac wanted as new Arsenal manager by head of recruitment Sven Mislintat
アーセナル(ミズリンタット)が彼を欲しがっていることと彼の離脱が関係があるかどうかは不明ながら、数々の報道によればアーセナルがマネージャーに据えたいと思っているのはどうやら本当っぽい。
ちなみにクロップはCLの会見でこのことを問われると、「クラブの見解(個人的な事情で辞めた)以外にいうことはない」とコメントしなかったようだ。
しかしまったく予想もしなかったところから候補者が出てくるものだ。無名の人材を登用するのもアーセナルらしい。Zeljko, who?